カナダにおける核燃料廃棄物管理の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2004年8月26日のニュースリリースで、使用済燃料の長期管理に対する市民の意見に関する調査プロジェクトの報告書を公表した。このプロジェクトは、全国12の都市で市民との対話集会を開催し、合計462人から得られた意見を分析したもので、研究機関であるカナダ政策研究ネットワーク(Canadian Policy Research Network, CPRN)と合同で行われたものである。
このニュースリリースにおいて、CPRNの理事長は、使用済燃料の長期管理に関する決定にあたり、以下に示す6つの価値観に従うべきであると市民が述べていることを伝えている。このうち最初の3つは、世代間で権利や責任がどのように分担されるべきかということに、また残りの3つはどのように決定がなされ、誰がその決定をするのかということに関連している。
・責任 | 自らの責任を果たし、自らが作り出した問題への対処 |
・順応性 | 新たな知識の発展、利用 |
・管理責任 | 資源を大切にし、将来の世代への健全な遺産を継承する義務 |
・説明責任と透明性 | 信頼の再構築 |
・知識 | 現在と将来において、より良い決定のための公共の財産 |
・参加 | すべての人が果たすべき役割を持つこと |
また使用済燃料の長期管理にあたり、市民は以下に示すようなことを要望している。
- 自分たちの使用した電気を作るために発生した廃棄物に関して責任を持ち、現段階で行動すること
- 将来の世代が新たな知識や技術に基づき、今日の決定に立ち戻ることができること
- 使用済燃料の長期管理に関する決定に貢献するために必要な情報を適切に受け取れること
- 情報が提供されているか、政府や企業が役割を果たしているかを監視する専門家や市民の代表からなる独立機関の設置すること
CPRNの理事長は、最も重要なことは市民がNWMOの行っているアプローチを承認し、将来の意思決定のモデルと考えているということであるとしている。
NWMOの理事長は、市民が明らかにしたこれらの価値観は、NWMOのこれからの活動に生かされ、使用済燃料の長期的管理方法の最終的な推薦に反映されるであろうと述べている。
なお、このプロジェクトの対話集会は、2004年1月24日および25日にオタワとモントリオールから始まり、3月27日まで全国各地で開催された 。NWMOは、対話集会に先立って2003年11月に、市民との議論を行うために第一回目の報告書を発表している 。また、2004年中には、議論のための第二回報告書を発表する予定である。
【出典】
- 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)ウェブサイト8月26日ニュースリリース http://www.nwmo.ca/Default.aspx?DN=716,50,19,1,Documents
- カナダ政策研究ネットワーク(CPRN)ウェブサイト http://www.cprn.org/en/doc.cfm?doc=1050
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )