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カナダにおける核燃料廃棄物管理の実施を行う核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2003年11月28日、「適切な問題設定をしているか? カナダの使用済燃料の長期管理」と題する報告書を公表した。この報告書は公衆との議論を行うための第一回目の報告書で、NWMOは、この報告書は核燃料廃棄物の長期管理に関する複雑な問題について、カナダの公衆に関与してもらう手段であるとしている。NWMOはこの報告書の目的として以下の4点を挙げている。

  1. 法的な責務と、どのように研究を行うかについて提案を示す
  2. 議論を行うために、カナダの公衆とのこれまでの対話のなかで上がった幅広い問題と懸念を共有する
  3. 異なるアプローチの評価をどのような枠組みで分析するかについて当初の考え方を示す
  4. 背景情報として、使用済燃料管理に関する代替技術について、重要な情報を提供する。

NWMOは、予備的な議論などを踏まえ、公衆および機関との早期の会話、将来への構想、管理概念の探求、その他の幅広い問題等について検討を行ってきており、今後の議論を活発に行うために、今後の分析的枠組みのバックボーンとなる以下の主要な問題点を提起しており、これらについてのフィードバックを求めている。

全体的な側面
問1:制度と管理
問2:意思決定における関与と参加
問3:先住民の価値観
問4:倫理的な問題
問5:統一性および継続的な研究
社会的な側面
問6:公衆衛生、安全性、福祉
問7:安全保障(security)
環境的な側面
問8:環境保全
経済的な側面
問9:経済的な妥当性
技術的な側面
問10:技術的な妥当性

なお、NWMOはウェブサイトにおいてもコメントの受付を行っている。

NWMOは、上述の主要な問題点が確定したところで、さらに詳細な点についてまとめることとしている。NWMOは、2004年中頃に、2回目の議論のための報告書として、「選択肢についての理解」を発表する予定である。その後、2005年初頭には、「進むべき道の選択-草案」という最終報告書の草案を3回目の議論のための報告書として公表し、2005年11月15日に天然資源大臣に対して最終報告書を提出する予定である。

NWMOは、2002年に施行された「核燃料廃棄物の長期管理に関する法律」(核燃料廃棄物法)(制定については こちらを参照、また施行については こちらを参照)で規定されている3つの選択肢として、地層処分、集中貯蔵、サイト貯蔵について説明を行うとともに、国際的な検討が行われている再処理、核種分離・変換、国際処分場、超深孔処分、さらには、特には関心は得られていない海洋底下処分や宇宙処分のほか計8つの管理方法についてもコメントを行っている。その上で、NWMOは、核燃料廃棄物法に基づく研究を行うこととし、法律に規定された3つの選択肢の組合わせを始めとして、他の合理的な代替案があれば検討を行う準備があることも示している。

【出典】

  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)ウェブサイト11月28日ニュースリリース
    http://www.nwmo.ca/default.htmx?DN=341,50,19,1,Documents
  • Asking the Right Quesions? The Future Management of Canada’s Used Nuclear Fuel, 2003, NWMO

2003年11月3日から14日にかけて、使用済燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約(略称:放射性廃棄物等安全条約)に基づく第一回目の会合が行われた。日本は、この廃棄物合同条約締結に関し、2003年6月11日に国会で承認され、9月5日に公布されている。

この条約は、使用済燃料及び放射性廃棄物管理に関し、世界的に高いレベルの安全性を達成し維持することを目的としたもので、各締結国は、自国がこの条約に基づき、25条から成る技術的な条項についてどのように遵守しているかを説明する国の報告書を原則として3年に1度作成しなければならない。また、これらの報告書については、検討会合によって締結国間のレビュー(ピアレビュー)に付されることとなっている。

国際原子力機関(IAEA)ウェブサイトによると、第一回会合では、各締結国が作成した報告書の内容の発表と質疑応答などが行われた。締結国は、このような検討作業は、使用済燃料及び放射性廃棄物の安全な管理を行うという条約の目的を達成するために大きな貢献を果たすものと結論づけており、その理由として以下のような点が挙げられている。

  1. いくつかの締約国は、この検討会合に向けて使用済燃料または放射性廃棄物の管理の改良を行ってきた。
  2. 各国における放射性廃棄物管理の対策に必要なこと、また不足していることを認識できるため、国の報告書を作成し、ピアレビューに対して準備することは締結国にとっても有益である。
  3. 将来において改良すべき点を特定し、次回の検討会合においてその実施状況について報告することとした締結国もあった。

なお、この会合の内容・結果についての報告書も公開されている(以下の国際原子力機関(IAEA)ウェブサイト参照)。

また、日本もこの会合に出席し、外務省、経済産業省原子力安全・保安院、文部科学省、内閣府は、2003年11月17日にこの会合の結果について公表している。

【出典】

  • 国際原子力機関(IAEA)ウェブサイト
    (http://www-rasanet.iaea.org/conventions/jointcon_reviewmeetings.htm)
  • 国際原子力機関(IAEA)ウェブサイト 会合結果報告書
    (http://www-rasanet.iaea.org/downloads/conventions/jointcon_summary_report_finalNov19.pdf)
  • 経済産業省ウェブサイト
    (http://www.atom.meti.go.jp/topics/2003/1117/main.html)
  • 放射性廃棄物等安全条約公布の官報
    (http://www.kantei.go.jp/jp/kanpo/sep.1/km0905g1.html)

2003年11月17日、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)のマーガレット・ベケット大臣は、スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの各環境大臣とともに、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の委員12名を指名したことを発表した。同委員会の委員長については2003年7月16日にキャサリン・ブライアン女史が既に指名されている。CoRWMは『放射性廃棄物管理に関する協議文書』で示された協議プロセスの下に、英国の放射性廃棄物の長期的な管理を最良の方法で行うために、政府に勧告を行う責任を有する組織として設置されるものであり、今回の委員の指名により、その活動が開始されることとなった。

DEFRAのプレスリリースによると、CoRWMの委員長と12名の委員については、2003年3月末に全国紙に募集広告が掲載され、400件を超える応募があった。その候補者の多くが高い資質の持ち主であり、英国が直面している環境と安全についての大きな問題に挑む手助けをしたいという熱意と意志を持った人々だったとのことである。

CoRWMへの委任事項は、2005年末までに政府に勧告を行うことである。CoRWMに期待することとして、特に最も現実的でない長期管理オプションを除外し、最も有望なオプションに注力できるような報告を行うことがあげられている。これは、大臣が長期管理オプションを特定し、実施する準備を行うまでに、原子力廃止措置機関(NDA)、原子力操業者、規制機関、その他の関連機関が廃棄物を安全に処理し貯蔵することに注力することを助けることにもなる。また、そのために作業計画を準備し、早い段階で政府の同意を得ること、6ヵ月毎に政府と会合を持ち、議会に提出する年次進捗報告書を作成することが求められている。

政府はCoRWMによる勧告を受けて、それらをいかに実施するかについての判断を2006年頃に行うとしている。

なお、今回指名されたCoRWMの委員12名は以下の通りである。

  • メアリー・アラン:ノース・ハイランド大学講師
  • ディヴィッド・ボール:ミドルセックス大学教授(リスク管理学)
  • フレッド・バーカー:コンサルタント(原子力政策分析・利害者合意)
  • キース・ベイヴァーストック:化学博士、クオピオ大学講師(環境科学)
  • アンドリュー・ブロウワーズ:大学教授、Nirex社役員
  • ブライアン・D・クラーク:大学教授(環境管理・計画)、スコットランド環境保護機関
  • ウイン・ディヴィス:元ロンドン大学講師(物理学・放射線生物学)
  • マーク・ダットン:物理学者、放射線防護・放射性廃棄物管理専門家
  • ゴードン・マックケロン:経済学者、エネルギー政策コンサルタント(NERA)
  • リンダ・ウォーレン:動物学者、ウェールズ大学名誉教授(環境法)、イングランドとウェールズの環境規制機関
  • ジェニー・ワトソン:機会均等委員会 副委員長
  • ピート・ウィルキンソン:ウィルキンソン環境コンサルタント会社社長、元英国グリーンピース代表、国際グリーンピース代表、フレンズ・オブ・アース共同創始者
  • 【出典】

    • 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)ウェブサイトの2003年11月17日付けのニュースリリース http://www.defra.gov.uk/news/2003/031117a.htm

2003年11月18日、米国の上下両院本会議で2004年度エネルギー・水資源歳出法案が可決された。可決された法案は、両院協議会により合意されていたもので、ユッカマウンテン処分場関係については、5億8,000万ドルとDOE予算要求額と比較して1,100万ドル低いレベルとなっている。法案は、ホワイトハウスに送られ、大統領の署名を得た後に正式な法律として成立することとなる。

ユッカマウンテン処分場関係を含むエネルギー・水資源歳出法案については、上下両院で各々可決された大きく内容の異なる法案に対し、両院協議会は両院案のほぼ中間的な金額で修正案の合意に至っていた

下表は、最終的に議会を通過した歳出法案におけるユッカマウンテン処分場関連予算金額を、DOEの予算要求額(5億9,100万ドル)および2003年度予算金額と比較したものである。最終的な歳出法案における金額は、昨年度の水準は大幅に上回るものの、DOE予算要求額には若干届かない水準となっている。

   2004年度金額  対DOE要求比  対2003年度予算比
ユッカマウンテン
 歳出予算金額
 5億8,000万  △ 1,100万  +1億2,300万
(単位:USドル)

【注】
米国における予算年度は前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、2004年度予算は2003年10月から2004年9月までの会計年度に対するものである。予算承認に当たっては13の分野別の歳出法が制定されることとなっており、高レベル放射性廃棄物処分を含むエネルギー関係では「エネルギー・水資源歳出法」が制定されることとなる。

【出典】

  • 米国議会法案審議状況 (http://thomas.loc.gov/cgi-bin/bdquery/z?d108:HR02754:@@@X)

2003年11月5日、米国議会の両院協議会は2004年度エネルギー・水資源歳出法案の修正案について合意に到達した。ユッカマウンテン処分場関係については、5億8千万ドルとDOE予算要求額と比較して1,100万ドル低いレベルとなっている。この修正案は、今後下院および上院の議決が行われる予定となっており、両院の承認を受けた場合に最終的な2004年度歳出予算が決定することとなる。

ユッカマウンテン処分場関係を含むエネルギー・水資源歳出法案については、上下両院の歳出委員会によって大きく内容の異なる法案が各々提出されていた。その後、下院では2003年7月18日、上院においては同9月16日にそれぞれ本会議においてこれらの法案が可決され、両院協議会による調整が行われていた。特にユッカマウンテン処分場関係の予算については両院案の金額に大きな隔たりが生じていたが、両院協議会合意は以下に示すように両院案の ほぼ中間的な金額となっている。

ユッカマウンテン処分場関係の歳出予算案
両院協議会合意:  5億8,000万ドル
(対下院案比):  △1億7,500万ドル
(対上院案比):  +1億5,500万ドル

また、下表は、今回の両院協議会合意および上下両院を通過していた歳出法案におけるユッカマウンテン処分場関連予算金額を、DOEの予算要求額(5億9,100万ドル)および2003年度予算金額と比較したものである。両院協議会合意は、昨年度の金額は大幅に上回るものの、DOE予算要求額には若干届かない水準となっている。

   2004年度金額  対DOE要求比  対2003年度予算比
上院歳出法案  4億2,500万  △1億6,600万  △3,200万
下院歳出法案  7億6,500万  +1億7,400万  +3億800万
両院協議会合意  5億8,000万  △ 1,100万  +1億2,300万
 (単位:USドル)

【注】
米国における予算年度は前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、2004年度予算は2003年10月から2004年9月までの会計年度に対するものである。予算承認に当たっては13の分野別の歳出法が制定されることとなっており、高レベル放射性廃棄物処分を含むエネルギー関係では「エネルギー・水資源歳出法」が制定されることとなる。

【出典】

  • 両院協議会合意ハイライト(下院歳出委員会プレスリリース) (http://appropriations.house.gov/index.cfm?FuseAction=PressReleases.Detail&PressRelease_id=335&Month=11&Year=2003)
  • 上院歳出委員会プレスリリース (http://appropriations.senate.gov/releases/record.cfm?id=214833)

HABOG外観(放射性廃棄物等安全条約 国別報告書 オランダより)


2003年9月30日、オランダの放射性廃棄物中央機構(COVRA)がボルセラ自治体東部のフリッシンゲン工業団地に建設された高レベル放射性廃棄物貯蔵施設(注)の操業開始式典を開催した。この施設には主にオランダにある2カ所の原子力発電所(ボルセラとドーデバルト)および2カ所の研究用原子炉(ペテンとデルフト)で発生した高レベル放射性廃棄物が収容される。この施設のコンクリートの床、壁、屋根の厚さは、生活環境からの廃棄物の隔離、放出される熱および放射線に対する遮蔽のため、また収納された廃棄物を施設外で起きる極端な事象(地震、航空機の落下、ガス爆発など)から保護するために、1.70mと極めて厚くなっているとともに、特別な補強も施されている。2003年11月には高レベル放射性廃棄物の搬入が開始される予定である。

COVRAは、オランダの全て放射性廃棄物を安全かつ環境面で信頼できる方法によって処理・貯蔵する責任を負う組織である。COVRAは既に低・中レベル放射性廃棄物貯蔵施設を同地域に所有している。今回完成した新しい施設はHABOG(オランダ語で Hoogradioactief Afval Behandlings en Opslag Gebouw「高レベル放射性廃棄物貯蔵施設」の頭文字)と呼ばれている。この施設の完成には4年間を要した。HABOGは高レベル放射性廃棄物を少なくとも100年間は貯蔵できるよう設計されている。

オランダでは使用済燃料の再処理路線がとられている。ボルセラ原子力発電所から発生する使用済燃料はフランスのコジェマ社に、ドーデバルト原子力発電所から発生する使用済燃料は英国核燃料公社(BNFL)に送られ、再処理された後にガラス固化体としてオランダに返還され、この新施設に収容されることになる。なお研究炉から発生する使用済燃料の一部または全てがこの施設に収容される予定。また貯蔵については当該1カ所のみで、少なくとも100年間行うこととされている。

(注) 貯蔵施設は、冷却の必要のない廃棄体(ビチューメン固化体など)を貯蔵する部分と、使用済燃料やガラス固化体を貯蔵し冷却する部分の2つに分かれている。使用済燃料やガラス固化体の貯蔵方式は、日本の六ヶ所村の日本原燃(株)高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターと同じ、ボールト方式の間接自然空冷(2重管)タイプである。

HABOG断面図(放射性廃棄物等安全条約 国別報告書 オランダより)

COVRAの施設レイアウト図:2003時点

COVRAの施設レイアウト図:2100年以降

①:事務所および展示センター

②:低中レベル放射性廃棄物処理施設

③:低中レベル放射性廃棄物貯蔵施設

④:高レベル放射性廃棄物貯蔵施設

⑤:鉱石精錬産業から発生する低レベル放射性廃棄物貯蔵施設

⑥:ウラン廃棄物貯蔵施設

(放射性廃棄物等安全条約 国別報告書 オランダより)

【出典】

  • オランダ王室ウェブサイト、http://www.koninklijkhuis.nl/nieuws/nieuws.html?Persberichten/1724.html
  • 放射性廃棄物中央機構(COVRA)、http://www.covra-nv.nl/1024×768/index1.html
  • 放射性廃棄物等安全条約 国別報告書 オランダ、2003年4月
  • Nuclear Waste Bulletin No. 14 – 2000 Edition、経済協力開発機構/原子力機関

2003年10月13日、フィンランドの処分事業の実施主体であるポシヴァ社は、高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の最終処分予定地であるオルキルオトにおける地下特性調査に関する計画書を同社のウェブサイトで公表した 。フィンランドではONKALOと呼ばれる地下特性調査施設の建設が予定されており、この計画書ではONKALOの建設計画を含めた地下特性調査計画の詳細がまとめられている。

フィンランドでは 処分場建設前段階における研究開発計画が 2001年1月にポシヴァ社から公表されていたが、今回の計画書はその中心をなす地下特性調査 の詳細計画を示したものであり、研究開発計画に対する2001年9月の放射線・原子力安全センター(STUK)のレビュー結果、および2003年2月のSTUKの見解書を踏まえて作成されている。前者では、研究開発計画全体について見解が述べられており、全体的に合理的とする一方、スケジュールの過密などを指摘している。後者では、処分場に化学的・機械的擾乱を与えないようにアクセス坑道を配置すべき等の指摘がなされている。

計画書は、ONKALO建設計画の概要、特性調査計画、地下調査の手法、特性調査に関連したモニタリング計画、評価モデル、建設と特性調査に関する研究開発、装置の開発、データ管理、組織体制・QA(品質保証) から構成されている。ONKALO建設計画の概要では、現時点でのONKALOレイアウト案(下図参照)やスケジュールも示されている。また、特性調査の計画では、調査戦略およびONKALOの各建設段階ごとの特性調査内容が示されている。さらに、調査の手法、データ計測、モデルによる評価についても、地質学、岩盤力学・熱物性、水文地質学、水文地質化学の各分野における計画などがまとめられている。

ONKALOの建設については、2003年5月に地元自治体に建設許可申請が行われているが、現在の計画によればONKALOは、2001年から2004年まで、ONKALOのアクセス坑道の位置決めを行うための地表からの調査(ステージ1)の後に、2004年7月からアクセス坑道の掘削を開始し、これと並行して特性調査を実施し、2010年10月に全体が完成の予定である。今回の計画書では深度レベルごとの詳細な建設スケジュールも示されている。

なお、ポシヴァ社のウェブサイトでは、ONKALOの施設およびスケジュール、地下特性調査などについてわかりやすく概要をまとめたパンフレットも公表されている。

ONKALOのレイアウト(地下特性調査計画書より引用)

【資料】

2003年2月のSTUKの見解(STUKからポシヴァ社への書簡)
〔フィンランド語原典〕  〔邦訳(仮訳)〕

【出典】

  • ONKALO-地下特性調査計画書(Posiva 2003-03)」、ポシヴァ社、2003年9月 (http://www.posiva.fi/raportit/POSIVA_2003-03.pdf) 〔約2.4MB〕
     ※ファイルサイズが大きいのでご注意ください。
  • ONKALOパンフレット、ポシヴァ社
    (http://www.posiva.fi/esitteet/Onkaloesite_ENG_kevyt.pdf)〔約450KB〕

2003年8月6日、米国エネルギー省(DOE)は、戦略計画(Strategic Plan)の草案をDOEのウェブサイト上で公開した。この戦略計画は、DOEの今後25年間にわたる方針を示したもので、3年毎に改訂され、プログラムプランをはじめとするDOEの様々な計画の基本となるものである。

この戦略計画草案は、「国防」「エネルギー」「科学」「環境」の4つの戦略目標によって構成されている。そのうちの「環境」戦略目標の一つとして、放射性廃棄物が取り上げられており、ユッカマウンテンサイトにおける高レベル放射性廃棄物の最終処分場の建設認可発給、建設、2010年までの廃棄物の受入開始が目標として掲げられている。

DOEは、この目標を達成するために、以下の2つの戦略の実施を掲げている。

  1. ネバダ州ユッカマウンテンサイトにおける高レベル放射性廃棄物および使用済燃料の地層処分場の設置に向けた必要な処置を行う。
  2. 処分が必要となる将来の使用済燃料の量を削減できるような、将来的な廃棄物管理の代替案を可能とする、先進的な技術オプションに関する国際的な長期的研究計画を先導する。

また、DOEは、この目標の達成には以下の外的要因に影響を受ける可能性があるとしている。

  • 規制要件:原子力規制委員会(NRC)は、ユッカマウンテンに関するDOEの認可申請の承認について責任を有するが、NRCの認可発給に関するどのような遅れも、処分場操業の開始を遅らせる要因となる。
  • 訴訟:ユッカマウンテンにおける処分場の建設および操業の許認可発給についてのNRCのどのような決定も、法廷での異議申立てを受けることが予想される。
  • 市場要因:核燃料に関する革新的な技術の開発は、費用面の検討に大きく依存する。
  • 核不拡散政策:核燃料に関する革新的な技術の開発は、再処理を認めるとの政策転換に依存する。

今回の戦略計画の草案では、ユッカマウンテン処分場計画の中間目標として、以下のようなスケジュールを想定している。

  • 2004年12月までに、DOEは処分場建設の認可申請書をNRCに提出し、2008年の早い段階で認可を取得。
  • 2007年から2010年の間に、エネルギー長官は第二処分場の必要性について、大統領および連邦議会に報告。
  • 2008会計年度内に、DOEはユッカマウンテン処分場の建設を開始。
  • 2010年までに、DOEはユッカマウンテンへの廃棄物輸送を支援するための、全米およびネバダ州内の輸送インフラを開発。
  • 2010年に、DOEはユッカマウンテン処分場に処分する使用済燃料および高レベル放射性廃棄物の受け入れを開始。
  • 2014年までに、ユッカマウンテン処分場の最大年間受け入れ量を3,000トンに到達させる。なお、この戦略計画の草案については、9月8日を期限としてパブリックコメントの募集が行われる。

【出典】

  • DOE戦略計画草案についてのパブリックコメント募集用サイト http://strategicplan.doe.gov/
  • DOE戦略計画(草案) http://strategicplan.doe.gov/comment.asp

2003年7月24日、韓国における中低レベル放射性廃棄物の管理に責任を有する産業資源省(MOCIE)と処分の実施主体である韓国水力原子力株式会社(KHNP)は中低レベル放射性廃棄物処分場、使用済燃料中間貯蔵施設、及びその関連施設(研究支援施設、広報及び住民のための施設、環境施設)の立地候補地として、西海岸沿いのプアン(扶安)郡にある蝟島(ウィド)を選定した。(場所については下図参照)

MOCIEとKHNPは2003年2月4日に4カ所の立地候補地を選定する一方で、候補地に選ばれた4ヶ所以外の地域で2003年中に自主的誘致申請がある場合、当該地域を優先的にサイト選定の過程に入れ、推進することを明らかにしていた。その後MOCIEは2003年5月1日付のプレスリリースで自主的誘致申請の期限を2003年7月15日迄とすることを公表していた。

最終的にこの期限までに申請を行った地方自治体はプアン郡(7月14日付で申請)のみであった。これを受けて、政府・学術経験者・研究者・社会団体で構成されるサイト選定委員会が評価調査等を行った結果、同郡ウィドのみを立地候補地として選定するに至った。今後の事業計画は以下のとおりである。なお、処分方式については今後のサイト調査結果をもって決定されることになっている。

2004年7月末までに、ウィドにおける精密地質調査・事前環境検討などを実施した後、ウィドを電源開発特例法による電源開発事業予定区域として指定・告示し、サイトの特性調査及び環境影響評価を実施

  • 2006年9月までに、土地買収、各種許認可の取得および詳細設計を実施
  • 2006年10月からは中低レベル放射性廃棄物管理施設の建設に着工
  • 2008年12月に中低レベル放射性廃棄物管理施設を竣工
  • 2016年12月に使用済燃料の中間貯蔵施設を竣工

ウィドの住民の大部分は今回のサイト誘致に賛成している。ウィドの面積は14.14km2で、現在672世帯1,468名の住民が住んでいる。陸地である格浦(キョッポ)港との距離は14.4kmとなっている。

韓国の処分場立地候補地地図
外務省ウェブサイト(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/korea/index.html)より作成

【出典】

  • 韓国水力原子力株式会社ウェブサイト、http://www.khnp.co.kr/、2003年8月
  • 韓国環境技術院ウェブサイト、http://www.knetec.com/、2003年8月
  • 産業資源部プレスリリース、2003年5月1日、7月14日、15日、24日

2003年7月31日、原子力規制委員会(NRC)は、ユッカマウンテン・レビュープラン最終版(NUREG-1804、Final Rev. 2)の入手先、同レビュープラン草案に対するパブリックコメントおよびそれらのコメントに対するNRCの回答の要約を連邦官報において公示した。

ユッカマウンテン・レビュープランは、ネバダ州ユッカマウンテンに建設、操業される高レベル放射性廃棄物の地層処分場に関して、エネルギー省(DOE)による建設認可申請書をNRCが審査する上でのガイダンスを示すものである。ユッカマウンテン・レビュープランについては 2003年7月22日にNRCが最終版を公表しており、連邦官報でのパブリックコメントおよびそれらのコメントに対するNRCの回答の要約の公表が予定されていた。

ユッカマウンテン・レビュープラン最終版を作成するに当たり、NRCはパブリックコメント期間中に受け取った900件以上の個別のコメントと35通の書簡、および3回実施された公聴会の筆記録を慎重に検討、考慮した。NRCは、分析を容易にするために、書面および口述で寄せられた全てのコメントを以下の11の主要な項目に分類しており、その要約が連邦官報に掲載されている。

  1. 概論
  2. 申請書の受理審査
  3. 一般情報
  4. 閉鎖前期間
  5. 閉鎖後期間
  6. 安全性の問題を解決する研究開発計画
  7. 性能確認
  8. 管理および計画分野
  9. ユッカマウンテン・レビュープランの構成
  10. 主要な論点
  11. その他のコメント

NRCは、パブリックコメントの結果を反映させるために、レビュープランの草案の第1章、第2章を最終版ではそれぞれ付録のA、Bに移動し、草案の第3章、第4章を最終版の第1章、第2章とするなどの変更を行っている。

【出典】

  • 2003年7月31日付け連邦官報 http://frwebgate2.access.gpo.gov/cgi-bin/waisgate.cgi?WAISdocID=067264411932+0+0+0&WAISaction=retrieve
  • ユッカマウンテン・レビュープラン最終版 http://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/nuregs/staff/sr1804/r2/sr1804.pdf