英国カンブリア州のアラデール市の2009年1月30日付のプレスリリースによると、同市は英国政府が実施している地層処分場選定のためのプロセスに対して、責任を伴わない関心表明を行うことを決定した。現在、英国では、2008年6月の放射性廃棄物管理に関する白書 に基づいた公募方式による地層処分場選定プロセスが実施されており、その第一段階として、処分場受け入れに関する英国政府との協議への関心表明が募集されている。2008年7月には、カンブリア州のコープランド市が英国政府に関心表明を提出しており 、2008年12月にはカンブリア州自身も提出している 。
同プレスリリースによると、アラデール市議会の全体会議(2009年1月28日開催)において、英国政府と「責任を伴わない」議論を行うべきであるとする執行委員会の勧告が、投票で支持された。全体会議では、アラデール市民の安全が最も重要であるため、英国政府の費用負担による地元自治体との協議が必要であるという点についても合意がなされた。また、地層処分場選定のためのプロセスを進める場合は全体会議での同意が必要であること、全ての可能性のあるサイトは地元自治体によって承認されなければならないことも確認された。アラデール市議らは、最終的に地元自治体に責任が発生する段階に至るまで、あらゆる段階で英国政府との協議から撤退する権利を確保しておくことが必要である点を強調している。さらに、廃棄物の回収可能性に関しても、今後の議論の重要な要素になるとされている。
同プレスリリースによれば、アラデール市議会議長は、アラデール市議会が地層処分場選定に関して英国政府と議論を行うべきであるとの勧告を受け入れたのは、アラデール市議会が雇用や発展をもたらすような機会を排除することはできないためとしている。ただし、アラデール市議会議長は、特定の処分場サイトが念頭にあるのではなく、また公衆の意見を無視して手続きを進めることはないとしている。また、アラデール市議会議長は、次の段階では地質学的調査による処分場建設が不可能な地域の除外と、地域の全構成員が意思決定に関わるための手段の開発が行われると述べている。
同プレスリリースによると、コープランド市議会とアラデール市議会は、英国のエネルギーコーストマスタープランにおいて、既に英国政府による地層処分場のサイト選定プロセスの枠組みの策定を支援していくことで合意しているとしている。
【出典】
- アラデール市、2009年1月30日付プレスリリース
http://www.allerdale.gov.uk/council-and-democracy/council-news/news-releases.aspx?prid=1020 - アラデール市、2009年1月28日の市議会会議資料
http://webapps.allerdale.gov.uk/moderngov/Published/C00000032/M00002602/$$ADocPackPublic.pdf
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-11 )