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§ 2021年6月25日 発行 海外情報ニュースフラッシュ

中国・甘粛省北山で地下研究所の建設が開始

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北山に建設される地下研究所のイメージ図(出典:BRIUG)

北山に建設される地下研究所のイメージ図(出典:BRIUG)

中国核工業集団公司(CNNC)の下部組織である北京地質研究院(BRIUG)は、2021年6月17日に、高レベル放射性廃棄物処分場の候補地域の一つである西北地域にある甘粛省北山(ペイシャン)において、花崗岩を対象とした地下研究所の建設プロジェクトを開始したことを公表した。この地下研究所は「中国北山地下研究所」1 と呼ばれており、スパイラル状のアクセス坑道、3本の立坑、地下560m地点に設置される主研究施設、地下280mに設置される補助研究施設等で構成されている。地上部分の敷地面積は2.47km2、坑道の総延長は約13.4kmである。ゴビ砂漠の西部で実施される建設プロジェクトの工期は7年を予定しており、当初は建設現場へのアクセス道路や水、電気、通信等の敷地整備を進め、3年目からトンネルボーリングマシン(TBM)を利用した地下掘削を開始する計画である。

北京地質研究院(BRIUG)は、地下研究所を建設する意義について、中国における高レベル放射性廃棄物処分の研究開発を推進し、国民の信頼を高めるという社会的価値を備えていると説明している。中国北山地下研究所の建設は、中国の2016~2020年を対象とした国家目標を定めた第13次五カ年計画における重点プロジェクトの一つとして位置づけられている。

■中国の高レベル放射性廃棄物の処分方針

中国では、2017年9月1日に成立した原子力安全法において、高レベル放射性廃棄物は地層処分する方針を定めており、地層処分の実施主体は、原子力発電事業等を実施する国営企業体である中国核工業集団公司(CNNC)である。CNNCの下部組織の一つである北京地質研究院(BRIUG)は、高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する研究開発を実施している。

処分場候補サイト調査対象地域

中国における高レベル放射性廃棄物の処分事業は、2006年2月に策定された「高レベル放射性廃棄物地層処分に関する研究開発計画ガイド」で設定された3段階の活動計画に沿って進められている。第1段階の2006年~2020年の期間では、実験室レベルでの研究開発と処分場のサイト選定、地下研究所の設計及び処分場の概念設計、安全評価を進めることとなっている。中国核工業集団公司(CNNC)は、6カ所の高レベル放射性廃棄物処分場の候補地域(西北地域、内モンゴル地域、華東地域、西南地域、広東北部地域、新疆ウイグル地域)について、予備的な比較検討を実施して西北地域の北山を重点対象とし、サイト選定における地質・水文地質学的条件、地震学的条件及び社会・経済的な条件に関する調査を実施した。

北京地質研究院(BRIUG)は2016年に、地下研究所建設プロジェクトの提案を起草するとともに、甘粛省北山(ペイシャン)において、地下研究所のサイト評価のためのデータ取得を目的としたボーリング孔の掘削を進めていた。中国北山地下研究所の建設プロジェクトは、2019年に中国の最高の国家行政機関である国務院の同意を受け、国防科学技術工業局によって承認された。

■第2段階以降の活動計画

活動計画の第2段階となる2021年~2040年の期間では、地下研究所の建設、地下研究所での各種試験、プロトタイプ処分場のフィージビリティ評価と建設許可申請、安全評価を実施する計画である。北京地質研究院(BRIUG)は今後、中国北山地下研究所の建設プロジェクトを進めるほか、放射性廃棄物管理のための政策等を担当する国家原子能機構(CAEA)の委託を受けて、国内外の研究者や専門家の交流を推し進める国の研究開発プラットフォームとなる「高レベル放射性廃棄物地層処分イノベーションセンター」を設置する計画である。

活動計画の第3段階となる2040年~今世紀半ばにかけては、プロトタイプ処分場において、実廃棄体を用いた試験を行い、処分場の総合的な機能を検証し、実際の地層処分場の建設許可申請と安全評価、環境影響評価を行うこととなっている。

【出典】


  1. 中国語では「中国北山地下实验室」と表記される。 []

(post by yamamoto.keita , last modified: 2021-06-25 )