フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)処分の実施主体であるポシヴァ社は、2009年3月13日付のプレスリリースにおいて、フォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPH社)が導入を計画しているロヴィーサ原子力発電所3号機から発生する使用済燃料の最終処分に関する原則決定申請を雇用経済省に行ったことを公表した。プレスリリースによれば、FPH社は2009年2月5日にロヴィーサ原子力発電所3号機の導入計画の原則決定を雇用経済省に申請しており、今回のポシヴァ社の原則決定申請は、FPH社の計画に対応するものとされている。
ポシヴァ社は、テオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)がオルキルオト原子力発電所4号機の導入計画の原則決定の申請を行った2008年4月25日に、エウラヨキ自治体のオルキルオトでの建設が計画されている最終処分場での使用済燃料の処分容量を9,000トン(ウラン換算、以下同じ)に引き上げる原則決定の申請を行っている 。ポシヴァ社のプレスリリースによれば、今回のポシヴァ社の原則決定申請と合わせると、最終処分場の処分容量は12,000トンに引き上げられる。
フィンランドでは、原子力発電所や使用済燃料の最終処分場の建設計画について、その建設許可申請手続の前に、その建設が社会全体の利益と合致することを政府が判断する「原則決定」が必要となっている。また、事業者が原則決定の申請を行うためには、環境影響評価(EIA)手続を実施し、EIA報告書を添付する必要がある。
ポシヴァ社は、1998~99年にかけて、オルキルオトに建設する最終処分場で9,000トンの使用済燃料を処分する場合の環境影響評価(EIA)を実施し、1999年にEIA報告書を取りまとめている。その後、ポシヴァ社は、フォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPH社)のロヴィーサ3号機の導入計画に対応して、2008年に最終処分場での使用済燃料の処分量を9,000トンから12,000トンに拡大した場合の環境影響評価を実施しており、2008年10月31日にEIA報告書を雇用経済省に提出していた 。
ポシヴァ社の環境影響評価(EIA)報告書に対して、雇用経済省は、2009年3月11日に同省の見解書を公表している 。この中で雇用経済省は、ポシヴァ社のEIA報告書の内容が関係法令で定められた主な要件を満足しているとした上で、ポシヴァ社が最終処分場の処分量拡大に関する原則決定の申請を行う際に必要となる追加説明事項を指摘していた。ポシヴァ社のプレスリリースによれば、ポシヴァ社は、今回の原則決定の申請の際に雇用経済省に提出したEIA報告書では、同省の求めに対応した説明書を添付したとしている。
なお、2009年3月13日付の雇用経済省のプレスリリースによれば、同省は関係省庁・機関や組織、エウラヨキ自治体及びその隣接自治体に、ポシヴァ社の原則決定申請に対する見解を求めるとともに、放射線・原子力安全センター(STUK)に予備的安全評価の開始を依頼するとしている。また、同省は、公聴会を開催することにより、地元住民からの意見聴取の機会を設けるとしている。
【出典】
- ポシヴァ社、2009年3月13日付プレスリリース、http://www.posiva.fi/en/news/press_releases/posiva_applies_for_a_decision-in-principle_concerning_the_final_disposal_of_the_spent_fuel_from_the_loviisa_3_unit.html
- 雇用経済省、2009年3月13日付プレスリリース、
http://www.tem.fi/?89521_m=94552&l=en&s=2471
【2009年6月29日追記】
ポシヴァ社は、2009年6月26日付プレスリリースにおいて、2009年3月13日の同社の原則決定申請に関する公聴会が6月16日にエウラヨキ自治体で開催されたことを発表した。また、プレスリリースによれば、2009年3月のポシヴァ社の原則決定の申請に対して、今後、以下のようなスケジュールで原則決定手続が行われる見通しを示している。
- 2009年7月15日まで:雇用経済省が公衆及び自治体の意見を募集
- 2009年8月末まで:エウラヨキ自治体が見解書を提出
- 2009年10月30日まで:放射線・原子力安全センター(STUK)の予備的安全評価
- 2010年初頭:政府の原則決定
【追記部出典】
- ポシヴァ社、2009年6月26日付プレスリリース、 http://www.posiva.fi/en/news/topical_at_decision_in_principle_process/the_current_status_of_the_licensing_process_for_the_extension_of_the_final_repository.html
【2009年8月27日追記】
ポシヴァ社は2009年8月26日付プレスリリースにおいて、エウラヨキ自治体が同社の原則決定申請を支持する声明書を発行することについて、8月24日の同自治体議会で承認(賛成22票、反対4票)したことを発表した。
【追記部出典】
- ポシヴァ社、2009年8月26日付プレスリリース、
http://www.posiva.fi/en/news/topical_at_decision_in_principle_process/the_municipality_of_eurajoki_issues_a_statement_in_favour_of_posivas_application_for_a_decision-in-principle.html
(post by t-yoshida , last modified: 2023-10-10 )