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カナダ

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2009年5月5日付ニュースリリースにおいて、地層処分場のサイト選定計画案に関する協議文書を公表し、同案に対する意見募集を開始したことを発表した。意見募集は2009年10月末まで行われるほか、2009年5月から秋にかけて、原子力施設を有するサスカチュワン、オンタリオ、ケベック、ニューブランズウィックの4つの州において、同案を評価・議論するための公衆との対話集会などが行われる。NWMOは、寄せられた意見を踏まえてサイト選定計画案を最終版とし、確認等のプロセスを経て、2010年以降にサイト選定を開始するとしている。

今回のサイト選定計画案は、核燃料廃棄物管理機関(NWMO)がサイト選定手続きの策定に向けて2008年8月に発行した協議文書に対して寄せられた意見を踏まえて作成されたものである。同案では、次の9つの段階からなるサイト選定プロセスが提案されており、併せてサイト選定に関連する安全面での基準案に加え、考慮されるべき社会、経済、文化面等に関する基準案も示されている。

第1段階 NWMOによるサイト選定の開始
NWMOによる処分事業及びサイト選定計画についての情報提供、質疑応答等の活動により、カナダ国民の認知喚起を行う。
第2段階 詳しく知りたい自治体に対して、初期スクリーニングを実施
自治体からの要請により、NWMOが初期スクリーニング基準に基づき潜在的な適合性の評価を行う。
第3段階 関心のある自治体に対して、潜在的な適合性の予備的評価の実施(1~2年間)
NWMOは自治体との協力の下で、自治体内のサイトが処分事業の詳細要件を満たす可能性があるかについてフィージビリティ調査を行う。
第4段階 関心のある自治体に対して、影響を受ける可能性のある周辺自治体の関与とサイトの精密調査(5年間以上)
NWMOは関心のある自治体とともに、影響を受ける可能性のある周辺自治体の参加を得て、地域レベルでの健康、安全、環境、社会、経済、文化的な影響を評価する。NWMOは、精密調査に進むことを正式に表明した自治体から一つ、もしくは複数のサイトを選定し、自治体の協力の下で精密調査を実施する。
第5段階 適合性のあるサイトを有する自治体が処分場の受入可否を決定し、NWMOと正式合意条件などを交渉
第6段階 NWMOと立地自治体が処分場受入に関して正式合意
第7段階 地域拠点の設立及び地下実証施設の建設・操業
NWMOが自治体との協力により地下実証施設及び技術実証のための地上施設の建設を含む地域拠点を設立する。この段階での規制要件について、規制機関と協議が実施される。
第8段階 規制機関による処分事業の安全性レビューと許認可
環境評価とサイト準備、建設及び操業に関連した許認可を伴う、規制機関によるレビューと許認可プロセスが実施される(使用済燃料の輸送に関する規制機関の承認も必要とされる)。
第9段階 処分施設の建設・操業

また、今回のサイト選定計画案では、サイト選定手続きにおいて第三者機関のレビューや勧告が重要であるとされており、初期スクリーニング、サイト評価、サイト選定原則・手続きの遵守に関して、第三者機関によるレビューが行われることが示されている。

さらに同案では、処分事業が160億~240億カナダドル規模(約1兆5,000億円~2兆3,000億円)(1カナダドル=96円で換算)のものであり、数十年間にわたって数百人規模の直接雇用やその他の多くの間接雇用の創出など、事業の受け入れ自治体に大きな経済効果をもたらすことが期待できるとしている。

なお、今回のサイト選定計画案に関する意見募集は「適応性のある段階的管理」の第1段階の一部であり、核燃料廃棄物管理機関(NWMO)が2009年1月付で公表した、「適応性のある段階的管理」の実施に関する2009年~2013年の5年間における実施計画書によると、2011年までにフィージビリティ調査を開始し、2012年末までに候補サイトにおける技術的及び社会経済的評価の開始準備が整うとの見込みを示している。

【出典】

  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)、2009年5月5日付ニュースリリース、http://www.nwmo.ca/news_archive?news_id=67&uniqid=
  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)、NWMO協議文書、 Moving Forward Together: Designing the Process for Selecting Site, May 2009
  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)、Implementing Adaptive Phased Management 2009-2013, January 2009

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は自身のウェブサイトにおいて、2008年度の年報を2009年3月26日に連邦天然資源大臣に提出したこと、及び同年報を公表した。NWMOによる年報の作成・公表は、2002年11月に施行された「核燃料廃棄物の長期管理に関する法律」(略称:核燃料廃棄物法)に基づくものである。今回の年報では、2007年6月に政府決定された使用済燃料の長期管理アプローチ「適応性のある段階的管理」の実施に向けた7つの戦略的目標のもと、NWMOによる2008年度における事業の進捗状況が報告されている。なお、適応性のある段階的管理の実施に向けた7つの戦略的目標は以下の通りである。

  • サイト選定手続きの策定(既報
  • 処分費用の資金確保
  • 研究推進
  • 計画のレビュー、調整、有効化
  • 組織の統治・監督等
  • 実施主体の増強
  • 公衆との長期的な関係構築

このうち処分費用の資金確保状況について同年報では、2002年に廃棄物発生者の原子力発電会社及びカナダ原子力公社(AECL)によって設置された各信託基金において確保されている資金残高が、2008年12月末時点で合計約15億カナダドル(約1,440億円)とされている(1カナダドル=96円で換算)。

また同年報では、核燃料廃棄物管理費用の見積額は、使用済燃料集合体360万体に対して70~80億カナダドル(2009年1月1日現在の見積で、日本円換算6,720~7,680億円)になるとされている。同費用には、廃棄物発生者によって支払われる使用済燃料のサイト貯蔵費用、核燃料廃棄物管理機関(NWMO)によって支払われる処分場の開発・建設・2035年からの操業、及び処分場への使用済燃料の輸送に要する費用が含まれている。なお2008年6月末時点での使用済燃料集合体の累積量は約205万体。また、次の費用見積もりは遅くとも2012年には行われる見込みである。

さらに同年報では、2008年には核燃料廃棄物管理機関(NWMO)にとって初となる「2008年~2012年の5年間における実施計画書」を作成・公表したことや、NWMOが実施する技術開発を第三者的に評価する独立技術レビューグループ(ITRG)が設置され、2008年11月に最初の報告書をNWMOの理事会と諮問評議会に提出したことも示されている。

【出典】

  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)ウェブサイト、http://www.nwmo.ca/annualreport2008
  • Moving Forward Together, Annual Report 2008, NWMO

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、自身のウェブサイトにおいて、地層処分場のサイト選定手続きの策定に向け、2008年9月から12月にかけて意見募集を行うための協議文書を公表した。今回の意見募集は、「適応性のある段階的管理」の実施に関して、NWMOが策定した2008年~2012年の5年間の実施計画書の中で、2008年末までに行うとされていたものである

核燃料廃棄物管理機関(NWMO)のウェブサイトによれば、今回のNWMOによる意見募集では、サイト選定手続きにおいて考慮されるべき原則、目的、重要事項に主眼が置かれるとされている。NWMOは、サイトの安全性を確証するための技術的な検討だけでなく、国民の懸念点なども最初から考慮して、サイト選定手続きを設計することが重要であるとしている。NWMOは、より多くの機関や個人から意見を得るため、2008年9月からさまざまな活動を行う予定である。

また、同ウェブサイトでは、核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、サイト選定手続きの開始に至るまで、以下のような段階を踏むとしている。

  • 2008年9月~12月
     NWMOのウェブサイト、協議文書及び参画促進活動を通じて、適切で公正なサイト選定手続きに対する意見を募集。
  • 2009年
     寄せられた意見に基づき、NWMOがサイト選定計画案を作成。春から数ヶ月間、同案についてのレビューと協議を行った後、最終化。
  • 2010年
     サイト選定手続きの開始。

なお、同ウェブサイト上にある「よく聞かれる質問(FAQ)」の箇所において、NWMOは、以下のようなサイト選定に関する方針等を示している。

  • どのようなサイトが対象となるのか?
     特定の対象サイトはなく、立地を希望する自治体に処分場を設置することになるが、まずはそのような自治体を選定するためのサイト選定手続きを策定する必要がある。
  • いつサイトが選定されるのか?
     十分な情報の下に、地層処分場の立地を希望する自治体の選定に必要とされる時間を確保するため、サイト選定を行う期限は定めていない。
  • サイト選定手続きの目的は何か?
     サイト選定手続きは、自治体が立地場所、検討されるべき事項、選定基準、選定段階を決定するプロセスに関与できるようにするためのものである。 

【出典】

  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)ウェブサイト http://www.nwmo.ca/Default.aspx?DN=19def3e6-fb87-47a8-8840-54869aabb812
  • NWMO協議文書、 Moving Forward Together: Desgining the Process for Selecting Site, August 2008

【2008年9月24日追記】

核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2008年9月19日付のプレスリリースにおいて、処分場のサイト選定手続きの策定に向けた意見募集を開始したことを公表した。なお、意見募集期間は2008年12月15日までとされている。

  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)ウェブサイト http://www.nwmo.ca/Default.aspx?DN=144289a7-c6b6-454f-822e-d997c9a810ca

カナダにおける核燃料の廃棄物管理の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、「適応性のある段階的管理」の実施に関して、2008年~2012年の5年間における実施計画案をまとめて2008年4月に公表し、意見募集を2008年5月16日までの期限で実施した。

カナダでは、2007年6月の政府による使用済燃料の長期管理アプローチの決定を受けて NWMOが実施主体として活動を開始し、「適応性のある段階的管理」の実施に向けた7つの戦略的目標を策定している。今回の実施計画案は、この戦略的目標に基づいて調和的かつ体系的な方法で活動を進めるために、今後5年間について行動計画をまとめたもので、年内の策定が見込まれている

同計画案では、関心を有するカナダの国民及び先住民との長期的な関係の構築、技術及び社会学的な知見に基づく広範な研究の推進、確実な資金確保、技術革新などに関する継続的な評価・調整・検証の実施、NWMOの組織管理体制の構築及び維持、実施主体としての組織整備、サイト選定手続きの立案及び開始について、それぞれ2008年から2012年までの5年間の中で設定された具体的な計画が示されている。

この内、NWMOが2008年末までに実施を予定しているものとして、以下のような項目などが挙げられている。

  • コミュニケーション戦略の立案のためのヒアリングの実施
  • 若年層や先住民等の参加の促進など、公衆との関係強化に向けた様々な取り組みの実施
  • 一般的な地球科学的サイト基準の策定
  • 処分の概念設計のための廃棄体定置方法の評価
  • 独立した技術評価グループの設置及び会議の年1回以上の開催
  • 各社(オンタリオ・パワージェネレーション社、ハイドロ=ケベック社、ニューブランズウィック・パワー社、カナダ原子力公社)の信託基金に関する監査済みの財務報告書などのウェブサイト上での公開
  • 常勤職員数の50人程度までの増員
  • サイト選定手続きの立案に関する国民との対話の開始・進行を目的とした討議文書、公衆との対話を支援する情報冊子などの準備

また、NWMOは手続き、コミュニケーション、及び意思決定における公開性と透明性の確保を掲げており、その具体化に向けた「透明性の確保に関する方針案」も今回の計画案と共に公開している。

【出典】

  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)、ウェブサイト http://www.nwmo.ca/Default.aspx?DN=cbc15874-140c-4831-b045-4a78599ebdbc&l=English
  • Implementing Adaptive Phased Management 2008-2012, Draft Plan for Public Comment, April 2008, NWMO
  • Dialogue on Proposed Transparency Policy, Draft Policy, April 2008, NWMO

【2008年8月8日追記】

核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、自身のウェブサイトにおいて、意見募集期間に寄せられたコメントを反映した、2008年~2012年の5年間における実施計画書を公表した。

  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)ウェブサイト http://www.nwmo.ca/Default.aspx?DN=1ab9c5c2-93ad-41e7-a894-d21b7db3bdf2

カナダにおける核燃料廃棄物の長期管理の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2008年3月25日に、2007年度の年報を公表した。この年報は、2002年11月に施行された「核燃料廃棄物の長期管理に関する法律」(略称:核燃料廃棄物法)に基づいて連邦天然資源大臣に提出、公表されるものであり、2007年6月に使用済燃料の長期管理アプローチとして「適応性のある段階的管理」が決定されて以降、最初の年報となる。

同年報によると、NWMOは2007年6月の政府決定を受けて、2007年10月には、NWMOの実施主体としての活動に関する電力会社3社の役割、責任及び費用負担の調整を目的とした新たな取り決めが交わされ、新しい定款が定められている。また2008年には、NWMOが実施する技術開発を第三者的に評価し、理事会、諮問評議会に定期的に報告する技術評価グループの設置が予定されている。

また同年報では、「適応性のある段階的管理」の実施に向けて予め決められたスケジュールは設定せずに、以下の3つの段階に沿った概念的な作業スケジュールを適用するとしている。

  • 第一段階:集中施設(中間貯蔵、地層処分)のサイト選定に向けたプロセスの協調的な設計及び実施
  • 第二段階:詳細な情報の提供及び地域の受入れ意思に基づいたサイト選定に続き、必要な許可を得た後のサイト特性調査、処分場の詳細設計の実施
  • 第三段階:許可取得後の処分場建設、操業開始

NWMOは「適応性のある段階的管理」の実施に向けた7つの戦略的目標を策定した。この目標に基づき、初期の実施計画を2008年中に完成するとしている。

今回の年報は、長期管理アプローチの決定後に初めて作成、公表されるものであるが、翌会計年度に確保すべき資金額の算定式とその根拠、及び原子力発電会社とカナダ原子力公社(AECL)が納付すべき拠出金額とその割合の根拠を提案し、連邦天然資源大臣の承認を得なければならないことが核燃料廃棄物法で規定されている。

核燃料廃棄物管理費用の見積りについては、2006年6月末時点で存在する使用済燃料集合体(約188万体)について、処分場を開発、建設し、2035年に輸送及び操業を開始する場合に要する費用を48億カナダドル(2008年価格、5,520億円)と見積っている。2006年6月末以降に発生した使用済燃料については、輸送、処分場の拡張、操業及び監視に要する追加費用を基に算出した集合体1体当たりの費用によって見積られることになっている(1カナダドル=115円で換算)。

処分場の建設以降に要する費用(32億カナダドル(3,680億円))については信託基金によって確保することとされ、2007年12月末現在の信託基金の残高は約14億カナダドル(1,610億円)となっている。残りの約18億カナダドル(2,070億円)については、2008年から2035年までの期間にわたって現在価値に相当する額を年々拠出する方式が提案され、各発生者の信託基金の見込み利回りで増減することが提案されている。

発生者による費用負担については、2006年6月末までに生じた使用済燃料集合体数を基に、処分場に輸送する時期を考慮して決定し、少なくとも5年毎に更新する方式が提案されている。発生者の負担割合は、2035年から輸送の開始を想定しているオンタリオ・パワージェネレーション社は90.8%、2050年に輸送の開始を想定している他の3社については、ハイドロ=ケベック社が3.9%、ニューブランズウィック・パワー社が4.2%、AECLが1.2%となっている。

【出典】

  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)、2008年3月25日付けニュースリリース
    http://www.nwmo.ca/Default.aspx?DN=e99873b6-5d85-417d-b3a9-7f8f44862235
  • Moving Forward Together, Annual Report 2007, NWMO

カナダ環境評価局(CEAA)は、2007年6月29日付けのニュースリリースにおいて、オンタリオ・パワージェネレーション(OPG)社が提案している低中レベル放射性廃棄物の地層処分場に関する環境評価を、評価パネルによって行うことを環境大臣が決定したことを公表した。OPG社は、オンタリオ州キンカーディン自治体のブルース原子力発電所サイトでの処分場建設・操業を計画しており、その環境評価方法については、パブリックコメント募集などを経て、評価パネルへの付託がカナダ原子力安全委員会(CNSC)から勧告されていた。

同ニュースリリースによると、今回の環境大臣の決定はCNSCの勧告に基づくものであり、カナダ環境評価法の規定により、引続き包括調査方式によって評価を行うか、評価パネルへの付託を行うべきかについて決定が必要とされていたものである1)。カナダ環境評価局(CEAA)のウェブサイトによると、評価パネルの委員の指名は行われていない。

OPG社によって提案されている低中レベル放射性廃棄物の地層処分場には、ブルース原子力発電所内のウェスタン廃棄物管理施設(WWMF)に貯蔵されている廃棄物に加え、現在操業を続けているOPG社所有のブルース、ピッカリング、ダーリントンの各原子力発電所で発生する低中レベル放射性廃棄物が処分される予定である。この地層処分場の建設については、2004年10月、OPG社とオンタリオ州キンカーディン自治体との間で、低中レベル放射性廃棄物の長期管理のための立地協定が締結されている。

今回のニュースリリースでは、環境評価手続きにおける公衆の積極的な参加を可能とするために、資金供与プログラムが利用可能となることも示されている。また、この環境評価に関する情報が下記のウェブサイトにて公開されているが、2007年6月末時点では参加資金供与プログラムその他の詳細を示す資料は公表されていない。

【参考】低中レベル放射性廃棄物地層処分場の環境評価に関するページ

(www.ceaa-acee.gc.ca/050/viewer_e.cfm?cear_id=17520)

【注1-カナダの環境評価】

カナダでは、カナダ環境評価法により、連邦が管轄する一定のプロジェクトには環境評価が必要とされる。環境評価の方法には、大きく分けてスクリーニング、包括的調査、調停、評価パネルの4つタイプがある。連邦プロジェクトの多数はスクリーニングによって評価されるが、規則で定められた一定の大規模プロジェクトは、包括的調査によるものとされている。環境への影響が想定されるプロジェクトや公衆の関心が高いプロジェクトは、所轄官庁の勧告等により環境大臣が決定した場合は評価パネルによる評価が行われる。評価パネルによる評価は、多数の公衆やグループが参加可能な公聴会などを含めて、公平で客観的な審査及び評価を行うものである。評価パネルの委員及び委員長は、環境大臣によって任命される。調停は任意の交渉手続きで、独立・公平な調停者が関係者の問題解決を支援するもので、評価パネルとの併用も可能とされている。

また、カナダ環境評価法では、環境評価に参加を希望する個人または非営利団体に対し、旅費や専門家起用費用など、参加のために必要となる資金を一定の条件で供与するプログラムが定められている。

【出典】

  • カナダ環境評価局(CEAA) 2007年6月29日付けプレスリリース
    (www.ceaa-acee.gc.ca/050/DocHTMLContainer_e.cfm?DocumentID=22074)
  • カナダ環境評価局(CEAA)ウェブサイト の環境評価に関するページ
    (www.ceaa-acee.gc.ca/010/index_e.htm)


【2008年4月9日追記】

2008年4月4日、カナダ原子力安全委員会(CNSC)及びカナダ環境評価局(CEAA)は、低中レベル放射性廃棄物の地層処分場計画に関する環境影響評価(EIS)のガイドライン案、及び処分事業の環境影響とサイト準備、建設の許可申請を評価する合同評価パネル(JRP)の設置に関する連邦環境大臣とCNSC間の協定案を公表した。これらの草案については2008年6月18日を期限としてパブリックコメントを募集するとしている。

追記出典

  • カナダ原子力安全委員会(CNSC)2008年4月4日付けプレスリリース
    (http://www.nuclearsafety.gc.ca/eng/newsroom/releases/news_release.cfm?news_release_id=305)

【2009年1月27日追記】

2009年1月26日、カナダ原子力安全委員会(CNSC)及びカナダ環境評価局(CEAA)は、2008年4月から6月にかけて実施されたパブリックコメントの結果を踏まえて、低中レベル放射性廃棄物の地層処分場計画に関する環境影響評価(EIS)のガイドラインの最終版、及び処分事業の環境影響とサイト準備、建設の許可申請を評価する合同評価パネル(JRP)の設置に関する連邦環境大臣とCNSC間の協定を公表した。

なお、CNSCのウェブサイトによると、今後の主なスケジュールは以下の通りである。

  • 2011年1月:JRPの委員の任命
  • 2011年4月:オンタリオ・パワージェネレーション(OPG)社によるEIS報告書及び処分場のサイト準備、建設の許可申請書のJRPへの提出
  • 2011年4月から10月:EIS報告書のレビュー、及びパブリックコメントの募集
  • 2012年10月:JPRによる処分場のサイト準備、建設の許可発給
  • 2015年:OPG社による操業許可申請
  • (詳細なスケジュールについてはCNSCのウェブサイトhttp://www.nuclearsafety.gc.ca/eng/readingroom/newbuilds/opg_dgr/#1を参照。)

    追記出典

  • カナダ原子力安全委員会(CNSC)2009年1月26日付けプレスリリース、http://www.nuclearsafety.gc.ca/eng/mediacentre/releases/news_release.cfm?news_release_id=331
  • カナダ環境評価局(CEAA)2009年1月26日付けプレスリリース、http://www.ceaa.gc.ca/050/Document-eng.cfm?DocumentID=31041

カナダの天然資源省は、2007年6月14日付けのニュースリリースで、使用済燃料の長期管理アプローチとして、2005年11月に核燃料廃棄物管理機関(NWMO)が提案した「適応性のある段階的管理」(詳しくは こちら)を承認したことを公表した。カナダの核燃料廃棄物法によれば、使用済燃料の長期管理アプローチについては、NWMOの提案を受けて、天然資源大臣が勧告を行うことになっている

同ニュースリリースによると、「適応性のある段階的管理」は、使用済燃料を長期間、安全に管理するものであり、使用済燃料はモニタリングされるとともに、回収可能性が維持される。また、燃料のリサイクルの可能性を含めた将来の技術進歩の活用も意図しているとの、天然資源大臣の見解を示している。

今回のニュースリリースと同時に公表された背景情報によると、使用済燃料の長期管理アプローチ「適用性のある段階的管理」は、以下のような主要な3段階を有し、市民、利害関係を有する地域、地方自治体、州などの継続的な関与を保証しながら進められることになっている。

  • 情報が提供され、受け入れ意思を有するコミュニティ内のサイトへの使用済燃料(SF)の集中管理に向けた準備を進めながら、既存の原子力発電所でのSF管理の継続
  • 上記の集中管理サイトにおいて浅地中貯蔵施設で中間的な貯蔵(段階)を実施するか否かの決定
  • モニタリングと回収可能性の維持を継続した地層処分場へのSF収容に向けた処分場の位置決めとサイトでの準備

同背景情報によると、今後、NWMOは、核燃料廃棄物の長期管理に関する法律に基づき、原子力発電会社などの廃棄物所有者が拠出した基金を利用しながら、政府の決定を実施することになるとしている。また、十分に情報が提供され、受け入れ意思を有する地域内に適切なサイトを選定するには、時間がかかる可能性があると述べられている。サイト選定手続きは、オンタリオ、ニューブランズウィック、ケベック、サスカチュワンの各州に重点を置いたさらなる関与活動も含める見通しとされており、適切なサイトが決定された後は、集中中間貯蔵施設の建設に向けた、厳格な環境影響評価及び許認可手続きを踏むことになるとしている。

また連邦政府は、核燃料廃棄物法に基づき、公共の利益を守るため、NWMOの活動を継続的に監査することになるとしている。

【出典】

  • 天然資源省、2007年6月14日付けニュースリリース http://www.nrcan-rncan.gc.ca/media/newsreleases/2007/200750_e.htm
  • 天然資源省、2007年6月14日付けニュースリリースの背景情報 http://www.nrcan-rncan.gc.ca/media/newsreleases/2007/200750a_e.htm

【2007年6月28日追記】

2007年6月27日、総督は、核燃料廃棄物法に従い、天然資源大臣の勧告を受けて、使用済燃料の長期管理アプローチとして「適応性のある段階的管理」を決定した旨が、カナダ官報に公示された。

  • カナダ官報 PartII, Vol.141, No.13, Registration SI/2007-63、2007年6月27日
    (http://canadagazette.gc.ca/partII/2007/20070627/pdf/g2-14113.pdf)

カナダ原子力安全委員会(CNSC)は、2006年12月20日付けのプレスリリースにおいて、放射性廃棄物管理の長期安全性の評価に関する規制指針(G-320)の最終版を公表したことを報じた。同プレスリリースによると、 この規制指針の目的は、CNSCに新規の許可あるいは既存の許可更新を申請する者に対して、放射性廃棄物管理の長期安全性の評価に関する支援を行うことを目的としている。 同プレスリリースによると、本規制指針については、CNSCがドラフト版を2005年6月に公表して公開協議を行っていたが、今回の最終版は、その際にステークホルダーなどから寄せられたコメント等も反映されているとしている。

本規制指針は、放射性廃棄物管理の長期安全性の評価について、方法、構成、アプローチなどに関する議論が示されたものであり、以下のような項目で構成されている。

  1. 規制の目的
  2. 規制の範囲
  3. 関連法令
  4. 背景情報
  5. 長期的なセーフティケースの開発
  6. 受容基準の明確化
  7. 長期評価の実施
  8. 結果の解釈

また、本規制指針では、放射性廃棄物の貯蔵及び処分方法が環境及び公衆の健康と安全に与える可能性のある長期的影響の評価に関するアプローチを記述しており、以下の点について扱われている。

  • 廃棄物の長期保管及び管理における考慮
  • 廃止措置後の目標の設定
  • 評価基準の確立
  • 評価戦略及び詳細さの水準
  • 時間枠の選択及び評価シナリオの明確化
  • 決定グループなどの特定
  • 評価結果の解釈

一方、本規制指針では、放射性廃棄物の長期管理方法に関し、廃棄物の特性、施設の操業に関する評価、廃棄物の輸送、社会受容及び経済的実施可能性など、許可手続において考慮されるその他の問題については対象とされていない。

なお、CNSCは原子力安全管理法(NSCA)に基づいて2000年に設置され、公衆の健康及び環境を保護するために放射性物質などについての規制を実施している。CNSCは2004年7月に放射性廃棄物の管理に関する規制方針(P-290) を公表しており、放射性廃棄物の規制において、CNSCによって用いられる考え方及び原則を示している。CNSCは同規制方針において許可対象活動から発生する放射性廃棄物及び有害廃棄物の長期管理の必要性についてふれており、本規制指針はこうした流れに沿って策定されたものである。

【出典】

  • カナダ原子力安全委員会(CNSC)ウェブサイト 2006年12月20日付けプレスリリース、
    (http://www.nuclearsafety.gc.ca/eng/regulatory_information/bulletins/view_
    bulletin.cfm?bulletin_id=167)
  • カナダ原子力安全委員会(CNSC)規制指針、放射性廃棄物管理の長期安全性の評価(G-320)、
    (http://www.nuclearsafety.gc.ca/pubs_catalogue/uploads/G-320_FinalPaper_e.pdf)
  • 放射性廃棄物等安全条約に基づくカナダ国別報告書(第2回)

カナダ原子力安全委員会(CNSC)は、2006年6月5日付けのプレスリリースにおいて、オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社がオンタリオ州キンカーディン自治体のブルース原子力発電所サイトでの建設・操業を提案している低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場に関して、環境評価のための方法等を示したスコーピング1 報告書案に対するパブリックコメントの募集を開始したことを公表した。

同プレスリリースによると、今回のスコーピング報告書案はカナダ原子力安全委員会(CNSC)のウェブサイトをはじめ、キンカーディン周辺の公立図書館、原子力発電所のビジターセンターなどで公開されており、2006年7月17日までの期間、パブリックコメントを受け付けるとしている。また、OPG社は2006年6月12日に、ブルース地区の公民館において、今回のスコーピング報告書案に関する情報提供の場を設けている。

また、カナダ原子力安全委員会(CNSC)のウェブサイトの環境評価に関するページでは、ブルース原子力発電所サイトへの建設・操業が提案されている低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場について、ブルース原子力発電所内のウェスタン廃棄物管理施設(WWMF)に貯蔵されている廃棄物に加え、現在操業を続けているOPG社所有のブルース、ピッカリング、ダーリントンの各原子力発電所で発生する低・中レベル放射性廃棄物が処分される予定であることが示されている。

同ウェブサイトによると、OPG社は原子力安全管理法の下、地層処分場計画に関して実施される活動についてCNSCから許可を得ることが求められている。これを受けて、2006年1月30日にOPG社がCNSCに対して、地層処分場に関する準備、建設、操業に向けた許可申請の意向を正式に伝えていた。また、CNSCの許可発給の前に、OPG社は環境評価法に従って、環境評価に関する詳細調査を実施しなければならないとされており、環境評価の全体手続きについて、以下のように示されている。

  • スコーピング報告書、環境評価ガイドラインの準備
  • 計画の範囲・目的などの環境大臣への報告

同ウェブサイトによれば、さらに、環境大臣より詳細調査の継続を指示された場合は、以下のような手続きがOPG社により行われることになる。

  • 詳細調査の完了
  • 詳細調査報告書の準備
  • 詳細調査報告書に関するパブリックコンサルテーションの実施
  • 詳細調査報告書の環境大臣への提出

なおこの地層処分場の建設については、2004年10月、OPG社とオンタリオ州キンカーディン自治体との間で、低・中レベル放射性廃棄物の長期管理のための立地協定が締結されている

【出典】

  • カナダ原子力安全委員会(CNSC)ウェブサイト 2006年6月5日付けプレスリリース、http://www.nuclearsafety.gc.ca/eng/assessments /RFPC_deep_geological_
    repository.cfm

【2007年1月15日追記】

2006年12月21日、カナダ原子力安全委員会(CNSC)はプレスリリースにおいて、オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社の提案している低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場に関する計画の環境評価について、環境評価法に基づき、評価パネルへの付託を連邦環境大臣に勧告する決定を行ったことを公表した。これを受けて、連邦環境大臣は勧告に対する決定を行うことになる。また、CNSCは同計画に関する環境評価方法等を示したスコーピング報告書の修正版について、環境評価法に基づいて承認することも合わせて発表した。なお、CNSCのウェブサイトによると、このスコーピング報告書については、2006年6月のパブリックコメントの結果を受けて修正版が公表され、2006年10月23日にはCNSCによって公聴会が開催されている。

【追記部出典】

  • カナダ原子力安全委員会(CNSC)ウェブサイト のOPG社の地下処分場の環境評価に関するページ、http://www.nuclearsafety.gc.ca/eng/assessments /EA_06_03_17520.cfm

  1. スコーピングとは、環境評価の手続き、評価項目及び手法の選定などの枠組みを決定するための仕組みである。 []

カナダの核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2005年11月3日付のニュースリリースにおいて、使用済燃料の長期管理アプローチに関する最終報告書「進むべき道の選択」を天然資源大臣へ提出したことを公表した。 NWMOは、核燃料廃棄物法に基づき2005年11月15日までに使用済燃料の長期管理アプローチを天然資源大臣に勧告することとなっており、今回の最終報告書で、2005年5月に公表されたドラフト報告書で提案されていた「適応性のある段階的管理」(詳しくは こちら)を使用済燃料の長期管理アプローチとして正式に勧告している。

今回の最終報告書と同時に公表された、ドラフト報告書からの変更に関する資料によると、最終報告書では、先住民や市民との対話、パブリックコメントへの対応等の反映や最終報告書での検討のためにNWMOの諮問評議会が提案した分野においての情報の詳細化等がなされたとしている。

ニュースリリースによると、核燃料廃棄物法によってNWMOが検討することとなっていた地層処分、サイト貯蔵、集中貯蔵の3つの管理アプローチは、どのアプローチも利点を持っているものの、いずれも市民が重要と考える目的全てを満たしておらず、NWMOは3つのアプローチそれぞれの利点に基づいた4つ目のアプローチを開発したとしている。

同ニュースリリースでは、適応性のある段階的管理について以下のように述べている。

  • 現世代が作り出した使用済燃料の管理へ向けて、現世代が最初のステップを踏み出す。
  • 制度や管理形態の変化する中で、長期間にわたり人間の管理システムに依存することは適切ではないことを認める。
  • 設計やプロセスを通して厳格な安全基準等に適合させる。
  • 段階的な意思決定が可能で、経験や社会変化に対応する柔軟性を提供する。
  • 財政的に保守的なアプローチを採用すること及び世代から世代へと受け渡されることに適合できる能力を備えることで、真の意味での選択を提供する。
  • 継続的な知見の向上を促進し、性能を強化したり不確実性を減少させる操業や設計の改良を可能とする。
  • 最終段階が実施される前に、技術及び支援システムへの信頼性を構築する。
  • 将来の世代が施設の閉鎖に十分な信頼を置けるまで、使用済燃料の回収可能性を維持した形で、現実的で、安全確実な使用済燃料の長期貯蔵を提供する。
  • 自然もしくは人為的な不測の事態に対する継続的な監視及び備えを提供する。
  • 市民の価値、倫理観、及びそれぞれのステップへ進むための十分な確実性が存在するかどうかについて、社会的な判断を可能にする市民の参加に基づく。

同ニュースリリースによると、カナダ政府による使用済燃料の管理アプローチの決定後、NWMOは管理アプローチの実施主体となるとしている。NWMOによれば、サイト選定は開かれた包括的で公正なものでなくてはならず、全ての関心のある地域が自らの見解をNWMOへ伝える機会を持ち、それらが考慮されなくてはならないとしている。また、集中中間貯蔵施設を設置する地域については、核燃料サイクルに直接関わっているオンタリオ、ケベック、ニューブランズウィック、サスカチュワン各州に重点を置くことを示している。

今後は、核燃料廃棄物法に従い、天然資源大臣が使用済燃料の長期的な管理アプローチに関して勧告を行い、最終的に総督によって管理アプローチが決定されることとなっている。


【2005年11月17日追記】

2005年11月4日、天然資源大臣はNWMOの最終報告書「進むべき道の選択」を議会へ提出した。

  • 核燃料廃棄物局(NFWB)プレスリリース(2005年11月4日)(http://www.nfwbureau.gc.ca/english/view.asp?x=645&id=34)


【出典】

  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)2005年11月3日付けニュースリリース
    http://www.nwmo.ca/default.aspx?DN=1498,50,19,1,Documents
  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)、ドラフト報告書から最終報告書への変更点に関する資料
  • 核燃料廃棄物の長期管理に関する法律(An act respecting the long-term management of nuclear fuel waste)