英国の原子力廃止措置機関(NDA)は、2017年12月11日に、2018年4月1日から3年間を対象としたビジネスプラン(事業計画書)のドラフト版を公表するとともに、意見募集期限を2018年2月4日までとする公開協議を開始した。NDAは、英国における17の原子力サイトの廃止措置・クリーンアップ、放射性廃棄物の安全な管理、使用済燃料の再処理等に責任を有する政府外公共機関(NDPB)1 である。NDAは、2004年エネルギー法に基づいて、ビジネスプランを毎年作成し、英国政府の承認を受けている。NDAは、今回のビジネスプランのドラフト版において、放射性廃棄物処分に関連した活動計画を以下のように示している。
・再処理事業
NDAは、セラフィールドの酸化物燃料再処理工場(THORP)を従来通りに2018年に閉鎖する計画としている 。また、英国で初期に導入されたガス冷却炉(GCR、マグノックス炉)からの使用済燃料の取り出しとマグノックス再処理工場への搬出を2019年までに完了させ、それらの再処理を2020年に完了させる計画としている。
・浅地中処分事業
イングランド北西部のドリッグ村近郊に位置する低レベル放射性廃棄物処分場は、1959年から操業しており、2080年に処分場の最終的な閉鎖が予定されている。処分場の操業者である低レベル放射性廃棄物処分場会社(LLW Repository Ltd、LLWR社)は、すでに満杯となっている既存の1~7号トレンチ処分施設及び8号コンクリートボールト施設の最終的な覆土(cap)の施工 の準備を継続する計画としている。
・地層処分事業
英国政府は、2014年8月に公表した白書『地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み』 において、サイト選定プロセスの開始前の初期活動として、英国全土(スコットランドを除く)を対象とした「地質学的スクリーニング」 、「2008年計画法」の改正 、地域との協働プロセスの策定活動 の3つを行うこととしている。ビジネスプランのドラフト版では、これらの初期活動が完了間近であり、2018年6月にはサイト選定プロセスが開始される見込みであるとしている。
なお、地層処分事業に関しては、2017年12月7日付けの英国政府のプレスリリースにおいて、地層処分施設に関する開発同意令(DCO)の発給審査の基礎となる国家政策声明書(NPS)の作成2 、地域との協働プロセスの策定に関して、それぞれ公開協議による意見募集を2018年早々に開始する意向を公表している。
【出典】
- 英国政府ウェブサイト、Nuclear Decommissioning Authority: Business Plan 2018 to 2021、2017年12月11日、https://www.gov.uk/government/consultations/nuclear-decommisioning-authority-business-plan-2018-to-2021/draft-business-plan-financial-year-beginning-april-2018-to-financial-year-ending-march-2021
- 原子力廃止措置機関(NDA)、Draft Business Plan 1 April 2018 to 31 March 2021、2017年12月11日、https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/666377/NDA_Draft_Business_Plan_2018_to_2021.pdf
- 英国政府プレスリリース、Government to support development of next generation nuclear technology、2017年12月7日、https://www.gov.uk/government/news/government-to-support-development-of-next-generation-nuclear-technology
(post by f-yamada , last modified: 2023-10-10 )