諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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英国 リンク集

英国 英国(イギリス)

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イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドから構成される立憲君主制国家(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)

英国における高レベル放射性廃棄物処分の実施体制
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英国(=UK)の組織

英国議会

二院制(下院・上院)

  • 連合王国を構成するイングランド、ウェールズ、北アイルランド、スコットランドはいずれも英国議会に代表を送っている。
  • 英国議会が最高議会であるが、権限委譲行政機関(devolved administrations)であるウェールズ、北アイルランド、スコットランドも、それぞれ独自の議会を持っている。なお、イングランドに対する権限委譲は行われていない。

英国政府

https://www.gov.uk/
UK Government

  • 立憲君主制及び議院内閣制を採用しており、首相は下院で第一党になった党首が、国王の任命により選出され、閣僚は首相の推薦によって国王が任命する。内閣は、首相を筆頭に約20名の閣僚で構成された政府の最高意思決定機関である。
  • 英国では、閣議の負担軽減及び効率良く意思決定を行うため、関係閣僚が少人数で政策を検討する内閣委員会が設置されている。内閣委員会での決定は、閣議決定と同様の権威を持つ。


政府行政機関(省)

Departments of the United Kingdom Government

  • 英国の省は、英国政府の行政を担うほか、 スコットランド政府ウェールズ議会政府北アイルランド行政府が担うべき行政機能の一部も行う性質から、行政機能を実現する実務組織は 予算管理の目的のために区分され、別個に運営されている。「省」の外部実務組織(外郭団体)の形式には、「政府外公共機関」(Non-Departmental Public Body, NDPB)や「公共団体・公法人」(Public Corporations) などがある。
  • このセクションでは、放射性廃棄物処分に関係する省を示し、各省が所管する「政府外公共機関」は別セクションにまとめている。

ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)

https://www.gov.uk/government/organisations/department-for-business-energy-and-industrial-strategy

〔英〕 Department for Business, Energy and Industrial Strategy(BEIS)

  • エネルギー政策分野を所管していた旧DECC(エネルギー・気候変動省)と、旧BIS(ビジネス・イノベーション・職業技能省)の産業戦略分野を統合して、2016年7月に設立。DECCの所掌であった原子力分野の監督権限はBEISに移管された。
  • 英国政府は、2001年から政策プログラムManaging Radioactive Waste Safely (MRWS)(放射性廃棄物を安全に管理する)を実施している。BEISはこの担当省として、放射性廃棄物の管理及び方針の決定、地層処分場のサイト選定プログラムの実施、ステークホルダーとの連携などに対する責任を有する。
  • BEIS所管の政府外公共機関(NDPB)(放射性廃棄物処分に関係するBEISの外部組織)
    • 原子力廃止措置機関(NDA) … 所有する原子力施設の操業・廃止措置の他、放射性廃棄物処分の実施主体
    • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM) … 放射性廃棄物の管理等に関する政府の諮問機関


環境・食糧・農村地域省(DEFRA)

https://www.gov.uk/government/organisations/department-for-environment-food-rural-affairs
〔英〕Department for Environment, Food and Rural Affairs (DEFRA)

  • DEFRAは当初、英国政府が2001年から開始した政策プログラムManaging Radioactive Waste Safely (MRWS)の担当省であり、放射性廃棄物の管理及び方針に関する責任を有していた。
  • 2008年10月の省庁再編により、原子力分野の監督権限は旧DECC(エネルギー・気候変動省)に移管されたが、2016年7月の省庁再編により、ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)に移管されている。
  • DEFRAは環境政策を所掌している。英国では、放射性廃棄物の処分(特に、処分場の閉鎖後における規制)は環境規制で扱われるため、この面からの監督権限はDEFRAに残っている。


政府外公共機関

Non-Departmental Public Body (NDPB)

  • 「政府外公共機関」(NDPB)は、所管省の行政機能を実現する実務組織として省の外部に設置されている組織の総称である。当該NDPBの活動に予算措置を行う所管省が議会に対する説明責任をもつ。「政府外公共機関」(NDPB)には、以下のような種類がある。
    • 政府外公共機関〈執行型〉(Executive NDPB):法令に基づいて設置され、行政管理、商業目的または規制機能を実施する。
    • 政府外公共機関〈諮問型〉(Advisory NDPB):特定事項について、独立・専門的な助言を大臣に提供する。
    • 政府外公共機関〈法廷型〉(Tribunal NDPB):特別な司法領域において、法的行為を行う。
        ※刑務所、入国審査局に対する監視を行う、独立監視委員会(Independent Monitoring Board)もNDPBに含まれる。

放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)

【諮問機関】 https://www.gov.uk/government/organisations/committee-on-radioactive-waste-management
〔英〕Committee on Radioactive Waste Management

  • 英国政府及び自治政府に助言を与える諮問機関。地層処分の具体化に向けた実施計画を独立に精査する役割を持つ。
  • CoRWMは当初、英国政府が2001年から開始した政策プログラムManaging Radioactive Waste Safely (MRWS)において、高レベル放射性廃棄物等の長期的管理方針を公開討論を通じて勧告する目的の委員会として2003年に設置された。委員長を含む13名の委員は、公募によって選出された。
  • 2006年にCoRWMが英国政府への勧告文書を取りまとめた後、英国政府は、旧放射性廃棄物管理諮問委員会(RWMAC)を継承する諮問機関として2007年にCoRWMを再編し、現在に至っている。CoRWMは、ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)が所管するが、同省の外部に設置されている諮問機関(政府外公共機関〈諮問型〉)である。
  • 2007年再編後のCoRWMは15名の委員から構成され、英国政府及び自治政府が任命する。


原子力規制局(ONR)

【規制機関】 http://www.onr.org.uk/index.htm
〔英〕Office for Nuclear Regulation

  • 新たな独立した規制当局を設置するという英国政府の方針に基づき、関係法令が整うまでの過渡的な措置として、2011年4月に保健安全執行部(HSE)の内部組織として原子力規制局(ONR)が設置された。
  • HSE配下の旧原子力施設検査局(NII)が担当していた原子力施設の原子力安全、放射線安全に関する規制機能を継承したほか、運輸省(DfT)管轄であった放射性物質輸送に関する規制機能を担当(2011年10月から継承)している。
  • 2013年エネルギー法に基づいて、2014年4月1日に原子力規制局(ONR)は、労働年金省(DWP)所管の政府外公共機関(NDPB)である保健安全執行部(HSE)から分離され、労働年金省所管の独立した公法人(statutory Public Corporation)に移行した。
  • 原子力規制局(ONR)は、1965年原子力施設法に基づいて、原子力施設の立地の前提となる「原子力サイト許可」を発給する。
  • 〔参考〕原子力規制局の目標・目的 – Aims and objectives(英文)

参考

保健安全執行部(HSE)

http://www.hse.gov.uk
〔英〕 Health and Safety Executive

  • 労働年金省(Department for Work and Pensions, DWP) 所管の政府外公共機関〈執行型〉。2011年4月の原子力規制局(ONR)の設置以前では、HSE配下の原子力施設検査局(NII)を通じて、原子力施設の原子力安全、放射線安全及び労働安全を規制・監督していた。ONR設置に伴い、NIIは廃止されている。
  • 2007年4月より、民間原子力安全保障局(OCNS)及び、当時の貿易産業省(DTI)所管していた保障措置関連の業務がHSEに移管されている。


原子力廃止措置機関(NDA)

【処分実施主体】 〔→事業者

  • 2004年エネルギー法に基づき、2005年に設立。原子力施設の廃止措置及びサイトのクリーンアップとそのための資金確保、原子力施設の管理、放射性廃棄物及び非放射性廃棄物の安全管理、政府の方針に基づいた核物質の長期管理、低レベル放射性廃棄物に関する戦略及び計画の策定などの役割を担う。
  • ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)所管の政府外公共機関〈執行型〉。
  • NDAの戦略及び年次計画は、国務大臣及びスコットランドの大臣の承認を得る必要がある。
  • 処分実施主体としての役割については事業者セクションを参照のこと。


環境規制機関(EA(イングランド所管))

【規制機関】 https://www.gov.uk/government/organisations/environment-agency
〔英〕Environment Agency

  • 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)所管の政府外公共機関(執行型)。イングランドの環境規制当局。
  • 空気、水(地表水及び地下水)、土地への放射能の放出と放射性廃棄物処分を許可及び管理することによって、持続可能な開発に関連して環境保護を目的とした特定の法律及び規制を行う役割を担う。
  • イングランドとウェールズについては、「環境許可(イングランドとウェールズ)(改正)規則2011」の下で放射性廃棄物処分の規制を実施している。なお、スコットランド及び北アイルランドについては、「放射性物質法(RSA93)(2011 年改正)」に基づく規制が行われている。
権限委譲行政機関(devolved administrations)が設置している 環境規制当局

放射性廃棄物の処分地が、ウェールズ、スコットランドまたは北アイルランドとなる場合には、各自治政府が設置している環境規制当局の管轄となる。



事業者

原子力廃止措置機関(NDA)

【処分実施主体】 http://www.nda.gov.uk
〔英〕Nuclear Decommissioning Authority

  • 2006年放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の勧告文書「高レベル放射性廃棄物等の長期管理計画」に対する回答の中で、英国政府はNDAを地層処分の実施主体とすることを決定した。英国政府はその決定に伴い、2007年4月に、放射性廃棄物の長期管理オプションの開発支援を行っていたNirex社の有する能力及び知的財産を維持・活用するため、NDAとの統合を行い、NDA内に放射性廃棄物管理局(RWMD)を設置した。
  • NDAの地層処分での役割は、高レベル放射性廃棄物等の地層処分場の計画立案や開発のほか、地層処分以外の方法で処分する放射性廃棄物の全体計画立案などを実施することである。

放射性廃棄物管理会社(RWM社)

http://www.nda.gov.uk/rwm/
〔英〕Radioactive Waste Management Limited

  • 2014年4月1日に、NDAの内部部局であった放射性廃棄物管理局(RWMD)が分離され、NDAの100%子会社の放射性廃棄物管理会社(RWM社)が設立された。将来的には、地層処分を実施するサイト許可会社になる予定。
    ※サイト許可会社(Site Licence Company)とは、1965年原子力施設法に基づいて原子力規制局(ONR)より原子力サイト許可を受ける者である。実際的には、NDAが所有する原子力施設の操業・廃止措置等をNDAとの契約に基づいて実施する。
  • 2022年1月末、NDAはRWM社とLLWR社(低レベル放射性廃棄物処分場を管理・運営する会社)を経営統合した組織 ニュークリアウェイストサービス(NWS)を設立し、英国の放射性廃棄物マネジメント機能を統合。現在、NWS は法人格を有していないが、将来的に単一の法人に移行する予定。 https://www.gov.uk/government/organisations/nuclear-waste-services


原子力発電事業者など

EDFエナジー社

http://www.edfenergy.com
EDF Energy

  • 運転中の8基の原子炉を所有している。その内、改良型ガス冷却炉(AGR)が7基、加圧水型軽水炉(PWR)が1基である。
  • 旧ブリティッシュエナジー(BE)社をフランスのEDF社が2009年に買収し、現在の社名となった。


自治体関連


西カンブリア放射性廃棄物安全管理パートナーシップ

http://www.westcumbriamrws.org.uk
〔英〕West Cumbria Managing Radioactive Waste Safely Partnership

  • サイト選定プロセスへの参加是非を判断するための材料を各自治体(アラデール市、コープランド市、カンブリア州)に提供する助言組織。カンブリア州内の市議会及び地方議会連合、全国農業者連盟(NFU)、地方労働組合などで構成されている。
  • パンフレットの配布やワークショップを開催して、地域住民に地層処分に関連した情報提供を行っている。
  • このパートナーシップは、自治体がサイト選定プロセスへの参加を決定した後に設立される予定の「地域立地パートナーシップ」とは異なる位置付けのものである。
links/uk.1683791937.txt.gz · 最終更新: 2023/05/11 16:58 by ss12955jp