2004年6月28日、英国政府の環境・食糧・農村地域省(DEFRA)などが設置した放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、2004年3月から5月における活動についての報告書を第2四半期報告書としてウェブサイト上で公表した。また、CoRWMはこの報告書の中で、2004年3月31日付けで環境担当大臣1 に提出した活動プログラムで示した最終的な活動完了時期を、同大臣らからの要請を受けて、2006年11月から同年7月へと改訂したとしている。
CoRWMは、設置当初に規約として定められていた2005年末の勧告期限では、公衆との協議が十分に実施できず、公衆からの信頼も得られないとし、活動プログラムの完了時期を2006年11月としていた 。しかし、CoRWMは2004年4月から5月にかけて、環境担当大臣などと会合を持った結果、2006年夏季に勧告を行うことができるか否かについての検討を行うこととなっていた。今回改訂された活動プログラムは、この検討が反映されたものとなっており(以下の表の期日の部分を参照)、CoRWMのウェブサイト上で公表されている。
段階 | 活動プログラム内容 | 期日 |
---|---|---|
(第1段階) 第2段階以降に向けた準備 |
暫定報告項目
最終報告項目
|
2004年9月 (変更無し) |
(第2段階) 放射性廃棄物管理オプション検討のための枠組策定 |
中間報告項目
最終報告項目
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2005年3月
(4月)* |
(第3段階) 放射性廃棄物管理オプションの評価基準と管理オプション候補の確定 |
最終報告項目
|
2005年9月 (11月)* |
(第4段階) 放射性廃棄物管理オプション候補の評価 |
放射性廃棄物管理オプション評価結果の報告(草案) | 2006年5月 (7月)* |
(第5段階) 最終報告 |
放射性廃棄物管理オプションについての環境担当大臣への勧告 | 2006年7月 (11月)* |
*)期日の欄の括弧内は、2004年3月31日付けの活動プログラムにおいて提示されていた期日
今回公表された第2四半期報告書によると、CoRWMの情報収集活動に関しては、2004年3月にグリーンピース、国防省、原子力施設検査官室(NII)・イングランドとウェールズの環境規制機関(EA)・スコットランド環境保護機関(SEPA)などの主な原子力規制当局との非公式会合を持ち、各機関の業務内容や懸念などについての情報を入手したとしている。また、2004年4月にCoRWMは、カンブリア州セラフィールドにある英国の主な原子力及び放射性廃棄物関連施設を訪問するとともに、英国核燃料公社(BNFL)、カンブリア州評議会、コープランド郡評議会、サイト規制当局、地元組織と非公式会合、公衆ならびに地元教区評議会が参加した会合を持ったとのことである。さらに、今後は、ケースネス州ドーンレイを訪問し、英国原子力公社(UKAEA)や地元組織・住民と会合を持つとしている。
また、同報告書では、委員長が任命された2003年7月以来、CoRWMの活動に要した費用総額が約45万ポンド(約8,505万円、1ポンド=189円で換算)であることが報告されている。この費用の内訳は以下のとおりである。
- 委員への報酬、交通費、雑費=17万ポンド(3,213万円)
- 公衆・利害関係者関与のためのウェブサイトの開発・保守費=6万5千ポンド(約1,229万円)
- 放射性廃棄物管理や公衆・利害関係者の関与についての海外事例などの研究・情報収集費=4万5千ポンド(約851万円)
- 活動プログラム設計、プロジェクト管理についての忠告など、専門家による支援費=9万5千ポンド(約1,796万円)
- 委員会公開のための調整・宣伝費などの委員会開催費=6万ポンド(1,134万円)
- 委員が即時に情報を入手、交換できるようにするためのパソコンなどのIT関連費=1万5千ポンド(約284万円)
なお、CoRWMは、英国政府に対して放射性廃棄物の長期管理オプションに関する勧告を行う責任を有する組織として2003年に設置され、同年11月から活動を開始している。2004年3月には、CoRWMの2003年11月から2004年2月での活動に関する報告書が第1四半期報告書として公表されている 。
【出典】
- 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)のウェブサイト、http://www.corwm.org、2004年6月
- 環境担当大臣とは、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)大臣、スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの各行政府における環境大臣とされている。 [↩]
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )