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《米国》DOEが第二処分場の必要性及び中間貯蔵に関する報告書を公表

米国のエネルギー省(DOE)は、2008年12月9日、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の地層処分に係る「第二処分場の必要性に関する報告書」を大統領と連邦議会に、「廃止措置した原子炉サイトからの使用済燃料の中間貯蔵に関する報告書」を連邦議会に、それぞれ提出したことをプレスリリースで公表した。DOEは、ユッカマウンテンにおける 70,000トン(重金属換算)という処分容量制限が増加または撤廃されない限り第二処分場が必要となること、及び中間貯蔵に関しては廃止措置した原子炉サイトからの使用済燃料引取りについてはDOEに権限がないことなどを結論として示している。

第二処分場に関するプレスリリースでは、米国における使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の量は2010年には70,000トンを超える見通しであること、1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)で定められている70,000トンという処分容量制限は技術的検討に基づくものではなく、3倍の廃棄物量の処分が可能であることなどが示されている。

第二処分場に関する報告書では、①ユッカマウンテンにおける処分容量制限の撤廃、②第二処分場選定手続きの開始、③結論先送りという3つのオプションについて検討を行った上で、処分容量制限を撤廃するとの勧告が行われている。第二処分場の必要性に関する報告書については、1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)において、2007年1月1日から2010年1月1日までの間に、エネルギー長官から大統領及び連邦議会に提出することが規定されている。なお、同報告書には、商業用原子力発電所から発生する使用済燃料の予測量、及びユッカマウンテンにおいて可能と見込まれる廃棄物定置エリアについて、以下の図が示されている。

20081211_p10

既存の原子力発電所から発生する使用済燃料の見通し
(DOE、第二処分場報告書から引用)

20081211_p13

ユッカマウンテンの潜在的な廃棄物定置エリア
(DOE、第二処分場報告書から引用)

また、中間貯蔵に関する報告書は、廃止措置された原子炉サイトからの使用済燃料の引取り・中間貯蔵の実現について検討した報告書であり、2008年包括歳出法の制定時に連邦議会からDOEに対して引取計画の策定が指示されたものであり、運転中も含めた商業用原子力発電所の使用済燃料の状況、電気事業者と連邦政府の契約1 の概要及び関連訴訟、米国における中間貯蔵の経緯、使用済燃料引取りのために必要となる法改正などが示されている。

中間貯蔵に関するプレスリリースでは、DOEは現行法の下では廃止措置した原子炉サイトから使用済燃料を引取る権限がないとの結論が示されている。

【出典】

【2008年12月22日追記】

ニューヨークタイムズ紙は、2008年12月20日、他州でのサイト評価手続きを進めるよりユッカマウンテンの処分容量を拡張する方が合理的とした上で、ユッカマウンテンに否定的な政治的な流れに対し、原子力規制委員会(NRC)での審査を待つべきとの社説を掲載した。また、同社説では、放射性廃棄物は蓄積しており、この国はこれを保管する安全な場所を見つけ出す必要があるとしている。

・ニューヨークタイムズ紙2008年12月20日付社説
(http://www.nytimes.com/2008/12/20/opinion/20sat2.html?_r=1&partner=rssnyt&emc=rss)

  1. 1982年放射性廃棄物政策法では、電気事業者による処分のための費用負担の見返りとして、DOEが使用済燃料の所有権を取得し、輸送・処分を実施することとなっているが、これは電気事業者とDOEとの契約の締結が前提となっている。 []

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-11 )