カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、「適応性のある段階的管理」(APM詳細はこちら)の実施に関して、2012年~2016年の5年間における実施計画案を公表した。
使用済燃料の長期管理アプローチに関する2007年の政府決定 を受けて、NWMOは2008年以降、向こう5年間の実施計画を毎年策定している 。今回の実施計画案は2012年~2016年の5年間を対象としたものである。2010年に開始したサイト選定の進捗状況も踏まえ、9段階からなるサイト選定計画 の第4段階までを見据えた内容となっている。NWMOは、同計画案に対する意見募集を2011年12月31日まで実施し、寄せられたコメントへの対応等を行い、2012年3月に最終版を公表する予定である。
NWMOは、これまで、処分事業及びサイト選定計画に関する情報提供に関心を表明した自治体への検討支援、関心表明した自治体での初期スクリーニングの実施をしている 。また、処分場のセーフティケースの信頼性向上、処分場の安全性に影響する可能性のあるプロセスの科学的な理解の向上に取り組んできた。2012年からの実施計画案では、これまでの活動の継続に加えて、次の活動の開始を盛り込んでいる。
- 候補サイト及び輸送経路の評価に資する、中間貯蔵施設(原子力発電所でのサイト内貯蔵)から地層処分場までの使用済燃料の輸送オプションの検討
- 候補サイトの評価の支援に資する、処分場の設計及び予備的安全評価に関する情報の提供
- 地域の要請及び協力の下での、潜在的な適合性の予備的評価の実施(第3段階)
- 関心を有する地域から、地域レベルでの調査或いはサイトの精密調査を実施するための、適性を有するサイトを選定するためのアプローチの開発
- 地域の要請及び協力の下での、サイトの精密調査の実施(第4段階)
- プロトタイプの処分コンテナの試験施設の設置
また同計画案には、2012年からの5年間のうちに作業を完了させる活動についても示しており、これらには以下のようなものを例示している。
- 例証のための処分場の閉鎖後安全評価の実施
- 規制機関であるカナダ原子力安全委員会(CNSC)による事前プロジェクト評価としての、処分場設計及びセーフティケースの評価の実施
- 処分コンテナの配置及び処分容量の最適化研究
- プロトタイプの処分コンテナ及び輸送キャスクの初期設計、製造及び試験
- 適応性のある段階的管理のための概念設計及び費用見積りの更新
【出典】
- 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)ウェブサイト
http://www.nwmo.ca/implementationplan - 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)、2012-2016年実施計画書案
Implementing Adaptive Phased Management 2012 to 2016 – Draft for Public Review, November 2011
(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )