韓国知識経済部は、2008年12月31日付けプレスリリースにおいて、韓国における放射性廃棄物管理事業の実施主体として、韓国放射性廃棄物管理公団(KRMC。以下、管理公団)が2009年1月2日に設立され、活動を開始することを公表した。これまで、韓国における放射性廃棄物管理事業は、放射性廃棄物の発生者である韓国水力原子力株式会社(KHNP)が実施してきた。管理公団は、2009年1月1日に施行された放射性廃棄物管理法 第18条の規定に基づいて設立されるもので、放射性廃棄物の発生者と管理者とを分離することなどを目的としている。また、同法第10条の規定により、今後は、管理公団が処分事業も含めた放射性廃棄物管理事業と、放射性廃棄物管理のための財源である放射性廃棄物管理基金(以下、管理基金)の運用・管理も実施することになる。
管理公団の管理対象となる放射性廃棄物は、「放射性物質または放射性物質によって汚染されたもので、廃棄の対象となるもの(使用済燃料を含む)を言う」と定義されており、現在、慶州市陽北面奉吉里(キョンジュ市ヤンブク面ポンギル里)で、処分場が建設されている中低レベル放射性廃棄物や廃棄物とされた使用済燃料が含まれる。
また、管理公団の行う放射性廃棄物管理事業には以下が含まれる。
- 放射性廃棄物の輸送・貯蔵・処理及び処分(使用済燃料の処理は除く)
- 放射性廃棄物管理施設サイトの選定、建設・操業及び閉鎖後の監視
- 放射性廃棄物の管理に向けた資料の収集・調査・分析及び管理
- 放射性廃棄物管理に関する広報
同プレスリリースによると管理公団は、慶州市陽北面奉吉里(キョンジュ市ヤンブク面ポンギル里)に本部を置き、管理公団の初代理事長には、前KHNP放射性廃棄物本部長のミン・ギェホン(閔啓泓)氏が就任する。
管理公団が管理することとなる管理基金の財源は、放射性廃棄物の管理費用、使用済燃料管理負担金、原子力発電所の解体費用として、原子力発電所の所有者(中低レベル放射性廃棄物、使用済燃料の発生者)と、放射性同位元素(RI)廃棄物の発生者から徴収される資金である。管理基金は、放射性廃棄物の管理、貯蔵、処分を含む放射性廃棄物管理事業などを実施するための財源となる。
なお、2009年1月1日には、放射性廃棄物管理法と同時に、管理基金の運営方法などを規定した管理基金の運用・管理規定(告示2008-226号)なども施行された。
【出典】
- 韓国知識経済部(MKE)、2008年12月31日付報道資料
- 原子力法
- 放射性廃棄物管理法
- 放射性廃棄物管理基金の運用・管理規定(告示2008-226号)
【2009年6月8日追記】
知識経済部(MKE)の2009年6月1日付のプレスリリースにおいて、韓国放射性廃棄物管理公団(KRMC)が慶州市陽北面奉吉里(キョンジュ市ヤンブク面ポンギル里)で建設中の中低レベル放射性廃棄物処分場の第1段階工事の竣工時期について、予定されていた2010年6月から2年以上遅れて、2012年12月になることが発表された。
2009年6月1日にKRMCが報道機関向けに配布した資料は、竣工時期が遅れる理由として、処分坑道へと続く進入坑道の施工段階において、岩盤等級が当初の想定よりも低いことが判明し、掘削速度が遅れ、補強工事のための時間も必要であるためと説明している。
竣工時期が遅れることで、一部の発電所では中低レベル放射性廃棄物の貯蔵量が飽和状態となることが予想されているが、処分サイト内に設置される受入れ貯蔵建屋を活用するなどの対策によって、今後の放射性廃棄物管理に支障が出ないようにすることが検討されている。
- 知識経済部(MKE)、2009年6月1日付プレスリリース
(http://www.mke.go.kr/news/photo/photoList.jsp) - 韓国放射性廃棄物管理公団(KRMC)、報道資料
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-11 )