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§ 2022年1月28日 発行 海外情報ニュースフラッシュ

英国で3例目となるアラデールGDFコミュニティパートナーシップが設立

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英国のカンブリア州アラデール市と地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)とは、2022年1月18日に、アラデール市で特定されていた1つの「調査エリア」において、地層処分施設(GDF)の立地を検討する「アラデールGDFコミュニティパートナーシップ」を設立した。これを受けて当該調査エリアでは、GDF設置の可能性について、より詳細な検討(わが国の概要調査に相当)が行われることになる。なお、2018年12月から開始したサイト選定プロセスにおいて、コミュニティパートナーシップの設立に至ったケースとしては、2021年11月及び12月にカンブリア州コープランド市で設立された2つのコミュニティパートナーシップに続いて今回が3例目となる。

■コミュニティパートナーシップ設立までの経緯

アラデールGDFCP_SearchArea3

アラデール市は2021年1月に、地層処分施設のサイト選定プロセスにおける「調査エリア」の特定と提案、並びにコミュニティパートナーシップの設立に向け、アラデールGDFワーキンググループを設置し、同市南東部に広がる湖水地方(イングランド北西部に位置する英国最大の国立公園)を除いたエリアを対象として検討を進めていた。その後、ワーキンググループは、同市西部に調査エリア(図の茶色の範囲)を絞り込んでいた

アラデール市議会は2021年11月24日に、ソルウェイ海岸部の特別自然美観地域を調査エリアから除外することを条件としてコミュニティパートナーシップへの参加を決定し、その設立に向けた準備を進めていた。調査エリアの範囲は、英国政府の2018年政策文書に基づき、コミュニティや自治体組織等から協議に参加可能な者が特定できるように、選挙区を最小単位として設定される。今回設置されたアラデールGDFパートナーシップの調査エリアには13の選挙区が含まれており、総面積は約320km2となっている。

これまで調査エリアの特定を行ってきた「アラデールGDFワーキンググループ」は、今回のパートナーシップの設立を受けて活動を終了し、コミュニティの関与の手段としての役割はコミュニティパートナーシップが引き継ぐことになる。なお、アラデールGDFワーキンググループは2021日12月20日付のニュースレターにおいて、地域住民との対話を通じて得られた課題として、アラデール市の地質が地層処分施設の設置・建設に適しているのかを理解できるようにすることが重要だと指摘している。

アラデールGDFコミュニティパートナーシップの初期メンバーは、RWM社とアラデール市議会のほか、カンブリア州地方議会連合(CALC)、カンブリア商工会議所、カンブリア州で人材開発や就労支援をしているInspira社1 であるが、コミュニティパートナーシップが調査エリア内にある様々なコミュニティの意見を反映できるよう、他の参加組織の募集を継続している。なお、今後より多くのメンバーの参加を得て新たに議長が任命されるまでの間は、カンブリア州地方議会連合の代表としてワーキンググループに参加していたメアリー・ブラッドリー氏が暫定的に議長を務めることとなっている。

■コミュニティパートナーシップの役割

コミュニティパートナーシップは、当該調査エリアでの地層処分施設の立地可能性を中長期的なスパンで検討していくグループである。また、コミュニティパートナーシップの活動と並行し、RWM社が地質や社会インフラの適合性に関する調査を進めることとなる。RWM社は、地層処分施設の地下施設の設置可能性の検討のため、コープランド市とアラデール市の沖合での物理探査の準備を進めており、2022年夏には船舶を用いた調査を開始する予定である。

アラデールGDFコミュニティパートナーシップに対して、英国政府から年間最大100万ポンド(1億4,600万円、1ポンド=146円)のコミュニティ投資資金の提供が始まる。この投資資金は、地層処分施設プロジェクトが長期的な性質を持つため、それが実働するまでの数年間にわたり、雇用やインフラ、主要投資に関連する恩恵(ベネフィット)が実現しない可能性があることを念頭において提供されるものである。同パートナーシップは、このコミュニティ投資資金の運用管理の役割を担うことになり、パートナーシップのウェブサイト(allerdale.workinginpartnership.org.uk)でコミュニティ投資資金の仕組みや申請方法の案内を開始している。

【出典】


  1. Inspira社は、アラデールGDFワーキンググループのメンバーではなかったが、ワーキンググループの対話活動の支援等を行っていた。 []

(post by f-yamada , last modified: 2022-02-10 )