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《ドイツ》連邦放射線防護庁(BfS)が放射性廃棄物処分の安全に関する最終報告書を公表

連邦放射線防護庁(BfS)は、2005年11月5日付のプレスリリースにおいて、最終処分の安全上重要で体系的・概念的な検討事項についての包括的な調査プログラム の最終報告書「母岩の比較-連邦放射線防護庁の総括報告書」を公表したことを示すとともに、ドイツでは特段に優れた母岩は存在せず、最適な処分場サイトは個々のサイトの比較で決定すべきことをBfSの主要な結論として示した。さらに同プレスリリースには、この報告書が連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)に提出されたことも記されている。

プレスリリースは、本調査プログラムの経緯について概略を示した上で、この調査は具体的な最終処分場サイトや岩塩の適格性に関する検討ではなく、ドイツにおいて最終処分が可能なすべての地層について考察を行ったものであるとしている。 また、概念的な問題と安全・技術面での問題に対する科学的な回答の限界と可能性がどこにあるのか、どのような研究が必要であるか、どのような規制面での決定が下されるのかという点は、今後明らかになるとしている。 さらに、個別課題(回収可能性と長期安全性など)の検討の結果、様々な安全技術的な側面に関する要件が、相互に依存しており部分的に対立するものであることが明らかになったとしている。

同プレスリリースによると、最終報告書では、次の4点が結論として挙げられている。

1.特段に優れた母岩は未確認

ドイツでは、母岩候補の地層として岩塩、粘土質岩、花崗岩が挙げられているが、サイトを特定しない母岩の比較の結果、基本的に最終処分場の安全性がどんな場合でも最も高くなると考えられる母岩は存在しないことが明らかとなった。

2.岩種の有利/不利は、個別サイトの比較においてのみ確認可能

母岩の状況は局所的な変動が大きいこともあるため、最終処分場サイトに関するサイトごとの安全評価を実施する前に、個別のサイトに関する具体的な比較を実施する必要がある。

3.最終処分に伴う防護目標に関する規制が必要

立証を行う必要のある期間、人間及び環境の防護目標、いわゆる確率論的な安全評価の結果の分析、放射性物質の安全な閉じ込めのための要件、多重バリア概念を構成する個々のバリアに関する基準値などの特定の問題については、あらかじめ規則を設定するか、規制内容を決定しておく必要がある。さらに、意図しない人間の侵入を取り扱うレファレンス・シナリオや廃棄物の回収を行うかどうかも決定しておく必要がある。

4.サイト固有の安全評価についての研究が必要

放射性廃棄物の最終処分のための将来の活動の重点は、サイトに固有の安全評価に置かれる必要があり、この安全評価では、様々なサイトの調査、サイトの比較、最終処分場の計画策定に関する多様な作業を、並行して、反復的なプロセスとして実施する必要がある。

【出典】

  • 連邦放射線防護庁(BfS)、2005年11月5日付プレスリリース
    http://www.bfs.de/bfs/presse/pr05/pr0534.html
  • 連邦放射線防護庁(BfS)、「母岩の比較-連邦放射線防護庁の総括報告書」
    http://www.bfs.de/www/endlager/publikationen/Synthesebericht_Endfassung.pdf

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )