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米国

米国で2018会計年度1 の大統領予算教書に係る予算方針を示した文書(以下「予算方針文書」という。)が、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表され、エネルギー省(DOE)の予算として、ユッカマウンテン処分場に係る許認可活動の再開及び中間貯蔵プログラムの開始のために1億2,000万ドル(約125億円、1ドル=104円で換算)が計上されている。ユッカマウンテン処分場の許認可手続については、2013年8月13日の連邦控訴裁判所の判決 により原子力規制委員会(NRC)における許認可申請書の審査の再開が命じられたものの、連邦議会はNRCによる許認可手続の予算を計上せず、過年度の残予算の範囲内で安全審査等の活動が実施されたが、許認可発給のための裁判形式の裁決手続は再開されていなかった

2018会計年度の予算方針文書では、これらの投資は、放射性廃棄物に対する連邦政府の義務の履行を加速し、国家安全保障を強化し、将来の税負担を軽減するものとしている。なお、今回公表された予算方針文書では、主な省庁のみが対象とされており、原子力規制委員会(NRC)の予算は示されていない。DOE全体の予算については、約5.6%の削減要求となっている。また、大統領府予算管理局(OMB)からは、2017会計年度の予算において軍事費を増額して他の一般歳出を削減する修正要求も公表されているが、軍事費以外の詳細については示されていない。

予算方針文書の公表についてDOEは、エネルギー長官の声明がニュースリリースとして公表されているが、放射性廃棄物関連を含め、具体的な内容についての言及はない。また、連邦議会上下両院の歳出委員会の委員長からもプレスリリースが出されているが、予算要求の内容についての具体的な言及はない。

ユッカマウンテン計画に反対するネバダ州選出の連邦議会議員からは、ユッカマウンテン関連の予算が要求されたことを非難するプレスリリースが出されている。一方、原子力エネルギー協会(NEI)は、DOEの研究開発費の削減には懸念を示しながらも、ユッカマウンテン処分場の許認可活動の再開と中間貯蔵プログラムの両者に予算要求が行われたことについて歓迎することを趣旨とするニュースリリースを出している。

なお、テキサス州は2017年3月14日に、連邦政府は1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)に定められた高レベル放射性廃棄物処分に係る義務を果たしておらず、同意に基づくサイト選定プロセスの取組などは同法に違反しているなどとして、連邦政府を相手取った訴訟を起こしている。テキサス州の訴状では、違法性の確認などとともに、DOE及びNRCがユッカマウンテン処分場に係る許認可手続の予算を要求すること、許認可申請書の審査の再開を命じることを旨とする判決が出されることを求めている。

【出典】

 

【2017年3月22日追記】

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会及び同環境小委員会の委員長は、連名での2017年3月20日付け書簡において、今回就任したエネルギー長官に対して、大統領予算教書に係る予算方針においてユッカマウンテン処分場の許認可手続再開のための予算が含められていることを評価する旨を表明した。また、エネルギー省(DOE)の放射性廃棄物管理政策について、以下の事項を要請した。

  • 法律で要求されているOCRWMの再設置
    1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)(以下「放射性廃棄物政策法」という。)では、エネルギー長官に対して直接的に責任を負う民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)について、同法による高レベル放射性廃棄物処分プログラムの実施に係る組織として設置する旨が規定されており、放射性廃棄物管理政策の実施には専門的に設置された機関が必要である。
  • 軍事起源廃棄物の独立した処分に係る2015年決定の見直し
    軍事起源の高レベル放射性廃棄物 (以下「軍事起源廃棄物」という。)の処分については、1985年の大統領決定を受けて、既に37億ドル(約3,800億円、1ドル=104円で換算)の税金を使用してユッカマウンテン処分場の開発を行ってきており、軍事起源廃棄物の独立した処分場を開発するのであれば、2015年決定の基となった費用・スケジュールの再評価が必要である。
  • ネバダ州及びナイ郡への資金提供
    放射性廃棄物政策法は、処分場により影響を受ける地方政府の技術的活動を支援するための資金提供を認めており、ネバダ州のステークホルダーとの建設的対話構築の一歩として資金提供を行うことが望ましい。
  • 放射性廃棄物政策法の修正に向けた協働
    DOEが使用済燃料の中間貯蔵施設の開発が必要とするのであれば、処分場での処分という確立された放射性廃棄物管理政策と抵触しない形でプログラムが推進できるよう、放射性廃棄物政策法の修正のために協力することを期待する。
  • 放射性廃棄物基金からの支出の月次報告
    2013年8月13日の連邦控訴裁判所の判決 以降、DOEの放射性廃棄物処分勘定の残高及び支出対象活動の説明に係る月次報告書を要求しており、今後も同様に、放射性廃棄物基金からの支出の詳細な報告を継続するよう要求する。

なお、下院エネルギー・商務委員会では、連邦議会議員とともにユッカマウンテンの視察を計画しており、本書簡ではエネルギー長官の視察参加も呼び掛けている。

【出典】

 

【2017年3月29日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2017年3月27日付のニュースリリースにおいて、ペリー・エネルギー長官がネバダ州のユッカマウンテン処分場予定地を視察し、その後、ネバダ州知事と会談したことについて、エネルギー長官の声明を公表した。この中でエネルギー長官は、大統領は2018会計年度の予算においてユッカマウンテン許認可手続の再開のために1億2,000万ドルを要求しており、今回のネバダ州知事との会談は、様々な連邦、州及び民間のステークホルダーとの対話を含むプロセスの第一歩であるとしている。

公表されたエネルギー長官の声明では、ネバダ州知事とは率直で生産的な対話が行われたこと、ネバダ州知事はエネルギー長官の訪問を評価しつつも、ユッカマウンテン計画への反対を改めて表明したことを伝えている。エネルギー長官は、ネバダ州知事に対し、以前から親交があるネバダ州知事と今後も様々な問題について協議を続けていくこと、ネバダ州が米国の核・軍事産業に果たしてきた貢献への感謝とともに、今後も使用済燃料管理において重要な役割を維持し続ける必要性などを伝え、冷戦初期から米国の安全保障に貢献してきたネバダ州が、今後も主導的な役割を維持することへの期待を示したとしている。

これに対してネバダ州知事は、2017年3月27日付のプレスリリースを発出しており、ネバダ州は連邦政府機関と様々な問題で協力してきているが、ユッカマウンテンにおける処分問題は考慮する意思のない問題であるとして、今回のエネルギー長官との会談はユッカマウンテンに関する交渉の開始ではないことを表明している。また、ネバダ州選出の連邦議会議員数名も、2017年3月27日付のプレスリリースを発出しており、ユッカマウンテン計画には反対する立場を改めて表明している。

 

【出典】

 

【2017年3月31日追記】

米国のネバダ州知事は、2017年3月29日のプレスリリースにおいて、エネルギー長官との会談の後、ユッカマウンテン計画への反対を継続するために州が取るべき行動について、ネバダ州原子力プロジェクト室と協議したことを公表した。本プレスリリースの中で知事は、自身がネバダ州司法長官であった当時にユッカマウンテン問題の訴訟を提起したことなどを示した上で、ネバダ州における高レベル放射性廃棄物処分に係る連邦政府のいかなる取組みに対しても、訴訟を含む手段を尽くして反対することの他、ユッカマウンテン計画を復活させる動きを見直すよう政権に要求し続けることなどを表明している。

【出典】

 

【2017年4月18日追記】

米国のネバダ州知事は、2017年4月13日のプレスリリースにおいて、テキサス州がエネルギー省(DOE)及び原子力規制委員会(NRC)を相手取って、ユッカマウンテン処分場の許認可手続に係る予算を要求することなどを求めた2017年3月14日の訴訟について、訴訟参加の申立てを第5巡回区連邦控訴裁判所に提出したことを公表した。

ネバダ州知事はプレスリリースの中で、テキサス州の訴訟は、ユッカマウンテン計画に反対するネバダ州の力量を著しく削ぐものであるなどとしている。また、ネバダ州知事は、今回のネバダ州の申立ては、今後数週間、数カ月における一連の行動の一歩に過ぎないとしている。

この他、ユッカマウンテン計画に反対するネバダ州の動きとしては、ネバダ州選出のヘラー上院議員も、連邦議会上院歳出委員会の幹部議員に対して、ユッカマウンテン計画に対する予算計上を行わないように求める書簡を提出している。

なお、テキサス州による連邦政府に対する訴訟については、原子力エネルギー協会(NEI)及び原子力事業者7社が2017年4月5日に訴訟参加の申立てを行っている。これは、テキサス州の訴訟において、DOEとの契約に基づいて原子力発電事業者が拠出した放射性廃棄物基金について、処分場開発のために使用されていない状況に関連した救済請求の一部に、不当利得返還などの放射性廃棄物基金の制度破綻に繋がる項目が含まれている点について申立てを行ったものである。

【出典】

 

【2017年6月15日追記】

米国のネバダ州知事は、2017年6月14日付けのプレスリリースにおいて、エネルギー省(DOE)と原子力規制委員会(NRC)とに対してユッカマウンテン処分場の許認可手続に係る予算を要求することなどを求める2017年3月14日のテキサス州による訴訟について、訴訟却下の申立書を第5巡回区連邦控訴裁判所に提出したことを公表した。ネバダ州は、2017年4月12日に本訴訟への参加を求める申立てを行っており、第5巡回区連邦控訴裁判所は2017年5月19日に、これを認める決定を行っていた。

ネバダ州が2017年6月12日に提出した訴訟却下の申立書では、以下に示す理由から、テキサス州による訴えは却下されるべきであるとしている。

  • テキサス州の請求内容は、認められる可能性がない他、第5巡回区連邦控訴裁判所は本件の管轄権を有していない。
  • 予算に関するテキサス州の要求は、司法判断に適さない政治的な問題である。
  • 仮処分を必要とするような現状変更の理由がない。

ネバダ州知事はプレスリリースの中で、テキサス州の訴訟はユッカマウンテン処分場に係る許認可申請に関して、NRCの審査手続の短縮などを求めているが、仮に現政権や連邦議会がユッカマウンテン処分場計画を再開する場合には、NRCの審査手続におけるネバダ州の適正な手続の権利を断固として守り抜くとしている。なお、ネバダ州知事は、訴訟、NRCの審査手続及び法改正を通して、ユッカマウンテン計画に反対するための計画を策定済みであり、テキサス州による訴訟に対する訴訟却下の申立ては、計画された法的闘争の第一歩に過ぎないことを改めて表明している。

【出典】

 

【2018年6月4日追記】

米国の第5巡回区連邦控訴裁判所は2018年6月1日に、連邦政府は1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)に定められた高レベル放射性廃棄物処分に係る義務を果たしておらず、同意に基づくサイト選定プロセスの取組などは同法に違反しているとして、エネルギー省(DOE)及び原子力規制委員会(NRC)に対してユッカマウンテン処分場の許認可手続に係る予算を要求することなどを求めた2017年3月14日のテキサス州の訴訟について、ネバダ州の訴訟却下の申立てを認め、テキサス州の申立てを却下する決定を行った。

第5巡回区連邦控訴裁判所の決定文書では、テキサス州が違法などとした連邦政府の行為について、DOEによる同意に基づくサイト選定プロセスの取組はDOEの最終決定行為ではないこと、連邦控訴裁判所が第一審となり得るオバマ前政権の決定行為は数年前に行われたものであり、既に訴訟開始の最終期限の180日を過ぎていることなどを示した上で、テキサス州の申立ては適時性(timeliness)や終局性(finality)の訴訟要件を満たしていないために却下されるとしている。

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2018会計年度の予算は2017年10月1日からの1年間に対するものである。 []

米国のエネルギー省(DOE)環境管理局(EM)は、2017年1月17日のニュースリリースにおいて、軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)の操業再開の式典が、エネルギー長官、ニューメキシコ州知事等が列席して2017年1月9日に開催されたことを公表した。WIPPは、2014年2月に発生した火災事故及び放射線事象により操業が停止されていたが、2016年12月23日に操業再開が決定され、操業再開後の初めてのTRU廃棄物の定置が2017年1月4日に行われていた

エネルギー省(DOE)環境管理局(EM)の2017年1月17日のニュースリリースでは、WIPPの操業再開について、WIPPを監督するDOEカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)から、以下のような情報が示されている。

  • 操業再開に際しては、DOEの事故調査委員会(AIB)の指摘、ニューメキシコ州環境省(NMED)や国防核施設安全委員会(DNFSB)、環境保護庁(EPA)、労働省鉱山安全保健管理局等の詳細な監督を受けて、多くの改善が行われた。
  • 火災事故の影響による電力供給の回復、安全管理プログラムの改善、施設・装備等の強化、岩盤管理(ground control)、除染など、復旧活動は複雑であり、35カ月という長期を要した。
  • 作業環境が放射能で汚染された環境へ変化するとともに、天井や壁のロックボルト打設などの岩盤管理作業が特に困難な課題となった。
  • 放射能汚染区域は処分施設南側区域の早期閉鎖で約6割が減少したほか、岩塩による放射性核種の吸収等で表面汚染は減少を続けているが、第7パネルが閉鎖されるまで放射能汚染区域は残る見込みである。
  • 廃棄物受入れは徐々に頻度を上げて、2017年後半には週5回程度の受入れを見込んでいるが、以前と同じペースでの廃棄物受入れには、2021年以降に完成予定の新たな排気立坑等による換気能力の強化が必要である。
  • TRU廃棄物の各DOEサイトからの輸送は、2017年春頃の再開を見込んでおり、詳細な予定を策定中である。
  • 放射能汚染された地下施設での復旧作業では、防護服等の着用により、最大75%も作業効率が低下したが、作業員の努力により復旧を達成できた。

【出典】

 

【2017年4月12日追記】

米国のエネルギー省(DOE)環境管理局(EM)は、2017年4月10日のニュースリリースにおいて、軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について、2017年1月4日に操業を再開してから初めてとなるTRU廃棄物の受入れを行ったことを公表した。DOEカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)のWIPP復旧情報のウェブサイトにおいても、同様な内容を伝えるWIPP更新情報が掲載され、廃棄物受入れの様子を伝えるビデオも公表されている。

今回受入れが行われたTRU廃棄物は、アイダホ国立研究所(INL)から搬入されたものであり、DOEは、2014年2月の火災事故及び放射線事象でWIPPの操業が停止されてからTRU廃棄物の貯蔵を余儀なくされていた各DOEサイトにとっても、WIPP自身にとっても、重要なマイルストーンであるとしている。WIPPにおけるTRU廃棄物の受入れは、当初は週2回のペースで行われ、2017年末までには週4回のペースに増加する予定とされている。

なお、DOEカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)は、今回のTRU廃棄物輸送の再開に向けて、各DOEサイトからWIPPまでの輸送経路及びWIPP近傍において、実際の廃棄物輸送容器の展示や説明を行う「ロードショー」を実施していた。

【出典】

 

【2020年1月23日追記】

米国のエネルギー省(DOE)環境管理局(EM)は、2020年1月14日付けのニュース記事において、軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について、操業停止後の6年間で初めて大型輸送容器であるTRUPACT-IIIの受入れを行ったことを公表した。今回受入れたTRU廃棄物は、DOEのサバンナリバーサイト(SRS)から搬出されたものであり、TRUPACT-III輸送容器を使用することにより、DOE環境管理局(EM)が管轄する廃棄物発生サイトにおいては、大型のTRU廃棄物を切断等せずにそのまま梱包・輸送できるようになり、各DOEサイトでのクリーンナップ活動が加速化されるとしている。

大型のTRU廃棄物には、汚染されたグローブボックス、モーター、大型分析機器などが含まれている。TRUPACT-III輸送容器は、幅8.2フィート(約2.5メートル)、高さ8.7フィート(約2.7メートル)、長さが14フィート(約4.3メートル)の直方体で、廃棄物を含めた最大重量は55,116ポンド(約25トン)となり、専用に設計されたトレーラーで運搬される。TRUPACT-III輸送容器での輸送時には、処分される廃棄物は専用の標準大型容器(SLB2:Standard Large Box 2)に封入され、WIPPの処分室でSLB2が廃棄体としてそのまま定置される。

TRUPACT-III輸送容器は標準大型容器(SLB2)を輸送するために設計されている

TRUPACT-III輸送容器から取り出された標準大型容器(SLB2)

標準大型容器(SLB2)は廃棄体としてWIPPの処分室に定置される

 

TRUPACT-III輸送容器によるTRU廃棄物の輸送は、WIPPが操業を開始してから12年後となる2011年に開始されたが、2014年2月の火災事故及び放射線事象でWIPPの操業が停止されたことにより中断していた。今回のTRUPACT-III輸送容器による輸送の再開に当たっては、搬出元のサバンナリバーサイト(SRS)とWIPPの双方において、チームの再訓練、再認証が行われたほか、6年前に使用されていた機器の点検、修理などが行われた。

なお、WIPPへのTRU廃棄物の輸送物は、衛星を利用したDOEの輸送追跡・通信システムを使用して、リアルタイムでの追跡などが行われている。

【出典】

 

【2020年8月4日追記】

米国のエネルギー省(DOEカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)は、2020730日付けのニュース記事で、軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)において、サンディア国立研究所(SNL)からのTRU廃棄物の受入れを行ったことを公表した。今回受け入れたTRU廃棄物は、「遠隔ハンドリングが必要なTRU廃棄物」(RH廃棄物)であり、遮蔽容器アセンブリ(Shielded Container Assembly, SCA)と呼ばれる容器に梱包されて輸送された。SNLからのTRU廃棄物の受入れは過去10回にわたって行われたが、今回の廃棄物受入れは2012年以来となる。

HalfPACT輸送容器による輸送

今回のTRU廃棄物の輸送に使用された遮蔽容器アセンブリ(SCA)は、鉛遮蔽ライナー付きドラム容器であり、比較的線量の低いRH廃棄物について、「直接ハンドリングが可能なTRU廃棄物」(CH廃棄物)を輸送容器に収納した場合と同様に輸送基準が満足できるような遮蔽能力を有している。SCAは、空の状態で約1,700ポンド(約770kg)あり、80,000ポンド(約36トン)という運輸省(DOT)の重量制限に適合するよう、HalfPACT輸送容器で輸送された。なお、今回のSNLから輸送されたTRU廃棄物は、CH廃棄物と同様の方式で輸送・処分されるが、処分実績上の区分はRH廃棄物として扱われる。

 

遮蔽容器アセンブリ(SCA)の構造

遮蔽容器アセンブリ(SCA)は3本パックで輸送され、廃棄体として処分される

WIPP処分室における遮蔽容器アセンブリ(SCA)廃棄体の定置イメージ

なお、WIPPでは、RH廃棄物はRH-72Bと呼ばれる輸送容器(キャスク)で輸送され、処分室の壁面に掘削された水平処分孔に定置する形で処分が行われてきた。しかし、2014年2月の放射線事象の後は、水平処分孔掘削による処分室内汚染への懸念から、RH-72BキャスクによるRH廃棄物の輸送は中止されていた。2025年と想定されている新換気システム及び新たな立坑の完成までは、RH廃棄物用の水平処分孔の掘削を行う計画はないものとされ、DOEは新しいタイプの遮蔽容器を開発している。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、2017年1月12日に、「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の集中貯蔵・処分施設のための同意に基づくサイト選定プロセス案」(以下「サイト選定プロセス案」という)を公表するとともに、2017年4月14日までコメントの募集を行うことを2017年1月13日付の連邦官報の告示文書に記載した。DOEは、2016年12月に、同意に基づくサイト選定イニシアティブを開始しており、本サイト選定プロセス案は、全米8カ所でのパブリックミーティングや意見募集で収集した意見、及び「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」の最終報告書・勧告などを反映し、同意に基づくサイト選定プロセスの実施のための具体的なステップや設計原則について、DOEの考え方を示したものとされている。本サイト選定プロセス案については、2016年9月15日に開催された意見集約ミーティングにおいて、2016年内に発行する予定が示されていた。

今回公表されたサイト選定プロセス案では、安全性などに加えて、公正・公平、十分な情報を得ながらの参加、立地地域への便益、任意参加/撤退の権利、透明性、段階的・協調的意思決定など、サイト選定プロセスを設計する際の原則を示した上で、具体的なサイト選定の段階が、下表のように示されている。なお、以下で示される「コミュニティ」は、直接の立地コミュニティのみならず、サイト選定プロセスで重要な役割を担う州や地方政府、地域選出の連邦議会議員や先住民族政府等も含むものとされている。

フェーズI 同意に基づくサイト選定プロセスを開始し、より多くを学ぶためのコミュニティへの参加要請
ステップ1 実施主体が法律上の権限と予算を取得
ステップ2 実施主体が同意に基づくサイト選定プロセスを開始
ステップ3 コミュニティがより多くを学ぶための資金供与プログラムを実施主体が開始
ステップ4 学びたいコミュニティが資金供与プログラムに関心を表明
ステップ5 実施主体が申請書を評価して資金供与コミュニティを決定
ステップ6 コミュニティが予備的サイト評価を要求
フェーズII サイト評価
ステップ7 実施主体が予備的サイト評価を実施(わが国の「概要調査」に相当)
ステップ8 コミュニティが詳細サイト評価を要求
フェーズIII 詳細評価
ステップ9 実施主体が詳細サイト評価を実施(わが国の「詳細調査」に相当)
ステップ10 適合サイトのあるコミュニティが受入意向の可能性を決定
フェーズIV 合意
ステップ11 コミュニティがさらに進むための条件を提示
ステップ12 コミュニティと実施主体が協定について交渉・承認
ステップ13 コミュニティと実施主体が協定を締結(ここまで、コミュニティは撤退の権利を有する)
フェーズV 許認可、建設、操業、閉鎖
ステップ14 施設の許認可
ステップ15 施設の建設・操業
ステップ16 施設の閉鎖・廃止措置
ステップ17 閉鎖後もサイトを監視し、コミュニケーションを維持

今回公表されたサイト選定プロセス案の報告書では、サイト選定プロセスにおける考慮事項についても案が示されている。サイト選定プロセスの初期段階においては、大枠の除外要件が示されるとした上で、詳細なサイト評価段階においては、以下を含むサイト選定要件項目について、評価に必要な情報が取得されるとしている。

  • サイト周辺の人口
  • 土地の広さ
  • 地震動及び大規模断層
  • 鉱山活動など人工的な地震の誘発
  • 地表面の断層
  • 流動化など地盤動に繋がり得る土壌・母岩条件
  • 地耐力
  • 洪水の影響
  • 施設設計や操業安全に影響する自然現象
  • サイト及び設計に影響し得る地域産業
  • 輸送インフラへの近接

また、地層処分場の詳細なサイト評価段階については、さらに、水文地質学、地球化学、母岩特性、侵食、溶解、地質構造、人間侵入の可能性などのサイト選定要件項目が必要になるとしている。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)カールスバッド・フィールド事務所(CBFO)は、2016年12月23日の更新情報において、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)におけるTRU廃棄物の処分について、操業再開をDOEが承認したことを公表した。WIPPでは、火災事故及び放射線事象が2014年2月に発生して以来、現在まで操業が停止されている。操業再開後の初めての廃棄物の定置は、坑道の岩盤管理(ground control)などの準備作業が終了した後、2017年1月初めに実施の見込みとされている。

現在、WIPPの廃棄物取扱建屋に保管されているTRU廃棄物を地下に移送するために必要とされる活動は、すべての審査を受けて検証が完了しており、廃棄物定置の公式の再開日は、坑道床面の平準化などの第7処分パネルで必要とされる軽微な準備作業の完了後に決定するとしている。

今回のDOEの決定は、DOEの操業準備審査(DORR)で指摘された操業開始前段階での是正活動について、すべて完了・検証されたことを確認するものとなる。2016年12月23日のWIPP更新情報では、独立の審査や監督規制組織による報告書として以下が示されている。

  • DOEの操業準備審査(DORR)(http://www.wipp.energy.gov/Special/WIPP_DORR_Final_Report.pdf)
    DOEの操業準備審査チームによる評価であり、緊急時対応、廃棄物受入れ、火災防護などの機能的領域、及びDOEカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)の監督能力などが評価された。操業準備審査での指摘事項への対応として、操業開始前に対応が必要とされた21項目の完了が確認され、操業開始後に廃棄物定置活動と並行して対応が可能とされた15項目の是正活動計画が承認された。
  • 契約者操業準備審査(CORR)(http://www.wipp.energy.gov/Special/WIPP_CORR_Final_Report.pdf)
    契約者操業準備審査では、「直接ハンドリングが可能なTRU廃棄物」(CH廃棄物)の定置作業に係るすべての側面を対象として、管理・操業契約者の準備状況に対する独立的な評価がDOEに提供された。初動対応を含む緊急時対応や訓練、調達管理など7項目が操業開始前に必要とされたほか、放射線管理など5項目の操業開始後の対応事項が指摘された。
  • 国家環境政策法(NEPA)補足分析(http://www.wipp.energy.gov/Special/Supplemental_Analysis.pdf)
    DOEは、2016年12月21日に最終版とした補足環境影響評価書(SEIS)に対する補足分析において、WIPPへの廃棄物の輸送とWIPPにおける処分の再開・継続は、WIPP操業開始時の補足環境影響評価書(SEIS)や2009年の補足分析に対して重大な変更を行うものではなく、新たに重大な環境上の懸念等もないとして、さらなる国家環境政策法(NEPA)文書の策定は不要と決定した。
  • 鉱山安全保健管理局―技術支援評価(http://www.wipp.energy.gov/Special/MSHA_Technical_Support_Evaluation.pdf)
    労働省鉱山安全保健管理局がDOEカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)らの依頼を受けて行った評価であり、地下における換気の制約や防護服着用による生産性低下等の課題が認識されたが、違反等の指摘はなかった。
  • WIPPサイト事象の独立レビューチーム(WSIR)―ニューメキシコ鉱山技術大学(http://www.nmt.edu/images/stories/WSIIRFINALReport2016.pdf)
    DOEの要請によりニューメキシコ鉱山技術大学の科学者らが独立の評価を行ったものであり、DOEの事故調査委員会(AIB)や技術評価チーム、ロスアラモス国立研究所等のレポートが評価された。

また、WIPPでの有害廃棄物処分に係る規制機関であるニューメキシコ州環境省(NMED)は、2016年12月16日に、WIPPの有害廃棄物の許可条件及び是正活動について検査を行った結果として、WIPPにおける通常の操業状態への復帰を承認することを通知している。

なお、WIPPの操業再開時期については、2014年9月公表の復旧計画では2016年第1四半期とされていたが、その後、2016年末へと変更されていた。

【出典】

 

【2017年1月6日追記(エネルギー省(DOE)プレスリリース(2017年1月9日)の追加)】

米国のニューメキシコ州環境省(NMED)は、2017年1月4日に廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)が操業を再開したこと、操業が停止されてから初めてのTRU廃棄物の定置が行われたことなどを公表した。WIPPは、ニューメキシコ州カールスバッド近郊でエネルギー省(DOE)カールスバッド事務所(CBFO)が1999年3月26日から操業を行ってきた軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場であるが、2014年2月に発生した火災事故及び放射線事象により操業が停止されてきた。WIPPでの操業再開については、2016年12月23日に、DOEが管理・操業契約者(M&O)による操業再開を承認していた。

ニューメキシコ州環境省(NMED)は、2014年2月の火災事故及び放射線事象の発生以来、包括的な調査を実施し、DOEの責任を明確にするとともに、指定した是正活動の実施を監督してきたことが、今回の操業再開に繋がったとしている。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年12月16日に、軍事起源の高レベル放射性廃棄物の独立した処分場の計画案を示す報告書を公表するとともに、2016年12月19日付の連邦官報において、2017年3月20日までコメントの募集を行うことを告示した。DOEは、核兵器開発等で発生した高レベル放射性廃棄物や海軍の船舶炉の使用済燃料を保有しており、今回公表された報告書は、これら軍事起源廃棄物の専用処分場の計画案を示すものである。

DOEは、核兵器開発に伴う高レベル放射性廃棄物は米国で新たに発生しておらず、民間の使用済燃料と比較して廃棄物量が限定されて発熱量も小さいことから、軍事起源の高レベル放射性廃棄物の処分場は、民間使用済燃料と共同の処分場よりも立地・建設計画の単純化が可能であり、より早期に開発できるとしている。DOEは、全米各地のDOEサイトで保管されている軍事起源廃棄物の撤去及び処分に責任を有しており、専用処分場の開発のために必要な活動について検討してきた。DOEは、軍事起源廃棄物の専用処分場を同意に基づくサイト選定プロセスで開発することにより、今後の米国の全体的な放射性廃棄物戦略に重要な経験をもたらすとしており、軍事起源廃棄物の専用処分場の計画案についてのコメントを募集することが適切としている。

軍事起源廃棄物について独立した専用処分場を開発する方針は、2015年3月に大統領覚書により示されていた。軍事起源廃棄物の処分について、1982年放射性廃棄物政策法第8条においては、費用対効果、保健及び安全、規制、輸送、社会的受容性及び国家安全保障に関連する要因を評価し、軍事起源の高レベル放射性廃棄物の処分場の開発が必要であると大統領が判断した場合、民間から独立した処分場を計画することができると規定されている。2015年3月の大統領の判断は、本法に沿った検討・評価と位置付けられる。

今回公表された報告書では、軍事起源廃棄物の専用処分場の開発に係る法的権限と規制枠組みを示した上で、計画、戦略、計画で必要とされる様々な活動などが示されている。軍事起源廃棄物の専用処分場の開発は、段階的なアプローチで進めるものとされ、同意に基づくサイト選定プロセスを構築した後、16年後には処分場の建設を開始し、23年後には操業を開始する予備的なスケジュール案が示されている。費用については、一例として30億ドル(3,600億円)の概算も示されているが、より信頼できる想定を行うためには、立地地点、地質環境、廃棄物量等の確定が必要としている。

【出典】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2016年11月8日に、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の安全審査に関連して、新たな知見を取りまとめるための「ナレッジマネジメント報告書」の策定を行うことを決定した。NRCによる許認可申請書の安全審査については、2013年8月13日の連邦控訴裁判所の判決 を受け、過年度の歳出予算の未使用残高の範囲内で安全審査等の活動が実施され、安全性評価報告(SER)の策定、補足環境影響評価書(SEIS)の策定、許認可支援ネットワーク(LSN) (詳細はこちら) への登録文書の公開作業などが行われてきた。今回のNRCの決定は、2015年2月3日の指示文書で指定された活動が2016年末で終了することから、未使用残高として見込まれる約127万ドル(約1億5,200万円)の使途についてNRCが検討し、NRCの委員会が承認したものである。

未使用の残予算で今後の策定が決定したナレッジマネジメント報告書では、2011年にユッカマウンテン処分場に係る安全審査活動が停止された際に策定されたナレッジマネジメント報告書について、その後の新たな知見などを反映した更新が行われる。ナレッジマネジメント報告書で取りまとめる対象項目は以下が示されており、約9カ月の期間と約70万ドル(約8,400万円)の費用が想定されている。

閉鎖前・閉鎖後の安全評価

  • 不飽和帯の地層処分場における人工バリア性能への腐食科学の新たな知見の適用
  • 処分場の地上施設建屋の地盤工学的安定性の評価
  • 地震フラジリティ曲線(SFC、seismic fragility curve)計算手法の評価
  • 処分場の地上・地下施設の解析への地震動情報の適用

気候と水文学

  • 浸透と地下水流動に係る気候モデルへの取組及び気象データの更新
  • 飽和帯における地下水流動の特性調査・モデル化
  • 地層処分場の性能確認のための独立した地下水流動モデルツールの情報管理
  • 不飽和帯の亀裂性岩盤や熱環境のモニタリング方法及びセンサーの現在の性能(リモートセンサーを含む)

【出典】

 

【2017年8月10日追記】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2017年8月8日に、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の安全審査に関連して、実施を停止していた裁判形式の裁決手続の開始に関連する情報収集活動を行うことを決定した。今回の情報収集活動を実施することにより、高レベル放射性廃棄物処分に係る2018会計年度の歳出予算の執行に対して、効果的に、かつ、情報に基づいた決定を行うことに寄与するとしている。

具体的な情報収集活動としては、許認可支援ネットワークの諮問レビューパネル(LSNARP)のバーチャル会議を1回開催して、情報を提供するとともに、パネル及び一般からの許認可支援ネットワーク(LSN)、または、適切な代替システムに関する意見を聴取することが考えられている。なお、バーチャル会議の開催のための準備とともに、トレーニングを実施することが想定されている。

また、許認可審査の一環として実施される裁判形式の裁決手続については、ネバダ州でのヒアリング開催の可能性のある場所の調査、ネバダ州のヒアリング施設の購入の可能性を調達局との協議を含めた市場調査を行うとしている。

2017年6月30日現在で、過年度の歳出予算の未使用残高は634,000ドル(約7,160万円、1ドル=113円で換算)となっており、今回の情報収集活動では、このうち、110,000ドル(約1,240万円)を上限として使用することとなっている。

【出典】

 

【2018年10月17日追記】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2018年10月15日に、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の安全審査について、これまでの活動を経た残予算に関する今後の方針を決定した。NRCによる許認可申請書の安全審査については、2013年8月13日の連邦控訴裁判所の判決   を受け、過年度の歳出予算の未使用残高の範囲内での安全性評価報告(SER)の策定などが実施されるとともに、2017年8月8日には、実施を停止していた裁判形式の裁決手続の開始に関連する情報収集活動を行うことも決定されていた。

NRCスタッフ及び原子力安全許認可委員会パネル(ASLBP)は、2018年8月16日に、情報収集活動の一環として実施されていた許認可支援ネットワーク (詳細はこちら) の諮問レビューパネル(LSNARP)によるバーチャル会議開催やトレーニングの実施、ネバダ州におけるヒアリング施設の市場調査等の実施結果を報告するとともに、未使用の残予算で実施する今後の活動方針について以下の2点を提案していた。

  • 212,000ドル(約2,400万円、1ドル=113円で換算)の予算で許認可支援ネットワーク(LSN)のインターフェースの改良等を実施
  • ネバダ州におけるヒアリング施設に関連した活動は、その必要性が確実になるまで延期

この提案に対する2018年10月15日付のNRCの委員会の指示文書では、上記(1)の許認可支援ネットワーク(LSN)のインターフェースの改良等の実施の提案は否認すること、同じく(2)のネバダ州ヒアリング施設に係る調査の延期の提案は承認することが示された。本委員会指示文書では、今後の方針の決定理由や今後行うべき活動については示されていないが、本決定に係るNRC委員の投票記録文書では、(1)のLSN関連活動の実施を否認した3委員のコメントにおいて、今後も訴訟対応等が必要と想定される中で予算残高が減りすぎることへの懸念が示されるとともに、LSN改良の技術は時間の経過により陳腐化する可能性があることなどが示されている。

なお、過年度の歳出予算の未使用残高は、2018年8月末現在で約443,000ドル(約5,000万円)となっている。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年10月24日に、民間プロジェクトによる使用済燃料の集中中間貯蔵のサービスが、DOEによるパイロット規模あるいはフルスケールの使用済燃料貯蔵のために利用可能であるかについて、情報要求(RFI)を行う文書を公表した。情報要求(RFI)は2016年10月27日付の連邦官報で告示されることとなっており、2017年1月27日まで回答を受け付けるとしている。

DOEは、2013年1月に公表した「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」(以下、「DOE戦略」という)において、パイロット規模及びフルスケールの中間貯蔵施設の開発が必要であるとして、連邦政府による中間貯蔵施設の開発の検討を行ってきた。民間プロジェクトとして進められている中間貯蔵施設は、DOE戦略では想定されていなかったが、連邦政府による中間貯蔵施設の代替または追加として利用可能な有望な選択肢であるとして、本情報要求(RFI)が発行されたものである。今回の情報要求(RFI)では、以下の12の質問への回答が求められている。

  1. 民間プロジェクトが、統合的な放射性廃棄物管理システムの一部として、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の中間貯蔵の実現可能な解決策を提供するため、どのような要因が考慮されなければならないか。
  2. 民間プロジェクトは、中間貯蔵施設が立地する地元自治体・州や先住民族にどのような利益をもたらし得るか。隣接自治体についてはどうか。
  3. 民間プロジェクト及び自治体とともにDOEの参加が必要であるとした場合、組織・構造・契約枠組みとしてどのような形が必要か。また、その理由は。
  4. 連邦政府の投資による連邦政府所有・契約者操業の中間貯蔵施設と比較して、民間プロジェクトの長所・短所は何か。
  5. 使用済燃料が民間の貯蔵施設で効果的に管理され、連邦政府の費用が抑えられているとの連邦政府への保証として、どのようなものが適切と考えるか。
  6. 民間プロジェクトではどのようなビジネスモデルの可能性があるか。また、そうしたビジネスモデルの長所・短所は何か。
  7. 貯蔵期間中に生じる可能性がある責任については、どのように管理するか。
  8. 州・地域・先住民族による承認として、どのようなものが必要か。
  9. 民間プロジェクトの概念を、公正で開かれた透明な形で検討、実施し続けるため、連邦政府はどのようにしたら良いか。
  10. 民間プロジェクトに関わる立地州・先住民族・地域自治体と連邦政府の間で支援協定を締結する場合、どのような協定が期待されるか。
  11. その他に考慮すべきことはあるか。
  12. 連邦政府所有でない施設を開発するため、他の代替的なアプローチはあり得るか(例えば、プロジェクトの資金調達、予想される規制・法的問題など)。もし存在する場合、それはどのようなものであり、上記の質問に対してどのような答えが得られるアプローチか。

DOEは特に、中間貯蔵施設の開発の可能性がある事業者、その立地・隣接自治体、及び既存の放射性廃棄物施設の操業者は、本情報要求(RFI)への回答に関心があるものと考えているとしている。なお、米国では、テキサス州においてはウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社が、ニューメキシコ州ではエディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)とホルテック・インターナショナル社が、それぞれ中間貯蔵施設の開発を表明し、原子力規制委員会(NRC)による許認可取得に向けて取り組んでいる。

なお、本情報要求(RFI)は、連邦政府が実際に民間貯蔵サービスを調達することを約したものではないとしている。

 

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)カールスバッド・フィールド事務所(CBFO)は、2016年10月14日に、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)のTRU廃棄物の処分エリアの一部について、閉鎖を実施する方針を公表した。WIPPでは、火災事故及び放射線事象が2014年2月に発生して以来、現在まで操業が停止されており、2016年内の操業再開を目指して復旧活動が行われているが、一部の坑道で崩落が続いたことなどを受けて閉鎖の方針が決定された。DOEは、WIPPの規制機関である連邦環境保護庁(EPA)及びニューメキシコ州環境省(NMED)と既に協議を開始しており、地下施設の南側一部を閉鎖する計画の策定を始めている。

閉鎖が検討されているエリアは、下図に示す処分エリア南端の範囲であり、2014年2月の放射線事象により汚染された区域にある。

閉鎖が検討されているエリア

閉鎖が検討されているエリア

WIPPでは、模擬廃棄物容器を用いたコールドによる操業を2016年8月24日に完了するなど操業再開に向けた準備が進められているが、2016年9月27日に第4パネルの入気坑道で、2016年10月4日には第3パネルの排気坑道で、岩塩の崩落が発見された。2014年2月のWIPPでの放射線事象の後、汚染エリアでは坑道の維持作業が削減されていたため、処分エリアの南端部分では崩落等の兆候が確認されていた。WIPPは、岩塩層に建設された処分施設であり、廃棄物の定置後、長期的には岩塩のクリープ現象による崩壊等で開削空間が閉じられていくことにより、処分エリアが密封されることが想定されており、今回の一部の坑道での崩落もこのクリープ現象によるものである。

DOEは、一部の処分エリアの閉鎖により、作業安全が確保されるとともに、今後、処分が予定されるエリアにおける坑道維持作業等に集中することが可能になるとしている。また、今回の一部の処分エリアの閉鎖は、操業再開の準備や今後の廃棄物定置活動には影響せず、操業再開後の処分施設の操業能力が限定されることもないとしている。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設及び処分施設の立地に向け、同意に基づくサイト選定プロセスの設計についての意見募集等が終了したのを受け、現在、意見募集・パブリックミーティング等を通じて得られた意見等の集約を行っている。2016年9月15日には、収集した意見等を集約するためのミーティングが計画されているが、これに先だって、2016年9月15日付けのドラフト報告書「公衆からの意見の集約に係るドラフト報告書」(以下「ドラフト報告書」という)を2016年9月14日に公表した。

DOEは、同意に基づくサイト選定プロセスの設計に関する意見募集を2015年12月23日から2016年7月31日まで実施した他、サイト選定プロセスの構築について議論するため、2016年1月20日にはワシントンD.C.でキックオフミーティングを、2016年3月29日から7月21日にかけて全米の8カ所でパブリックミーティングを開催した

DOEが公表したドラフト報告書では、意見募集においてDOEが提示した5つの質問に対する意見に加え、同意に基づくサイト選定に関連する主要なテーマに対する意見、その他の論点に対する意見が要約されている。このうち、その他の論点としては、以下の10点が挙げられている。

  • 原子力の役割に対する考え方
  • 使用済燃料の集中中間貯蔵及び現在の原子力発電所サイト内での貯蔵
  • 原子力発電所の立地自治体からの視点
  • 地層処分に対する考え方
  • 貯蔵から処分への移行に対する考え方
  • ユッカマウンテンプロジェクトに対する考え方
  • 軍事関連の廃棄物のみを対象とした処分場の必要性に対する考え方
  • 現在の民間企業によって進められている集中中間貯蔵施設の建設に向けた取り組みに対する考え方
  • 連邦政府の放射性廃棄物基金による資金確保に対する考え方
  • その他の論点

DOEは2016年12月末までに、同意に基づくサイト選定プロセスの第一案(initial draft)を公表する計画である。また、同意に基づくサイト選定プロセスの設計の一部として、サイト選定基準が必要と認識しており、中間貯蔵施設及び地層処分場のサイト選定における検討事項に関するドラフト報告書を作成し、2016年12月には意見募集を開始する計画である。さらに、これまでの意見募集・パブリックミーティング等において、自治体やステークホルダーから、情報提供、資金的な支援が必要との意見が提示されたため、DOEは2017会計年度の予算要求において、資金提供公募を通じて、同意に基づくサイト選定のための相互学習、関与の取組を自治体レベルに移行するための支援に係る予算を要求した。

【出典】

 

【2016年9月16日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年9月15日付けの連邦官報において、「公衆からの意見の集約に係るドラフト報告書」に対する意見募集を2016年9月15日から2016年10月30日までの期間で実施することを公告した。意見は、電子メール、書簡、FAX及びオンラインでの提出が可能とされている。

【出典】

 

【2016年10月4日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年9月15日に、同意に基づくサイト選定プロセスについて、意見募集・パブリックミーティング等を通じて得られた意見等を集約するとともに、サイト選定プロセスを構築するための次ステップについて話し合うためのミーティング(以下「意見集約ミーティング」という)を開催した。DOEウェブサイトの意見集約ミーティングのページでは、議事の概要が示されるとともに、議事次第や「公衆からの意見の集約に係るドラフト報告書」等の配付資料のほか、質疑応答を含めた議事録とビデオも掲載されている。

今回の意見集約ミーティングでは、DOEが収集した意見の集約及び今後のステップ等についてDOEから報告が行われた後、約1時間の質疑応答が行われた。今後のステップについては、2016年10月30日まで「公衆からの意見の集約に係るドラフト報告書」についての意見募集を行った上で、2016年12月までに最終報告書を発行すること、2016年12月末までに同意に基づくサイト選定プロセスの第一案を公表して意見募集を行うこと、及び輸送・貯蔵・処分など統合廃棄物管理システム(integrated waste management system)の他の要素に係る活動の状況などが示された。中間貯蔵については、民間での取組についても関心があるとして、近々、情報要求(RFI)により関係者の見解を求める意向であるとしている。

【出典】

 

【2017年1月5日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年12月29日付で、同意に基づくサイト選定プロセスについて、意見募集・パブリックミーティング等を通じて得られた意見等を集約した報告書「同意に基づくサイト選定プロセス:公衆からの意見の集約に係る最終報告書」(以下「最終報告書」という)を公表した。本最終報告書は、2016年9月14日に公表されたドラフト報告書について、2016年10月30日までの期間で意見募集を行い、収集した意見を反映して最終版としたものである。ドラフト報告書に対する意見は、DOEの回答とともに公表されている。

DOEは、最終報告書に反映され、また、公衆やステークホルダーとの種々の取組を通して得られた意見等は、今後の同意に基づくサイト選定プロセスの案を構築する上で重要なものとしている。なお、最終報告書においては、ドラフト報告書の第5章で将来の展望としていた「同意に基づくサイト選定プロセスの第一案」やサイト基準などの「施設立地に際しての検討事項策定」に係る記述は削除されている。

一方、DOE原子力局(NE)の同意に基づくサイト選定イニシアティブのウェブサイトでは、今後のステップとして、軍事起源の高レベル放射性廃棄物の独立した処分場の計画案に対する意見募集を行っていることが示されている。本計画案では、同意に基づくサイト選定プロセスを構築した後に処分場の開発を進める、段階的なアプローチが採られており、今後の民間を含めた全体的な放射性廃棄物戦略に重要な経験となるとしていた。

【出典】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2016年5月5日に、ネバダ州ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る補足環境影響評価書(SEIS)の最終版を公表した。補足環境影響評価書(SEIS)は、潜在的に処分場から放出される物質により汚染された地下水が地表に流出する可能性及びその影響などを評価するものであり、環境への影響は小さいとの結論が示されている。補足環境影響評価書(SEIS)については、2015年8月にドラフト版の報告書が公表され、2015年8月21日から11月20日までの期間でパブリックコメントの募集、パブリックミーティング、電話会議を通じての意見募集が行われていた。今回公表された補足環境影響評価書(SEIS)では、1,200件以上のコメントを踏まえて修正・情報補足等が行われるとともに、コメントへの回答も付属資料として示されている。

ユッカマウンテン処分場に関する環境影響評価については、2002年2月に行われたユッカマウンテンサイトのエネルギー長官から大統領への推薦時に最終環境影響評価書(FEIS)が、2008年6月の建設認可に係る許認可申請書の提出時に補足環境影響評価書(SEIS)が、それぞれエネルギー省(DOE)によって作成され、NRCに提出されていた。これらDOEが作成した環境影響評価書(EIS)についてNRCは、2008年9月に、NRCの許認可申請書の安全審査における環境影響評価書(EIS)として採択できるとの判断を示した上で、地下水解析に係る情報の補足を行うようDOEに要求していた。今回の補足環境影響評価書(SEIS)は、2008年9月のNRCの指摘に対応するものであり、DOEは技術報告書を作成するのみで、補足環境影響評価書(SEIS)の作成は行わないこととなったため、NRCが自ら作成を進めていたものである。

NRCにおける許認可申請書の安全審査は、安全性及びセキュリティの審査と環境影響の審査の大きく2つに分けて行われるが、今回の補足環境影響評価書(SEIS)の作成により、2015年1月に公表されたユッカマウンテン処分場の安全性評価報告(SER)と併せて、裁判形式の裁決手続のヒアリングに向けたNRCスタッフによる主要な評価文書が揃ったこととなる。安全性評価報告(SER)及び環境影響評価書(EIS)では、土地の所有権及び水利権に関する要求事項を除いて、DOEが提出した許認可申請書はNRCの連邦規則の要求事項を満足しているとの結論が示されているが、ネバダ州等が提出した安全性及び環境影響等に係る299の争点が有効なものとして承認されており、裁決手続におけるヒアリングでは、これらの争点について審理されることとなる。今回公表された補足環境影響評価書(SEIS)など新しい情報については、今後のヒアリング手続の中で追加することも可能である。

ただし、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係るNRCの許認可申請書の安全審査については、2013年8月の連邦控訴裁判所の判決により、利用可能な予算がある限りの実施が命じられているものの、2012会計年度1 以降はNRCの許認可申請書の安全審査のための予算は付いておらず、ヒアリング手続の再開は目途が立っていない。補足環境影響評価書(SEIS)の作成、及び許認可支援ネットワーク(LSN)(詳細はこちら)に登録されていた文書のNRCデータベース(ADAMS)での公開などを終えた時点での利用可能な予算残額は、100万ドル(約1億1,500万円)未満と見込まれている。2017会計年度のユッカマウンテン処分場の許認可申請書の安全審査予算についても、NRCは予算要求をしておらず、連邦議会の下院で策定された歳出法案では20,000千ドル(23億円)の予算が計上されているものの、上院本会議で審議中の歳出法案では予算は計上されていない

【出典】

 

【2016年5月16日追記】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2016年5月13日付けの連邦官報において、ネバダ州ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る補足環境影響評価書(SEIS)の最終版の発行を告示した。補足環境影響評価書(SEIS)の最終版は、2016年5月5日にNRCのウェブサイトで公表されていたものである。

連邦官報に掲載された告示では、エネルギー省(DOE)が作成した2002年の最終環境影響評価書(FEIS)及び2008年の補足環境影響評価書(SEIS)、並びに今回NRCが補足を行った補足環境影響評価書(SEIS)について、NRCの最終的な環境影響評価書(EIS)としての採択に係る決定は、裁判形式の裁決手続のヒアリングの完了後となることが示されている。

なお、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書のNRCによる安全審査については、2013年8月の連邦控訴裁判所の判決により、利用可能な予算がある限りの実施が命じられているものの、2012会計年度2 以降はNRCの許認可申請書の安全審査のための新たな予算は付いておらず、裁決手続におけるヒアリングの再開は目途が立っていない

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、2012会計年度は2011年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  2. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、2012会計年度は2011年10月1日からの1年間に対するものである。 []