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《米国》DOEが「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」を公表

米国のエネルギー省(DOE)は、2013年1月11日に、「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」(以下「戦略」という)を公表した。米国では連邦議会が、ブルーリボン委員会の最終報告書の公表後6カ月以内に使用済燃料などの管理戦略を策定するようDOEに求めており、DOEは戦略の策定に向けた取り組みを続けてきた。

今回公表された「戦略」では、連邦政府や連邦議会が使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分に関する国家的プログラムを策定することができるようにするため、ブルーリボン委員会の最終報告書で示された基本的な考え方に沿って、実施可能な枠組みが示されている。また、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の処分という連邦政府の責任の実施に向けたプログラムの策定と実施の基礎となるものであるとともに、短期的にDOEが実施すべき措置を示している。

スケジュール

「戦略」では、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の包括的な管理と処分システムの構築のため、段階的で、適応性があり、同意に基づくアプローチが示されており、今後10年にわたって、以下のスケジュールで関連施設の建設を行うための計画を進めるとしている。

  • 2021年までに、最初は閉鎖された原子炉のサイトからの使用済燃料の受け入れに焦点を当て、パイロット規模の中間貯蔵施設の立地、設計と許認可、建設と操業の開始。
  • 2025年までに、より大規模な使用済燃料の中間貯蔵施設が使用可能となるように、サイト選定と許認可を実施。この中間貯蔵施設は、廃棄物管理システムに柔軟性をもたらすことができ、今後の政府の債務 1 を抑制しうるような貯蔵容量を持つものとする。
  • 2048年までに、地層処分場を実現するよう、処分場のサイト選定とサイト特性調査を進める。

さらに、地層処分場と中間貯蔵施設との設置の時期的なリンクを図るため、地層処分場のサイト選定は2026年までに、サイト特性調査、処分場の設計及び許認可を2042年までに、処分場の建設及び操業の開始を2048年とすることを実施の目標としている。

管理・処分の実施主体

「戦略」では、実施主体の組織形態がどのようなものになるとしても、組織の安定性やリーダーシップの継続性、監督と説明責任、及び公衆の信頼が成功のための重要な要素であるとして、連邦議会とも協力し、実施主体の設立が、その任務の遂行のために必要となる十分な権限やリーダーシップの確保につながるようにするとしている。さらに、実施主体の任務の規定は慎重に行わなければならず、実施主体が利用できる資金は、放射性廃棄物の管理・処分という使途にのみ用いられるようにすべきであるとしている。

資金確保

資金確保に関して「戦略」では、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分という任務の遂行のため、適宜、信頼できる形で、過去に徴収され、今後徴収される拠出金と利息を利用できるようにすることを主要な課題としている。この目的を達成するために、現在の資金確保制度の刷新が必要であり、新しい制度には、継続的な裁量的歳出予算、予算上の取扱い変更による毎年の拠出金へのアクセス、及び将来における放射性廃棄物基金(NWF)の残高へのアクセスといった要素が必要であるとしている。

立法が必要な事項

「戦略」では、その実現のためには連邦議会による歳出承認と立法措置が必要であり、今後10年にわたって、以下の活動を許容し、または対処するためには、早期の立法措置が必要であるとしている。

  • パイロット規模の中間貯蔵施設及びフルスケールの中間貯蔵施設のサイト選定と、地層処分場のサイト選定及びサイト特性調査のため、広範な、国家的な、同意に基づいたプロセスへの積極的な関与
  • 最初は閉鎖された原子炉のサイトからの使用済燃料の受け入れに的を絞った、パイロット規模の中間貯蔵施設のサイト選定、設計、許認可及び操業の開始
  • システムに柔軟性をもたらし、連邦政府の債務の抑制を可能とする、より大規模な中間貯蔵施設のサイト選定と許認可における目に見える前進
  • 閉鎖された原子炉からの使用済燃料の移動を開始するための輸送能力(人員、プロセス、設備)の開発
  • 従来通りの裁量による予算配分を維持し、また、拠出金等の予算上の区分変更など、追加的な資金を必要に応じて確保しうる資金確保制度の刷新
  • プログラムの実施のための新しい組織の設置。新しい組織は、引き続き行政府や立法府の監督を受けつつ、より大きな自律性を備えたものとする。

なお、「戦略」では、現行の法的枠組みの中で実施可能な事項として、廃棄物管理システムの設計概念の検討、同意に基づくサイト選定プロセスの計画の立案、処分場への種々の地質の適性に関する研究開発の実施を挙げている。

【出典】


  1. DOEは1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)の規定に基づいて原子力発電事業者と契約を締結しており、原子力発電事業者は放射性廃棄物基金への拠出金の支払を行い、DOEは1998年1月31日までに使用済燃料を引き取ることとなっている。処分場開発の遅れにより使用済燃料の引き取りが行われていないため、多くの訴訟が原子力発電事業者等から提起されており、債務不履行による賠償金の支払が既に一部確定している。[]

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )