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《カナダ》使用済燃料処分場のサイト選定の状況-2地域がサイト選定プロセスから除外

(NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向)

(NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向)

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(Nuclear Waste Management Organization, NWMO)は、2015年3月3日付で、サイト選定プロセスの第3段階第2フェーズが実施されていたサスカチュワン州のクレイトン・タウンシップとオンタリオ州のシュライバー・タウンシップを、サイト選定プロセスから除外したことを公表した。NWMOは、空中物理探査などの初期フィールド調査で取得したデータを分析した結果、クレイトン・タウンシップとシュライバー・タウンシップの調査対象エリアについて、地質構造が複雑であり、地下に多くの亀裂があることを確認しており、これら2地域において地層処分場に適切な場所を特定できる見通しが低いと判断した。

カナダでは、9段階で使用済燃料処分場のサイト選定を進めることとなっており、現在サイト選定プロセスに第3段階である“使用済燃料処分場の潜在的な適合性の予備的評価”が行われている。NWMOは、机上調査を行う前期(第3段階第1フェーズ)と、現地での調査を行う後期(第3段階第2フェーズ)に分けており、サイト選定プロセスの第3段階第1フェーズが完了した20自治体のうち、半数の10自治体が第3段階第2フェーズに進んでいる。今回、NWMOがサイト選定プロセスから除外したクレイトン・タウンシップ及びシュライバー・タウンシップでは、2014年4月から第3段階第2フェーズの調査が開始されていた

サイト選定プロセスの第3段階第2フェーズでは、初期フィールド調査の実施、処分施設の立地見通しの検討、集中的なフィールド調査の実施を通して、当該地域の潜在的な適合性を評価することになっている(下記参照)

〇初期フィールド調査の実施

  • 関心表明を行った自治体、その周辺自治体、及び先住民コミュニティとの対話を行い、技術的評価、安全評価、より広範な自治体の参画、自治体の福祉向上に関する調査の実施計画を策定する。
  • NWMOが設定した技術的なサイト評価要素を満たす可能性がある地域を特定し、潜在的な適合性を評価するため、空中物理探査、環境調査、地質図の作成を行う。

〇処分施設の立地見通しの検討

  • 初期フィールド調査の結果に基づいて、技術的要件と自治体の福祉向上に係る要件を満たす可能性が低い自治体については、フェーズの途中でも評価を終了する。
  • 処分プロジェクトの要件を満たす可能性が高い地域を、集中的なフィールド調査を行う対象とする。

〇集中的なフィールド調査の実施

  • 適合性があると選定された地域において、限定的なボーリング調査を実施する。
  • 関心表明を行った自治体、その周辺自治体、及び先住民コミュニティを交えたパートナーシップのもとで以降のサイト選定作業を行えるようにするため、周辺自治体等に参画を促す活動を行う。

今回、クレイトン・タウンシップとシュライバー・タウンシップの2自治体を調査対象から除外したことから、NWMOはサイト選定プロセスの第3段階第2フェーズの調査を残りの8カ所で継続するとしている。これら8カ所のほかに、オンタリオ州南部のセントラルヒューロン自治体では、第3段階第1フェーズの調査が継続中である。

《参考》カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

【参考出典】『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(NWMO, 2010年)

【出典】

(post by sahara.satoshi , last modified: 2023-10-11 )