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《ベルギー》ONDRAF/NIRASが高レベル放射性廃棄物及び長寿命・低中レベル放射性廃棄物の長期管理に関する国家廃棄物計画を連邦政府に提出

ベルギーの放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)は、9月23日付のプレスリリースにおいて、「高レベル放射性廃棄物及び長寿命・低中レベル放射性廃棄物の長期管理に関する国家廃棄物計画」(以下「国家廃棄物計画」という)及び関連文書を同日開催の理事会において承認し、連邦政府に提出したことを明らかにした。

ベルギーでは高レベル放射性廃棄物及び長寿命・低中レベル放射性廃棄物の長期管理に関する方針は定まっていない。ONDRAF/NIRASが作成した国家廃棄物計画は、連邦政府がそれらの廃棄物の長期管理に関する方針を決定する上での判断材料となる。この国家廃棄物計画においてONDRAF/NIRASは、国内の粘土層での地層処分を推奨するとの見解を示している。

プレスリリースによれば、ONDRAF/NIRASは、国家廃棄物計画の検討作業を2009年春から開始した。地層処分及び長期中間貯蔵を含む複数オプションについて、国内外の研究成果を踏まえて比較評価を行い、その結果を戦略的環境アセスメントレポート(以下「SEAレポート」)としてとりまとめるとともに、2010年6月に国家廃棄物計画案を公表。その後、戦略的環境アセス法(2006年に国内法制化)1 に基づき、9月までの3ヶ月間にわたり、市民へのコンサルテーションを実施した。市民から得られた意見等を考慮して国家廃棄物計画を最終化したとしている。

今後、連邦政府は、高レベル放射性廃棄物及び長寿命・低中レベル放射性廃棄物の長期管理に関する方針の決定に向けて検討を行う。連邦政府の決定がなされることによって、ONDRAF/NIRASが作成した国家廃棄物計画が効力を持つことになる。

ONDRAF/NIRASは、連邦政府の決定がなされた後から、処分地層や立地候補地域の選定、社会との協議プロセス・体制の確立、1つあるいは複数のサイトの選定、立地地域の関与、許認可手続き等からなる一連のプロセスを開始したい考えである。ただし、ONDRAF/NIRASは、このような放射性廃棄物管理政策を段階的に進めるための法的枠組みを新たに整備する必要性を指摘している。

【出典】

  1. 「計画及びプログラムの環境評価並びに公衆参加に関する2006年2月13日の法律」をさす。環境に影響を与える計画及びプログラムの環境評価に関するEUの戦略的環境アセスメント(SEA:Strategic Environmental Assessment)指令2001/42/ECを受けて、2006年にベルギーの国内法として制定された。同法では、計画及びプログラムの策定に際して、想定される複数のオプションについて技術面・経済面・環境面・倫理面から比較評価を行い、公衆参加のプロセスを経てオプション選定を行うことが規定されている。 []

(post by j-nakamura , last modified: 2023-10-11 )