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《フィンランド》雇用経済省、最終処分場の拡大に関するポシヴァ社の環境影響評価(EIA)報告書への見解書を公表

フィンランドの雇用経済省は、2009年3月11日付のプレスリリースにおいて、高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)処分の実施主体であるポシヴァ社が同省に提出していた、最終処分場の拡大に関する環境影響評価(EIA)報告書に対する同省の見解書を公表したことを明らかにした。ポシヴァ社は、オルキルオトで建設が計画されている最終処分場において、使用済燃料の処分量を9,000トン(ウラン換算、以下同じ)から12,000トンに拡大した場合の環境影響を評価し、2008年10月31日にEIA報告書を雇用経済省に提出していた

プレスリリースによれば、雇用経済省は2009年1月12日までポシヴァ社のEIA報告書に対する意見を受け付け、当局及び関係機関から27のコメント、国際条約に基づいてスウェーデン、ノルウェー、ドイツ及びエストニアからの意見書、団体と個人から9つの意見を受け取っていた。

また、プレスリリースによると、雇用経済省は、ポシヴァ社のEIA報告書の内容は関係法令で定められた主な要件を満足しているとした上で、以下の点などを追加説明するよう求めている。

  • 現時点における状況の明確化
  • 使用済燃料の輸送の際に可能性がある事故の環境への影響、及びそれに関連する環境除染と廃棄物管理の必要性
  • 地層処分場の地下施設建設時の事故のリスクとそれに関連する影響
  • 処分場の処分量オプションでの環境影響とその比較
  • 処分量オプションによる、最終処分場プロジェクトの経済的な影響
  • 処分場に最も近接した位置にある住居等の位置
  • 使用済燃料の発生量の正当性

これらの追加説明は、ポシヴァ社が最終処分場の処分量拡大に関する原則決定を政府に申請する際に特に必要になるとされている。

フィンランドでは、原子力発電所や使用済燃料の最終処分場の建設計画について、その建設許可申請手続の前に、その建設が社会全体の利益と合致することを政府が判断する「原則決定」が必要となっている。EIA報告書は、この原則決定の申請を事業者が行う際に添付する必要がある。

オルキルオト原子力発電所を操業するテオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)は、2008年4月25日に4号機の原子炉導入計画の原則決定の申請を行っており、同日にポシヴァ社も最終処分場の処分量を9,000トンに拡大する原則決定の申請を行っている。ロヴィーサ原子力発電所を操業するフォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPH社)も、3号機の導入を計画しており、ポシヴァ社が2008年10月31日に雇用経済省に提出していたEIA報告書は、FPH社の3号機導入計画に対応して、最終処分場の処分量を12,000トンに拡大した場合の環境影響を評価したものであった。FPH社は、ポシヴァ社がそのEIA報告書を雇用経済省に提出した後の2009年2月5日に、3号機の原子炉導入計画の原則決定の申請を行っている。

【出典】

  • 雇用経済省(TEM)、2009年3月11日付プレスリリース、
    http://www.tem.fi/?89521_m=94482&l=en&s=2471
  • 雇用経済省(TEM)、2009年2月5日付プレスリリース、
    http://www.tem.fi/?89521_m=94023&l=en&s=2471
  • フォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPH社)、2009年2月5日付プレスリリース、
    http://www.fortum.com/news_section_item.asp?path=14022;14024;14026;25730;551;46652
  • フォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPH社)、
    ロヴィーサ原子力発電所3号機の建設に関する原則決定申請書(2009年2月5日)、
    http://www.loviisa-3.fi/filebank/66-Fortum_2009_Loviisa3_english.pdf

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )