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ベルギーの放射性廃棄物管理の実施主体である放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)は2020年4月15日に、高レベル放射性廃棄物及び長寿命低・中レベル放射性廃棄物の長期管理方法として地層処分を採用する方針を示した国家計画案とともに、地層処分に関する戦略的環境アセスメントレポート(以下「SEAレポート」という)を公表し、2020年6月13日までの予定で公衆からの意見聴取を開始した。

ONDRAF/NIRASとは、経済・エネルギー省の監督の下、ベルギー国内に存在するすべての放射性廃棄物を管理する役割を担う公的機関である。今回公表された国家計画案及びSEAレポートは、2006年2月13日付けの法律に基づいて作成されたものであり、作成された国家計画案とSEAレポートは、公衆からの意見聴取後に最終化して連邦政府に提出する予定である。なお、ベルギーでは、ONDRAF/NIRASが2011年9月に、高レベル放射性廃棄物及び長寿命低・中レベル放射性廃棄物の長期管理方針に関する国家計画とSEAレポートを連邦政府に提出し、国内の粘土層での地層処分を推奨するとの見解を示していたが、現在に至るまで国としての方針は決定していない状況であった。

今回公表された地層処分に関するSEAレポートにおいて、ONDRAF/NIRASは、高レベル放射性廃棄物及び長寿命低・中レベル放射性廃棄物の長期管理方法として地層処分を採用する理由を以下のように説明している。

  • 地層処分に代わる合理的な管理方法はない。
    安全確保や環境保護の観点から、高レベル放射性廃棄物及び長寿命低・中レベル放射性廃棄物を、最大で100万年程度の期間、人間や環境から隔離する必要がある。こうした廃棄物を地下深くに処分できるという国際的な合意がある。地層処分の方針を決めた各国においても、長期貯蔵を含む代替案を検討した上で、地層処分以外の方法は拒否されている。連邦原子力管理庁(FANC)も長期貯蔵を安全な管理方法として認めていない。
  • 国家計画の策定は、EU指令(2011年7月12日付け)において定められたベルギーの義務であり、これ以上先送りすべきではない。
    国家計画によって長期管理方法が決定されなければ、地層処分の実施やそのための研究が進捗しない。また、現在は一時的に使用済燃料が貯蔵1 されている原子力発電所等の立地地域の住民は、貯蔵期間が見通せないままとなる。
  • 国家計画を決定しないことで、環境へのマイナス影響が発生しうる。
    現行の一時的な貯蔵施設は、耐用期間を迎えた時点で別の施設にリプレースする必要がある。リプレースにはコストがかかるだけでなく、放射性廃棄物の移動が必要となるために、管理すべき廃棄物の量が増大する可能性がある。
  • 国家計画の決定を先送りしても、将来的により適切な国家計画を決定することはできない。
    高レベル放射性廃棄物及び長寿命低・中レベル放射性廃棄物の長期管理方法の政策決定に必要な知見は、ベルギーや世界中で蓄積されている。長寿命核種の分離・変換技術は、これらの放射性廃棄物に含まれる長寿命核種の量を低減する可能性はあるものの、産業レベルでの適用は困難である。

今回公表された国家計画案では、高レベル放射性廃棄物及び長寿命低・中レベル放射性廃棄物の国家計画の決定・実施プロセスとして、以下のような流れを規定している。

  • 長期管理方法の決定
  • 決定された長期管理方法を実施していくための意思決定プロセス、主要なマイルストーン、意思決定に関わる関係者の役割と責任の割当て
  • 決定された長期管理方法を実施する1カ所あるいは複数のサイトの決定

ONDRAF/NIRASは、高レベル放射性廃棄物及び長寿命低・中レベル放射性廃棄物の長期管理方法として地層処分が決定されれば、全ての関係者と協議するとともに、公衆との対話も行っていく考えを明らかにしている。

 

【出典】


  1. ベルギーでは、商用原子力発電所等から発生した使用済燃料は、再処理またはONDRAF/NIRASによる最終処分が実施されるまで、廃棄物発生責任者である事業者が安全に貯蔵する方針である。ただし、ベルギー政府は1998年に締結済みの再処理契約をキャンセルし、新たな再処理契約を結ばないことを決定している。 []

ドイツの放射性廃棄物処分の実施主体である連邦放射性廃棄物機関(BGE)は2020年3月27日、アッセⅡ研究鉱山からの放射性廃棄物回収計画を公表した。回収計画では、廃棄物の回収方法、新たに建設する中間貯蔵施設での貯蔵などを含む回収後の廃棄物の取り扱い、2033年に回収を開始するとしたスケジュールや費用見積りなどが示されている。BGEは今後、回収のための新たな施設建設に向けた土地取得を行うとともに、回収計画の詳細化などのために、規制機関や住民と対話を開始するとしている。

アッセⅡ研究鉱山では、放射性廃棄物処分に関する調査を目的として、1967年から1978年まで低中レベル放射性廃棄物が試験的に処分された。その後、地下水の流入などにより、岩塩から成る処分坑道の安定性が確保できなくなる可能性が示されたことから、2010年に処分された廃棄物を回収し、アッセⅡ研究鉱山を閉鎖することを決定していた

アッセⅡ研究鉱山からの放射性廃棄物の回収計画

アッセII研究鉱山では、深度511m、725m、750m付近に設けられている13の処分室に合計約4万7,000m3の放射性廃棄物が処分された(下図参照)。回収対象となる廃棄物量は、廃棄物周囲の汚染された岩塩屑などを含め最大約10万m3程度と見積られている。

BGEは、既存の鉱山の東側に、廃棄物の回収に用いる立坑(回収用立坑)を建設するとともに、地下に作業用の新たな坑道(回収用坑道)などを建設する計画である。

回収した廃棄物は地上に搬出して、新たに建設される廃棄物処理施設で特性評価した後、コンディショニングされる。その後、最終処分場が操業を開始するまで、廃棄物処理施設に併設される中間貯蔵施設で貯蔵される。この廃棄物処理施設及び中間貯蔵施設は、放射線防護の観点などから回収した廃棄物の移動距離を最小限にするため、アッセⅡ研究鉱山の地上施設の近辺に設置する計画である。

アッセII研究鉱山での回収用立坑や坑道の模式図

スケジュール及び費用

BGEは、2023年に回収用立坑等の建設を開始する予定である(下図参照)。また、廃棄物処理施設及び中間貯蔵施設については、詳細な設置場所を今後決定し、2033年までに操業可能とする計画である。さらに、これらの施設建設と並行して、制御不能な量の地下水流入などを想定した緊急時計画の策定も行われる。これらの廃棄物回収作業のための準備が整った後、2033年に回収を開始するとしている。なお、廃棄物回収作業の期間に関しては、具体的な終了時期は示されておらず、専門家の見積りとして数十年との期間が示されている。

アッセⅡ研究鉱山からの廃棄物回収のスケジュール

また、BGEは、2019年以降、2033年に廃棄物回収が開始されるまでの準備期間中にかかる費用の総額を約33.5億ユーロ(不確実幅±30%、約4,020億円、1ユーロ=120円で換算)と見積っている。内訳は、既存坑道の保全費用が9億ユーロ(約1,000億円)、回収用立坑の建設に2億ユーロ(約240億円)、その他地下施設の建設に5億ユーロ(約600億円)、地上の廃棄物処理施設の建設に4.5億ユーロ(約540億円)などとされている。

なお、アッセII研究鉱山から回収された放射性廃棄物の処分先に関しては、現在サイト選定法に基づく選定プロセスが進められている高レベル放射性廃棄物処分場とすることが検討されている

 

【出典】

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、「適応性のある段階的管理」(APM詳細はこちら)の実施に関して、2020年から2024年までの5カ年の実施計画書をウェブサイトで公表した。NWMOは、毎年、今後5年間の行動計画をまとめた実施計画書を公表している。今回の実施計画書では、NWMOが1ヵ所の好ましいサイトの特定を予定している2023年以降のスケジュールが示されており、地層処分場の操業開始は2040年代前半となる見通しとなっている。なお、地層処分場のサイト選定プロセスは、2020年1月にオンタリオ州北部のイグナス・タウンシップと同州南部のサウスブルース自治体の2つに絞り込まれている 

2023年

  • 1カ所の好ましいサイトの特定
  • 輸送計画の枠組みの確定
  • 影響評価(impact assessment)におけるプロジェクトの説明文書の提出
  • サイト準備のための許可申請の提出

2024年

  • 詳細なサイト特性調査の開始
  • 影響評価調査結果の提出
  • 連邦政府の規制プロセスの開始
  • 専門技術センター建設開始の申請書の提出

2026年

  • 影響評価の承認(見込)
  • サイト準備のための許可の発給(見込)

2028年

  • 建設許可申請書の提出

2032年

  • 建設許可の発給(見込)

2033年

  • 設計と建設の開始

2040~2045年

  • 地層処分場の操業開始

■パートナーシップ構築への取り組み

NWMOは今後5年間の取り組みとして、従来設定していた7つの優先事項(工学技術、サイト評価、安全性、人材確保、許認可、パートナーシップ、輸送)を中心に活動計画を構成しているが、2019年版の実施計画書 で設定していた優先事項「公衆の関与」(engagement)は、今回の実施計画書では「パートナーシップ」に名称が変更された。

NWMOは、2018年に「先住民との和解の取り組みに関する宣言」(Reconciliation Statement)を制定しているほか、2019年にNWMOのマネジメントシステムにおいて、全てのNWMOスタッフが先住民の歴史や先住民の権利に関する国連宣言、条約などの教育等を受けることを義務づける「和解方針」(Reconciliation Policy)を定めた。この方針を反映して、NWMOは全ての優先事項の実施内容において、先住民族の知識と和解を反映させるとしている。

NWMOは今回の実施計画書において、地層処分場プロジェクトの実施に必要となる好意的かつ弾力性を備えたパートナーシップ(supportive and resilient partnership)を構築するために、プロジェクトに係わる自治体と協働するとし、以下の活動を行うとしている。

  • 地域がサイト選定活動に完全に参加するために必要なリソースを確保し、地域の関心を反映させ、プロジェクトを進めながら福祉を段階的に向上させる。
  • 影響評価(impact assessment)の構成要素としての社会的影響とベースライン調査を完了させる。
  • 核燃料の最終的な輸送の計画を含む「適応性のある段階的管理」(APM)の進捗状況について、カナダの原子力立地地域に説明する。
  • 以下のような関係構築を図り、維持する。
    • サイト選定プロセスへの参加を選択した関心のある地域、その地域の先住民及びその周辺地域
    • APM及びサイト選定プロセスの進捗状況を共有するための国、州及び地域レベルに設立された先住民組織
    • 地方自治体が重要と考える観点をより良く理解し、協力してAPMを実施していくために設立されている自治体連合体(複数州にまたがる連合体)
    • 連邦、州、地方自治体
    • 非政府組織及び市民社会全般
  • 先住民の居住地域の文化や言語、慣習、取り組みは多様であることを認識しつつ、先住民の有識者を含む潜在的に影響を受ける先住民との協力を続ける。
  • NWMOが2019年に策定した先住民との「和解方針」を実際の活動に反映させる。
  • 処分場立地の受け入れ意欲の評価計画(willingness assessment plan)を作成し、それを使用し最終的なサイト選定の決定を通知する。
  • より具体的に「社会的受容(social acceptance)」及び「喜んで受け入れる(willing host)」という用語を定義し、それらをどのように立証できるかを理解するため、サイト選定プロセスに関与する自治体、地域、先住民と協働する。
  • カナダの計画について、若年層を含むカナダ国民とカナダ先住民との間の認識を高めるための取り組みを継続する。
  • カナダの計画の詳細を共有するため、わかりやすい展示やコミュニケーションツール、マルチメディアの開発を続け、Webサイトとソーシャルメディアプラットフォームを通じてオンラインでの関与を拡大する。

【出典】

原子力規制委員会(NRC)は、2020年3月20日付けの連邦官報において、ホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)がニューメキシコ州で計画している使用済燃料等の中間貯蔵施設について、建設・操業・廃止措置等に係るドラフト環境影響評価書(DEIS)に対するパブリックコメントの募集を開始することを告示した。NRCは、2020年3月10日付けのニュースリリースにおいて、DEISを公表するとともに、DEISに対するパブリックコメントの募集及びパブリックミーティングの開催を行う予定を公表していた。DEISでは、ホルテック社が申請した使用済燃料等の貯蔵が環境に与える影響は小さいとして、許認可発給を勧告するNRCスタッフの評価が示されている。NRCスタッフは、パブリックコメントのレビューを行った上で、2021年3月までに最終環境影響評価書(FEIS)を策定する予定としている。

具体的にDEISでは、NRCがホルテック社から2017年3月31日に受領した中間貯蔵施設の許認可申請書等を踏まえて、プロジェクトの第1段階(Phase 1)として行われる500基の乾式貯蔵キャスクによる約8,680トンの使用済燃料等の貯蔵について評価が行われている。ホルテック社は、20段階に分けて貯蔵プロジェクトを実施し、最終的には10,000基の乾式貯蔵キャスクで約10万トンの使用済燃料等の貯蔵を行う計画である。NRCは、保守的な境界条件の下での解析(bounding analysis)を行うものとして、第2~20段階の実施を含む貯蔵プロジェクト全体についての評価も行っており、見込まれる環境影響は小さいとしている。また、DEISでは、内務省(DOI)土地管理局(BLM)による評価に基づいて、中間貯蔵施設への鉄道支線の建設及び運行に対して許認可発給を勧告するとのNRCの意見も示されている。

DEISは、500ページ近くに及ぶ文書となっており、NRCウェブサイトのホルテック社集中中間貯蔵施設のページでは、DEIS本体のファイルや連邦官報告示へのリンクとともに、環境影響評価書(EIS)の読者ガイドも公表されている。本読者ガイドでは、DEISの概要とともに、ホルテック社の中間貯蔵プロジェクトの概要、NRCの許認可審査手続きの概要などについても、図等を含めて示されている。

ホルテック社の集中中間貯蔵施設の建設予定サイト

なお、ホルテック社の中間貯蔵施設は、ニューメキシコ州南東部のエディ郡、リー郡、カールスバッド市及びホッブズ市の4自治体から構成されるエディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)のサイトでの建設を計画するものであり、ニューメキシコ州環境省(NMED)も、NRCとの協定を締結して協力機関(cooperating agency)として位置付けられている。NMEDは、EISの策定において、水資源に関する問題でNRCスタッフと協力しているほか、DEISの草案段階でコメントも提出していた。NRCは、NMEDのコメントに対応した上でDEISを策定したとしている。

DEISに対するパブリックコメントの募集は2020年5月22日までの期間で行われるものとされ、NRCは、パブリックコメントの募集と並行してパブリックミーティングも開催する予定としている。

【出典】

英国の地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)は、2020年2月18日に、イングランドにおける地層処分施設(GDF)の候補サイトの評価方法を示した文書(以下「サイト評価方法書」という)を公表した。また、同日に、土地利用制度等が異なるウェールズ向けのサイト評価方法書も公表した1 。サイト評価方法書は、地層処分施設の「立地要因」と各立地要因の「評価項目」とを示したものであり、今後、地層処分施設のサイト選定プロセスが進むにつれて、それらがどのように組み合わされ、適用されていくのかを分かりやすく説明することを目的としている。
サイト評価方法書の公表に先立ちRWM社は、2018年12月及び2019年1月に、イングランドとウェールズにおいて公衆協議を実施していた 。RWM社は、公衆協議で90件の意見書で寄せられた約800件のコメントを反映して、サイト評価方法書の目的を明確化にし、表現をわかりやすく改めたほか、特に複数サイトの比較評価(comparative assessment)に関する説明を充実したとしている。

■地層処分施設の「立地要因」と「評価項目」

RWM社は、地層処分施設の立地において検討すべき「立地要因」として、①安全とセキュリティ、②コミュニティ、③環境、④工学的成立性、⑤輸送、⑥支払いに見合った価値(Value For Money)2 の6つを設定している。これらの立地要因について検討すべき内容を明確にするため、それぞれの立地要因ごとに2~7つに細分化した「評価項目」を設定している。

立地要因(Siting Factor) 評価項目(Evaluation consideration)
①安全とセキュリティ
(Safety and Security)
・サイト調査期間中の安全
・建設期間中の安全
・操業期間中の安全
・閉鎖後の安全
・マネジメント要件
・セキュリティ
・保障措置
②コミュニティ
(Community)
・コミュニティの福祉
・社会
・経済
・健康
・地元コミュニティのビジョン
③環境
(Environment)
・環境影響
・生息地と種の保護
④工学的成立性
(Engineering Feasibility)
・柔軟性
・調査可能性
・設計・建設可能性
・処分インベントリ
・持続可能な設計
・廃棄物の調整とパッケージ
・回収可能性
⑤輸送
(Transport)
・輸送の安全
・輸送のセキュリティ
・輸送への影響
⑥支払いに見合った価値
(Value For Money)
・ライフタイムのコストと価値
・廃棄物の処分スケジュール

■サイト選定プロセスの進行とサイト評価の関係

サイト選定の概略図
(出典:RWM, 協議文書「サイト評価方法案」(2018)の図を一部修正)

RWM社は今後、英国政府の2018年12月の政策文書である『地層処分の実施-地域社会との協働:放射性廃棄物の長期管理』(以下「2018年政策文書」という)で示されたサイト選定プロセスに沿って、以下のように評価を進めていくとしている。

  • 今後、複数の地域社会(コミュニティ)がサイト選定プロセスに参加するタイミングは異なると予想しており、RWM社は、それぞれの地域社会の希望にあわせて参加できるように協力して作業を進めていく。
  •  初期対話(initial discussion)の期間:GDFの設置に関心を示す人々などとの初期対話の段階では、地質学的スクリーニング等の既存情報をもとに「安全性」に焦点をあてた評価を実施することになる見通しである。この段階では、容易に入手できる情報のみを評価に使用する。
  • ワーキンググループとの活動期間: RWM社、関心を示す人々の他、独立したグループ長とファシリテータを加えた準備組織「ワーキンググループ」が「調査エリア」(Search Area)を特定する段階では、調査エリアについて、当該地域の特性や特徴、また、地域の課題を理解するための情報を収集し、GDF設置の潜在的な適合性を評価する。この段階では、容易に入手できる情報のみを評価に使用する。
  • パートナーシップの活動期間:当該コミュニティにおける情報共有、地層処分・サイト選定プロセス・地域の便益に関する対話と理解を促進するためにコミュニティパートナーシップが設置された段階で、初めて調査エリアに関する新たな情報を収集するための調査が開始される。当初の「サイト調査」では、空中物理探査のような地上からの調査のみが行われる。
  • サイト調査からサイト特性調査への移行期間:現在のサイト選定プロセスでは、サイト調査終了後、ボーリング調査などを行う「サイト特性調査」が行われる。英国では、ボーリング調査を行う前に、2008年計画法に基づく開発同意令(DCO)と環境許可が必要となる。RWM社は、開発同意申請を行うため、サイト調査などで得られた情報を用いて評価を行う。この評価では、サイト評価方法書で提示された立地項目と評価項目に基づいた評価を行う予定である。また、この段階で複数のコミュニティがサイト選定プロセスに参加している場合、客観的な比較評価(comparative evaluation)が実施される可能性がある。

【出典】


  1. サイト評価方法書において地方自治制度や土地利用計画制度などの地方自治政府に権限が委譲されている事項に関しては、イングランドでの英国政府とウェールズ政府の制度が反映されたものとなっている。 []
  2. 支払い(Money)に対して最も価値の高いサービス(Value)を供給するという考え方 []

米国で2020年2月10日に、2021会計年度1 の大統領の予算教書が連邦議会に提出され、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表された。使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物(以下「高レベル放射性廃棄物」という。)の管理についてトランプ政権は、ユッカマウンテン計画の膠着状態を打破して進展を図るため、代替の解決策(alternative solutions)を開発するためのプロセスを開始し、実行可能な方策の開発において州を関与させていくとの方針が示されている。

また、大統領の予算教書では、代替の解決策の開発と並行して、立地点(host)になる意思のある場所での展開可能なシステムに焦点を合わせた、高レベル放射性廃棄物のロバストな中間貯蔵プログラムの実施、貯蔵・輸送・処分のための代替技術の研究開発をサポートすることも示されている。予算教書の添付資料では、高レベル放射性廃棄物処分の項目において、「中間貯蔵及び放射性廃棄物基金監督(Interim Storage and Nuclear Waste Fund Oversight)」プログラムの予算として27,500千ドル(29億7,000万円、1ドル=108円で換算)が計上されている。同プログラムでは、中間貯蔵プログラムの開発及び実施のほか、ユッカマウンテンの維持や環境要件、セキュリティ関連の活動など1982年放射性廃棄物政策法で規定された管理義務を含め、放射性廃棄物基金の監督を行うことが示されている。

エネルギー省(DOE)のウェブサイトでは、2021会計年度の予算要求に関するプレスリリースが発出され、DOEの予算要求のファクトシートが公表されているが、高レベル放射性廃棄物の管理については言及されておらず、現状、予算要求の具体的な内容は不明である。

なお、DOEの高レベル放射性廃棄物処分に関連する活動について、2020会計年度の歳出法では、使用済燃料処分等(UNFD)研究開発プログラムとして62,500千ドル(67億5,000万円)、「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS)として25,000千ドル(27億円)を割り当てる歳出予算が計上されているが、これらの予算要求の詳細も不明である。

一方、原子力規制委員会(NRC)の予算要求資料では、2021会計年度の予算要求においては、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査活動のための予算は含まれていないことが示されている。

これまでユッカマウンテン計画については、トランプ大統領の2020年2月6日のTwitter投稿において、ユッカマウンテンに関するネバダ州の意見を聴いて尊重すること、政権は革新的なアプローチを探ることを確約することが示されていた。ユッカマウンテン計画に反対するネバダ州では、ユッカマウンテン関連の予算を要求しないことを評価する旨のプレスリリースをネバダ州知事が発出している。

【出典】

 

【2020年2月27日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は2020年2月26日に、DOEのウェブサイトにおいて、2021会計年度2 の原子力等(第3巻パート2)の予算要求に係る詳細資料(以下「DOE予算要求資料」という。)を公表した。2021会計年度の予算要求については、2020年2月10日に大統領の予算教書が公表されたが、使用済燃料管理等に係るDOEの予算要求資料については、概要資料のみが公表されていた。DOE予算要求資料では、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物(以下「高レベル放射性廃棄物」という。)の管理については、予算教書の添付資料で示されていた「中間貯蔵及び放射性廃棄物基金監督(Interim Storage and Nuclear Waste Fund Oversight)」プログラムの27,500千ドル(29億7,000万円、1ドル=108円で換算)のほか、「使用済燃料処分等(UNFD)研究開発プログラム」として60,000千ドル(64億8,000万円)が要求されている。

DOE予算要求資料では、新設する「中間貯蔵及び放射性廃棄物基金監督」プログラムの任務は、ロバストな中間貯蔵プログラムの構築と実施のほか、ユッカマウンテンの監督責任のサポート、放射性廃棄物基金の管理を継続することとしている。また、中間貯蔵の実施により以下のような便益が得られるとしている。

  • 連邦政府による高レベル放射性廃棄物のより早期の受入れ
  • 分散した貯蔵サイトのサイト数の減少
  • システムへの柔軟性の付加
  • 大規模な放射性廃棄物管理の制度的・技術的インフラの短期的な開発、実証

「中間貯蔵及び放射性廃棄物基金監督」プログラムのうち、中間貯蔵のための準備についての初期の重要な実施事項としては、以下が示されている。

  • 統合的なプログラムプランの開発
  • 州、先住民族及び地方政府と他の関係省庁との協働(Working with)
  • 可能性あるサイトの同定プロセスの開始
  • 予備的な設計概念の開発
  • オプション分析と輸送計画に情報提供するため、高レベル放射性廃棄物の発生量に関する重要データの分析・アップデート、並びにインベントリに関する詳細情報の収集
  • 計画の実施及び規制環境の要求を支援するためのプロセス及び手順の実施
  • 大規模な輸送のために必要なシステム能力及びインフラ整備のための継続的な取組

また、ユッカマウンテンの監督責任のサポート、放射性廃棄物基金の管理に関しては、以下の実施項目が示されている。

  • 放射性廃棄物基金の投資ポートフォリオに係る適切な投資戦略の実施と慎重な管理
  • ユッカマウンテンサイトについて、DOE令(DOE Order 473.3A)に基づく物的防護要件、メンテナンスや環境要件の維持
  • 連携する連邦スタッフ等をサポート

なお、「中間貯蔵及び放射性廃棄物基金監督」プログラムの活動は、放射性廃棄物基金からの支出で賄うものとされている。

一方、DOEの高レベル放射性廃棄物処分関連の研究開発に係る予算に関しては、DOE原子力局(NE)の燃料サイクル研究開発プログラムの下の「使用済燃料処分等研究開発プログラム」(UNFD研究開発プログラム)において、処分方策に中立的な放射性廃棄物管理プログラムの開発や高レベル放射性廃棄物のインベントリを勘案したオプションを開発することに主な焦点を当てるとして、60,000千ドル(64億8,000万円)の予算が要求されている。なお、これまでのUNFD研究開発プログラムについては、2019年12月に連邦議会が可決した2020会計年度歳出法では62,500千ドル(67億5,000万円)が計上されたが、DOEの予算要求額は5,000千ドル(5億4,000万円)のみであった。

DOE予算要求資料では、UNFD研究開発プログラムにおいて2021会計年度に実施する活動のうち、直接的に処分に関連する事項としては以下が示されている。

  • 粘土質岩及び結晶質岩における処分に係る性能評価ツールとプロセスレベルのモデルの統合及び実施手法の評価。不確実性の定量化と感度解析の解析ソフトウェアを含む統合モデル化ツール
  • 岩塩における発熱性廃棄物の処分に係る科学的・工学的技術基盤の継続
  • 様々な地層で実施されている研究開発を活用するための国際的パートナーとの協力を含め、様々な廃棄物及び使用済燃料の廃棄体の代替処分オプション探求に関連した研究開発活動の継続
  • キャニスタの再パッケージの必要性を解消することができるよう兼用キャニスタの直接処分の技術的フィージビリティを評価
  • 新しい事故耐性燃料の貯蔵・輸送・処分性能特性の試験、評価

UNFD研究開発プログラムにおいては、高レベル放射性廃棄物の貯蔵・輸送・処分の代替技術・経路に関して、展開可能な解決策に焦点を当てて評価することに加え、短期の貯蔵の解決策に係るプログラムの決定を支援する技術的解析には更なる焦点を当てることも示されている。

なお、2020年度歳出法で25,000千ドル(27億円)が計上された「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS)については、廃止が提案されている。ただし、従来はIWNSに含まれていた中間貯蔵及び輸送計画に関する活動については、今回新設された「中間貯蔵及び放射性廃棄物基金監督」プログラムに移管されている。

DOEの環境管理局(EM)の予算要求書である第5巻「環境管理」において、米国で超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場として操業中の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、換気システムの建設が完了すると見込まれることなどから、2020会計年度歳出法より13,647千ドル(約14億7,000万円)少ない383,260千ドル(約414億円)が計上されている。

【出典】

 

【2020年3月4日追記】

米国の連邦議会上院のエネルギー・天然資源委員会は、2020年3月3日に、エネルギー省(DOE)の2021会計年度3 の予算要求に係る公聴会を開催した。公聴会には、エネルギー長官が証人として出席し、証言と質疑応答が行われた。エネルギー長官の証言では、2020年2月26日に公表されたDOE予算要求資料と同様の方針が示されたのみであったが、質疑応答の中でエネルギー長官は、最終処分場としてユッカマウンテンを追い求めることをしないとの発言があった。

エネルギー長官のユッカマウンテンに関する発言は、エネルギー・天然資源委員会の委員であるマスト議員(ネバダ州選出、民主党)からの質問に対する回答として示された。具体的にマスト議員は、現政権はユッカマウンテンにおける恒久処分への道をいまだに模索しているのかとの質問を行った。これに対してエネルギー長官は、ユッカマウンテンは1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)に基づく手続きで最終処分場として指定されているものの、ユッカマウンテン計画の予算をゼロとしているのも法律であること、この膠着状態は連邦議会やネバダ州における声に拠るところが大きいことから、ネバダ州の反対を押してユッカマウンテンを追い求めることは止めることを大統領が決定するに至ったことなどを回答した。その上でエネルギー長官は、連邦議会の記録に残る発言として、「現政権は、最終処分場としてユッカマウンテンを追い求めることはしない」と明言したものである。

さらなるマスト議員の質問に対してエネルギー長官は、仮にユッカマウンテン計画に係る予算を連邦議会が付けた場合にはその法律に従うが、現政権の意図はユッカマウンテンの代替方策を探すことであること、州やステークホルダーが発言権を持つようなプロセスを支持すること、その議論にはネバダ州の参画も考えていることなども表明している。

なお、連邦議会では、下院歳出委員会においても2020年2月27日にDOEの予算要求に係る公聴会が開催されており、エネルギー長官からは今回と同様の証言書が提出されている。また、上院歳出委員会では、2020年3月4日にDOE予算要求に係る公聴会の開催が予定されている。

【出典】

 

【2020年7月17日追記】

米国の連邦議会下院の歳出委員会は、2020年7月13日に開催した法案策定会合において、2021会計年度4 のエネルギー・水資源開発歳出法案(H.R.7613、以下「歳出法案」という。)を承認し、2020年7月15日付で下院本会議に提出した。2021会計年度の予算において、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可審査手続きの再開等のための予算については、エネルギー省(DOE)や原子力規制委員会(NRC)の予算要求資料でも要求されておらず、今回承認された歳出法案においても計上されていない。

歳出法案に付随する下院歳出委員会報告書(H.Rept.116-449、以下「委員会報告書」という。)では、「放射性廃棄物処分(Nuclear Waste Disposal)」プログラムとして、27,500千ドル(30億2,500万円、1ドル=110円で換算)が計上されている。これは、DOEの予算要求資料において「中間貯蔵及び放射性廃棄物基金監督(Interim Storage and Nuclear Waste Fund Oversight)」プログラムとして要求されていた予算額を全額認めるものであるが、放射性廃棄物基金からの支出で賄うのは放射性廃棄物基金監督に係る7,500千ドル(8億2,500万ドル)のみとしている5。また、委員会報告書では、中間貯蔵に係るDOEの提案は詳細さに欠けて一般的なものが多く失望しているとした上で、連邦政府による中間貯蔵施設のサイトを選定するための活動を、現行のDOEの法的権限の範囲で、同意に基づくアプローチを活用して進めることを指示している。

一方、DOEの高レベル放射性廃棄物処分関連の研究開発に係る予算については、「使用済燃料処分等(UNFD)」プログラムの一般的な研究開発活動を継続するための予算として62,500千ドル(68億7,500万円)が計上されているほか、「統合廃棄物管理貯蔵(IWMS、Integrated Waste Management Storage)の予算として25,000千ドル(27億5,000万円)が計上されており、これは2020会計年度の歳出法と同額の予算となっている。また、委員会報告書では、UNFDプログラムについて、輸送中の使用済燃料の挙動等の研究を継続することを指示するとともに、DOEの予算要求には含まれていなかったIWMSプログラムについては、廃止措置された原子力発電所等での準備活動の継続、輸送活動再開に係る評価や調整などを行うことが指示されている。

また、超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場として操業中の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、DOEの予算要求額を40,000千ドル(44億円)上回る423,260千ドル(465億5,860万円)が計上されている。委員会報告書では、このうち10,000千ドル(11億円)は地域のインフラ整備費用として、歳出法案の施行後60日以内にその計画について連邦議会に報告するようDOEに指示している。

なお、下院歳出委員会の法案策定会合で共和党議員からは、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査手続の再開等のための予算が計上されていないことへの批判が示されたが、これらの予算を計上するような歳出法案の修正案は提出されなかった。

ネバダ州選出のタイタス下院議員からは、下院の歳出法案において、ユッカマウンテンプロジェクト再開に係る予算が計上されなかったことなどを歓迎するプレスリリースが発出されている。

【出典】

 

【2020年8月17日追記】

米国の連邦議会下院は、2020年7月31日の本会議において、2021会計年度6 の「国防、商務、司法、科学、エネルギー・水資源開発、金融財務・一般政府、労働、保健福祉、教育、運輸、住宅・都市開発の歳出法案」(H.R.7617、以下「統合歳出法案」という。)を、217対197で可決した。統合歳出法案は、「2021会計年度国防歳出法案」(H.R.7617)に、「エネルギー・水資源開発歳出法案」(H.R.7613)などを統合して、6つの歳出法案をまとめたものである。統合歳出法案における高レベル放射性廃棄物管理に係る予算については、2020年7月13日に下院歳出委員会で承認された内容から修正はなく、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可手続きの再開等のための予算は計上されていない。なお、統合歳出法案に付随するエネルギー・水資源開発分野の委員会報告書は、2020年7月13日に下院歳出委員会で承認されたもの(H.Rept.116-449)となっている。

統合歳出法案の下院本会議における審議においては、下院歳出委員会エネルギー・水資源開発小委員会及びエネルギー・商務委員会環境小委員会のそれぞれの少数党最上席議員であるシンプソン議員及びシムカス議員(いずれも共和党)らから、ユッカマウンテン許認可手続きの再開に係る予算計上が必要であるなどとする発言が行われたが、ユッカマウンテン許認可手続きの再開に係る修正案の本会議審議は行われなかった。シムカス議員の発言においては、ユッカマウンテン処分場の許認可審査の完結を引き続き支持することなどを表明するものとして、ユッカマウンテンの立地自治体であるネバダ州ナイ郡の決議も公式の記録として提出されている。

一方、ネバダ州選出の下院民主党議員の一部からは、ユッカマウンテン許認可手続きの再開のための予算が統合歳出法案に計上されなかったことを評価し、今後もネバダ州における処分場建設には反対を続けていくことなどを表明するプレスリリースが発出されている。

【出典】

 

【2020年10月2日追記】

米国の連邦議会は2020年9月30日に、2021会計年度(2020年10月1日~2021年9月30日)のうち、2020年10月1日から2020年12月11日までを対象とした継続歳出法案(H.R.8337)を可決し、継続歳出法案は2020年10月1日に大統領の署名を得て法律(Public Law No.116-159)として成立した。継続歳出法案(H.R.8337)は、連邦議会下院本会議では2020年9月22日に359対57で、連邦議会上院本会議では2020年9月30日に84対10で、それぞれ賛成多数で可決されていた。継続歳出法の成立により、米国での予算の空白が当面は回避されたことになる。

今回成立した2021会計年度の継続歳出法(Public Law No.116-159)は、2020年12月11日までの期間について、2020会計年度の予算を規定した歳出法 での予算と同じレベルでの歳出を認めるものである。高レベル放射性廃棄物処分に関連する予算を含むエネルギー・水資源分野については、2020会計年度の歳出法として、追加的包括歳出法案(Public Law No.116-94)が制定されていた。継続歳出法による予算は、原則として前年度予算と同率で比例配分され、特段の規定が無い限り、前年度で未計上の事業・プログラム等の実施は認められない。

なお、2021会計年度の継続歳出法(Public Law No.116-159)では、ユッカマウンテン処分場関連、軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)関連、使用済燃料等の中間貯蔵施設関連を含め、放射性廃棄物の貯蔵・処分に関する特段の規定は無い。

【出典】

 

【2020年11月11日追記】

米国の連邦議会上院の歳出委員会は2020年11月10日に、2021会計年度のエネルギー・水資源歳出法案の原案(以下「歳出法案原案」という。)、及び法案に付随する説明文書(Explanatory Statement、以下「付随説明文書」という。)を公表した。歳出法案原案では、前年度の上院歳出法案(S.2470)と同様に、中間貯蔵施設のパイロットプログラムの実施等をエネルギー長官に命じる規定が置かれているが、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可審査手続きの再開等のための予算は計上されていない。なお、上院歳出委員会のプレスリリースでは、連邦議会下院との交渉が開始されるに当たり、下院歳出委員会の委員長等と超党派で相違点を解決するように協力したいとのメッセージが示されている。

今回公表された付随説明文書では、エネルギー省(DOE)の高レベル放射性廃棄物処分関連の活動について、燃料サイクル研究開発プログラムの下で、「放射性廃棄物処分(Nuclear Waste Disposal)」として、使用済燃料の集中中間貯蔵の計画を実施するための予算として27,500千ドル(30億2,500万円、1ドル=110円で換算)が計上されている。このうち、10,000千ドル(11億円)を上限とした予算において、エネルギー長官が現行の権限内で、使用済燃料の管理に係る民間事業者との契約などを締結するものとしている。また、「使用済燃料処分等(UNFD)プログラム」には、30,000千ドル(33億円)が計上されているが、「統合廃棄物管理システム(IWMS、Integrated Waste Management System)」の予算は計上されていない。

歳出法案原案に盛り込まれた中間貯蔵関連の条項では、2020会計年度の上院歳出法案(S.2470)と同様に、以下のような内容が規定されている。

集中中間貯蔵のパイロットプログラム(歳出法案原案、第306条)

  • 使用済燃料等を中間貯蔵するため、1つまたは複数の連邦政府の集中貯蔵施設の許認可取得、建設、操業のためのパイロットプログラムを実施することをエネルギー長官に許可
  • エネルギー長官は、歳出法案の施行後120日以内に、集中貯蔵施設の建設許可取得や輸送等の協力協定についてのプロポーザルを公募
  • 集中貯蔵施設の立地決定前に、立地サイト周辺等での公聴会の開催、地元州知事や地方政府等との同意協定の締結をエネルギー長官に義務付け
  • エネルギー長官は、上記プロポーザルの公募から120日以内に、推定費用、スケジュール等を含むパイロットプログラム計画を連邦議会に提出
  • 集中中間貯蔵のパイロットプログラム活動に係る資金の放射性廃棄物基金からの支出を許可

また、軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、DOEの予算要求と同額の383,260千ドル(約421億5,860万円)が計上されている。

なお、ネバダ州選出の連邦議会の上院議員は、ユッカマウンテン処分場の許認可審査活動のための予算を計上しないように求め、上院歳出委員会エネルギー・水資源開発小委員会の委員長等に宛てて書簡を提出していた。

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2021会計年度の予算は2020年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  2. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2021会計年度の予算は2020年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  3. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2021会計年度の予算は2020年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  4. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2021会計年度の予算は2020年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  5. DOEの予算要求では、中間貯蔵施設関連を含めた27,500千ドル全体について、放射性廃棄物基金からの支出で賄うものとされていた。 []
  6. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2021会計年度の予算は2020年10月1日からの1年間に対するものである。 []

カナダのオンタリオ・パワージェネレーション(OPG)社は、2020年1月31日に、同社が所有するブルース原子力発電所サイトでの建設を目指していた低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場(DGR)プロジェクトに関して、今後、DGRプロジェクトの代替となる安全かつ恒久的な解決策を検討する意向を示すプレスリリースを公表した。これは、同日に、DGRの建設予定地のあるブルース半島に居住するソーギーン・オジブワネーション先住民1 により、DGRプロジェクトに対する賛否を問う投票が行われ、賛成170票、反対1,056票の結果となったことを受けたものである。OPG社は、先住民の意思を尊重するとともに、主要なステークホルダーの関与によるサイト選定プロセスの策定を進めていく考えを明らかにした。

OPG社は、オンタリオ州内に3ヶ所の原子力発電所(原子炉計20基)を所有しており、これらの原子力発電所で発生した低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場の立地に関して、2004年に地元キンカーディン自治体との間で立地協定を締結していた。その後、OPG社は2011年4月に、DGRプロジェクトの環境影響評価書(EIS)、予備的安全評価書等を連邦政府の合同評価パネル(JRP)に提出し、2015年5月にJRPは、環境に重大な影響が及ぶ可能性は低いと結論していた。OPG社は、JRPによる審査過程で、2013年に開催された公聴会において、ソーギーン・オジブワネーション先住民の支持なくDGRを建設しないことを確約していた。なお、その後の手続きとしては、環境大臣による環境影響に関する決定を受けた上で、JRPがサイト準備・建設に関する許認可を発給するのみとなっていた。

OPG社は、新たなサイト選定プロセスは先住民や関心のある自治体の関与を含むものにするとの考えを表明するとともに、これまで構築してきた相互の尊重や協力、信頼関係を基礎として、ソーギーン・オジブワネーション先住民と対話を継続する意向を明らかにした。また、OPG社は、放射性廃棄物処分のための恒久的な解決策を検討しつつ、廃棄物の減容技術の開発、非汚染物質の再利用など、発生元において放射性廃棄物の発生量を最小化する取組を行っていくとしている。

【出典】

 

【2020年6月29日追記】

カナダ影響評価庁(Impact Assessment Agency of Canada, IAAC)は、2020年6月26日に、オンタリオ・パワージェネレーション(OPG)社が計画していた低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場(DGR)の環境影響評価プロセスの終了を公告した。2020年1月31日に実施されたソーギーン・オジブワネーション先住民による投票結果を受けて、OPG社は2020年5月27日に、DGRプロジェクトの環境影響評価プロセスを公式に終了するよう求める書簡を環境大臣に提出していた。

OPG社は、環境大臣に提出した書簡において、環境影響評価書等の審査のために連邦政府が指名した合同評価パネルの4年間の活動に感謝するとともに、キンカーディン自治体及び隣接する自治体から受けた15年にわたる支援に対する感謝の意を明らかにした。また、OPG社は、同社が所有する原子力発電所から発生する放射性廃棄物の安全かつ恒久的な解決策の開発に引き続き取り組んでいくとしている。

【出典】


  1. ※ソーギーン・オジブワネーション先住民(SON)の居住地域は、ブルース原子力発電所サイトが立地しているブルース半島の大部分を占めている。先住民は特定の法的権利を有しており、その土地の占有者としての管理義務を果たすこととなっている。 []
NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2020年1月時点)

NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2020年1月時点)

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(Nuclear Waste Management Organization, NWMO)は、2020年1月24日、使用済燃料処分場のサイト選定プロセスの第3段階第2フェーズが実施されていたオンタリオ州のヒューロン=キンロス・タウンシップ(図中19番)について、サイト選定プロセスから除外したことを公表した。これにより、カナダの使用済燃料処分場のサイト選定プロセスに残る自治体は、オンタリオ州北部のイグナス・タウンシップ(図中5番)と同州南部のサウスブルース自治体(図中20番)の2つに絞り込まれた。NWMOは、2023年までに1カ所の好ましいサイトを選定することを目指している。

NWMOは2019年5月から、土地所有関係が複雑であるオンタリオ州南部のヒューロン=キンロス・タウンシップ及びサウスブルース自治体において、土地所有者からフィールド調査を行う許可を得るための「土地アクセスプロセス」(Land Access Process)を公表し、NWMOと土地所有者との双方に有益な関係の構築を進めていた。NWMOは今回のプレスリリースにおいて、サウスブルース自治体のティーズウォーター・コミュニティ北西の土地の複数の所有者との合意が得られ、フィールド調査の実施にとって十分な広さである合計で約1,300エーカー(526ヘクタール)の土地が確保できたとしたとしている。NWMOは、土地アクセスプロセスの結果により、2自治体のどちらか一方でサイト選定プロセスを進めていくとしており、サウスブルース自治体で土地が確保できたため、ヒューロン=キンロス・タウンシップを除外することとなった。

NWMOは、土地所有者から土地アクセスプロセスに関する合意文書を得ることによって、最終的に約1,500エーカー(600ヘクタール)の土地へのアクセスする権利を取得する意向である。この土地の面積は、処分場地下施設と同等の広さであり、また、地上施設が建設される約250エーカー(100ヘクタール)よりも十分に広いものである。NWMOは、既に合意を得た土地に隣接する土地の所有者と協議を継続していくとしている。なお、NWMOが提案する土地アクセスプロセスでは、NWMOがフィールド調査を実施する権利を得るものの、土地所有者は土地の継続利用が可能である。将来、この土地が処分場建設地として選定された場合には、NWMOは土地所有者から土地を購入する権利を行使することになっている。

NWMOはサウスブルース自治体内の土地において、ボーリング孔の掘削や基礎的な環境のモニタリングを数カ月以内に開始し、地域の特性を調査するとしている。また、ヒューロン=キンロス・タウンシップは除外されたものの、サウスブルース自治体において取組を進めていく中で、近隣自治体として重要な役割を引き続き担っていくとしている。さらに、NWMOは、先住民との連携も継続していくとしている。

【出典】

 

【2020年10月19日追記】

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2020年10月のプレスリリースにおいて、サウスブルース自治体におけるフィールド調査に向けて、複数の土地所有者から合意文書を得ることにより、NWMOが目標としている1,500エーカー(約600ヘクタール)の土地へアクセスする権利を取得したことを公表した。NWMOは、サウスブルース自治体のティーズウォーター・コミュニティの北西部の2カ所においてボーリング調査を行う予定であり、最初のボーリング調査は2021年4月頃となる見通しを明らかにした。

NWMOは、今後、フィールド調査を通じた地質学的な特性調査に向けて、微小地震モニタリングステーションや、浅部地下水をモニタリングする井戸を設置する予定である。NWMOは、地元コミュニティから寄せられている懸念に対応するため、地層処分場の候補サイト内や周辺にある個人所有の井戸水のほか、近隣を流れるティーズウォーター川のモニタリングを計画に含める予定である。

また、NWMOは、土地アクセスプロセスの一環として、サウスブルース自治体との協議の下、NWMOのプロジェクトの実施によって資産価値に影響があった場合、資産の所有者に補償を行うことに言及している。NWMOは、資産価値保護プログラムを地域の福祉に関する調査の一部として開発するとしており、地元コミュニティの関与も得て、2021年内に開発を完了させたいとしている。

【出典】

米国の放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)は、2020年1月23日に、2019年11月に開催されたNWTRB秋期会合(以下「2019年秋期会合」という。)における議論等を踏まえて、エネルギー省(DOE)に対する勧告・所見を示した書簡を公表した。2019年秋期会合は、使用済燃料の乾式貯蔵等に係るDOEの研究開発活動についての情報を審査するため、2019年11月19日に開催されたものである。なお、NWTRBは、1987年放射性廃棄物政策修正法に基づいて、エネルギー長官が行った高レベル放射性廃棄物処分に係る活動の技術的及び科学的有効性を評価するために設置された独立の評価組織である。

NWTRBがDOEに宛てた書簡では、5つの勧告と2つの所見が示された。このうち、使用済燃料の乾式貯蔵に関わる勧告・所見としては、以下のポイントが示されている。

  • 乾式貯蔵における使用済燃料への水分(moisture)の影響の理解を深めること、さらに、使用済燃料乾式貯蔵システム内での水分計測のために原子力産業界が使用している代替手法を確認する取組を継続するとともに、DOE標準キャニスタにおいても同様の取組を行うことをDOE原子力局(NE)に勧告(勧告2)
  • 特定の乾式貯蔵システムに適用する前に、コンピュータモデルの検証を行うよう、更なる重点化を勧告(勧告3)
  • DOEがコンピューターモデルの開発と使用を継続して、使用済燃料の乾式貯蔵システムパラメータを予測するため、すべての仮定や不確実性を正しく同定・説明すること、コンピュータモデルを実際のシステムのデータで検証すること、燃料挙動モデルが複数の物理モデルとして統合されること、モデル開発者と実験担当者との間の調整の強化が達成されるようにすることにDOEが取り組むことを勧告(勧告4)
  • DOE標準キャニスタに関して、臨界安全や水素濃度制限などに適用される規制要件のすべてを認識できるよう、DOEのプロジェクトチームが原子力規制委員会(NRC)と早期に接触を持ち、DOE標準キャニスタの開発完了とNRCからの容器承認取得のための確実な道筋・スケジュールを構築することを勧告(勧告5)
  • 他国の研究者との交流で得られる教訓もある。2019年秋期会合における英国のセラフィールド社の事例からは、容器内の状態をリアルタイムでモニタリング可能なものとして、計測器付容器であるスマートパッケージ概念に取り組む革新チームを設置するなど、課題に対応する組織構造を構築することが教訓として得られた。(所見2)

2019年秋期会合では、使用済燃料の乾燥、乾式貯蔵に関するDOEの研究開発活動について、DOE原子力局(NE)及び環境管理局(EM)、国立研究所の研究者らから報告が行われた。また、英国セラフィールド社からは、英国における使用済燃料研究と研究炉などで使用されたアルミニウム被覆管の使用済燃料に関する報告が行われた。さらに、セラフィールド社を含めたパネルディスカッションも行われた。

なお、NWTRBは、アルミニウム被覆管の使用済燃料に関するDOE環境管理局(EM)からの報告では、情報が限定的で技術的な精査ができなかったなどとして、DOE環境管理局(EM)とNWTRBとの定期的な交流を要請する書簡も送付している。

【出典】

英国政府のビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)と原子力廃止措置機関(NDA)とは、2020年1月10日に、放射性廃棄物インベントリ報告書の最新版である2019年版を公表した。放射性廃棄物インベントリは、英国政府とNDAが実施している共同研究プログラムの一部であり、放射性廃棄物の管理計画を立案する上での重要なデータとして、今後対策が必要となる1放射性廃棄物の廃棄物量、放射能量等を3年毎に評価したものである。

今回の2019年版の放射性廃棄物インベントリ報告書に示されている下表の廃棄物量(単位:m3)は、2019年4月1日時点において処理されて貯蔵されている廃棄物量と、今後発生が見込まれる廃棄物量を合計したものである。この廃棄物量には、既に操業しているドリッグ村近郊にある低レベル放射性廃棄物処分場(LLWR)及びドーンレイ低レベル放射性廃棄物処分場で処分された低レベル放射性廃棄物、並びに民間の産業廃棄物処分場で処分された極低レベル放射性廃棄物の量は含まれていない。

2019年版の放射性廃棄物インベントリ報告書では、下表のように、前回の2016年版の放射性廃棄物インベントリ  報告書 に比べて、極低レベル放射性廃棄物及び中レベル放射性廃棄物が減少する一方で、低レベル放射性廃棄物及び高レベル放射性廃棄物がそれぞれ増加している。これらの放射性廃棄物の増減理由に関してNDAは、相当前に発生した廃棄物に関する知見の向上(廃棄物ストリームの改善)や廃棄物の減衰・除染による廃棄物分類の見直し、国家戦略の更新などによる廃棄物パッケージや処理処分オプションなどの変更、今後発生が見込まれる廃棄物の基本発生シナリオの見直しなどによるものであると説明している。

英国の分類別の放射性廃棄物インベントリ

廃棄物分類 2016年版報告書 2019年版報告書
極低レベル放射性廃棄物 2,860,000m3 2,830,000m3
低レベル放射性廃棄物 1,350,000m3 1,480,000m3
中レベル放射性廃棄物 290,000m3 247,000m3
高レベル放射性廃棄物 1,150m3 1,390m3
合計 4,501,150m3 4,558,390m3

【出典】


  1. 原子力施設の運転・廃止措置に伴って発生する放射性廃棄物の推定量を含む。 []