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《英国》再処理廃棄物の返還についての協議文書が発表される

2004年1月30日、英国貿易産業省(DTI)は「中レベル放射性廃棄物の等価交換のための提案についての協議文書」を発表した。この協議文書は、海外から受け入れた使用済燃料の再処理によって発生する放射性廃棄物を返還する際に、中レベル放射性廃棄物を高レベル放射性廃棄物に等価交換することについての意見を求めるためのものである。なお、意見の提出期限は2004年4月30日迄とされている。

英国政府は1990年代始めに、この等価交換問題を詳細に検討しており、現在の政府方針は1995年に発表されたコマンドペーパー「放射性廃棄物管理政策レビュー」(Cm2919)において示されている。同コマンドペーパーにおいて政府は、海外から受け入れた使用済燃料の再処理によって発生する放射性廃棄物は返還すべきであり、また高レベル放射性廃棄物はガラス固化した後、可能な限り早く返還すべきであるという方針を示している。また政府は、この方針は英国における広い範囲での環境への影響に差が無いことを担保する放射性廃棄物の等価交換によっても実施可能であると認めているが、国内での適切な処分体制が無い時点においては、最終的判断は慎重に下すべきであるとしている。なお、既にドリッグに低レベル放射性廃棄物処分場が存在することから、政府は低レベル放射性廃棄物を高レベル放射性廃棄物に等価交換することは認めている。

1995年の方針発表後も政府は放射性廃棄物処分方法の決定に先立って、等価交換の利点を検討し続けてきた。2003年、政府は海外顧客との既存の再処理契約にもとづいて返還する中レベル放射性廃棄物の等価交換を英国核燃料公社(BNFL)が実施することについて評価する調査を独立コンサルティング会社に委託した。今回の協議文書の本文では等価交換の利点などについての要約が簡単に記され、独立コンサルティング会社の報告書が添付されている。

政府はこの等価交換についての決定に向け、特に次の点に関して意見を求めている。

  • 放射性廃棄物に含まれる放射性核種の危険性の測定方法として示されている総合毒性ポテンシャル(ITP:Integrated Toxic Potential)が廃棄物の等価性を評価する最良の手法であるか否か、またはその他の良い手法が存在するかについて。
  • 英国における環境への影響評価について。
  • 放射性廃棄物の海外へのより少ない輸送回数、早期返還による便益、等価交換実施費用の徴収による英国にとっての収入増などの恩恵について。
  • 今後の英国の等価交換方針についての決定に関するもので、今回の協議文書には記述されていないその他の点について。

【参考】英国における放射性廃棄物区分と処分方策

 放射性廃棄物区分  区分の考え方  処分方策
 低レベル放射性廃棄物  一般廃棄物と一緒の処分が許容されない放射性物質を含む廃棄物で、α放射体の場合が 4 GBq/t、β-γ放射体の場合が 12 GBq/t を超えないもの。  ドリッグにおいて処分中。
 中レベル放射性廃棄物  比較的に放射能濃度が低く、貯蔵・処分施設の設計時に、その発熱量を考慮する必要のない廃棄物で、α放射体の場合が 4 GBq/t、β-γ放射体の場合が 12 GBq/t を超えるもの。  現在、処分方策を検討中。
 高レベル放射性廃棄物  廃棄物の持つ放射能濃度により、かなりの発熱を伴う廃棄物で、貯蔵・処分施設の設計時に、この要因を考慮する必要のあるもの。  現在、処分方策を検討中。

【出典】

  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイトの2004年1月30日付けのニュースリリース、http://www.wired-gov.net/EDP8203R7W/cgi-bin/frameset.pl?Id=22402
  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/pdfs/radioactivewaste.pdf、2004年2月
  • コマンドペーパー「放射性廃棄物管理政策レビュー 最終結論」(Cm2919)、1995年7月
  • Nirex社、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)の協議文書「放射性廃棄物の安全な管理」に対するNirex社の返答、2002年3月
  • 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)、協議文書「放射性廃棄物の安全な管理」、2001年9月

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )