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英国

英国の環境・食糧・農村地域省(DEFRA)は、2006年10月25日付けのプレスリリースで、環境大臣が高レベル放射性廃棄物等の長期管理に関する計画について、議会で見解を公表したことを報じるとともに、同日付けで15の勧告に対する政府の回答書がDEFRAのウェブサイト上で公開された。今回の見解の公表は、2006年7月31日に放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)が政府に対して行った放射性廃棄物の長期管理に関する勧告に対する政府の回答としてなされたものである。

同プレスリリースによると、政府は、原子力発電をはじめ、医療、産業、軍事利用、学術研究などによって発生する廃棄物を含む放射能レベルの高い廃棄物の長期管理方法について、2006年7月31日に報告された放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の勧告を基本的に受け入れたとしている。政府は、安全性及び公衆と環境の防護の点で最も良いオプションとして提案された地層処分を行うこと、地層処分場が設置されるまでは、安全で信頼性の高い中間貯蔵が必要であるとしている。

同プレスリリースでは、地層処分の計画及び開発については、以下の4点に基づくことが示されている。

  • 原子力廃止措置機関(NDA)を実施主体とする。
  • 保健安全執行部(HSE)、イングランドとウェールズの環境規制機関(EA)、民間原子力安全保障局(OCNS)が独立した規制を行う。
  • 政府に対して独立した立場で助言を行う、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の後継機関を設置する。
  • 処分場について、候補自治体との間に、透明性を確保し、開かれたパートナーシップを構築する。

同プレスリリースでは、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の後継機関となる独立諮問委員会には、放射性廃棄物の長期管理計画に関する助言を行うことが求められており、CoRWMの名前を引き継ぐが、新たな役割に応じた再編を行うとしている。さらにNirex社については、その能力及び知的財産を維持・活用するために、原子力廃止措置機関(NDA)に吸収させ、組織としては解散させることが提案されている。

また、同プレスリリースによると、環境大臣は、放射性廃棄物をいかなる地域社会にも押しつけず、サイト選定は、公衆、ステークホルダー、専門家及び地域社会に適切な機会を与え、当初から透明性を確保し、開かれた方法で行うと述べている。また、処分場の建設に当たっては、地質学的な観点からだけでなく、科学的及びその他の社会的な観点にも配慮するとしている。さらに、政府はパートナーシップの仕組みをいかに実質的に機能させるかについて、ステークホルダーと話し合いを行うとし、参加を望む全ての地方自治体などを関与させるとしている。

なお、今回の政府の管理方針の決定によって、政府が設定した管理オプションの検討についての協議プロセスの第2段階が終了することになる。第3段階を含む今後の予定については、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)のウェブサイトで公開された政府の回答書では以下のように示されている。

2006年
  • 公募・パートナーシップによるアプローチ、サイト選定プロセスと基準を含む、地層処分の実施の詳細に関する公衆及びステークホルダーの参加プログラムの開始(第3段階の開始)
  • 原子力廃止措置機関(NDA)の戦略報告書で示された 貯蔵計画に基づく中間貯蔵プログラムの開発
2007年
  • 以下の点について公衆との協議を実施
    • 公募・パートナーシップによるアプローチ及びサイト選定を含む実施手続に関する政府の枠組み
    • 地層処分実施計画の概要
  • 中間貯蔵計画に関する決定
2008年
  • 以下の点について決定
    • サイト選定手続
    • パートナーシップによるアプローチ
    • 地層処分実施計画
  • 中間貯蔵及び地層処分計画の実施(第4段階の開始)

【出典】

  • 環境・食糧・農村地域省 (DEFRA)、2006年10月25日付けプレスリリース、
    (http://www.defra.gov.uk/news/2006/061025b.htm)
  • Response to the Report and Recommendations from the Committee on Radioactive Waste Management (CoRWM), By the UK Government and the devolved administrations.
    (http://www.defra.gov.uk/environment/radioactivity/waste/pdf/corwm- govresponse.pdf)

【2006年12月4日追記】

2006年11月30日、原子力廃止措置機関(NDA)及びNirex社はそれぞれのプレスリリースにおいて、現在、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)と貿易産業省(DTI)が共同で所有するNirex社の所有権株をNDAに移すことについて、政府が確認したことを報じた。NDAが2006年12月1日に公表した資料によると、NDAは統合に向けたNirex社のスタッフとの協議を2006年末に開始し、2007年の春には統合の上、Nirex社が正式に解散される予定となっている。また、2007年に処分の実施手続の枠組み及び地層処分実施計画の概要に関する公衆協議が実施され、2008年末にはNDAが処分に関する新たな実施請負者を指名するとの見通しを示している。

英国の放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、2006年7月31日、放射性廃棄物の長期管理に関する最終報告書をウェブサイト上に公開し、政府に対して15項目からなる勧告を行ったことを公表した。CoRWMの2006年7月31日付けのプレスリリースによると、今回の勧告は、英国の長期にわたる放射性廃棄物の管理に向けた現実的なロードマップを初めて提供するのものであるとしている。また、CoRWMは、今回の勧告の実施に向けて政府に迅速な対応を求めるとしている。

同プレスリリースによると、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、勧告の重要な点として、地層処分及び処分場建設までを念頭においた中間貯蔵の実施、政府と処分場の受け入れ可能性のある地域との間の自発的な参加に基づいた協力関係の構築、実施手続きを開始するための監督機関の迅速な設置を挙げている。なお、今回の最終勧告については、2006年4月に最終勧告案がCoRWMによって公表され、関係機関との協議が行われていた

同プレスリリースで示された、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の勧告の要旨は以下の通りである。

  1. リスクの観点から、地層処分を放射性廃棄物の長期管理のための実施可能な最善策と判断。また、地層処分については、公衆及び利害関係者の信頼の醸成及び維持を行いつつ、可能な限り早く実施することを目指すべき。
  2. 地層処分の実施に関わる不確実性などの観点から、処分が実施されるまでの確固たる中間貯蔵計画が廃棄物の長期管理戦略に不可欠。
  3. 柔軟かつ段階的な意思決定手続きを推奨。
  4. 不確実性の低減のための地層処分の長期安全性に関する研究開発プログラムの強化への関与。
  5. 意思決定の柔軟性を担保するため、地層処分以外の長期管理オプションの可能性の維持への関与。
  6. 誘致する地域が実施手続きに参加の時点で、処分される廃棄物のインベントリを明確に規定。
  7. ウラン、使用済燃料、プルトニウムを廃棄物として管理することが決定した場合の、安全な貯蔵及び地層処分に向けた固型化の実施。
  8. 原子炉の解体廃棄物の中で地層処分対象を決定する際は、低レベル放射性廃棄物に関する協議で検討される、他の受け入れ可能な管理オプションも考慮。
  9. 施設のサイト選定も含む、提案された長期管理アプローチにおける信用及び信頼の構築に不可欠な公衆及び利害関係者の参加の継続。
  10. 放射性廃棄物関連施設のサイト選定についての提案への地域の関与は自発的な参加の原則に基づくべき。
  11. 地域の参加への自発性は、短期的には参加を促進し、長期的には放射性廃棄物関連施設が地域に受け入れられることを確かにするように設計された地域社会の総合政策の提供によって裏付け。また参加については、地域の福祉が向上するという期待に基づくものであるべき。
  12. 受け入れの可能性のある地域と実施主体の開かれた対等な関係に基づく協力関係の構築による地域参加の達成。
  13. あらかじめ定められた時点までの、手続きからの撤退に関する地域の権利
  14. 手続きの妥当性を確保するため、重要な決定は民主的に選ばれた適切な組織により承認。
  15. 最終勧告で示された実施手続きを監督する独立機関の迅速な指名。

また、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の最終報告書では、補遺として、CoRWMのサイト特性調査の開始までの見通し、Nirex社が政府及び原子力廃止措置機関(NDA)に示した見通しを基にした、英国の地層処分の参考スケジュールが示されている。

時期 期間(年) 主な活動
2006-2016 10 実施機関の設置、可能性のある受け入れ地域の特定など
2016-2035 19 サイト特性調査及びサイト選定
2035-2045 10 計画の許可、処分場の建設
2045-2110 65 処分場への廃棄物の定置
2110-2120 10 処分場の閉鎖

2001年の協議用文書「放射性廃棄物の安全な管理」で示され、2003年に4段階に修正された協議プロセスは、今回の放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の勧告に基づく政府による管理オプションの決定及び説明をもってその第2段階を終了する。その後、第3段階ではサイト選定基準を含む政府決定の実施方法についての公開討論が行われ、第4段階の必要な法整備をも含めた実施プロセスの開始は2007年頃に予定されている

【注】
放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の最終勧告において、地層処分は一旦施設を閉鎖した後は回収を意図しない、地下200~1,000mの深さに設置される施設での放射性廃棄物の処分と定義されている。
【注】
政府は、放射性廃棄物の管理オプションの検討を4つのステップで実施することとしているが、その第2段階を担う放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、第2段階の中に独自の3つの検討段階を設定して放射性廃棄物の管理オプションの検討を実施してきた。今回のCoRWMの最終勧告により、CoRWMの第3検討段階が終了することとなり、今後、政府による管理方針の決定により政府の第2段階が終了することとなる。

【出典】

  • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)、2006年7月31日付けプレスリリース、
    (http://www.corwm.org/content-1091)
  • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)ウェブサイト
    (http://www.corwm.org/content-0)
  • Managing our Radioactive Waste Safely, CoRWM’s recommendations to Government, July 2006
    (http://www.corwm.org/pdf/FullReport.pdf)


【2006年8月4日追記】

2006年7月31日、政府は環境・食糧・農村地域省(DEFRA)のプレスリリースにおいて、環境大臣が放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の勧告に照らして政策を進める意向を示し、政府の正式な見解を、議会に対して秋の会期中に示す予定であることを公表した。また、原子力廃止措置機関(NDA)は同日、プレスリリースを発表し、地層処分及びその実施までの確実な中間貯蔵、自発性を基にした地域の参加及び協力関係への注力などについて基本的に賛意を示した。さらに、Nirex社も同日、プレスリリースにおいて、地層処分の実施及び必要な施設の建設・操業、研究開発のための実施主体の設置に賛意を示し、Nirex社の将来の体制及び役割については、政府によるCoRWMの勧告への反応によって決定されることになるとの見解を示した。

  • 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)、2006年7月31日付けプレスリリース、 http://www.defra.gov.uk/news/2006/060731e.htm
  • 原子力廃止措置機関(NDA)、2006年7月31日付けプレスリリース、 http://www.nda.gov.uk/News–News_(1763).aspx?pg=1763
  • Nirex社、2006年7月31日付けプレスリリース、http://www.nirex.co.uk/index/inews.htm

原子力廃止措置機関(NDA)は、ニュースリリースにおいて2006年4月25日、26日にNDAの競争原理導入の最初の事例となる、ドリッグ低レベル放射性廃棄物処分場の管理契約に関する説明会を開催したことを公表した。同ニュースリリースによると、説明会には150人以上が集まり、NDA職員から説明を受け、ドリッグ処分場の管理及び関連作業のための契約について質疑応答が行われたとしている。また、NDAはウェブサイト上に競争入札に関する説明及び説明会の資料を掲載している。同ウェブサイトによると、ドリッグ処分場に関する契約は2007年後半までに締結される予定としている。なお、サイト管理等の契約に対する競争原理の導入は、2006年3月に政府によって承認されたNDAの戦略報告書に示されていたものである

原子力廃止措置機関(NDA)のニュースリリースによると、NDAが競争入札を用いる目的は安全で環境保護に責任を有し、費用効果があり、クリーンアップを加速させることのできる契約者を見つけることであるとしている。また、開かれた透明性のある競争入札プロセスが重要であり、競争入札プロセスに参加することを望んでいる全ての者に対して、不必要で不公正な障壁があってはならないとしている。

原子力廃止措置機関(NDA)がウェブサイト上で公表した説明会の資料によると、NDAの主要な役割には以下の3つがあることが示されている。

  • すでにドリッグ処分場に存在する低レベル放射性固体廃棄物の管理
  • 将来発生する廃棄物の中間及び最終的な管理
  • 全ての低レベル放射性廃棄物の最終処分

また、契約については、以下の2つの要素から成り立っており、これらの要素が単一の契約者によって実施される場合もあるが、要素2が複数の契約者によって実施される場合も考慮されていることが示されている。

要素1(契約当初から契約終了まで)
処分場の操業
不必要となったプルトニウム汚染物質(PCM)貯蔵庫の解体
処分場の最終的な状態の定義及び閉鎖
要素2(12-18か月後以降)
低レベル放射性廃棄物管理の包括的な解決策の提案及び実施

さらに、原子力廃止措置機関(NDA)が公表した資料に示されているドリッグ処分場の競争入札プロセスのスケジュールは以下のようになっている。

2006年5月から6月 調達戦略の策定
2006年4月から6月 市場との連携
(産業界が情報提供等する期間、正式な調達プロセスの一部ではない)
2006年6月から8, 9月 事前審査(正式な入札の開始)
2006年10, 11月から2007年1, 2月 応札者募集
2007年5月 応札者リストの作成
2007年第1四半期から第3四半期 評価・交渉
2007年第3四半期 推薦・承認
2007年第4四半期 契約締結
2008年前半 管理体制の移行及び新体制での操業開始

【出典】

  • 原子力廃止措置機関(NDA)、ニュースリリース、
    http://www.nda.gov.uk/News–News_(1623).aspx?pg=1623
  • 原子力廃止措置機関(NDA)、Procurement Overview、
    http://www.nda.gov.uk/documents/nda_industry_day_presentation_25_april_2006_-_procurement_overview_by_adrian_simper.pdf
  • 原子力廃止措置機関(NDA)、LLWR SLC Procurement Competition Overview、http://www.nda.gov.uk/documents/nda_industry_day_presentation_25_april_2006__llwr_slc_procurement_competition_by_peter_thomas.pdf
  • 原子力廃止措置機関(NDA)ウェブサイト、
    http://www.nda.gov.uk/Our_Business–Competition_(1605).aspx?pg=1605


【2006年9月14日追記】

2006年9月13日付原子力廃止措置機関(NDA)ニュースリリースにおいて、バブコック社、エナジー・ソリューション社(米国ユタ州・クライブ処分場、サウスカロライナ州・バーンウェル処分場の操業に関係)、ワシントングループ・インターナショナル(米国の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)の操業に関係)の3つの企業及び企業グループが入札の適合資格を得たことが公表された。

また、同ニュースリリースでは、3つの企業などに向けた入札案内が2006年10月、入札書類の受付が2007年1月まで、入札結果の公表が2007年10月とされている。

なお、現在のドリッグ処分場の操業者である英国原子力グループ・セラフィールド社(BNGS)は、エナジー・ソリューション社が結成した企業グループに参加している。

  • 原子力廃止措置機関(NDA)、2006年9月13日付けニュースリリース、http://www.nda.gov.uk/News_(42).aspx?pg=42
  • 英国原子力グループ・セラフィールド社(BNGS)、2006年7月26日付けニュースリリース、 http://www.britishnucleargroup.com/content.php?pageID=31&nID=2026

【2007年8月16日追記】

2007年8月15日付原子力廃止措置機関(NDA)ニュースリリースにおいて、入札書類を提出していた3つの企業グループの内、英国放射性廃棄物管理会社(ワシントングループ・インターナショナルが率い、英国スタズビック社、AREVA NC、セルコ-アシュアランス社を含む企業グループ)が優先交渉権者として決定したことが公表された。NDAは今後、優先交渉権者と契約内容の詳細について取り決めを行い、2007年10月に契約を結ぶ予定としている。

  • 原子力廃止措置機関(NDA)、2007年8月15日付けニュースリリース、http://www.nda.gov.uk/news/llwr-preferred-bidder.cfm

英国の放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、2006年4月27日付けのニュースリリースにおいて、放射性廃棄物管理オプションの勧告案を公表した。同ニュースリリースにおいてCoRWMは、放射性廃棄物の長期管理オプションとして、地層処分と処分サイトが決定するまでの中間貯蔵を組み合わせた管理方法を示している。今後、この勧告案は、2006年7月に最終勧告を環境・食糧・農村地域省(DEFRA)に提出する前に、関係機関との協議にかけられるとされている。

公表された勧告案では、現状の知見に基づけば、廃棄物とされている全ての物質の長期管理方策としては、地層処分が最適であるとしている。しかし、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、地層処分の実施には数十年もしくは、サイト選定における技術的な課題や地域社会の懸念が示された場合にはより長くかかる可能性があるため、中間貯蔵プログラムの必要性を指摘している。このような背景により、CoRWMは、以下の点を含む段階的な実施プロセスを勧告している。

  • 処分場プログラムの遅れや不成功の可能性に対応するための中間貯蔵プログラムの開発を通じた、廃棄物の安全で確実な管理の実施。
  • 放射性廃棄物の長期貯蔵のためのより適した手段とともに、地層処分の長期安全に関する本質的な、及びサイト固有の不確実性を低減することを目的とした研究開発プログラムの強化。代替管理オプションに関する適切な研究開発の実施。
  • 実施プロセスにおける意思決定に柔軟性を持たせることによって、他の長期管理オプション(例えば、ボーリング孔処分)が実用的な代替方法となる可能性の維持。
  • 処分場のサイト選定を含む長期管理アプローチに対する信頼を構築することを目的とした公衆・利害関係者参画の継続。
  • 次の段階へ進む前、もしくは代替案を除外する前に、進捗のレビューを行い再評価の機会を創設。

同ニュースリリース及び最終勧告案では、放射性廃棄物の長期管理施設のサイト選定に関する地域社会の参加は、自発的な意思に基づくべきであることを勧告するとともに、政府が地域社会の参加を容易にするために、参加支援パッケージを提供するように勧告している。さらに、地域社会と実施主体との間が、開かれた対等な関係に基づいたパートナーシップの構築を通してなされるべきであることが示されている。

また、同ニュースリリースでは、地層処分場は地下数百メートルに作られ、周囲の岩盤や特別に設計された人工バリアが環境を保護する役目を果たすとしており、英国における3分の1の土地が、地質学的に地層処分に適しているとしている。

なお、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、3つの検討段階を踏んで放射性廃棄物の管理オプションを検討しており、現在は第3検討段階にある。CoRWMは放射性廃棄物管理オプションについて、2005年4月に地層処分、段階的地層処分、短寿命放射性廃棄物の浅地中処分、中間貯蔵の4つの管理オプションに絞り込み、検討を続けていた


【出典】

  • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)、2006年4月27日付ニュースリリース、 http://www.corwm.org/content-1038
  • CoRWM’s Draft Recommendation、http://www.corwm.org/pdf/None%20-%20CoRWMs%20Draft%20Recommendations%2027%20April.pdf


【2006年6月8日追記】

2006年6月7日、原子力廃止措置機関(NDA)は、プレスリリースにおいて、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)が2006年4月27日に公表した放射性廃棄物管理オプションの勧告案に対して、概ね肯定的な見解のコメントを発表した。

  • 原子力廃止措置機関(NDA)のウェブサイト 2006年6月7日付けのプレスリリース、http://www.nda.gov.uk/News–News_(1692).aspx?pg=1692

原子力廃止措置機関(NDA)は、2006年3月30日付けニュースリリースにおいて、NDAの戦略報告書が政府によって承認されたことを示すと共に、同報告書を公表した。NDAの戦略報告書は、ドラフトが2005年8月11日にウェブサイトで公表され、2005年11月11日までの3ヶ月間、一般からの意見募集が実施されていたものである。NDAのウェブサイトによると、戦略報告書は2005年12月に、承認を得るために政府に提出されていた。今回、政府によって承認された戦略報告書では、ドラフトから、廃止措置費用、競争原理導入スケジュールなどの修正がなされている。

原子力廃止措置機関(NDA)のニュースリリースによると、戦略報告書では、ドラフトで示された廃止措置・クリーンアップ費用見積りの見直しが行われている。ドリッグ低レベル放射性廃棄物処分場のライフサイクル・コストの総額は、約13億ポンド(2,600億円)から約11億ポンド(2,200億円)へと減少している。また、セラフィールド・サイトの再処理工場及びMOX燃料加工工場の操業・廃止措置等を含むライフサイクル・コストの総額は、約315億ポンド(6兆2,300億円)から約400億ポンド(8兆400億円)へと増加している(1ポンド=201円で換算)。表に、戦略報告書で示されている、対象となる20サイトにおけるライフサイクル・コストの総額を示す。

同ニュースリリースによると、戦略報告書では、サイト管理に対する競争原理導入スケジュールに関して、ドラフトに対して寄せられた意見を反映するとともに、英国原子力グループ社(BNG)の売却を含む形で変更がなされているとしている。BNGの新しい所有者に対しては、セラフィールド・サイトの管理及び操業の契約が5年間与えられる。そのためBNGの売却によって、NDAの最大のサイトであるセラフィールド・サイトへの競争原理の導入による効果が予定よりも早くもたらされることとなるとしている。セラフィールド・サイトへの競争原理の導入に関しては、ドラフトでは2010年に契約が行われることが示されていたが、戦略報告書では競争原理を導入したBNGの売却により、2007年に導入されることが示されている。原子力廃止措置機関(NDA)は、1年以内に低レベル放射性廃棄物処分場であるドリッグ、及び2007年4月までにBNGの売却の一部として、セラフィールドの管理及び操業に競争原理を導入することが優先事項であるとしている。更に、今後も原子力業界の最新の状況等を考慮に入れ、戦略報告書のレビューを継続することも示されている。


【出典】

  • 原子力廃止措置機関(NDA)、2006年3月30日付ニュースリリース、http://www.nda.gov.uk/documents/news_release_-_national.pdf
  • 原子力廃止措置機関(NDA)戦略報告書
  • 原子力廃止措置機関(NDA)戦略報告書 ドラフト
  • 原子力廃止措置機関(NDA)ウェブサイト、http://www.nda.gov.uk/Home_1).aspx?pg=1


【2008年4月3日追記】

2008年4月1日、原子力廃止措置機関(NDA)はプレスリリースにおいて、2006年のNDAの戦略報告書を反映した2008~2011年度の事業計画を公表した。同計画によれば、2008年度、NDAの各サイトでの活動予算の合計は、昨年度より1億2,200万ポンド(290億円)増の25億9,400万ポンド(6,174億円)とされている。また、2008~2011年度の3年間の総予算は86億ポンド(2兆500億円)で、NDA設立後の最初の3年間に比べ6億7,100万ポンド(160億円)増とされている(1ポンド=238円で換算)。

  • 原子力廃止措置機関(NDA)のウェブサイト、2008年4月1日付けのプレスリリース、http://www.nda.gov.uk/news/approved-business-plan.cfm

英国の環境・食糧・農村地域省(DEFRA)は、2006年2月28日付けのニュースリリースにおいて、政府の低レベル放射性廃棄物の長期管理政策に関する協議文書を公表した。この協議文書は、1995年に発表されたコマンドペーパー「放射性廃棄物管理政策レビュー」(Cm2919)における既存の低レベル放射性廃棄物の長期管理政策を置き換えることとなる、政府の新たな政策に関するもので、2006年5月31日まで意見募集が行われるとされている。

同ニュースリリースでは、今回の長期管理政策の変更の背景として、今後、原子力廃止措置機関(NDA)によって管理されている原子力遺産の廃止措置等から、かなりの量の低レベル放射性廃棄物が発生するため、これらの廃棄物のための新たな管理オプションが必要であることが挙げられている。また、協議文書によると、協議の対象となっている、政府提案の新しい低レベル放射性廃棄物の長期管理政策の要点は以下の通りである。

  • すでに存在するかまたは今後の廃止措置などで大量の発生が見込まれる広範囲の低レベル放射性廃棄物の管理において、より柔軟性を持たせる。ただし、この柔軟性は、リスク情報に基づいたアプローチを用いることで、必要な安全レベルを維持しなければならない。
  • NDAからだけでなく、国防省、ブリティッシュ・エナジー(BE)社や病院・研究機関のような非原子力産業で生ずる廃棄物のための適切な処分ルートを確保する。NDAは、様々な非原子力及び原子力産業の要望を考慮に入れる必要がある。
  • NDA以外の商業運転者も、非原子力産業特有の廃棄物やより放射能の低い低レベル放射性廃棄物の管理において役割を担うべきである。これには、政府からの助言や廃棄物計画についての責任に関連した地方機関の考えを考慮した上で、低レベル放射性廃棄物処分場の必要性の評価を行うことを含む。
  • 低レベル放射性廃棄物のより広い定義に合わせるため、極低レベル放射性廃棄物の定義を改訂する。

また、同ニュースリリースでは、今回の低レベル放射性廃棄物の長期管理に関する協議では、以下の3点について主に公衆から意見を求めることも示されている。

  • 必要な安全レベルが維持されると仮定し、様々な低レベル放射性廃棄物の管理に、より大きな柔軟性が必要であるか。
  • 原子力廃止措置機関(NDA)が、NDAの廃棄物を管理及び処分する際に、NDA以外の原子力及び非原子力産業の要求を考慮するべきであるか。
  • それぞれの地域で発生する非原子力産業から発生する低レベル放射性廃棄物の管理のために、地方機関が大きな役割を持つべきであるか。

環境・食糧・農村地域省(DEFRA)のウェブサイトで公表されている書簡では、協議終了後、寄せられた意見を公開するとともに、意見の分析が実施され、要約版が出されることととなっている。この分析結果は、最終的な低レベル放射性廃棄物の長期管理に関する政策文書及び支援文書の作成の際に考慮されることが示されている。協議文書では、その後、政策文書及び支援文書は、議会等に提示され、既存政策を置き換えることとなるとしている。

【出典】

  • 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)2006年2月28日付けニュースリリース、http://www.defra.gov.uk/news/2006/060228a.htm
  • 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)公開協議に関する書簡、http://www.defra.gov.uk/corporate/consult/radioactivity-llw/letter.htm
  • A public consultation on policy for the long term management of solid low level radioactive waste in the United Kingdom(公開協議、協議文書)2006年2月28日

英国の放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、2006年1月12日、プレスリリースにおいて、2005年8月から開始されている、活動プログラムの第3段階における実施項目の一つである専門家による放射性廃棄物管理オプションの技術評価が終了したことを公表した。この評価では、200人近い専門家が、7つの一連のワークショップにおいて、11の主要な基準(27の下位基準)に関して、地層処分、段階的地層処分、短寿命放射性廃棄物の浅地中処分及び中間貯蔵の4つの管理オプションの各々の評価を行ったとしている。なお、CoRWMの活動プログラムは、当初、5段階からなるとされていたが、第1段階終了時に4段階へ(既報)、第2段階終了時に3段階へと減らすことが決定されている。

プレスリリースによると、専門家によって示された評価は、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)によって精査され、利害関係者との協議の次のステップへと進められる。その上で、公衆や利害関係者の見解によって、専門家が用いた基準のどれが最も重要であるかということを決定することとなっている。専門家によって用いられた11の評価基準は以下の通りである。

  1. 公衆の安全性(300年までの短期間)
  2. 公衆の安全性(300年を超える長期間)
  3. 作業員の安全性
  4. 安全保障
  5. 環境
  6. 社会経済
  7. 快適な空間
  8. 将来の世代への負担
  9. 実施可能性
  10. 柔軟性
  11. 費用

また、同プレスリリースによると、専門家による評価では、ほとんどの放射性廃棄物について、どの基準においても同一もしくは同様な結果であったことが示されている。

今回の評価の実施は、活動プログラムの第2段階の最終報告書において、第3段階における活動の一部として示されていたものである。放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、活動プログラムの第2段階を「放射性廃棄物管理オプション検討のための枠組策定と管理オプション候補リスト作成」段階として、2004年10月から2005年7月まで活動を行い、第2段階の最終報告書では主に以下の項目についての報告がなされている。

  • 放射性廃棄物インベントリ
  • 放射性廃棄物管理オプションリストの絞込み結果及びその理由
  • 管理オプションの評価及び最善の方法を勧告するための計画(第3段階の詳細)

また、第2段階の最終報告書によると、第3段階では、各管理オプションを評価し、好ましいオプション、またはオプションの組合せを見出し、政府への勧告に向けた準備を行い、2006年7月に管理オプションの最終勧告を行うことこととされている。なお、オプションの評価は、多基準意思決定分析(MCDA)及び全体論的な分析の二つの手法が用いられ、分析結果を統合して行うことが示されている。以下にこれら二つの評価手法及び分析結果の統合に関する概要を示す。

多基準意思決定分析(MCDA)
各管理オプションの性能を評価基準に対して、専門家によるワークショップによってスコア付けすることにより、また、市民パネルを通して行われた重み付けを放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)がこれらの評価基準に対して適用することによって、各管理オプションの評価を実施する。
全体論的分析
全体論的分析は、管理オプションの性能を全体的にとらえて検討するために実施される。この分析によって、管理オプション間の選択肢等を完全に検討することが可能となる。放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、勧告を準備する際に、この分析によって得られた結果を多基準意思決定分析のさまざまな段階と統合する。
統合
放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、上記の活動等から得られた情報を管理し、CoRWMによる検討を公衆に対して公開し、意思決定の準備のために利用する。これには、以下のような活動が含まれている。

  1. 多基準意思決定分析を完了するために、専門家によるスコア付けと市民による重み付けの結果を統合する。
  2. CoRWMの勧告するオプションを準備するために多基準意思決定分析の結果と全体論的評価の結果を統合する。
  3. CoRWMが勧告を行う際の作業を含むその他の成果を統合する。

更に、第2段階の最終報告書では、第3段階における活動は、次の3つの作業プログラムで実施されることが示されている。

  1. 他のプログラムの成果の統合や意思決定を行うCoRWM自身のプログラム
  2. 専門家によるワークショップや管理オプションの評価に必要なデータの収集のための技術的及び専門家プログラム
  3. 管理オプションの評価等に際して公衆や利害関係者と共に作業をする公衆・利害関係者参画プログラム(PSE)

【出典】

  • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)のウェブサイト、http://www.corwm.org.uk、2006年1月
  • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)、第2段階報告書、http://www.corwm.org/PDF/1210%20-%20Phase%202%20report%20July%202005.pdf

英国の原子力廃止措置機関(NDA)は、2005年8月11日に、戦略報告書ドラフトをウェブサイトで公表するとともに、一般からの意見募集及び公開協議を行うことを発表した。NDAによると、意見募集は2005年11月11日を期限としており、その後、戦略報告書ドラフトに対する政府の承認を2006年3月末までに得なければならないとしている。また、NDAは、寄せられた意見を斟酌し、NDAの戦略に反映するかもしくは反映しない場合にはその理由を説明すること、全ての意見とそれらに対するNDAの回答を記録し、ウェブサイトで公表するとしている。なお、NDAは、英国の公的部門における原子力遺産と称される過去の原子力債務についての管理を行う機関として、2005年4月1日から活動を開始している

原子力廃止措置機関(NDA)の戦略報告書ドラフトでは、NDAの戦略が以下の項目ごとに示されている。

  • 廃止措置及びサイトのクリーンアップ
  • 廃棄物管理
  • 商業施設の操業及び資産
  • 核物質管理
  • 競争原理の導入及び契約
  • 技能、研究・開発及び適正実施のための改革
  • 廃止措置及びクリーンアップのための資金確保
  • 社会・経済的発展

また、同戦略報告書ドラフトにおいて廃止措置及びサイトのクリーンアップに関しては、20の対象サイトの各々に対する廃止措置の戦略、スケジュール及び費用が詳細に示されている(既報を参照)。対象サイトの内、ドリッグ低レベル放射性廃棄物処分場については、170万m3の廃棄物が処分され、処分場が2050年に閉鎖された後、最終的には2150年にサイトが閉鎖される計画となっている。ドリッグ処分場の操業費を含むライフサイクル・コストの総額は、13億ポンド(約2,574億円)と見積られている。また、セラフィールドに関しては、セラフィールド再処理工場(THORP)の操業が2011年に終了し、2150年にサイトを閉鎖する計画となっている。セラフィールド・サイトの再処理工場及びMOX燃料加工工場の操業・廃止措置等を含むライフサイクル・コストの総額は、315億ポンド(約6兆2,370億円)と見積られている。(1ポンド198円として換算)

さらに、戦略報告書ドラフトでは、上記のそれぞれの項目に対して、主要な課題と原子力廃止措置機関(NDA)の方針を示している。以下では、廃棄物管理及び資金確保に関して示されている主要な課題とNDAの方針を示す。

<放射性廃棄物管理>
主要な課題 NDAの方針
高レベル放射性廃棄物(HLW) セラフィールドにおいて発生する多量の液体及びガラス固化されたHLWをどのように管理するか。 NDAは、契約者が規制機関による液体HLWの減量目標を満たすようにさせる。
中レベル放射性廃棄物(ILW) 最終管理方法が検討されているILWの中間貯蔵をどのように正当化すべきか。 政府が、ILWの長期管理に関する放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の勧告に関して早期に決定を下すように促す。 一方、潜在的な経済規模を考慮に入れ、集中及び分散型の中間貯蔵のオプションを評価する。
低レベル放射性廃棄物(LLW) 増加するLLWをどのように処分し、処分費用を減らすか。 ドリッグ処分場の将来的な受入能力は限られており、廃止措置等で発生する全ての廃棄物を受け入れることができない。 政府に対して、新たな、より柔軟性のあるLLW処分能力を用意することを検討するように促す。 2006年4月から、ドリッグ処分場とドーンレイに提案されているLLW処分場について、管理・操業に競争原理を導入する。 ドリッグ処分場以外のより良い解決方法があるかどうか検討する。
<資金確保>
主要な課題 NDAの方針
資金の必要性 2002年には、操業、廃止措置及びクリーンアップの費用見積りが480億ポンドであったが、2004年には560億ポンドに増加した。 2005年秋に将来に対する資金の必要性がどのようなものか明確にすると同時に、サイト間での資金の割り当てに関しても考慮する。このプロセスで決まった負担費用を10%削減する。
廃止措置及びクリーンアップのための資金 安全や環境を損なわずに、サイトの操業と廃止措置及びクリーンアップの間でバランスを取った支出をする。 実際の廃止措置及びクリーンアップのために、毎年少なくとも10億ポンドを使用するという目標を立てる。(実際に廃止措置及びクリーンアップ活動に使う資金を増やす。)
優先付け サイト内、サイト間での資金の割り当ての優先付けをする。 優先付けの過程でどのように資金を使うことが最適であるか決定する。

ブリテイッシュ・エナジー(BE)社は、同社の2005年8月11日付けのプレスリリースで、NDAの戦略報告書ドラフト及び公開協議に対して歓迎する意向を示すとともに、今後の公開協議に積極的に関与していくことを示している。

【出典】

  • 原子力廃止措置機関(NDA)のウェブサイト、http://www.nda.gov.uk/Our_Business–Strategy_-_Draft_for_Consultation_(782).aspx?pg=782
  • ブリテイッシュ・エナジー(BE)社、2005年8月11日付けのプレスリリースhttp://www.british-energy.co.uk/article.php?article=92

低中レベル放射性廃棄物の地層処分場の過去の候補リスト (出所:Nirex社ウェブサイトより引用)

2005年6月10日、英国のNirex社は、1980年代後半から1990年代前半にかけて、低中レベル放射性廃棄物の地層処分場の立地サイトとして同社が検討していた10の候補地リストを、選定プロセスの詳細を示した報告書とともに同社のウェブサイトで公開した。このサイト選定活動を含む低中レベル放射性廃棄物管理プログラムは、1997年にセラフィールドにおける岩盤特性調査施設(RCF)の建設が環境大臣によって否認されたことにより、凍結された。英国では、その後、2001年に政府による放射性廃棄物管理方針検討プログラムが新たに開始され、2003年には、放射性廃棄物の長期管理オプションを検討し、2006年に政府に勧告するための機関として、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)が設置されている(CoRWMの最新の検討状況はこちらを参照)。なお、Nirex社は、今後サイト選定が新たに実施される場合があったとしても、今回公表された過去の候補リストに基づいて、サイト選定プロセスが開始されることはないとしている。

Nirex社によって公開された地層処分場の過去の候補サイトは、ブラッドウェル、ポットン島、ドーンレイ、オルトナブリーク、フーディ、サンドレイ、キリングホルム、セラフィールド(2地点)、スタンフォードの10のサイト、2カ所の海洋底下処分(オフショアー)であった。なお、Nirex社は、この候補リストともに、当時のサイト選定活動をレビューした報告書も公開している。

今回のNirex社による過去の候補リストの公表は、2005年始めの情報公開法の施行を受けて、政府による同リストの情報公開方針の変更がなされ、Nirex社、政府、スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの各行政府との間においてなされた合意に基づいて行われている。なお、Nirex社は、原子力産業界のために放射性廃棄物処分施設の研究、開発、操業を行う機関として、1982年に設置され、1985年には株式会社化され、活動を実施していたが、2004年の政府による決定に基づいて、2005年4月1日から、原子力産業界から独立したものとなっている。また、現在のNirex社の役割は、放射性廃棄物の長期管理オプションの開発について政府を支援することとされている。

Nirex社のウェブサイトでは、英国の地方自治体協会(LGA)内にある原子力遺産諮問フォーラム(NuLeAF)による2005年6月10日のニュースリリースも公表されており、NuLeAFはNirex社による過去の候補リストの公開に対して歓迎の意を示している。また、同ニュースリリースにおいて、NuLeAFは、現在、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)によって行われている検討プロセスを支持するとともに、今回のリストにあった全ての関連自治体に対して、CoRWMの管理方針検討プロセスに参加することを勧告している。なお、CoRWMの役割は、政府への放射性廃棄物管理オプションの勧告までであり、サイト選定活動は実施しないものとされている。

【出典】

  • Nirex社の2005年4月4日のニュースリリース、http://www.nirex.co.uk/news/na50404.htm
  • Nirex社の2005年6月1日のニュースリリース、http://www.nirex.co.uk/news/na50601.htm
  • Nirex社の2005年6月10日のニュースリリース、http://www.nirex.co.uk/477002/index.html
  • Nirex社, Review of 1987-1991 Site Selection for an ILW/LLW Repository, June 2005、http://www.nirex.co.uk/477002/pdf/site_selection.pdf
  • Nuclear Legacy Advisory Forum(NuLeAF)の2005年6月10日付のニュースリリース、http://www.nirex.co.uk/477002/pdf/NuLeAF_press_release_on_site_list_v1.pdf

英国では、原子力遺産と称される公的部門における過去の原子力債務に関して、それらを管理する機関である原子力廃止措置機関(NDA)が2005年4月1日から活動を開始するとともに、NDAの管理対象となる英国核燃料公社(BNFL)及び英国原子力公社(UKAEA)の原子力施設については、廃止措置開始までの操業及び廃止措置に対する責任がNDAに移管されている。この移管により、BNFLが2004年に原子力施設の所有、管理、操業のための子会社として設立した英国原子力グループ(BNG)社は、NDAとの契約の下、NDAの管理対象施設の契約操業者となった。BNFLは、BNG社を始めとする子会社の企業統治や経営方針・戦略の策定などを行う持株会社となっている。また、BNG社はマグノックス・エレクリック社などの子会社を有している。

原子力廃止措置機関(NDA)は、2005年5月9日のニュースリリースにおいて、NDAが英国原子力グループ(BNG)社に操業を委託しているセラフィールド再処理工場(THORP)の清澄工程1 の配管が破損したため、同工場の操業を即座に停止したことを、BNGが2005年4月20日にNDAに伝えたことを公表した。翌日の2005年5月10日には、英国核燃料公社(BNFL)が、セラフィールド関連のウェブサイトにおいて、配管破損についてのプレスリリースを公表し、清澄工程において使用済燃料の溶解液の約83m3が配管から床に漏れたが、同工程部分は外部へ漏洩が生じないように密封され、閉じ込められた空間となっており、作業者、周辺地域、環境への影響はないことを示している。また、BNG社は、2005年5月27日のプレスリリースにおいて、この配管破損についてのBNG社による調査結果を公表し、破損理由は配管の金属疲労であること、破損場所の閉じ込め機能により、外部環境への溶解液の漏洩および人への影響がなかったことなどを示した。

原子力廃止措置機関(NDA)は、2005年6月2日のニュースリリースにおいて、2005年5月27日に英国原子力グループ(BNG)社がNDAに提示した配管破損についての調査結果と対応策について、今後十分に検討を行うとともに、安全規制機関である原子力施設検査官室(NII)からの検討結果を待っていることを公表した。同ニュースリリースによると、NDAは、現時点ではセラフィールド再処理工場(THORP)の将来についての決定は何も下しておらず、また最終的な決定は政府によってなされるとしている。

なお、日本の電気事業者は、BNFLと使用済燃料の再処理委託契約を結んでおり、契約に基づき、2001年6月までに、契約全量の使用済燃料が既にBNFLに輸送されている。また、2004年12月には、英国政府は、海外から受け入れた使用済燃料の再処理によって発生する中レベル放射性廃棄物について、高レベル放射性廃棄物と等価交換することを承認する決定を行っている

【出典】

  • 原子力廃止措置機関(NDA)のウェブサイト、http://www.nda.gov.uk/
  • 英国核燃料公社(BNFL)のウェブサイト、http://www.bnfl.com/
  • 英国原子力グループ会社(BNG)のウェブサイト、http://www.britishnucleargroup.com/
  • Preparing for Change in the BNFL Group、http://www.bnfl.co.uk/library/upload/docs/004/2587_1.pdf
  • 英国原子力廃止措置機関(NDA)の2005年5月9日付けのプレスリリース、 http://www.nda.gov.uk/default.aspx?pg=772
  • 英国核燃料公社(BNFL)のセラフィールド関連ウェブサイトの2005年5月10日付けのプレスリリース、 http://www.sellafield.com/content.php?pageID=79&newsID=1056
  • 英国核燃料公社(BNFL)の2005年5月27日付けのプレスリリース、 http://www.bnfl.co.uk/library/upload/docs/004/2574_1.doc
  • 原子力廃止措置機関(NDA)の2005年6月2日付けのプレスリリース、 http://www.nda.gov.uk/default.aspx?pg=775
  • 原子力白書(平成16年版)

  1. 再処理において、使用済燃料を溶解した際に、溶解せずに残っている固体粒子を溶解液から除去する工程。 []