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2004年1月30日、英国貿易産業省(DTI)は「中レベル放射性廃棄物の等価交換のための提案についての協議文書」を発表した。この協議文書は、海外から受け入れた使用済燃料の再処理によって発生する放射性廃棄物を返還する際に、中レベル放射性廃棄物を高レベル放射性廃棄物に等価交換することについての意見を求めるためのものである。なお、意見の提出期限は2004年4月30日迄とされている。

英国政府は1990年代始めに、この等価交換問題を詳細に検討しており、現在の政府方針は1995年に発表されたコマンドペーパー「放射性廃棄物管理政策レビュー」(Cm2919)において示されている。同コマンドペーパーにおいて政府は、海外から受け入れた使用済燃料の再処理によって発生する放射性廃棄物は返還すべきであり、また高レベル放射性廃棄物はガラス固化した後、可能な限り早く返還すべきであるという方針を示している。また政府は、この方針は英国における広い範囲での環境への影響に差が無いことを担保する放射性廃棄物の等価交換によっても実施可能であると認めているが、国内での適切な処分体制が無い時点においては、最終的判断は慎重に下すべきであるとしている。なお、既にドリッグに低レベル放射性廃棄物処分場が存在することから、政府は低レベル放射性廃棄物を高レベル放射性廃棄物に等価交換することは認めている。

1995年の方針発表後も政府は放射性廃棄物処分方法の決定に先立って、等価交換の利点を検討し続けてきた。2003年、政府は海外顧客との既存の再処理契約にもとづいて返還する中レベル放射性廃棄物の等価交換を英国核燃料公社(BNFL)が実施することについて評価する調査を独立コンサルティング会社に委託した。今回の協議文書の本文では等価交換の利点などについての要約が簡単に記され、独立コンサルティング会社の報告書が添付されている。

政府はこの等価交換についての決定に向け、特に次の点に関して意見を求めている。

  • 放射性廃棄物に含まれる放射性核種の危険性の測定方法として示されている総合毒性ポテンシャル(ITP:Integrated Toxic Potential)が廃棄物の等価性を評価する最良の手法であるか否か、またはその他の良い手法が存在するかについて。
  • 英国における環境への影響評価について。
  • 放射性廃棄物の海外へのより少ない輸送回数、早期返還による便益、等価交換実施費用の徴収による英国にとっての収入増などの恩恵について。
  • 今後の英国の等価交換方針についての決定に関するもので、今回の協議文書には記述されていないその他の点について。

【参考】英国における放射性廃棄物区分と処分方策

 放射性廃棄物区分  区分の考え方  処分方策
 低レベル放射性廃棄物  一般廃棄物と一緒の処分が許容されない放射性物質を含む廃棄物で、α放射体の場合が 4 GBq/t、β-γ放射体の場合が 12 GBq/t を超えないもの。  ドリッグにおいて処分中。
 中レベル放射性廃棄物  比較的に放射能濃度が低く、貯蔵・処分施設の設計時に、その発熱量を考慮する必要のない廃棄物で、α放射体の場合が 4 GBq/t、β-γ放射体の場合が 12 GBq/t を超えるもの。  現在、処分方策を検討中。
 高レベル放射性廃棄物  廃棄物の持つ放射能濃度により、かなりの発熱を伴う廃棄物で、貯蔵・処分施設の設計時に、この要因を考慮する必要のあるもの。  現在、処分方策を検討中。

【出典】

  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイトの2004年1月30日付けのニュースリリース、http://www.wired-gov.net/EDP8203R7W/cgi-bin/frameset.pl?Id=22402
  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/pdfs/radioactivewaste.pdf、2004年2月
  • コマンドペーパー「放射性廃棄物管理政策レビュー 最終結論」(Cm2919)、1995年7月
  • Nirex社、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)の協議文書「放射性廃棄物の安全な管理」に対するNirex社の返答、2002年3月
  • 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)、協議文書「放射性廃棄物の安全な管理」、2001年9月

カナダにおける核燃料廃棄物管理の実施を行う核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2004年1月22日、研究機関であるカナダ政策研究ネットワーク(Canadian Policy Research Network, CPRN)と合同で、使用済燃料の長期管理に対するカナダ国民の見解と期待について調査する研究プロジェクトを立ち上げたことをニュースリリースにて公表した。CPRNとNWMOは、2004年1月から3月にかけてカナダの12都市において全国対話集会を行うこととしている。ニュースリリースにおいて、各機関の理事長は以下のとおり述べている。

NWMO:使用済燃料の長期管理の問題は科学的または技術的な問題であると多くの人は考えているが、それらを超えた問題も含まれている。カナダは、最終的に、確かな科学に基づき、カナダの人々にとって社会的および倫理的に受入可能であり、カナダの人々の価値観を考慮した総合的な長期管理を採用しなければならない。

CPRN:重要な公共政策問題においては公衆の意見を考慮すべきである。このプロジェクトは、十分考慮された建設的な方法での使用済燃料の長期管理について事業に直接関係しない一般の人々に考えてもらい、また事業の進め方を決める上で何に価値を置くかについての意見を述べる機会を提供するものである。

また、ニュースリリースによると、「この研究プロジェクトは、1月24日および25日に、オタワとモントリオールでの対話集会の開催から始まり、引き続き3月27日までの週末に、ケベックシティー、サンダーベイ、ハリファックス、モントン、サドベリー、サスカトーン、カルガリー、バンクーバー、ロンドン、トロントで開催される」とされている。さらに、カナダ政策研究ネットワーク(CPRN)については、「独立で非営利の公共政策に関する研究機関で、カナダの人々の豊かな暮らしについて重要となる社会および経済問題に関し、知識を創出し、国民的論議を先導する使命を有している」と述べられている。

なお、NWMOは、2003年11月に公衆との議論を行うための第一回目の報告書を作成している(こちらを参照)

【出典】

  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)ウェブサイト1月22日ニュースリリース  http://www.nwmo.ca/default.htmx?DN=407,50,19,1,Documents

ヴェレンベルグ放射性廃棄物管理共同組合(GNW)は、2003年12月11日、ニドヴァルデン州ヴェレンベルグ・サイトにおける調査用のボーリング孔の埋め戻し作業が終了したことをプレスリリースにて発表した。プレスリリースによると、作業が行われていたサイトは、原状回復され地主に返還され、地元の自治体当局は作業が完全に終了したことに満足の意を示しているということである。作業は放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)に委託され、所轄の連邦当局および州当局が作業に立ち会っていた。以下、プレスリリースにおける要点を示す。

低中レベル放射性廃棄物の地層処分場サイトとしてヴェレンベルグ・サイトを断念する決定は、2002年9月22日の州民投票による採決(こちらを参照)に従って下されている。サイト修復作業の実施は、技術的な理由から2003年の天候が穏やかな夏に行われた。1990年代に数百メートルの深さまで掘削されたボーリング孔には、当時より、長期間にわたる調査のために地質学的測定用の機器が設置されていた。そのため、何トンにもおよぶ測定機器類をボーリング孔から引き上げるための重機や装置が設置されて作業が行われていた。 現在では設備は解体され、ボーリング孔は特別なコンクリートで充填され、近辺の環境は元の状態、または地主との協定に基づく状態に修復されている。

スイス連邦原子力施設安全本部(HSK)の管轄下にある監視委員会は、作業終了報告書を連邦評議会に提出した。また、技術的な作業と平行して、GNWの解散が行われた。2003年8月12日にGNWの整理清算の申請が行われ、2003年11月30日に清算終了に基づく貸借対照表が作成された。

なお、このGNWのプレスリリースは、NAGRAのウェブサイトからもアクセス可能となっている。

【出典】

  • ヴェレンベルグ放射性廃棄物管理共同組合(GNW)プレスリリース (http://www.gnw.ch/presse/abschluss2.html)
  • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA) (http://www.nagra.ch/)

2003年12月23日、米国の連邦エネルギー省(DOE)の民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)は、米国の高レベル放射性廃棄物処分場として予定されているネバダ州ユッカマウンテンの処分事業に関して、ネバダ州内に鉄道を建設する場合の推奨ルートをカリエンテ・ルートに決定したと発表した。また、現時点での第2候補は、カーリン・ルートとするとの決定も行っている。

ユッカマウンテン処分場への高レベル放射性廃棄物の輸送については、エネルギー長官が大統領へサイト推薦を行った時の添付資料の一部である環境影響評価書(EIS)において検討が行われていた。輸送方法は、基本的に鉄道または道路による2種類の方法の検討が行われているが、EISにおいてもその約95%を鉄道輸送とすることが好ましいとのDOEの評価結果が示されている。

EISにおいて鉄道輸送については、5ルートが候補として調査されており、このうち、カリエンテ・ルート及びカーリン・ルートを含む3ルートは、ユッカマウンテンにネリス空軍基地エリアの北からアプローチする経路となっている。今回推奨ルートに決定された2ルートは、南からアプローチする他のルートと比較して、より人口も少なく、安全で確実、遅延の無い輸送のために最適なものとしている。EISでの5ルート選定に当たっては、EISの草案(DEIS)に対して公聴会やパブリック・コメントにより寄せられた意見も検討されている。

今回、推奨ルートが決定されたことを受けて、DOEは輸送方法の決定を行う予定であり、主に鉄道輸送とすることがネバダ州における輸送方法として選定された場合は、今回の推奨ルート決定についての官報公示から30日以上経過後に実際のルート選定を行うとの意向を示している。これらの選定結果もまた官報で公示される。ネバダ州内輸送が主に鉄道方式になる場合には、具体的な線路敷設計画に対するEIS実施計画通知がDOEから出される予定である。EIS実施に当たっては、その実施範囲についてもパブリック・コメントが募集され、EIS手続完了までには数年を要する見通しが示されている。

24年間にわたって高レベル放射性廃棄物の処分を実施するDOEの計画では、全米で年間約175回の輸送が実施される見込みとなっている。原子力規 制委員会(NRC)から処分場操業の許可発給が見込まれる2010年までは、廃棄物の処分場への輸送は行われない予定である。

EISで示されたネバダ州内の鉄道輸送ルート候補

【出典】

  • 連邦エネルギー省民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)プレスリリース
    (http://www.ocrwm.doe.gov/newsroom/documents/corridor_pr.pdf)
  • Spent Nuclear Fuel Transportation, DOE
    (http://www.ocrwm.doe.gov/ymp/sr/snf_trans.pdf)

2003年12月18日のポシヴァ社のプレス・リリースによると、高レベル放射性廃棄物の最終処分予定地であるオルキルオトにおいて、ONKALOと呼ばれる地下特性調査施設の建設に向けた作業が開始された。オルキルオドンティエ道路と既に完成されている港湾への道路の近くに開かれるONKALO入口エリアの森林伐採及びONKALOと最終処分施設への給水・電気・通信ケーブルのための幹線建設の土木工事が2003年12月中に開始されることとなっている。発電所からONKALOエリアへユーティリティ・ダクトも敷設されることになっている。

ONKALOのアクセス・トンネルの最初の部分における基盤構造は、トンネルと平行に走る長さ160mの先進孔を掘削することによって調査されことになっている。

2004年夏に開始されるトンネル自体の建設に対する入札募集は、2003年11月に事業者に送付されている。トンネル建設事業者は2004年春に選定される予定である。

ONKALOの建設については、2003年5月に地元自治体に建設許可申請が行われているが、現在の計画によれば、2001年から2004年まで、ONKALOのアクセス坑道の位置決めを行うための地表からの調査(ステージ1)の後に、2004年7月からアクセス坑道の掘削を開始し、これと並行して特性調査を実施し、2010年10月に全体が完成の予定である。

【出典】

  • ポシヴァ社ウェブサイト、http://www.posiva.fi/englanti/index.html、2003年12月
  • ONKALO-地下特性調査計画書(Posiva 2003-03)」、ポシヴァ社、2003年9月 (http://www.posiva.fi/raportit/POSIVA_2003-03.pdf) 〔約2.4MB〕※ファイルサイズが大きいのでご注意ください。

2003年12月10日、韓国産業資源部(MOCIE)の尹鎭植長官は、中低レベル放射性廃棄物処分場、使用済燃料中間貯蔵施設などの立地候補地として選定した扶安(プアン)郡の蝟島(ウィド)サイトの是非について住民投票を行うこと、およびプアン以外の自治体にも住民投票を経て申請の機会を与えることなど、これまでのサイト選定過程に新たに住民投票手続きを導入する方策を発表した。

中低レベル放射性廃棄物処分場、使用済燃料中間貯蔵施設などのサイト選定については、2003年7月15日までの期限で自主的誘致申請がある場合に、当該地域を優先的にサイト選定過程に入れて推進することが明らかにされていて、7月14日付でプアン郡が申請を行った結果、2003年7月24日に立地候補地として選定されていた。その後この選定を巡る社会的軋轢が高まる中、盧武鉉大統領は閣議において、紛争解決に政治的な介入を行う可能性を否定した上で、政府のプアン郡住民との対話の必要性など、適切な手続きをとることの重要性を強調していた。

尹鎭植長官は発表の中で、政府によるプアン郡ウィドのサイト選定過程において、プアン郡住民の意志が十分に反映されなかった点と、プアン郡の申請当時、誘致意志のあった他の自治体がサイト選定過程に十分参加できない状況だったことを認め、結果的に、国民とプアン郡住民に混乱と不便を招いたことを謝罪した。

今回発表された追加的な方策は以下のものが挙げられる。

  • 現在、プアン対策委員会と議論を進めている住民投票手続きを公式の意見収集の手続きとして推進する。
  • 誘致するその他の自治体にも、住民投票手続きの導入など、補完の手続きを行うことで、サイト選定過程への参加機会を保証する。
  • 誘致する自治体における住民投票で、誘致賛成の結果を得た自治体が複数現れて本申請を行った場合、審査によって最終サイトを選定する。
  • 複数の誘致する自治体が競合した場合、プアン郡に対して優先的に配慮する。

なお、住民投票については、誘致する自治体が現在国会で審議中の住民投票法案の内容を踏まえて、適切な住民投票手続きを設け、これに従って当該自治体の長が実施することになる。

【出典】

  • 産業資源部プレスリリース、2003年12月10日
    http://www.mocie.go.kr/notice/focus/focus_view.asp?num=1365&page=1&keyfield=&key=&startday=&endday=
  • 産業資源部長官の発表文、2003年12月10日
  • 韓国政府ウェブサイトプレスリリース、2003年11月26日、http://www.kois.go.kr/kwnews/news.html

2003年11月27日、原子力廃止措置機関(NDA)の設立条項を含むエネルギー法案が上院に上程され、議会での審議が2003年12月11日から開始された。同法案は、民間原子力産業、再生可能エネルギー源、エネルギー規制の3部構成となっており、コマンドペーパー「我々のエネルギーの将来」(Cm5761、2003年2月)とコマンドペーパー「原子力遺産の管理」(Cm5552、2002年7月)で示された政府方針を実施するためのものである。

NDAは原子力遺産と称される英国の原子力債務を管理するために設立が予定されている政府外公共機関(NDPB)である。2003年6月24日にはNDA設立に向けた「原子力サイトおよび放射性物質法案」の草案が発表され、下院の貿易産業委員会において、その内容についての審議が行われていた。同委員会の報告書は2003年10月29日に公表されている。今回のエネルギー法案には、同草案の内容の多くが組み入れられている。

エネルギー法案の中では、NDAの管理対象となる英国核燃料公社(BNFL)の資産・負債がNDAに移管されることが謳われている。貿易産業省(DTI)大臣は同法案の上院への上程時に、NDAへの移管後にBNFLに残った資産・負債を所有する親会社を2005年4月に設立すること、この親会社は英国の原子力サイトのクリーンアップに主に注力していくことなどを柱とするBNFLの構造改革についての結論を公表した。BNFLは同結論に合意すると発表している。

またエネルギー法案の上院への上程時の発表においては、DIT大臣によってウェスト・カンブリア1 に対する戦略的特別対策本部を設置することも提案された。この本部は北西部開発機関(NWDA)2 によって運営され、中央政府、地方政府、民間部門、社会部門(social sector)によって構成される。同本部にはウェスト・カンブリアの長期的な経済・社会の再生のため、持続可能な展望と計画を策定することが課せられることになる。DTI大臣は、NDAの本部をウェスト・カンブリアに置く意向も示している。

今後の予定では、NDAの設立は2004年の秋となり、2005年4月には本格的な活動が開始される見通し(既報)である。

  • NDA:Nuclear Decommissioning Authority
  • NDPB:Non Departmental Public Body
  • BNFL:British Nuclear Fuels plc
  • DTI:Department of Trade and Industry
  • NWDA:North West Development Agency

【出典】

  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイトの2003年11月28日付けのニュースリリース、 http://213.38.88.221/gnn/national.nsf/TI/411FA1FE6586D43780256DEC004220E9?opendocument
  • エネルギー法案 説明書、2003年11月
  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、 http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/wn.htm、2003年12月
  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、 http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/index.htm、2003年12月
  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、 http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/ach/reviewpn.doc、2003年12月
  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、http://www.dti.gov.uk/rda/info/index.htm、2003年12月
  • 下院貿易産業委員会ウェブサイト、2003年10月29日付プレスリリース、http://www.parliament.uk/parliamentary_committees/trade_and_industry/t_i_press_notice_98_28_october_2003.cfm
  • 英国核燃料公社(BNFL)ウェブサイト、2003年12月11日付けのプレスリリース、http://www.bnfl.com/website.nsf

  1. ウェスト・カンブリアには、NDAの管理対象となる原子力施設が多数存在するセラフィールド・サイトがある。 []
  2. NWDAは、1998年の地域開発機関法によって設立された地域経済開発の戦略的な先導者となることを主な目的としたNDPBである。 []

カナダにおける核燃料廃棄物管理の実施を行う核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2003年11月28日、「適切な問題設定をしているか? カナダの使用済燃料の長期管理」と題する報告書を公表した。この報告書は公衆との議論を行うための第一回目の報告書で、NWMOは、この報告書は核燃料廃棄物の長期管理に関する複雑な問題について、カナダの公衆に関与してもらう手段であるとしている。NWMOはこの報告書の目的として以下の4点を挙げている。

  1. 法的な責務と、どのように研究を行うかについて提案を示す
  2. 議論を行うために、カナダの公衆とのこれまでの対話のなかで上がった幅広い問題と懸念を共有する
  3. 異なるアプローチの評価をどのような枠組みで分析するかについて当初の考え方を示す
  4. 背景情報として、使用済燃料管理に関する代替技術について、重要な情報を提供する。

NWMOは、予備的な議論などを踏まえ、公衆および機関との早期の会話、将来への構想、管理概念の探求、その他の幅広い問題等について検討を行ってきており、今後の議論を活発に行うために、今後の分析的枠組みのバックボーンとなる以下の主要な問題点を提起しており、これらについてのフィードバックを求めている。

全体的な側面
問1:制度と管理
問2:意思決定における関与と参加
問3:先住民の価値観
問4:倫理的な問題
問5:統一性および継続的な研究
社会的な側面
問6:公衆衛生、安全性、福祉
問7:安全保障(security)
環境的な側面
問8:環境保全
経済的な側面
問9:経済的な妥当性
技術的な側面
問10:技術的な妥当性

なお、NWMOはウェブサイトにおいてもコメントの受付を行っている。

NWMOは、上述の主要な問題点が確定したところで、さらに詳細な点についてまとめることとしている。NWMOは、2004年中頃に、2回目の議論のための報告書として、「選択肢についての理解」を発表する予定である。その後、2005年初頭には、「進むべき道の選択-草案」という最終報告書の草案を3回目の議論のための報告書として公表し、2005年11月15日に天然資源大臣に対して最終報告書を提出する予定である。

NWMOは、2002年に施行された「核燃料廃棄物の長期管理に関する法律」(核燃料廃棄物法)(制定については こちらを参照、また施行については こちらを参照)で規定されている3つの選択肢として、地層処分、集中貯蔵、サイト貯蔵について説明を行うとともに、国際的な検討が行われている再処理、核種分離・変換、国際処分場、超深孔処分、さらには、特には関心は得られていない海洋底下処分や宇宙処分のほか計8つの管理方法についてもコメントを行っている。その上で、NWMOは、核燃料廃棄物法に基づく研究を行うこととし、法律に規定された3つの選択肢の組合わせを始めとして、他の合理的な代替案があれば検討を行う準備があることも示している。

【出典】

  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)ウェブサイト11月28日ニュースリリース
    http://www.nwmo.ca/default.htmx?DN=341,50,19,1,Documents
  • Asking the Right Quesions? The Future Management of Canada’s Used Nuclear Fuel, 2003, NWMO

2003年11月3日から14日にかけて、使用済燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約(略称:放射性廃棄物等安全条約)に基づく第一回目の会合が行われた。日本は、この廃棄物合同条約締結に関し、2003年6月11日に国会で承認され、9月5日に公布されている。

この条約は、使用済燃料及び放射性廃棄物管理に関し、世界的に高いレベルの安全性を達成し維持することを目的としたもので、各締結国は、自国がこの条約に基づき、25条から成る技術的な条項についてどのように遵守しているかを説明する国の報告書を原則として3年に1度作成しなければならない。また、これらの報告書については、検討会合によって締結国間のレビュー(ピアレビュー)に付されることとなっている。

国際原子力機関(IAEA)ウェブサイトによると、第一回会合では、各締結国が作成した報告書の内容の発表と質疑応答などが行われた。締結国は、このような検討作業は、使用済燃料及び放射性廃棄物の安全な管理を行うという条約の目的を達成するために大きな貢献を果たすものと結論づけており、その理由として以下のような点が挙げられている。

  1. いくつかの締約国は、この検討会合に向けて使用済燃料または放射性廃棄物の管理の改良を行ってきた。
  2. 各国における放射性廃棄物管理の対策に必要なこと、また不足していることを認識できるため、国の報告書を作成し、ピアレビューに対して準備することは締結国にとっても有益である。
  3. 将来において改良すべき点を特定し、次回の検討会合においてその実施状況について報告することとした締結国もあった。

なお、この会合の内容・結果についての報告書も公開されている(以下の国際原子力機関(IAEA)ウェブサイト参照)。

また、日本もこの会合に出席し、外務省、経済産業省原子力安全・保安院、文部科学省、内閣府は、2003年11月17日にこの会合の結果について公表している。

【出典】

  • 国際原子力機関(IAEA)ウェブサイト
    (http://www-rasanet.iaea.org/conventions/jointcon_reviewmeetings.htm)
  • 国際原子力機関(IAEA)ウェブサイト 会合結果報告書
    (http://www-rasanet.iaea.org/downloads/conventions/jointcon_summary_report_finalNov19.pdf)
  • 経済産業省ウェブサイト
    (http://www.atom.meti.go.jp/topics/2003/1117/main.html)
  • 放射性廃棄物等安全条約公布の官報
    (http://www.kantei.go.jp/jp/kanpo/sep.1/km0905g1.html)

2003年11月17日、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)のマーガレット・ベケット大臣は、スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの各環境大臣とともに、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の委員12名を指名したことを発表した。同委員会の委員長については2003年7月16日にキャサリン・ブライアン女史が既に指名されている。CoRWMは『放射性廃棄物管理に関する協議文書』で示された協議プロセスの下に、英国の放射性廃棄物の長期的な管理を最良の方法で行うために、政府に勧告を行う責任を有する組織として設置されるものであり、今回の委員の指名により、その活動が開始されることとなった。

DEFRAのプレスリリースによると、CoRWMの委員長と12名の委員については、2003年3月末に全国紙に募集広告が掲載され、400件を超える応募があった。その候補者の多くが高い資質の持ち主であり、英国が直面している環境と安全についての大きな問題に挑む手助けをしたいという熱意と意志を持った人々だったとのことである。

CoRWMへの委任事項は、2005年末までに政府に勧告を行うことである。CoRWMに期待することとして、特に最も現実的でない長期管理オプションを除外し、最も有望なオプションに注力できるような報告を行うことがあげられている。これは、大臣が長期管理オプションを特定し、実施する準備を行うまでに、原子力廃止措置機関(NDA)、原子力操業者、規制機関、その他の関連機関が廃棄物を安全に処理し貯蔵することに注力することを助けることにもなる。また、そのために作業計画を準備し、早い段階で政府の同意を得ること、6ヵ月毎に政府と会合を持ち、議会に提出する年次進捗報告書を作成することが求められている。

政府はCoRWMによる勧告を受けて、それらをいかに実施するかについての判断を2006年頃に行うとしている。

なお、今回指名されたCoRWMの委員12名は以下の通りである。

  • メアリー・アラン:ノース・ハイランド大学講師
  • ディヴィッド・ボール:ミドルセックス大学教授(リスク管理学)
  • フレッド・バーカー:コンサルタント(原子力政策分析・利害者合意)
  • キース・ベイヴァーストック:化学博士、クオピオ大学講師(環境科学)
  • アンドリュー・ブロウワーズ:大学教授、Nirex社役員
  • ブライアン・D・クラーク:大学教授(環境管理・計画)、スコットランド環境保護機関
  • ウイン・ディヴィス:元ロンドン大学講師(物理学・放射線生物学)
  • マーク・ダットン:物理学者、放射線防護・放射性廃棄物管理専門家
  • ゴードン・マックケロン:経済学者、エネルギー政策コンサルタント(NERA)
  • リンダ・ウォーレン:動物学者、ウェールズ大学名誉教授(環境法)、イングランドとウェールズの環境規制機関
  • ジェニー・ワトソン:機会均等委員会 副委員長
  • ピート・ウィルキンソン:ウィルキンソン環境コンサルタント会社社長、元英国グリーンピース代表、国際グリーンピース代表、フレンズ・オブ・アース共同創始者
  • 【出典】

    • 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)ウェブサイトの2003年11月17日付けのニュースリリース http://www.defra.gov.uk/news/2003/031117a.htm