米国のエネルギー省(DOE)環境管理局(EM)は、2021年10月12日付けのニュースリリースにおいて、軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)において、地下処分施設で計画が進められている既存の8つの処分パネルのうち、最後となる第8パネルの掘削が完了したことを公表した。第8パネルの掘削は、2013年遅くに開始されたが、WIPPで2014年2月に発生した火災事故及び放射線事象 により地下処分施設の掘削活動は中断され、その後、第8パネルの掘削活動は2018年1月15日に再開された 。
また、本ニュースリリースでは、第8パネルでは引き続き、電力、鉱山電話、壁面保護の金網(chain link)、空気モニタ等の設置作業が行われるが、現在廃棄物の定置が行われている第7パネルが一杯になる予定の2022年4月には、第8パネルでの廃棄物定置のための準備が整うことが示されている。第8パネルの各処分室は、幅が33フィート(約10m)、高さが15~16フィート(約4.6~4.9m)、長さが300フィート(約91m)となっている。なお、WIPPの各パネルは、7つの処分室で構成されている。
さらに、本ニュースリリースによれば、第8パネルの掘削活動では電動の連続掘削機が使用され、第8パネルのすべての処分室の掘削完了により、ニミッツ級空母の1.5倍に当たる157,000t以上の岩塩が掘削された。岩塩の掘削ずり(岩石片)は、岩塩運搬トラックでホッパーまで運ばれ、ホイストで5tずつ地上に搬出される。岩塩の掘削ずりの一部は、地下処分施設の閉鎖などで使用される 。第8パネルの掘削活動が完了したことにより、連続掘削機は今後、既存の処分エリアから西側に向かって、建設中の立坑につながる坑道の掘削に使用されることとなる。
なお、WIPPでは、既存の8つの処分パネルの西側の離れた位置に2つの代替処分パネルを建設する計画が進められており 、今後、代替処分パネルへのアクセス坑道の掘削も予定されている。
【出典】
- エネルギー省(DOE)環境管理局(EM)ニュースリリース「WIPPでTRU廃棄物処分のための第8パネルの掘削を完了」(2021年10月12日)
https://www.energy.gov/em/articles/wipp-finishes-mining-eighth-panel-transuranic-waste-disposal - エネルギー省(DOE)環境管理局(EM)ニュースリリース「WIPPで廃棄物定置の新処分パネルが形を見せる」(2021年6月22日)
https://www.energy.gov/em/articles/new-panel-waste-emplacement-takes-shape-waste-isolation-pilot-plant
(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-11-09 )