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米国

2010年6月29日、米国の原子力規制委員会(NRC)の原子力安全・許認可委員会(ASLB)は、エネルギー省(DOE)が提出していたユッカマウンテン処分場の許認可申請の取り下げ申請を認めない決定を下した。

ASLBは6月29日付で公表した文書において、DOEによるユッカマウンテン処分場の許認可申請の取り下げ申請に関して、反対のために提出されていたヒアリング手続に対する当事者申請とともに、2010年3月3日にDOEが提出していた許認可申請の取り下げ申請などについて以下の結論を示した。

  • サウスカロライナ州、ワシントン州、サウスカロライナ州エイケン郡、プレーリーアイランド・インディアン共同体、全米公益事業規制委員協会(NARUC)の当事者申請を承認する。
  • 1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)において、DOEが許認可申請を取り下げる権限を持っていないとする当事者申請をした者の争点の有効性を承認する。
  • 上記の当事者申請をした者が提案していたその他のすべての争点についての判断を保留する。
  • フロリダ公共サービス委員会による第三者としてのヒアリング手続への参加及びDOEの許認可申請の取り下げ申請へ反対する覚書の提出を承認する。
  • DOEによる許認可申請の取り下げ申請は否認する。

ASLBは、DOEの許認可申請の取り下げ申請を認めない理由として、1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)において連邦議会が規定した手続では、DOEは許認可申請を取り下げる権限を有していないためとしている。また、ASLBは、連邦議会はDOEに対し、処分場の許認可申請を提出すること、及びNRCが同申請を検討して最終的な決定を下すことを指示しており、DOEが連邦議会の指示なしに許認可申請を取り下げることで、法律で規定された意思決定プロセスを逸脱することはできないとしている。

さらに、ASLBは、DOEが同意していない政策に関する許認可申請を継続することは合理的でないなどとしている点について、法律が要求している場合、DOEやその他の行政機関は必ずしも同意していない政策を実施することを求められる場合があるとし、NWPAが要求するように、DOEは許認可申請を継続することが可能であり、継続するものと信じているとしている。

連邦議会上院の実質トップであるリード議員(民主党、ネバダ州選出)は、2010年6月29日のプレスリリースにおいて、ASLBの今回の決定は残念であるが、NRCの5名の委員がDOEの許認可申請の取り下げ申請について再度見直しを行い、NRCを代表して最終決定を行うであろうとしている。

【出典】

【2010年7月8日追記】

2010年6月30日、原子力規制委員会(NRC)は、NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)がユッカマウンテン処分場の許認可申請の取り下げ申請を認めないと決定したことに関し、ヒアリング参加者に対して以下の命令を行った。

  • すべてのヒアリング参加者は、2010年7月9日までに、NRCの5名の委員がASLBの決定を再審理する、決定を覆す、または支持すべきかどうかについて、最初に弁論趣意書を提出すること。
  • すべてのヒアリング参加者は、2010年7月16日までに、提出された弁論趣意書に対する意見を示した応答弁論趣意書を提出すること。

また、2010年7月2日、DOEによる許認可申請の取り下げ申請の可否に関する訴訟に関連し、NRCなどは連邦控訴裁判所に対し、2010年9月23日に口頭弁論を行うなどとしたスケジュールを破棄し、NRCの5名の委員が、ASLBの決定に対する最終判断を下すまで、訴訟手続を一時停止するよう申立てを行った。

【追記部出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、2010年3月3日、原子力規制委員会(NRC)の原子力安全・許認可委員会(ASLB)に対してユッカマウンテン処分場の許認可申請を取り下げる申請書を提出した。オバマ政権のユッカマウンテンプロジェクト中止の方針を受け、DOEは、ユッカマウンテン処分場の許認可申請を30日以内に取り下げる意向を示していた。今回提出された許認可申請取り下げの申請書では、DOEはユッカマウンテンでの高レベル放射性廃棄物等の処分場の許認可申請を再度提出する意向がないことを理由として、申請書の再提出ができないことを唯一の条件として取り下げを認めるよう求めている。NRCの許認可手続規則(10 CFR Part 2)の許認可申請取り下げに関する規定では、ASLBが許認可申請の取り下げを承認する際に条件を付すことが可能となっている。

許認可申請取り下げ申請書においてDOEは、使用済燃料の引き取り及び高レベル放射性廃棄物等の処分の責務を再確認したうえで、ユッカマウンテン処分場は実施可能なオプションではないと決定したとしている。また、大統領の指示により使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物管理の代替方策を検討し勧告するための「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」(以下「ブルーリボン委員会」という)を設置したとしており、ブルーリボン委員会に対し議会により500万ドルの予算が付けられている。そのうえで、終了するプロジェクトの許認可手続にこれ以上の出費を避けるために申請の取り下げを決定したとしている。さらに、ユッカマウンテンプロジェクト開始後20年以上の間に高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の処分に関連した科学・技術面の知識は大幅に進歩したとしている。DOEは、将来のこれらの廃棄物の処分に関しては、これまでの期間に効果的ではないと証明されたアプローチではなく、科学技術の知識などに裏付けられた、広範なサポートが得られる方策を含むオプションの包括的かつ慎重な評価に基づき提案が行われるべきであるとしている。

また、DOEは、ASLBがDOEの政策判断に従うべきであるとしている。許認可申請の取り下げは、1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)に反するという議論があることは理解しており、少なくとも1件の訴訟が連邦裁判所に提訴される動きがあるとしている。しかし、DOEは、NWPAではDOEの許認可申請者としての申請を取り下げる権利を奪う条文は存在しないとし、取り下げがNWPAの規定に反するという主張が誤ったものであるとしている。

さらに、許認可申請取り下げ申請書では、DOEがヒアリングの参加当事者と事前に協議を行ったことが示されている。参加当事者のうち、ネバダ州及びカリフォルニア州は許認可申請の取り下げに同意し、原子力エネルギー協会(NEI)は取り下げに同意しないとし、意見書を提出する意向を示したとしている。一方、サバンナリバーサイトが存在するサウスカロライナ州は、許認可申請の取り下げに反対するためにASLBに当事者として参加するための申請を2010年2月26日に行っている。

なお、DOEは、2010年3月3日付プレスリリースにおいて、2010年3月2日付で設立趣意書が公表されていたブルーリボン委員会が2010年3月25日及び26日に最初の会合を開くことを公表した。

【出典】

【2010年3月24日追記】

2010年3月16日までにワシントン州、サウスカロライナ州エイケン郡及び全米公益事業規制委員協会(NARUC)は、エネルギー省(DOE)が提出したユッカマウンテン許認可申請の取り下げ申請に反対することを目的として、原子力規制委員会(NRC)の原子力安全・許認可委員会(ASLB)にヒアリング手続に対する当事者としての参加申請を行った。また、2010年3月18日に、サウスカロライナ州及びワシントン州選出の下院議員5名は、ユッカマウンテン計画の中止に向けDOEが提案していた2010会計年度のユッカマウンテン関連予算の利用計画の変更及び許認可申請の取り下げに反対する書簡をエネルギー長官に送付した。なお、今回、当事者申請を行ったサウスカロライナ州エイケン郡は、2010年2月16日のNRC・ASLBによる許認可審査手続きの一時停止決定を受け、2010年2月19日に、DOE、NRC等を相手取った訴訟を起こしている。

【追記部出典】

【2010年4月7日追記】

2010年4月6日、米国の原子力規制委員会(NRC)の原子力安全・許認可委員会(ASLB)は、エネルギー省(DOE)が提出したユッカマウンテン許認可申請の取り下げ申請に反対するために提出されていた下記5件からのヒアリング手続に対する当事者申請、及びDOEによって提出されていた許認可取り下げ申請についての検討を停止することを決定した。

  • サウスカロライナ州
  • ワシントン州
  • サウスカロライナ州エイケン郡
  • プレーリーアイランド・インディアン共同体
  • 全米公益事業規制委員協会(NARUC)

これは、サウスカロライナ州エイケン郡などがDOE等を相手取って訴訟を起こしており(2010年3月24日付追記参照)、これら5件の当事者申請及びDOEの許認可取り下げ申請については、裁判所の判決により解決される可能性があるとの理由から、裁判所からの判断が出るまでASLBでの検討を停止するというものである。

【追記部出典】

【2010年4月13日追記】

2010年4月12日、エネルギー省(DOE)は、2010年4月6日に原子力規制委員会(NRC)の原子力安全・許認可委員会(ASLB)が裁判所からの判断が出るまでASLBでの検討を停止すると決定したことについて、NRCの委員が決定を再審査するとともに、決定を破棄するように申立てを行った。

【追記部出典】

【2010年4月26日追記】

2010年4月23日、原子力規制委員会(NRC)の4名の委員は、2010年4月6日にNRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)が裁判所からの判断が出るまでASLBでの検討を停止するとした決定について、これを破棄することを決定した。また、同委員は、2010年6月1日までにDOEの許認可取り下げ申請に関する決定を行うようASLBに対して指示した。

【追記部出典】

【2010年4月28日追記】

2010年4月27日、米国の原子力規制委員会(NRC)の原子力安全・許認可委員会(ASLB)は、DOEによる許認可取り下げ申請に関して、2010年6月30日までの出来るだけ早い時期に、取り下げに対する決定を下すとの意向を表明した。当該課題の複雑性、口頭弁論の開催が望ましいことなどから、NRCの4名の委員が指示した2010年6月1日までに決定するのは困難としている。

【追記部出典】

【2010年5月7日追記】

2010年5月3日、連邦控訴裁判所は、サウスカロライナ州エイケン郡などが起こしている訴訟について、エネルギー省(DOE)によるユッカマウンテン計画の中止に向けた作業、原子力規制委員会(NRC)の原子力安全・許認可委員会(ASLB)での許認可取り下げに関する審査手続きなどの差し止めを求めた請求を却下した。一方、DOEによる許認可取り下げ申請の可否については、口頭弁論を2010年9月に開催することを命令した。

【追記部出典】

【2010年5月31日追記】

2010年5月27日、エネルギー省(DOE)は、原子力規制委員会(NRC)の原子力安全・許認可委員会(ASLB)に対して、DOEが許認可申請を取り下げる法的な権限を有しているとする見解書を提出した。今回のDOEの見解書は、2010年4月27日付けのASLBによる命令に基づいて、ヒアリング手続きの当事者などが2010年5月17日までに提出していた許認可取り下げ申請への反対意見に対して提出されたものである。ヒアリング手続きの当事者及び当事者申請者である、原子力エネルギー協会(NEI)、サウスカロライナ州、ワシントン州などは、DOEには許認可申請を取り下げる法的な権限がないなどとし反対する立場を示していた。

【追記部出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、2010年3月2日付けのプレスリリースにおいて、2010年1月29日に設置を公表していた「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」(以下「ブルーリボン委員会」という)の設立趣旨書を公表した。ブルーリボン委員会は、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物管理のための安全で長期的な解決策を検討し勧告するために設置されたものである。公表された設立趣旨書では、同委員会は連邦諮問委員会法に基づく諮問委員会とされている。

設立趣旨書によると、ブルーリボン委員会は、核燃料サイクルのバックエンド政策の包括的なレビューを行うとして、貯蔵、処理、処分に対するすべての代替案を含めるとしている。特に、ブルーリボン委員会は、助言を行い、代替案を評価し、以下の項目に対応するための新しい計画を勧告することとされている。

  • 現在の核燃料サイクル技術及び研究開発計画の評価(コスト、安全性、資源利用、持続性が評価基準)
  • 最終処分方策の選択及び実施までの期間の使用済燃料の安全な貯蔵オプション
  • 地層処分を含む、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の処分オプション
  • 使用済燃料及び放射性廃棄物管理のための法的・商業的な対応方法のオプション
  • 管理・処分のための意思決定プロセスのオプション(柔軟性、適応性、即応性に配慮)
  • 使用済燃料及び放射性廃棄物管理に関する意思決定のオプション(公開性、透明性、広範な参加性に配慮)
  • 追加の法制度及び1982年放射性廃棄物政策法を含む既存法令の改正の必要性
  • その他エネルギー長官が適切と判断する事項

また、設立趣旨書では、ブルーリボン委員会の設置を指示した大統領の覚書から1年半以内にドラフト報告書の提出を行い、2年以内にエネルギー長官に対して最終報告書を提出することとされているが、報告書には以下を含むものとされている。

  • 検討するそれぞれの代替方策に関する科学、環境、予算、財政及び管理に関する問題の分析を含む、広範な技術的及び政策的な代替方策の検討結果。報告書には、政策及び管理に関する勧告と勧告に伴う望ましい法律の改正を含む。
  • 使用済燃料管理に関する勧告と整合した、放射性廃棄物基金への拠出金及び現在の基金残高の取扱いの勧告
  • その他エネルギー長官が適切と判断した事項

さらに、設立趣旨書によれば、ブルーリボン委員会の年間費用は500万ドルと見積られており、必要に応じ小委員会を設立することができるとされている。また、ブルーリボン委員会の開催頻度については年2回以上とされている。

なお、ブルーリボン委員会の設置公表時に、エネルギー長官が検討対象からユッカマウンテン処分場が除外されていると発言したことが一部で報道されていたが、設立趣旨書にはユッカマウンテン処分場が検討対象となるかについては明記されていない。

【出典】

【2010年5月7日追記】

ブルーリボン委員会は、2010年3月25及び26日に初会合を開催し、その議事録を2010年4月30日に同委員会ウェブサイトにおいて公表した。

【追記部出典】

【2010年6月9日追記】

ブルーリボン委員会は、2010年5月25及び26日に2度目の会合を開催した。同委員会は、エネルギー省(DOE)に対して次の3つの小委員会の設置、審議内容及びその委員構成について承認を求めた。なお、同委員会の設立趣意書では、小委員会の設置についてはエネルギー省(DOE)の承認が必要とされている。

  • 原子炉及び核燃料サイクル技術(ワンススルー燃料サイクルへの代替技術など)
  • 高レベル放射性廃棄物の輸送及び貯蔵(処分場が設置されるまでの貯蔵方策など)
  • 高レベル放射性廃棄物処分(処分サイトを選定するための技術・政策・社会に受け入れられる方法など)

【追記部出典】

2010年2月16日、米国の原子力規制委員会(NRC)の原子力安全・許認可委員会(ASLB)は、ユッカマウンテン処分場の許認可申請の審査手続きをエネルギー省(DOE)が予定している許認可申請取り下げへの対応が決まるまで一時的に停止する決定を下した。

2010年2月1日に公表された2011会計年度の大統領の予算教書において、ユッカマウンテン処分場開発の関連予算がゼロとされたことを受け、DOEは、同日、NRCに対して、ユッカマウンテン処分場の許認可申請を30日以内に取り下げる意向を示すとともに、DOEが予定している許認可申請取り下げへのNRCの対応が決定するまで、許認可申請の審査手続きを一時的に停止するよう求めていたものである

今回のASLBの決定文書では、DOEによる許認可審査の一時停止申請に対して、許認可申請のヒアリングに参加している当事者及び関連する政府機関からの反対意見は提出されず、ほとんど全てのヒアリング参加当事者がDOEの一時停止申請を支持したとしている。そのため、不要な出費を避けるため、DOEが予定している許認可申請取り下げへの対応が決定するまで審査手続きを一時的に停止する決定に至ったことが示されている。

連邦議会上院の実質トップであるリード議員(民主党、ネバダ州選出)は、2010年2月16日のプレスリリースにおいて、審査手続きを一時的に停止する今回のASLBの決定は、ユッカマウンテン処分場の許認可申請の取り下げに向けた重要な一歩であるとしている。また、この決定は、ユッカマウンテンが放射性廃棄物処分のオプションでないとするオバマ政権の立場を示す更なる証拠であるとのコメントを発表している。

【出典】

2010年2月1日、米国で大統領の2011会計年度1 の予算教書が連邦議会に提出され、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表されるとともに、エネルギー省(DOE)のウェブサイトでDOEの予算要求資料が公表された。DOEの予算要求資料では、ユッカマウンテン処分場開発は実行可能なオプションではないとするオバマ政権の決定を反映するとともに、これまでユッカマウンテン処分場開発を実施してきたDOEの民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)を閉鎖することが示されている。また、高レベル放射性廃棄物の管理に関してユッカマウンテン処分場とは別の解決策が必要であるとして、原子力規制委員会(NRC)において審査中のユッカマウンテン許認可申請をDOEが2010会計年度中に取り下げるとの方針を示している。このため、土地取得、輸送のためのアクセスや追加工事を含むユッカマウンテン処分場開発及びOCRWMの全ての費用を削減するとしており、予算要求額はゼロとなっている。

DOEの予算要求資料では、OCRWMの閉鎖後はDOEの原子力局が関連業務を引き継ぐことが示され、ユッカマウンテン処分場開発の関連予算は2011会計年度には計上されていない。DOEの原子力局がOCRWMから引き継ぐ具体的な作業としては、2009年1月29日に設置が公表されたブルーリボン委員会での検討等に資する情報提供等を含む同委員会の活動支援に加え、これらの支援及び将来の高レベル放射性廃棄物管理方策の開発に必要とされる各種研究開発活動を実施することが示されている。また、放射性廃棄物基金(NWF)の管理を含む放射性廃棄物政策法(NWPA)に基づく責務についても原子力局が引き継ぐことが示されている。

この予算要求において示された、2010会計年度中のユッカマウンテン処分場の許認可申請の取り下げ、及び2011会計年度におけるユッカマウンテン処分場開発の関連予算を全て削減するとの方針を受け、DOEは、NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)に対して2010年2月1日付で申請書を提出した。この申請書では、DOEが30日以内にユッカマウンテン処分場の許認可申請を取り下げる意向が示されるとともに、許認可申請取り下げの申請に対する対応が決定するまで、ユッカマウンテン処分場の許認可申請の審査手続を停止するよう要請している。

なお、上記のDOEによるユッカマウンテン処分場の許認可申請の取り下げの方針を踏まえ、ユッカマウンテン処分場の許認可申請書を審査するための原子力規制委員会(NRC)の2011会計年度の予算要求については、NRCのユッカマウンテン許認可申請の審査の終了に伴う後処理等の活動費用として1,000万ドル(2010会計年度歳出予算額比で1,900万ドル減)が要求されている。

【出典】

2010年7月26日追記

2010年7月22日、米国の連邦議会上院歳出委員会は、エネルギー関係等の歳出法案を上院本会議へ提出した。同歳出法案では、エネルギー省(DOE)のユッカマウンテン処分場開発関連の歳出予算額はゼロとされており、DOEの予算要求額と同額となっている。ただし、DOEに対しては、ユッカマウンテン・サイトの閉鎖などの監督のための費用として、250万ドル予算が割り当てられている。なお、その他の高レベル放射性廃棄物処分関連としては、原子力規制委員会(NRC)に対して1,000万ドル、放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)に対して約389万ドルの予算が割り当てられている。

【追記部出典】


  1. 米国における会計年度は前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2011会計年度の予算は2010年10月からの1年間に対するものである。 []

米国のエネルギー省(DOE)は、2010年1月29日付けのプレスリリースにおいて、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物管理のための安全で長期的な解決策を検討し勧告するためのブルーリボン委員会の設置を公表した。同委員会は2名の共同委員長を含む15名の委員で構成され、1年半以内(2011年7月末迄)にドラフト報告書の提出を行い、パブリックコメントを経た2年以内(2012年1月末迄)にエネルギー長官に対して最終報告書を提出することとなっている。

同委員会に関しては、オバマ政権のユッカマウンテン計画中止の方針を受けて、2009年5月にエネルギー長官が使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物管理の代替案を検討する委員会を設置する方針を示していた。また、2009年10月に成立した2010会計年度歳出予算では、エネルギー長官に対して同委員会の設置のために予算500万ドルが割り当てられていた

今回のプレスリリースによると、同委員会は、ハミルトン元下院議員及びスコウクロフト元国家安全保障担当大統領補佐官の2名が共同委員長を務めることとなっている。また、同委員会の委員は、科学者、産業界の代表、元議員など、原子力問題に関して幅広い専門性や経験を有するメンバーで構成されており、2名の共同委員長以外の委員は以下の13名である。

  • マーク・エアーズ:アメリカ労働総同盟・産業別組合会議、建設・建築業界部門代表
  • ヴィッキー・ベイリー:元連邦エネルギー規制委員会委員
  • アルバート・カーネセル:カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、名誉学長
  • ピート・V・ドメニチ:元上院議員
  • スーザン・アイゼンハワー:アイゼンハワー・グループ社、社長
  • チャック・ヘーゲル:元上院議員
  • ジョナサン・ラッシュ:世界資源研究所、所長
  • アリソン・マクファーレン:ジョージメイソン大学、準教授(環境科学・政策)
  • リチャード・A・メザーブ:カーネギー研究所、所長
  • アーニー・モニツ:マサチューセッツ工科大学、教授(物理学)
  • パー・ピーターソン:カリフォルニア大学バークレー校、教授(原子力工学)
  • ジョン・ロー:エクセロン社会長・最高経営責任者
  • フィル・シャープ:未来資源研究所、所長

オバマ大統領がエネルギー長官に対してブルーリボン委員会の設置を指示した2010年1月29日付の大統領の覚書によると、同委員会は、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の貯蔵、処理及び処分に関する全ての代替案、先進的核燃料サイクル技術を含む核燃料サイクルにおけるバックエンド政策の包括的な評価を実施するとされている。また、同委員会は幅広く技術的及び政策的な代替案を検討し、それぞれの代替案に関する科学、環境、予算、経済、財政及び管理に関する問題を分析すべきであるとされている。なお、ユッカマウンテン処分場が同委員会での代替案の検討対象に含まれるかどうかについて、DOEのプレスリリース及び大統領の覚書では明確に示されていないが、エネルギー長官が同委員会の検討対象からユッカマウンテン処分場が除外されていると発言したことが、ラスベガス・レビュージャーナル紙で報道されている。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、2009年12月7日、原子力規制委員会(NRC)の原子力安全・許認可委員会(ASLB)に対して、ユッカマウンテン処分場の許認可申請のヒアリングの争点に対する準備書を提出した。今回DOEが提出した準備書は、ネバダ州及び原子力エネルギー協会(NEI)が提出していたユッカマウンテン処分場の許認可申請に関する法的問題を扱った争点のうち、第1段階(下記参照)の証拠開示で扱われる争点に対するものである。なお、ユッカマウンテン計画については、DOEの内部文書とされるメモを発端として、2009年12月での許認可申請の撤回も取りざたされていたが、今回の文書提出の期限が12月7日とされており、この文書の提出如何が許認可審査に関連する活動をDOEが継続するか否かを示すものとの見方もされていた。

ユッカマウンテン処分場の許認可審査に関しては、原子力安全・許認可委員会(ASLB)が2009年9月30日に、第1段階の証拠開示を2009年10月1日から2010年11月30日までの期間で行うことを示していた。これは、NRCによる安全性評価報告(SER)の発行が一括ではなく5分冊で発行すること、第1分冊「一般情報」が2010年3月、第3分冊「閉鎖後の処分場の安全性」が2010年9月に発行される予定となっていることから、第1段階において、第1分冊、または第3分冊に関連した争点の証拠開示を行うとしていたためである。第1段階で証拠開示を行う争点は以下に該当するものとされている。

  • 処分場の安全性
  • 環境影響評価
  • 法的な問題点

また、原子力安全・許認可委員会(ASLB)は、2009年10月23日付の命令において、SERの第1または第3分冊に関連した法的問題を扱う争点について、関係者はこの命令の45日後(2009年12月7日)に準備書を提出することとしていた。今回DOEが提出した準備書はこの命令に基づくものである。

今後のDOEによるNRCの許認可審査に関連した活動については、DOEのユッカマウンテンプロジェクトの報道官による発言として、2010会計年度に処分場の許認可手続を続けるために必要な費用などとして割り当てられた1億9,680万ドルをDOEが使用することを確認したなどとする報道もされている。また、DOEの使命は許認可手続きをサポートすることであり、その使命を果たすために活動しているとの同報道官の発言も報道されている。

【出典】

【2010年1月18日追記】

NRCは、2010年1月14日のプレスリリースにおいて、NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)が2010年1月26日及び27日に、ユッカマウンテン処分場の許認可申請に関する口頭弁論などを開催することを公表した。この口頭弁論では、ネバダ州及び原子力エネルギー協会(NEI)が提起しているユッカマウンテン処分場の許認可申請に関する法的問題を対象とするとされている。

なお、今回の口頭弁論は、以下のURLより視聴可能であるが、1月27日は進捗状況により開催されない場合もある。

  • 1月26日 : http://www.visualwebcaster.com/event.asp?id=65080
  • 1月27日 : http://www.visualwebcaster.com/event.asp?id=65081

【追記部出典】

【2010年12月17日追記】

NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)は、2010年12月8日、ユッカマウンテン処分場の許認可申請書の審査手続きが停止期間中ではないことを確認するとともに、許認可申請書のヒアリングの当事者に対して、2011年1月21日までに証拠開示についての合意状況に関する報告及びスケジュールの修正に関する提案を提出するよう指示した。また、ASLBは、2010年12月14日、ネバダ州などが提起していたユッカマウンテン処分場の許認可申請書に関する10件の法的問題などについて、提起を認めないとの決定を行った。

【出典】

米国の連邦議会の両院協議会は、2009年9月30日、高レベル放射性廃棄物処分を含むエネルギー関係等の2010会計年度予算の歳出法案に合意した。合意されたユッカマウンテン処分場関連の歳出予算金額は、1億9,680万ドルと、上下両院を通過した歳出法案と同額となっている(米国の予算制度については、こちらを参照)。また、両院協議会報告書において、オバマ政権が設置することを表明していた放射性廃棄物管理の代替案を検討するブルーリボン委員会については、同委員会設置のため、本歳出予算金額の中から500万ドルをエネルギー長官に対して割り当てることが示されている。

高レベル放射性廃棄物処分を含むエネルギー関係等の2010会計年度予算の歳出法案については、上院本会議で2009年7月29日、下院本会議で2009年7月17日に可決していたが、両院協議会で協議されることとなっていた。なお、両院協議会報告書は、2009年10月1日、下院本会議で308対114で可決され上院に送られている。

下表は、両院協議会で合意された歳出法案におけるユッカマウンテン関連の歳出予算案について、前年度決定額と2010年度要求額との対比を示したものである。

(単位:USドル)
  民間分 国防分 合計
2009年度歳出予算決定額(a)  1億4,539万  1億4,300万  2億8,839万
2010年度要求額(b)   9,840万  9,840万  1億9,680万
2010年度両院協議会歳出法案(c)  9,840万 9,840万 1億9,680万
 要求比(c-b)  0  0  0
 前年度歳出予算比(c-a)   △4,699万   △4,460万   △9,159万

放射性廃棄物管理の代替案を検討するブルーリボン委員会の設置について、下院歳出委員会報告書では、ユッカマウンテンを検討対象に含むことを条件に500万ドルの予算を割り当てることが示されていたが、両院協議会報告書では、このユッカマウンテンの検討に関する条件は付けられていない。また、上院歳出委員会報告書で示されていた、エネルギー長官が放射性廃棄物基金(NWF)への拠出金の徴収を停止することを想定するとの見解についても同報告書では削除されている。

また、ユッカマウンテンの許認可申請書を審査するための原子力規制委員会(NRC)の予算については、予算要求では5,600万ドルが割り当てられていたが、上院本会議で通過していた歳出法案と同様に、2,900万ドルへ削減された。

【出典】

【2009年10月16日追記】

米国の連邦議会上院は、2009年10月15日の本会議において、下院が可決していた高レベル放射性廃棄物処分を含むエネルギー関係等の2010年度予算に関する両院協議会報告書を80対17で可決した。

【追記部出典】

  • 連邦議会上院ウェブサイト、http://www.senate.gov/legislative/LIS/roll_call_lists/roll_call_vote_cfm.cfm?congress=111&session=1&vote=00322
  • 連邦議会資料室情報、www.loc.gov/index.html

米国の原子力規制委員会(NRC)は2009年9月8日のプレスリリースにおいて、NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)が2009年9月14日及び15日に、ユッカマウンテン処分場の許認可申請に関するプレ・ヒアリング会議をラスベガス・ヒアリング施設で開催することを公表した。同会議では、エネルギー省(DOE)が提出した許認可申請の審査の進め方、NRCによる安全性評価報告(SER)などが議題となるとされている。

今回のプレ・ヒアリング会議での議題の一つとされている安全性評価報告(SER)は、NRCが発行することとなっており、NRCは、ASLBに対して2009年7月10日に、利用できる予算が限られていることから、一括ではなく分冊ごとに発行すると回答していた。このNRCの回答を受け、今後のスケジュールなどを協議するとされている。

ユッカマウンテン処分場については、エネルギー省(DOE)が、2008年6月3日にNRCに許認可申請を提出し、NRCは、2008年9月8日に同申請を正式に受理していた。NRCは、2008年10月22日に、DOEが提出した処分場建設の認可申請に対するヒアリングを開催することを公表し、ヒアリングへの参加希望者からのヒアリングでの争点を含む申請書を受け付けていた。これに対してネバダ州、ネバダ州ナイ郡、及び原子力エネルギー協会(NEI)などが参加申請と争点を提出していた。NRCの原子力安全・許認可委員会パネル(ASLBP)は、2009年1月16日、許認可申請のヒアリング手続きへの参加申請と提出された争点の有効性を審査するために3組のASLBを設置したことを公表し、争点の有効性について審査を行い、2009年5月11日、8団体のヒアリングへの参加及び299の争点についての有効性を承認した

今回開催されるプレ・ヒアリング会議は、許認可措置及び命令発給に係る連邦規則(10 CFR Part 2)で開催することが定められているものであり、ヒアリングへの参加者が、ヒアリング手続きの迅速な処理、効率的な運営などを協議することとなっている。

なお、今回のプレ・ヒアリング会議は、以下のURLより視聴可能であるが、9月15日は協議の進捗状況により開催されない場合もある。

  • 9月14日:http://www.visualwebcaster.com/event.asp?id=61553
  • 9月15日:http://www.visualwebcaster.com/event.asp?id=61554

【出典】

2009年7月16日、米国で放射性廃棄物管理・処分の代替案を検討する国家委員会(以下「国家委員会」という)を設置する規定を含んだ米国クリーンエネルギーリーダーシップ法案(American Clean Energy Leadership Act)が上院本会議に提出された。同規定は、1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)を修正することにより国家委員会を設置するものとなっている。

今回提出された法案は、上院エネルギー天然資源委員会で包括的なエネルギー法案として検討されていたものであり、クリーンエネルギーの開発と利用、エネルギー効率の改善などにより米国のエネルギー安全保障を促進することを目的としたものである。同法案は、クリーンエネルギー技術の利用、エネルギー効率の増進、エネルギー安全保障の改善、エネルギー革新及び労働力の開発、エネルギー市場、政策研究及び報告の6つの編から構成されている。

同法案の第311条では、1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)に第VI編を追加し、以下の条項を新たに規定する内容となっている。

  • 国家委員会の設置(第601条)
  • 国家委員会の目的(第602条)
  • 国家委員会の構成(第603条)
  • 国家委員会の職務(第604条)
  • 国家委員会の運営(第605条)
  • 大統領及び連邦議会への報告(第606条)
  • 国家委員会の予算(第607条)
  • 国家委員会の終了(第608条)

これらの条項では、国家委員会は連邦諮問委員会であり、大統領によって指名される著名な米国民11名の委員によって構成されることとなっている。ただし、連邦、州及び地方政府の職員は委員になることはできず、また、6名以上の委員は同一政党から選ぶことができないと規定されている。さらに、国家委員会の独立性に関して、国家委員会の助言及び勧告は独自の判断に基づくことなどが規定されている。

国家委員会の職務としては、地層処分、原子力発電所サイトでの長期貯蔵、1カ所もしくは複数の中間貯蔵施設での長期貯蔵、使用済燃料の再処理などを含む使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物管理の代替案を評価し、設置後2年以内に大統領及び連邦議会へ国家委員会の調査結果、結論、勧告を含む報告書を提出することとなっている。また、これまでにエネルギー省(DOE)が行ってきた放射性廃棄物管理プログラムの評価、再処理及び先進燃料サイクル計画の評価、資金確保方策の代替案の研究などについても国家委員会の役割として規定されている。ユッカマウンテン計画については、国家委員会の検討対象から除外する規定は存在しない。

なお、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物管理の代替案については、エネルギー長官がブルーリボン委員会を設置し検討する方針を示していたが、今回の法案に関する上院エネルギー天然資源委員会報告書などでも、国家委員会がブルーリボン委員会と同一のものとなるかは示されていない。

【出典】