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《英国》NDAが一般的な条件での処分システム・セーフティケースに対する規制機関のレビュー報告書への対応を公表

英国の原子力廃止措置機関(NDA)は、2012年6月29日付プレスリリースにおいて、一般的な条件での処分システム・セーフティケース(gDSSC1 )に対する規制機関による5つのレビュー勧告について、対応を取りまとめた報告書を公表した。

NDAの放射性廃棄物管理局(RWMD)は、2011年2月に、高レベル放射性廃棄物等の処分に係る輸送、操業及び環境に関する安全性を説明するものとして、一般的な条件での処分システム・セーフティケース(gDSSC)を公表していた。この「gDSSC」のレビューは、原子力規制局(ONR)とイングランドとウェールズの環境規制機関(EA)(以下、両者を合わせて「規制機関」という)が、NDA/RWMDとの自主的な協定のもと、RWMDの要請を受けて実施したものであり、規制機関がレビュー報告書を2011年12月に公表していた。レビュー結果については、処分システム・セーフティケースには規制要件を満たさなくなるような問題点は見当たらなかったとした上で、5つの事項が勧告されていた。NDA/RWMDは、今後NDA/RWMDが規制機関の要件に沿ってDSSCを開発していく上で、規制機関の勧告を役立てる意向を表明していた。

今回NDA/RWMDが取りまとめた報告書は、規制機関がレビュー報告書で勧告した5つの事項のそれぞれについて、NDA/RWMDの見解と取り組み、今後の対応を簡潔にまとめたものである。NDA/RWMDが取りまとめた報告書においてNDA/RWMDは、将来の活動に規制機関の勧告がどのような影響を与えるのか議論し合意するため、規制機関とさらに協力を続けたいとの意向を表明している。

規制機関が示した5つの勧告に対するNDA/RWMDの対応の概要は下表に示すとおりである。

規制機関による勧告 放射性廃棄物管理局(RWMD)の対応
1. 「gDSSC」を今後どのように活用していくかを説明し、DSSCをサイト固有なものへと発展させるかを示したルートマップを作成すべきである。 「gDSSC」は、広範囲の地質条件及び処分概念を取り扱ったものであるため、サイト固有のセーフティケースの基礎として活用し、サイト選定の進捗に伴い、開発を行う考えである。
2. 「gDSSC」を構成する複数の文書を通して見た場合、多くの繰り返しや重複が見られる。RWMDは、様々な読者のニーズに対応しつつ、文書の構成が確たるものとしてセーフティケースを作成できるように、バランスを検討すべきである。 「gDSSC」を改訂する際に、文書の提示方法、様々な読者のニーズに対するバランスの取り方、重複の低減方法について、規制機関や他のステークホルダーの意見を得た上で、慎重に検討する。
3. 幅広い読者が合理的にセーフティケースを利用できるように努力を続けるべきである。 3つのセーフティケースのメインレポートに対して、専門用語を多用しない概要版や総括ダイアグラムを作成することは、読者の文書へのアクセスの改善につながるため、将来的にこれらを作成するつもりである。
4. セーフティケースの構成及び文書の変更管理を行う方法を明確化すべきである。 文書の変更管理手順が「gDSSC」に対して適切であるよう手順のレビューを実施しており、特に効率性を向上させる方法を検討している。改訂版の文書変更管理手順を2012年中に策定し導入する予定である。今後も放射性廃棄物の安全な管理プログラムの各段階の目的に適うような手続きのレビューを継続する。
5. 「gDSSC」の今後の改訂において、廃棄物インベントリの不確実性について、より詳細な調査をすべきである。 2013年の放射性廃棄物インベントリ2の改訂に向け、サイトの操業者と協力して不確実性について調査する。改訂されたインベントリ等への対応として、ベースラインインベントリと最大インベントリがどのように変化するか、政府と協議の上で決定する。

【出典】

  1. gDSSC: generic Disposal System Safety Case []
  2. 英国では、放射性廃棄物のインベントリを3年ごとに改訂しており、現在の最新のものは2010年のインベントリで2011年3月に公表されている。 []

(post by f-yamada , last modified: 2023-10-11 )