米国の原子力規制委員会(NRC)は、2004年8月31日のニュースリリースにおいて、連邦エネルギー省(DOE)による許認可支援ネットワーク(LSN)(詳細はこちら)への書類登録証明はNRCの規則に適合してないとの決定を、NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)が行ったことを公表した。ASLBはNRCの下部組織で、ユッカマウンテン許認可関連書類のLSNへの登録に関する紛争解決に当たる「許認可申請前段階監督官」(PAPO)として指名されていた。米国では、ユッカマウンテン処分場建設の許認可に当たり、関連書類をLSNと呼ばれるネットワーク上で利用可能とすることが必要とされており 、DOEによる書類登録証明は2004年6月30日に行われていた 。
今回のASLBによる決定は、ユッカマウンテンの地元ネバダ州が2004年7月12日に行ったDOE書類登録証明の削除申立てを受けてなされたものである。ASLBは、2004年7月27日に、ネバダ州、DOEおよびNRCスタッフによる口頭審議を行っていた。ASLBは、DOEの書類登録がNRC規則(10 CFR Part 2)に適合していない理由として次の3点を示している。
- DOEは登録日を自ら選択できること、書類の発生から登録までに要する時間的ギャップが大きいこと、登録前レビューの不完全さ等を考え合わせると、DOEが誠実に全書類を利用可能にするための努力を果たしたとは認められない
- 最低限6カ月間はDOEの書類を公に利用可能とすることは、LSNについて規定した10 CFR Part 2 サブパートJの核心部分であることなどから、同規則はDOEの書類がLSNの中に索引付きで登録されることを求めていると解すべきである
- DOEの登録証明は、基づいた登録方針も不完全で、またDOEが訴訟関係のサポートを委託している会社(CACI社)に引き渡した提出書類に限定したものであり、規則に適合していない
10 CFR Part 2では、NRCによるヒアリングを含む許認可手続の関係者全てがその関連書類をLSNに電子的に登録することを求めており、ネバダ州およびヒアリング参加者はDOEの書類登録後90日以内に自らの書類を登録することが必要とされている。今回の決定では、この登録期限は、DOEが書類登録の再証明を行ってから90日以内とされることも示されている。
このASLBの決定に対しては、決定の送達後10日以内にNRCの最上位組織である委員会への不服申立てが可能である。
【出典】
- 原子力規制委員会(NRC)ニュースリリース(2004年8月31日)(http://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/news/2004/04-101.html)
- NRC 原子力安全・許認可委員会(ASLB)「メモおよび命令(ネバダ州の2004年7月12日請求に対する決定)」(pdfファイル:約3MB)
【2004年11月16日追記】
2004年9月10日にDOEは不服申立てを行ったが、2004年11月10日にNRCは申立てを一時未決とする決定を行った。
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )