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《米国》連邦議会がエネルギー関係歳出予算を可決 -ユッカマウンテン関係は要求比・前年比とも減少

米国の連邦議会は、2005年11月14日、高レベル放射性廃棄物処分を含むエネルギー関係等の2006年度1)予算の歳出法案を可決した。連邦議会の上下院歳出委員会は、2005年11月7日のプレスリリースにおいて、エネルギー関係等の2006年度1)予算の歳出法案について両院協議会が合意に達したことを発表していたが、2005年11月9日に下院、同11月14日には上院において両院協議会合意案が可決されたものである。歳出法案に盛り込まれた高レベル放射性廃棄物処分関連予算の金額は5億ドル で、上下各院のいずれの可決額(既報)よりも低い金額となっている。また、この内の5,000万ドルは、統合使用済燃料リサイクル計画のための施設の競争的なサイト選定の枠組みを立ち上げる予算とされており、ユッカマウンテン処分場開発の予算は4億5,000万ドルと、連邦エネルギー省(DOE)の要求額及び昨年度の歳出予算額を2割以上下回っている。

下表は、可決された歳出法案におけるユッカマウンテン関連の歳出予算案について、前年度決定額及び2006年度要求額(詳細はこちら)との対比 を示したものである。

民間分 国防分 合計
2005年度歳出予算額2)(a) 3億4,323万 2億2,915万 5億7,238万
2006年度DOE要求額(b) 3億 3億5,145万 6億5,145万
2006年度歳出法案(c) 1億 3億5,000万 4億5,000万
前年度比(c-a) △2億4,323万 +1億2,085万 △1億2,238万
要求比(c-b) △2億 △145万 △2億145万
(単位:USドル)

また、2005年11月7日に公表された両院協議会の報告書では、2005年中はDOEがユッカマウンテン処分場建設の認可申請書の提出に向けてさまざまな問題に直面し、2006年度中の申請書提出は難しいとの見方を示し、DOEが予算要求時に予定していた活動の全てを2006年度に実施することにはならないため、同年度の予算としては4億5,000万ドルで十分であるとしている。

さらに、両院協議会報告書によれば、ユッカマウンテン処分場の許認可手続きの不確実性を考慮し、放射性廃棄物基金からの支出対象ではない費用として、5,000万ドルの統合使用済燃料リサイクル予算が放射性廃棄物処分関連予算の中に追加されている。この予算はDOEの要求には含まれていなかったが、下院の歳出法案では使用済燃料リサイクル及び中間貯蔵関連費用として1,000万ドルが盛り込まれていた(詳細はこちら)。両院協議会報告書では、総合的プログラム計画の策定、統合使用済燃料リサイクル施設の競争的なサイト選定の開始などが指示されており、DOEは2006年3月末までに詳細なプログラム計画書を両院の歳出委員会に提出することとされている。また、統合使用済燃料リサイクル施設の競争的サイト選定は、遅くとも2006年6月末までに開始することとされている。さらに、サイト選定は2007年度、一つ以上の施設の建設開始は2010年度との目標年次も示されている。

なお、統合使用済燃料リサイクル施設の例としては、使用済燃料の分離、MOX燃料加工、廃棄物のガラス固化、貯蔵などの施設が示されている。また、サイトはDOEサイトや連邦所有地などとの限定はせず、純粋に自発的なものに基づくものとされている。各サイト提供者には、1箇所当たり最高500万ドル、合計で2,000万ドルの予算が示されている。これらのリサイクル計画の必要費用に余剰が生じる場合、他プログラムへの転用には連邦議会の承認が必要とされている。
また、使用済燃料リサイクル関連の研究開発については、下院歳出法案と同様、原子力プログラム予算の中の先進燃料サイクル・イニシアティブ(AFCI)予算においてDOEの要求額にさらに1,000万ドルが追加されて8,000万ドルの予算が付いており、使用済燃料のインベントリー問題に対応するための核種分離を含む技術開発の加速が求められている。

【注1】
米国における会計年度は前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2006年度予算は2005年10月からの1年間に対するものである。

【注2】
2005年度のエネルギー・水資源歳出法によって認められた当初の歳出予算は5億7,700万ドルであり(既報)、ここに示した金額は修正後のものである。

【出典】

  • 連邦議会下院歳出委員会プレスリリース(2005年11月7日)
    (appropriations.house.gov/index.cfm?FuseAction=PressReleases.Detail& PressRelease_id=525)
  • 連邦議会上院歳出委員会プレスリリース(2005年11月7日
    (appropriations.senate.gov/hearmarkups/10-27-05EWConference.htm)
  • 2006年度エネルギー・水資源開発歳出法案-両院協議会報告書(HR109-275)(約2.4MB)
  • 連邦議会ウェブサイト情報(上院、下院)
    (上院:www.senate.gov/legislative/LIS/roll_call_lists /roll_call_vote_cfm.cfm?congress=109&session=1&vote=00321
    下院:clerk.house.gov/evs/2005/roll580.xml)

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )