2004年2月2日、米国の連邦エネルギー長官から2005会計年度の予算要求1 の内容が公表された。ユッカマウンテン・サイトにおける高レベル放射性廃棄物処分場建設プロジェクトに関する費用は8億8,000万ドルで、2004年度歳出予算の約1.5倍、約3億ドル増の金額となっている。この予算要求は同日に大統領から出された2005年度予算教書の一部をなすものである。
下の表はこの2005年度の予算要求におけるユッカマウンテン関連の金額について、2004年度歳出予算との比較で示したものである。
2004年度 歳出予算2 |
2005年度 予算要求 |
対2004年度 歳出予算比 |
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民間分 | 1億8,888万 | 7億4,900万 | +5億6,012万 |
国防分 | 3億8,770万 | 1億3,100万 | △2億5,670万 |
合計 | 5億7,658万 | 8億8,000万 | +3億 300万 |
なお、2005年度予算要求の中では、民間分の予算金額に対応する7億4,900万ドルについて、放射性廃棄物基金に電力会社が払い込んだ拠出金である「歳入」と処分場関連予算である「歳出」とを相殺できる立法提案が行われている3 。これにより、最終的な一般的な財源からの予算要求金額は、この相殺分を差し引いた1億3,100万ドルとなる。エネルギー長官は、2005年度のこの要求額が認められれば、2004年末までに予定されている原子力規制委員会(NRC)への建設認可申請の完了、その他建設に関連した諸活動や輸送システムの開発が可能になるとの見解を示している。同長官によれば、2005年度から2010年度において毎年平均約13億ドルの金額が必要になると見積られている。
【出典】
- 連邦エネルギー省(DOE)プレスリリース (http://energy.gov/engine/content.do?PUBLIC_ID=14860&BT_CODE=PR_PRESSRELEASES&TT_CODE=PRESSRELEASE)
- 連邦エネルギー長官スピーチ (http://energy.gov/engine/content.do?PUBLIC_ID=14861&BT_CODE=PR_SPEECHES&TT_CODE=PRESSSPEECH)
- 連邦エネルギー省(DOE)2005年度予算要求ハイライト(約4MBあり) (http://www.mbe.doe.gov/budget/05budget/content/highlite/highlite.pdf)
- 米国における会計年度は前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回要求された2005年度予算は2004年10月からの1年間に対するものである。 [↩]
- 2004年度のエネルギー・水資源歳出法によって認められた当初の歳出予算は5億8,000万ドルであり、ここに示した金額は修正後のものである。 [↩]
- 米国では放射性廃棄物政策法(NWPA)によって高レベル放射性廃棄物処分場建設のための基金が設けられ、電力会社が拠出金を払い込んでいるが、従来、この基金への拠出金は、国の歳入不足を補うために一般的な歳入に繰り入れられ、さらに、処分場関連支出予算は、一般的な財源からの歳出として整理されていた。今回の立法提案は、国の政策として一般的な財源からの歳出を抑制しようとすることによる処分場関連予算の低減を回避するため、基金への拠出金収入を処分場関連支出予算の勘定と合わせ、収入と支出との相殺を可能にし、一般的な財源からの歳出を増加させずに、処分場関連支出予算を確保しようとするものである。 [↩]
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )