英国カンブリア州の2008年12月9日付のプレスリリースによると、カンブリア州は英国政府が実施している地層処分場選定のためのプロセスに対して、責任を伴わない関心表明を行うことを決定した。現在英国では、2008年6月に英国政府が公表した放射性廃棄物管理に関する白書 において示された、地層処分場選定プロセスの第一段階として、処分場受け入れに関する英国政府との協議への関心表明が募集されている。2008年7月に同州のコープランド市が既に英国政府に関心表明を提出しており、同じく同州のアラデール市も検討を進めている 。
同プレスリリースによると、今回の決定は、関心表明を行うという州議会の決定を閣議1 が認める、という形で行われた。関心表明を行う理由として、英国の高レベル放射性廃棄物等の70%が同州のセラフィールドに貯蔵されていること、またこの地域が英国の原子力産業の中心であることが挙げられている。
プレスリリースによると、今回のカンブリア州による関心表明は、既に関心表明を行ったコープランド市もカバーするものである。また、今回の閣議決定では、アラデール市議会が関心表明を決定した場合には、州の関心表明の効力がアラデール市も含むカンブリア西部全域に及ぶようになるとされている。今回の決定により、州はカンブリア西部が地層処分場を受け入れるのにふさわしいか否かに関する議論に参加できるようになるとともに、結論を得るために他のステークホルダーと協働作業を実施することができるようになる。
また、プレスリリースによると、今回の決定は、州議会が関心表明をするべきか否かについての主要な地元のステークホルダー等の見解を調べるプロセスを経て行われた。調査の結果、関心表明に対して広範な支持があることが明らかとなったとされている(35の町村のうちの23が関心表明を支持)。
なお、プレスリリースでは、英国政府が設定した現段階での暫定的なスケジュールが、次のように示されている。
- 2012年4月まで:2つの候補サイトの特定
- 2014~2015年:サイト調査
- 2025年まで:候補サイトの発表
- 2040年まで:最初の放射性廃棄物の定置
- 2075年まで:最初の使用済燃料の定置
- 2128年まで:処分場の閉鎖
【出典】
- カンブリア州、2008年12月9日付プレスリリース、
http://www.cumbria.gov.uk/news/2008/december/09_12_2008-121129.asp - カンブリア州、ウェブサイト情報、
http://www.cumbria.gov.uk/council-democracy/councillors-democracy-elections/councillors/CabinetMembers.asp
【2008年12月17日追記】
2008年12月15日に、カンブリア州ウェブサイトにおいて、12月9日の閣議の議事録(抜粋、ドラフト版)が公表された。議事録には、以下が示された。
- カンブリア州がコープランド・エリアについての関心表明を行うことを決定したこと
- アラデール・エリアが関心表明を決定した場合、州の関心表明をアラデール・エリアにも拡大すること
出典
- カンブリア州、ウェブサイト情報、 http://www.cumbria.gov.uk/councilmeetings/viewpdf.asp?File=/CouncilMeetings/Content/Public/2940/39797132353.pdf
【2008年12月24日追記】
2008年12月22日付のカンブリア州プレスリリースによると、州は正式に関心表明を行うことを示した書簡を、担当官庁であるエネルギー・気候変動省(DECC)の大臣に送付した。書簡には、サイト選定プロセスの第2・第3段階の進め方に関するDECCとの協議を、2009年早々に実施したいという州の意向が示されている。
- カンブリア州、2008年12月22日付プレスリリース、 http://www.cumbria.gov.uk/news/2008/december/23_12_2008-092043.asp
- カンブリア州、関心表明に関するエネルギー・気候変動省(DECC)への書簡、2008年12月19日、 http://www.cumbria.gov.uk/elibrary/Content/Internet/543/398059057.pdf
- 閣議は、州議会議員の中から選ばれた者によって構成されるものであり、州議会の所掌案件についての意思決定を行う責任を有している。 [↩]
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-11 )