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台湾

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台湾における原子力安全の規制行政機関である行政院原子能委員会(AEC)は2018年2月5日に、原子力発電事業者である台湾電力公司が「わが国の使用済燃料の最終処分に関する技術フィージビリティ評価報告」(以下「技術フィージビリティ評価報告」という。)等の文書を、レビューのために行政院原子能委員会に提出したことを公表した。台湾電力公司は、高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)処分の実施主体となっている。

台湾では、1978年以降、3カ所の原子力発電所で6基の原子炉が運転されている。ただし、電気事業法の2017年1月11日の改正において、2025年までの脱原子力の目標が法定された。使用済燃料の取扱について、1997年に行政院原子能委員会が策定した「放射性廃棄物管理方針」では、海外への再処理委託が排除されていないが、台湾電力公司は一部の使用済燃料の海外への再処理委託を計画していた。しかし、立法院(国会)が本件に係る予算を承認しなかったため、2015年以降、再処理計画は進んでいない。

高レベル放射性廃棄物処分について「放射性物料管理法施行細則」は、使用済燃料または再処理により発生した放射性廃棄物を「高レベル放射性廃棄物」と定義しており、また、「高レベル放射性廃棄物最終処分及び施設安全管理規則」では、高レベル放射性廃棄物は地層処分しなければならないと規定している。使用済燃料の処分について台湾電力公司は、2004年に「使用済燃料最終処分計画書」を策定しており、同計画は2006年に行政院原子能委員会が承認している。同計画では、2005年以降、処分場の建設が完了するまでが、以下の通り5段階に区分されている。

  • 処分候補母岩の特性調査と評価(2005~2017年)
  • 候補サイトの調査と検証(2018~2028年)
  • サイトの詳細調査及び試験(2029~2038年)
  • 処分場の設計と許可申請(2039~2044年)
  • 処分場の建設(2045~2055年)

2017年は「処分候補母岩の特性調査と評価」の段階の最終年であり、「使用済燃料最終処分計画書」では、同年に台湾電力公司が「技術フィージビリティ評価報告」を作成することとしていた。今回、台湾電力公司が行政院原子能委員会に提出した文書は、「技術フィージビリティ評価報告」の他、技術フィージビリティ評価報告に対する国際ピアレビュー報告書及び「候補サイトの提案 調査区域報告」である。

「技術フィージビリティ評価報告」では、地質環境、処分場の設計と工学技術、及び安全評価の3点が検討され、それぞれ以下の結論が示されている。

  1. 地質環境
    評価対象としたのは泥岩、花崗岩、及び中生代の地層であり、花崗岩を候補とすることを提案する。花崗岩を評価した結果、台湾には適性を有し、かつ、十分な大きさ及び地質学的特性を備えた花崗岩が存在している。台湾南西部の泥岩を対象から除外することを提案する。中生代の地層については、将来的に処分のフィージビリティを検討できるようにするため、引き続き研究を進める。
  2. 処分場の設計と工学技術
    現段階では、スウェーデンのKBS-3概念を参考にして、主な目標をKBS-3概念の自国化とし、徐々に建設能力を構築して関連する技術を掌握していくとともに、地質学的特性を踏まえて高度化させていく。フィージビリティ評価を経て、処分場の設計及び工学技術の能力が十分に構築され、地層処分の工学技術を備えるという現段階での目標は達成した。
  3. 安全評価
    国際的に先進的な安全評価の方法を導入し、台湾の母岩のパラメータを適用して、技術の自国化が達成された。また、設計及び工学技術との相互フィードバックを行い、処分システムの安全機能及び安全機能に関する指標の分析技術が確立された。

以上の結論から台湾電力公司は、「技術フィージビリティ評価報告」で示された段階的な技術開発の成果は、現時点での目標に達しており、今後は、現在の成果を基礎として、2018~28年の「候補サイトの調査と検証」以降の段階を進めていくとしている。

なお、台湾では、処分場が操業を開始するまでの間のため、使用済燃料及び低レベル放射性廃棄物を集中中間貯蔵する計画も進められている

【出典】

台湾における原子力規制行政機関である行政院原子能委員会(AEC)は2017年2月15日に、原子力発電事業者であり、放射性廃棄物管理に責任のある台湾電力公司が提出していた「低レベル放射性廃棄物処分計画の代替策及び暫定対策の具体的実施案」(以下「実施案」という。)及び「蘭嶼貯蔵施設の移設に関する計画の報告」を審査し、その結果を公表した。この中で、処分計画が進捗を見ない中、台湾電力公司による低レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の集中中間貯蔵計画を尊重するものの、蘭嶼島からの早期の搬出を実現するよう、低レベル放射性廃棄物の集中中間貯蔵施設の立地を優先的に進めるべきことが勧告された。

台湾には現在、操業中の低レベル放射性廃棄物処分場はなく、一部の低レベル放射性廃棄物は、蘭嶼島の貯蔵施設において貯蔵されている。低レベル放射性廃棄物処分に向けて、2006年5月に「低レベル放射性廃棄物最終処分場設置条例」が施行された。同条例に基づいて、行政院経済部の下に設置されたサイト選定委員会によってサイト選定が進められ、2012年7月には2カ所の低レベル放射性廃棄物処分場の推薦候補サイトが公告されたものの、同条例の規定によってサイトの決定のために必要となる住民投票は未だ実施されていない。こうした状況を踏まえて原子能委員会は台湾電力公司に対して、低レベル放射性廃棄物最終処分計画の代替策を検討し、2016年末までに原子能委員会に提出するよう求めていた。

「実施案」に対する原子能委員会の審査報告によると、台湾電力公司は低レベル放射性廃棄物の最終処分に先立ち、暫定対策として集中中間貯蔵施設の建設を提案した。原子能委員会は、これを了承するものの、集中中間貯蔵施設建設計画の開始から施設の操業開始までの期間を8年間、サイト選定及び用地取得は計画の開始後3年以内の期間で完了するべきとし、3年間でサイト選定と用地取得が完了しなかった場合、放射性物料管理法に基づいて3,000万新台湾ドル(1新台湾ドル=約3.5円で換算して約1億1千万円)の罰金を課すとしている。

また、審査報告によると、台湾電力公司は、集中中間貯蔵施設において、低レベル放射性廃棄物に加えて使用済燃料も貯蔵する計画を提示していた。原子能委員会は、この計画も了承するものの、使用済燃料の貯蔵の開始を前倒しするため、低レベル放射性廃棄物の貯蔵が遅延するのは避けるべきであるとしている。そのために、集中中間貯蔵は段階的に進める必要があり、低レベル放射性廃棄物の貯蔵を優先的に進め、蘭嶼島に貯蔵されている廃棄物の搬出を前進させるべきであるとしている。

さらに、原子能委員会は、集中中間貯蔵施設のサイト選定は、2016年6月に原子能委員会が制定した「放射性廃棄物集中中間貯蔵施設サイト選定基準」に即して客観的・科学的に行うべきであるとしている。また、集中中間貯蔵は暫定的な対策に過ぎず、台湾電力公司は低レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた取組を進めるべきとしている。

【出典】

台湾行政院経済部は、2012年7月3日に、「台東県達仁郷(タイドン県ダジン郷)」及び「金門県烏坵郷(キンムン県ウキュウ郷)」の2カ所を低レベル放射性廃棄物処分場の推薦候補サイトに決定したことを公告した。

推薦候補サイトに決定された2カ所のサイトの概要は、以下のとおりである。

推薦候補サイトの一覧
推薦候補サイト名 位置(所在) 範囲 面積
台東県達仁郷
(タイドン県ダジン郷)
南田村 楓港渓南側、南田村と旭海村の境界線以北、牡丹渓山東側、省道台26線西側 100ヘクタール
金門県烏坵郷
(キンムン県ウキュウ郷)
小坵村 小丘嶼と周辺の無人島及び暗礁 36ヘクタール

台湾での低レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定作業は、2006年5月施行の「低レベル放射性廃棄物処分場サイト設置条例」(以下「サイト設置条例」という)に基づいて、台湾行政院経済部の下に設置されたサイト選定委員会によって進められている。台湾行政院経済部は、2010年9月10日にサイト設置条例第4条に基づいて「台東県達仁郷(タイドン県ダジン郷)」と「金門県烏坵郷(キンムン県ウキュウ郷)」の2カ所を低レベル放射性廃棄物処分場の潜在的候補サイトに選定し、翌2011年3月29日の「推薦候補サイト選定報告書」において、サイト選定委員会がサイト設置条例第9条に基づいて、2カ所を推薦候補サイトとする票決を行ったことを公表していた。2カ所のサイトを推薦候補サイトとすることを正式決定した今回の公告は、サイト選定条例第11条に基づくものである。

台湾電力公司による2012年7月4日付のサイト選定作業の進捗情報によれば、台湾行政院経済部は、2011年3月29日に公告した「推薦候補サイト選定報告書」を公共施設で縦覧し、ウェブサイト上で30日間公開するとともに、2カ所のサイトが所在する自治体の県の首長、県議会議員、及び郷(鎮・市)役場等の関係者を訪問し、両サイトを推薦候補サイトとすることの説明及び協議を行っていた。その後、台湾行政院経済部は、2012年2月より、協議を行った全ての関係者から意見を聴取し、2012年3月7日に、出された意見に対する回答を行っていたが、地元との協議を経て今回の推薦候補サイトの決定に至ったとしている。

台湾行政院経済部は、推薦候補サイトの決定にともなって、2カ所のサイトにおいて処分場設置の是非を問う地方公民投票の準備作業を開始したとしている。なお、サイト設置条例第11条には、推薦候補サイトの公告期間終了後30日以内に、推薦候補サイトが所在する自治体において、処分場設置の是非を問う地方公民投票が実施されることが規定されている。

【出典】

台湾行政院経済部は、2010年9月10日付の公告において、低レベル放射性廃棄物最終処分場の潜在的候補サイトとして、「台東県達仁郷(タイドン県ダジン郷)」と「金門県烏坵郷(キンムン県ウキュウ郷)」の2箇所を選定したことを公表した。

台湾における低レベル放射性廃棄物処分サイト選定作業は、2006年5月に施行された「低レベル放射性廃棄物処分場サイト設置条例」(以下、サイト設置条例)に基づいて、台湾行政院経済部の下に設置されたサイト選定委員会によって進められている。これまでの選定作業において、2008年8月には、台東県達仁郷、澎湖県望安郷(ペンフ県ワンアン郷)、屏東県牡丹郷(ピンドン県ムタン郷)の3箇所が「潜在的候補サイト」として選定され、2009年3月には、この3箇所のうち、澎湖県望安郷と台東県達仁郷が「推薦候補サイト」として選定されていた。台湾行政院経済部は、2009年12月末までにこの2つの「推薦候補サイト」を承認することを予定していた。しかし、台湾電力公司は、澎湖県望安郷が「文化資産保存法」による「澎湖南海玄武岩自然保留区」に指定されたことを受けて、推薦候補サイトから除外されたことを公表した

サイト設置条例第11条では、2箇所以上の推薦候補サイトから候補サイトを選定することが規定されている。サイト選定委員会は、澎湖県望安郷が推薦候補サイトから除外されたことを受けて、2010年1月26日に開催された第12回委員会において、サイト選定作業を「潜在的候補サイトの選定段階」に戻すことを決定し、同年9月1日に開催された第15回委員会において、サイト設置条例4条の規定に従って、これまで推薦候補サイトに選定されていた「台東県達仁郷」を潜在的候補サイトに戻すとともに、新たに「金門県烏坵郷」が潜在的候補サイトとして選定された。

潜在的候補サイトの概要は、以下の通りである。

潜在的候補サイトの一覧(台湾行政院経済部 2010年9月10日付公告より作成)
潜在的候補サイト名 位置(所在) 範囲 面積
台東県達仁郷
(タイドン県ダジン郷)
南田村 楓港渓南側、南田村と旭海村の境界の北側、牡丹渓東側、台26号線西側 100ヘクタール
金門県烏坵郷
(キンムン県ウキュウ郷)
小坵村 小坵嶼とその周辺無人島及び礁岩 36ヘクタール

サイト設置条例によると、本公告から6カ月以内に、潜在的候補サイト、又は自治体が自ら申請を提出し審査されたサイトから、2箇所以上の推薦候補サイトが選定される。その後、推薦候補サイトに選定された自治体は、地方公民投票を実施して可決された場合、低レベル放射性廃棄物最終処分場の候補サイトとして承認されることになる。承認された候補サイトでは、環境影響評価及び投資のフィージビリティスタディが実施され、その結果に基づいて台湾行政院が最終処分サイトを確定することとされている。

【出典】

【2011年4月18日追記】

台湾行政院経済部は、2011年3月29日に「推薦候補サイト選定報告書」を公告し、「台東県達仁郷(タイドン県ダジン郷)」及び「金門県烏坵郷(キンムン県ウキュウ郷)」の2カ所を推薦候補サイトとしたことを発表した。公告同日から30日間、推薦候補サイト選定報告書を所定の公共施設で縦覧しており、個人や団体組織からの意見を受け付けている。

今回の「推薦候補サイト選定報告書」の公告は、同経済部の下に設置されているサイト選定委員会での票決を踏まえたものである。公告事項には、サイト選定委員会が同年3月21日に2カ所を推薦候補サイトとして票決したことが述べられている。

【追記部出典】

台湾電力公司は、2010年5月19日付のプレスリリースにおいて、2009年3月に低レベル放射性廃棄物処分の推薦候補サイトとして選定された2つのサイトのうち、澎湖県望安郷(ペンフ県ワンアン郷)が2009年9月までに、「文化資産保存法」による「澎湖南海玄武岩自然保留区」に指定されたことを受けて、推薦候補サイトから除外されたことを公表した。

台湾における低レベル放射性廃棄物処分サイト選定作業は、2006年5月に施行された「低レベル放射性廃棄物処分場サイト設置条例」(以下、サイト設置条例)に基づいて、台湾行政院経済部の下に設置されたサイト選定委員会によって進められている。2008年8月には、澎湖県望安郷のほかに、台東県達仁郷(タイドン県ダジン郷)、屏東県牡丹郷(ピンドン県ムタン郷)を合わせた3箇所の「潜在的候補サイト」が選定された。更に2009年3月には、3箇所の潜在的候補サイトのうち、澎湖県望安郷および台東県達仁郷が「推薦候補サイト」として選定されていた

サイト設置条例第11条では、2箇所以上の推薦候補サイトにおいて、処分サイト誘致の是非を問う住民投票を実施し、可決された場合には「候補サイト」とすることが規定されている。また、同条例第4条第5項では、処分サイトの設置禁止区域として、「その他の法令に定められている開発不可地区」が指定されている。

プレスリリースによれば、推薦候補サイトが台東県達仁郷の1箇所のみとなったことから、2010年1月に開催されたサイト選定委員会において、サイト選定作業を「潜在的候補サイトの選定段階」に戻し、サイト設置条例に示された所定の手順に沿って推薦サイトを再選定することが決議されたとしている。

【出典】

台湾行政院経済部は、2008年9月2日の公告において、低レベル放射性廃棄物最終処分場設置条例(以下、処分場設置条例)第8条に基づき、低レベル放射性廃棄物最終処分場の潜在的候補サイトとして、台東県達仁郷(タイドン県ダジン郷)、屏東県牡丹郷(ピンドン県ムタン郷)及び澎湖県望安郷(ペンフ県ワンアン郷)の3カ所が選定されたことを発表した。

台湾における低レベル放射性廃棄物最終処分場のサイト選定手続きは、2006年5月に施行された処分場設置条例によって規定された。この条例に基づき、2006年7月に台湾唯一の原子力発電事業者である台湾電力公司がサイト選定実施者として指定され、2006年8月にはサイト選定委員会が設置された。サイト選定委員会は2007年3月に処分場サイト選定計画を行政院経済部に提出し、この計画は2007年6月に行政院経済部によって承認されている。

今回公告された潜在的候補サイトは、処分場設置条例において「サイト選定計画に基づいた地域選定又はサイトの予備調査を経て選定された、処分場設置条例第4条の規定1 の要求を満たすサイト」と定義されている。サイト選定委員会は、台湾全地域を選定範囲として、サイト選定条例第4条の規定を満たすサイトの選定に係る審議を進めてきた。2007年8月に開催された第3回サイト選定委員会では、台湾電力公司から、サイト選定作業の進捗状況と公衆との意思疎通に関する作業状況について報告された。2007年11月には、対象サイトの現地調査が実施され、2008年1月には潜在的候補サイト選定のための票決の要点がサイト選定委員会によって審議された。以上の審議を踏まえ、2008年9月2日に下表に示す3カ所の潜在的候補サイトが公告された。

処分場設置条例によると、今後、自治体が自ら低レベル放射性廃棄物最終処分場の設置を希望する場合、本公告から4カ月以内に、申請書等の関連資料をサイト選定委員会に提出することになる。サイト選定委員会は、本公告から6カ月以内に、潜在的候補サイト、又は自治体が自ら申請を提出し審査されたサイトから、2カ所以上の推薦候補サイトを選定する。その後、推薦候補サイトに選定された自治体は、地方公民投票によって可決された場合、低レベル放射性廃棄物最終処分場の候補サイトとして承認される。承認された候補サイトでは、環境影響評価及び投資のフィージビリティスタディが実施され、その結果に基づき行政院(日本の内閣に相当)が最終処分サイトを確定することになっている。

潜在的候補サイト 位置(所在) 範囲 面積
台東県達仁郷 南田村 楓港渓南側、南田村と旭海村の境界の北側、牡丹渓東側、台26号線西側 100ヘクタール
屏東県牡丹郷 旭海村 里仁渓北側、南田村と旭海村の境界の南側、牡丹郷と獅子郷の境界の東側 100ヘクタール
澎湖県望安郷 東吉嶼 東吉嶼南側と東北側の台地 87ヘクタール

【出典】

  • 2008年9月2日付 経済部公告、http://gazette.nat.gov.tw/EG_FileManager/eguploadpub/eg014169/ch04/type3/gov31/num9/Eg.htm
  • 2008年7月18日付 低レベル放射性廃棄物最終処分施設サイトの選定業務報告書、 http://www.sec.gov.tw/rf/rf970718.doc
  • 低レベル放射性廃棄物最終処分計画書(改訂版)(台湾電力公司、2007年4月)

【2009年3月26日追記】

台湾行政院経済部は、2009年3月17日に「推薦候補サイト選定報告書」を公告し、「台東県達仁郷」及び「澎湖県望安郷」の2カ所を推薦候補サイトとして発表した。推薦候補サイト選定報告書は、同年3月18日から30日間、所定の公共施設において縦覧されており、この期間中には報告書に対する意見書を受け付けている。

今後は、処分場設置条例第11条に基づき、縦覧期間終了後30日以内に、推薦候補サイトが所在する自治体において、処分場設置の是非を問う地方公民投票を実施することになる。地方公民投票は2つの自治体において同一日程で実施され、投票の結果、可決された場合のみ、候補サイトとして認められる。また、両自治体で可決された場合には、行政院経済部が候補サイトを決定することになっている。

  • 行政院経済部公告(2009年3月17日)、経済部低レベル放射性廃棄物最終処分場サイト選定委員会による「推薦候補サイト選定報告書」の公告 http://www.sec.gov.tw/rf/rf0980318a.pdf

  1. 処分場設置条例第4条では、活断層や人口密集地など処分サイトとして不適格な地域に処分場を設置してはならないことを規定している。 []

2006年5月24日付の中華民国(台湾)総統府公報において「低レベル放射性廃棄物最終処分場設置条例」が掲載され、台湾における低レベル放射性廃棄物最終処分場のサイト選定、安全及び環境保護に対する要求を規定した法令が公布・施行された。

本条例の草案は、低レベル放射性廃棄物の最終処分に関する問題の解決に資するため、2002年12月に行政院(内閣)から立法院(国会)へ提出されたものの、会期内の審議で可決されなかった。その後、2005年6月に行政院が本条例の修正草案を立法院へ再度提出し、2006年4月28日には本条例が立法院で可決され、総統府へ提出されていた。

制定された本条例によると、下表に示す手続きにより行政院経済部が主導してサイト選定を実施するよう規定している。また、第12条では、処分場の選定作業を推進するため、行政院経済部が原子力発電バックエンド運営基金1 より補助金を拠出することを認めており、その最高金額は50億元(約170億円)と定められている。この補助金の配分は、次のように規定されているが、行政院経済部が補助金の使用方法を別途定めることとなっている。

  1. 処分場が所在する村(町・市)に40%以上。
  2. 処分場に隣接する村(町・市)の全体に30%以上。隣接する村(町・市)がない場合、処分場が所在する村(町・市)及び県(市)の配分を15%ずつ増配。
  3. 処分場が所在する県(市)に20%以上。

上述の他に本条例では、最終処分場の設置が適さない地質・土地の条件(第4条)、環境影響評価の実施(第13、14条)、最終処分場を設置する土地の使用及び収用の手続き(第15-17条)などが定められている。

表 制定された低レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定手続き

実施時期 サイト選定に関わる実施項目 該当項
条例施行日から 3カ月以内 行政院経済部がサイト選定委員会を設置 第5条
行政院経済部が、国内の主要な低レベル放射性廃棄物発生機関を処分場サイト選定の執行者として選定あるいは指定 第6条
サイト選定委員会設置後 6カ月以内 サイト選定委員会が、処分場サイト選定計画を行政院経済部に提出 第7条
処分場サイト選定計画受領後 15日以内 行政院経済部が、公報及びホームページにて処分場サイト選定計画を30日間公告 第7条
公告期間終了後 2カ月以内 行政院経済部がサイト選定計画を確定 第7条
サイト選定計画確定後 6カ月以内 サイト選定委員会が、潜在的候補サイト2 2)を行政院経済部に報告後、公表 第8条
潜在的候補サイト公表後 6カ月以内 サイト選定委員会が、行政院経済部に2カ所以上の推薦候補サイト3 3)を推薦 第9条
推薦候補サイト報告後 15日以内 行政院経済部が、報告内容をホームページで公表、ならびに推薦候補サイト所在地の適切な場所に30日間縦覧あるいは掲示 第9条
潜在的候補サイトの公表後 4カ月以内 県(市)政府が自ら管轄地区内に処分場を設置しようとする場合、県(市)議会及び村(町、市)民意代表会議の可決を受け、所定の手続きののち申請書を行政院経済部に提出
(第4条の規定を満たしていると認められた場合、優先的に推薦候補サイトとして公告される)
第10条
公告期間終了後 30日以内 推薦候補サイトの所在県(市)において地方公民投票を実施(可決された場合のみ候補サイト4 4)として認められる) 第11条


【出典】

  • 中華民国(台湾)総統府、2006年5月24日付総統府公報、http://www.president.gov.tw/paper/pdf /6690.pdf
  • 立法院、2006年5月12日付立法院公報、http://lci.ly.gov.tw/doc/communique/final/pdf/95/23 /LCIDC01_952301.pdf
  • 行政院原子能委員会(AEC)ホームページ(英語版)、http://www.aec.gov.tw/english/
  • 行政院、「低レベル放射性廃棄物最終処分場サイト選定条例草案(含む総括説明)」(2002年12月)(注:行政院作成の草案段階では、サイト“選定”条例となっていた)

  1. 発電所の廃止措置や放射性廃棄物の処分のための資金を確保するため、国家予算法に基づき行政院により設立された。基金の積立額は、原子力発電量による拠出率(0.17元/kWh:1元=3.4円とすると、約0.58円/kWh)によって算出され、発電事業者(台湾電力公司)が負担している。 []
  2. サイト選定計画に基づく地区選定と初期調査により選定された、条例に規定された要求を満たすサイト。 []
  3. 担当機関がサイト選定計画を通じて選定した潜在的候補サイト、または県(市)が自ら申請を提出し審査を経たサイトから、行政院経済部が選定し公告する2カ所以上のサイト。 []
  4. 県(市)の公民投票により公民の同意を得た推薦候補サイト。 []