フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2017年10月5日付けプレスリリースにおいて、使用済燃料処分場の建設の進捗状況を公表した。同プレスリリースによれば、ポシヴァ社は、処分場の地上施設を構成するキャニスタ封入施設の建設準備作業として、地表からの岩盤掘削作業を完了したとしている。キャニスタ封入施設の建屋建設は、今後、規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)による確認を受けた後に開始される予定である。
フィンランド南西部のエウラヨキ自治体オルキルオト島内において建設中の使用済燃料処分場は、地上のキャニスタ封入施設と地下400~450mに設置される処分場で構成される。使用済燃料の処分概念はKBS-3方式であり、外側が銅製で、内側が鋳鉄製の2重構造の容器(キャニスタ)に使用済燃料を封入した上で、その周囲を緩衝材(ベントナイト)と岩盤からなる多重バリアによって安全性を確保するものである。
フィンランド政府は2015年11月に、ポシヴァ社に対して使用済燃料処分場の建設許可を発給していた。ポシヴァ社が処分場の建設を実際に開始するためには、法令に基づいて、ポシヴァ社が建設許可に関連した安全要件及び安全規則を十分に検討しているかについて、STUKの確認を受ける必要がある。2016年11月のSTUKによる確認・決定を受けて、ポシヴァ社は地下の処分場の建設を開始していた 。今回のポシヴァ社のプレスリリースによれば、地下の処分場の建設については、現在、主要坑道までの車両アクセス坑道の掘削作業を実施中であるとし、作業終了までには2年半を要するとしている。
今後、ポシヴァ社がキャニスタ封入施設の建設を開始するためには、地下の処分場と同様に、事前にSTUKによる確認が必要である。
【出典】
- ポシヴァ社、2017年10月5日付プレスリリース
http://www.posiva.fi/en/media/news/posiva_s_encapsulation_plant_excavations_are_completed.3371.news#.WdbE52cUlD8 - ポシヴァ社、2016年次報告書
http://www.posiva.fi/files/4607/POSIVA_vuosikertomus_2016_ENG.pdf - 放射線・原子力安全センター(STUK)、2016年11月30日付プレスリリース
https://www.stuk.fi/web/en/-/stuk-ruling-posiva-can-commence-construction-of-final-disposal-facility
(post by t-yoshida , last modified: 2023-10-10 )