2005年2月7日、米国で大統領の2006年度の予算教書が連邦議会に提出され、連邦エネルギー省(DOE)のウェブサイトにおいても予算要求資料が公表された。ユッカマウンテン・サイトにおける高レベル放射性廃棄物処分場建設プロジェクトに関する予算要求額は、約6億5,100万ドルで、2005年度の歳出予算決定額は上回るものの2005年度の要求額と比較すると約2億ドル低いレベルとなっている。また、DOEの予算要求資料の中では、DOEは、原子力規制委員会(NRC)への処分場建設の認可申請を遅くとも2005年12月までに提出するとの予定が示されている。
下の表はこの2006年度の予算要求におけるユッカマウンテン関連の要求額について、2005年度の当初要求額と歳出予算決定額とを比較する形で示したものである。
民間分 | 国防分 | 合計 | |
2005年度要求額1)(a) | 7億4,900万 | 1億3,100万 | 8億8,000万 |
2005年度歳出予算決定額2)(b) | 3億4,323万 | 2億2,915万 | 5億7,238万 |
2006年度要求額(c) | 3億 | 3億5,145万 | 6億5,145万 |
前年度要求比(c-a) | △4億4,900万 | +2億2,045万 | △2億2,855万 |
同歳出予算比(c-b) | △ 4,323万 | +1億2,230万 | + 7,907万 |
上に述べたように、DOEの予算要求資料では、処分場建設の認可申請は2005年12月までに行う予定が示されている。認可申請の時期については、2004年12月という当初予定からの遅れについては表明されていたものの、具体的な申請時期は明確にされていなかった 。DOEの予算要求資料の中では、申請時期の再調整が必要となった要因として以下の4点が示されている。(この内3点は先に公表された年次報告書でも示されていた:既報)
- 環境保護庁(EPA)の環境放射線防護基準(40 CFR Part 197)に対する連邦控訴裁判所判決
- 許認可支援ネットワーク(LSN)(詳細はこちら)への書類登録証明に対するNRCの無効決定(EPAは閉鎖後の遵守期間を策定しなおす方向の規制オプションを検討している。)
- 認可申請書をより高品質なものにする余地がある
- 過去10年間で10億ドル以上の予算が要求比で削減されてきたことの累積効果による遅れ
また、ユッカマウンテンへの放射性廃棄物の輸送問題については、2005年度にはネバダ州内鉄道敷設のための環境影響評価書案(DEIS)の予備資料を取りまとめ、2006年度には最終環境影響評価書(FEIS)を発行する目標が示されている。2006年度の輸送関係の予算要求は2005年度歳出予算比約2.8倍と大幅に増加しており、上の表に示した対前年歳出予算増加額7,907万ドルの約3分の2は輸送システムに関するものとなっている。
【注1】
2005年度の予算要求では、放射性廃棄物基金(NWF)における電力会社からの拠出金歳入をユッカマウンテン関連支出と相殺する立法提案が行われ、民間分に対する最終的な予算要求額はゼロとなっていた。ここに示した金額は相殺前段階における支出予定額を示したものである。(2005年度予算要求の詳細はこちら)
なお、米国における会計年度は前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回要求された2006年度予算は2005年10月からの1年間に対するものである。
【注2】
2005年度のエネルギー・水資源歳出法によって認められた当初の歳出予算は5億7,700万ドルであり(既報)、ここに示した金額は修正後のものである。
【出典】
- 連邦エネルギー省(DOE)、2006年度予算要求資料(第4巻:民間放射性廃棄物管理)、2005年2月〔pdfファイル:約1MB〕
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )