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《米国》連邦議会下院が歳出予算法案を可決 -昨年度に引続き集中中間貯蔵に対応のため対要求比増額

米国の連邦議会下院は、2006年5月24日の本会議において、高レベル放射性廃棄物処分を含むエネルギー関係等の2007年度予算 1 の歳出法案を400対20で可決した。歳出法案に盛り込まれた高レベル放射性廃棄物処分場関連予算の金額は5億7,450万ドルで、連邦エネルギー省(DOE)の要求額を3,000万ドル上回っている。歳出委員会がまとめた報告書(以下「歳出委員会報告書」という)によると、この増額は、昨年度の歳出法案と同様に、集中中間貯蔵施設立地による使用済燃料の早期受入れを図るためとされており、ユッカマウンテン処分場開発の予算は5億4,450万ドルと、DOEの要求額通りとなっている。

下表は、歳出法案におけるユッカマウンテン関連のみの歳出予算案について、前年度決定額と2007年度要求額(詳細はこちら)との対比を示したものである。

民間分 国防分 合計
2006年度歳出予算額 2 (a) 9,900万 3億4,650万 4億4,550万
2007年度DOE要求額(b) 1億5,642万 3億8,808万 5億4,450万
2007年度歳出法案(c) 1億5,642万 3億8,808万 5億4,450万
前年度比(c-a) +  5,742万 +  4,158万 + 9,900万
要求比(c-b) ±     0 ±     0 ±     0
(単位:USドル)

歳出委員会報告書では、さまざまな要因が重なったことによってユッカマウンテン処分場の操業開始はさらに遅れ、民間の使用済燃料引取りは2010年代後半と想定されることから、昨年度の下院歳出法案(詳細はこちら)と同様に、連邦政府が民間の使用済燃料を早期に引取り、DOEのサイトなどで集中中間貯蔵すべきであるとしている。この集中中間貯蔵施設のサイト選定等の予算を確保するものとして、DOEの要求に対して3,000万ドルの増額が行われている。なお、集中中間貯蔵施設のための予算は、放射性廃棄物基金から支出の対象とはならない。

また、使用済燃料リサイクル関連では、国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)が提案され、2億5,000万ドルの予算が要求されていたが、今回の歳出法案では1億2,000万ドルに減額されている。歳出委員会報告書によれば、使用済燃料対策や核不拡散に寄与するGNEPの意義には賛同するものの、GNEPの全ての活動が必要と判断するのに十分な詳細情報がDOEの予算要求書には示されていないとしている。

歳出委員会は、GNEPには中間貯蔵プログラムが含まれておらず、その商業規模での実現には時間が掛かることから、放射性廃棄物政策法(NWPA)に定められた連邦による使用済燃料引取義務、原子力発電所の新増設に際して必要な廃棄物保証などの観点からは、ユッカマウンテンプロジェクトにより高い優先度があるとしている。

【参考:米国における歳出予算法の制定手続き】

米国では、歳出予算承認に当たって、13の分野別の歳出法が制定されることとなっており、高レベル放射性廃棄物処分を含むエネルギー関係では「エネルギー・水資源歳出法」が制定されることとなる。

歳出予算の審議は、伝統的には下院から先に開始され、下院歳出委員会の下に設けられた分野別の小委員会が歳出法案を起草する。歳出法案が歳出委員会で了承されると、歳出委員会報告書とともに下院本会議に提出され、審議が行われる。下院は原則として6月末までに審議を行うこととされており、その後は上院が原則として下院で可決された法案を検討する形で審議を行う。ただし、近年、上院の歳出委員会は、上院独自の歳出法案を策定するようになっている。上院の審議が終わった段階で両院の見解が一致しない場合は、両院協議会の場などで調整が行われる(最近の歳出予算決定状況:<2006年度[/ml]、[ml p=339,既報2004-11-26]2005年度[/ml]、[ml p=175,既報2003-11-20]2004年度[/ml]、[ml p=119,既報2003-03-06]2003年度[/ml])。

予算の使用方法の詳細などは報告書に示されている。報告書に示された指示には法的拘束力は無いが、連邦機関は通常は報告書の内容に従うこととされている。

【出典】

【2006年9月15日追記】

2006年9月13日、連邦議会下院の歳出委員会エネルギー・水資源小委員会はヒアリングを開催し、DOEからは、使用済燃料リサイクル施設の立地に向けた動きを含む、国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)の現状等についての証言が行われた。


  1. 米国における会計年度は前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2007年度予算は2006年10月からの1年間に対するものである。[]
  2. 2006年度のエネルギー・水資源歳出法によって認められた当初のユッカマウンテン関連歳出予算は4億5,000万ドルであり、ここに示した金額は修正後のものである。[]

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )