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韓国の産業通商資源部(MOTIE)は、2021年12月7日付けの公告において、高レベル放射性廃棄物を安全に管理する方式と手続きを提示する「第2次高レベル放射性廃棄物管理基本計画(案)」(以下「第2次基本計画案」という)を公表し、2021年12月21日を期限としたパブリックコメントの募集を開始した。MOTIEは、この第2次基本計画案において、高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)を安全かつ効率的に管理するための政策ロードマップを提示する意向を持っている。

MOTIEは、今回の第2次基本計画案の検討に資するため、2019年5月に人文・社会、法律・科学、コミュニケーション・紛争管理、調査・統計などの中立的な専門家15名で構成される「使用済燃料管理政策再検討委員会」(以下「再検討委員会」という)を設置し、再検討委員会が行う勧告を最大限尊重して政策を推進する考えを示していた。再検討委員会は、2021年3月に政府へ提出した勧告書において、使用済燃料管理特別法を制定する必要性を指摘するなど、使用済燃料の管理政策の見直しに関する勧告を行っていた。MOTIEは第2次基本計画案において、再検討委員会が指摘した特別法の制定や現行の放射性廃棄物管理法の全面改正を検討する方向性を打ち出している。また、今後の法整備を踏まえて、使用済燃料の中間貯蔵施設や処分施設のサイト選定プロセス、地域支援策、技術開発、人材育成などを含む高レベル放射性廃棄物管理基盤の構築、並びに専任組織の設置を行うとしている。

なお、第1次基本計画は朴槿恵(パク・クネ)政権時の2016年7月に策定されたが、翌2017年5月に発足した文在寅(ムン・ジェイン)政権における漸進的な脱原子力発電政策に伴う使用済燃料の予測発生量の低減に対応するため、2018年5月から基本計画の見直しが行われていた 。

■第2次基本計画案における高レベル放射性廃棄物管理の基本方針

MOTIEは再検討委員会の勧告を受けて、高レベル放射性廃棄物管理の基本方針を構成する原則の見直しを行っている。第1次基本計画では原則3に含まれていた「原子力発電所の持続可能な発展」という記述を削除し、新たに「可逆性・回収可能性の考慮」(原則6)を加えている。第2次基本計画案に提示されている高レベル放射性廃棄物管理の基本方針となる原則は以下のとおりである。

~第2次高レベル放射性廃棄物管理基本計画(案)における基本方針~

原則1:
高レベル放射性廃棄物を国家の責任の下で安全に管理し、安全管理に関する国内外の規範を誠実に遵守する
原則2:
高レベル放射性廃棄物を生態・環境的に安全に管理し、国民の健康と環境に対する危害防止を最優先に考慮する
原則3:
高レベル放射性廃棄物に関する情報を公開し、国民と住民の参加と共感の中で信頼を高める
原則4:
原子力発電の恩恵を享受した現世代が高レベル放射性廃棄物の管理責任を果たし、管理費用は発生者が負担する
原則5:
高レベル放射性廃棄物の輸送・貯蔵・処分能力向上と効率的な管理のために必要な技術を持続的に開発する
原則6:
技術的発展の可能性と安全性に関する条件の変化などを踏まえ、意思決定の可逆性と高レベル放射性廃棄物の回収可能性を考慮する

政府の重点推進課題として、以下の3項目を取り上げている。

  1. 科学的合理性と社会的合意に基づく管理施設の確保
  2. 地域共同体に向けた政府全体としての支援・コミュニケーション体制構築
  3. 安全管理のための政策基盤拡充

■政策ロードマップ

重点推進課題1.に関してMOTIEは、高レベル放射性廃棄物の管理施設のサイト選定が急務であるという認識のもと、処分施設の操業開始までに要する期間が、サイト選定作業の着手から37年後となるような政策ロードマップを示している。また、使用済燃料の中間貯蔵施設、地下研究施設及び処分施設を同一のサイトに立地する構想である。

処分方式としては、多重バリアシステムによる地層処分を優先的に考慮するが、技術的代替案(超深孔処分など)も並行して考慮することを示している。なお、第1次基本計画では、政策ロードマップに「国際共同貯蔵・処分の可能性の検討」及び「研究用地下研究所の立地・建設・操業」が盛り込まれていたが、これらは第2次基本計画案では削除されている。

高レベル放射性廃棄物管理施設に関する政策ロードマップ

 

■第2次基本計画の策定に向けた今後の予定

今回公表された第2次基本計画案に対しては、行政手続法の規定により、2021年12月21日を期限として産業通商資源部(MOTIE)長官宛てで意見書の提出が可能となっている。MOTIEは、案に対する追加的な専門家議論と国民の意見収斂のため、討論会を開催する意向を明らかにしている。なお、韓国では2022年3月に大統領選挙が予定されている。

第2次基本計画案は、原子力振興委員会の専門委員会による検討、原子力振興委員会本会議の審議・議決を経て確定される。また、高レベル放射性廃棄物管理基本計画は、国会の所管常任委員会に提出されることとなっている。

【出典】

 

【2022年1月7日追記】

韓国で2021年12月27日に、国務総理(首相)が主宰する第10回原子力振興委員会が開催され、本会議での審議・議決を経て、高レベル放射性廃棄物を安全に管理する方式と手続きを提示した「第2次高レベル放射性廃棄物管理基本計画」(以下「第2次基本計画」という)が確定した。原子力振興委員会は、韓国における原子力利用に関する重要事項を審議・決定する政府の意思決定機関であり、第2次基本計画の策定を担当した産業通商資源部(MOTIE)のほか、科学技術情報通信部、外交部の各部長官1 、民間委員等が出席して開催された。

今回の原子力振興委員会では、原子力に関する技術開発及び利用政策を一貫的かつ体系的に推進するため、最上位の法定計画として5年ごとに策定される「原子力振興総合計画」(第6次)も併せて審議・確定された。放射性廃棄物の安全な管理基盤の構築を目的として、使用済燃料の貯蔵及び処分に関する研究開発については、2021年から2029年の期間に合計4,300億ウォン(約411億円、1ウォン=0.0956円として換算)の予算とする計画である。

【出典】


  1. 韓国の「部」はわが国の「省」にあたる []

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2023年までに1カ所の好ましいサイトを特定するという目標をかかげている 。NWMOは、サイト選定プロセスの第3段階第2フェーズに残っているオンタリオ州のイグナス・タウンシップ及びサウスブルース自治体の2自治体において、地上からの調査による使用済燃料処分場の潜在的な適合性の予備的評価を進めているところである 。

■イグナス・タウンシップにおける調査の現状

イグナス・エリアでのボーリング調査の模様(NWMO提供)

イグナス・エリアでのボーリング調査の模様(NWMO提供)

オンタリオ州北部のイグナス・タウンシップは、州都トロントから北西に約1,600km、カナダ大陸横断高速道路(トランス・カナダ・ハイウェイ)上にあり、主な産業は林業と観光業である。イグナス・タウンシップは面積約93km2、人口約1,200人の小さな自治体であり、その周囲に隣接する自治体はない。オンタリオ州北部の人口分布はまばらであるため、特定の自治体に属さず州が直轄する地域が広がっている。

イグナス・タウンシップでは、市街中心部から西方約35kmの原野に調査エリアが特定されている(州が直轄する土地であり、特定の地名がないためイグナス・エリアと呼称されている)。このエリアはカナダ楯状地に位置しており、NWMOは地下施設を地表から約500mの深さにある結晶質岩に建設することを検討している。NWMOは、イグナス・エリアにて2017年11月6日にボーリング調査を開始している。

NWMOはイグナス・エリアでの活動に関する2021年11月のプレスリリースにおいて、予定していたボーリングコアの採取作業を完了したことを公表した。2021年11月までの約4年間で長さ1kmのボーリングを合計6本掘削しており、今後、ボーリング調査で取得されたデータの分析が行われる。

ボーリング調査と並行してNWMOは、使用済燃料処分場プロジェクトによる環境影響の評価に必要となる情報を獲得するために環境ベースラインモニタリングプログラムの策定を進めている。このプログラムに地元の関心や懸念を反映するために、NWMOは2021年の夏期から「コミュニティ・サンプリングプログラム」を立ち上げ、イグナス及び周辺地域の動植物、地表水などのサンプリングを地域住民と協力して進めている。野生のヘラジカや淡水魚の狩猟、キノコやベリーの採取を目的に立ち入る人々にサンプルを提供してもらうほか、協力者に対してサンプリング技術のトレーニングを提供する取り組みが行われている。NWMOは、地域の人々と協力すること自体が、環境ベースラインモニタリングプログラムの目的や成果情報を相互に学ぶ機会となっており、教育的な効果を生み出していると述べている。

■サウスブルース自治体における調査の現状

サウスブルース自治体でのボーリング調査の模様(NWMO提供)

サウスブルース自治体でのボーリング調査の模様(NWMO提供)

オンタリオ州南部にあるサウスブルース自治体は、ヒューロン湖の東側約40キロメートルの内陸に位置しており、面積約490km2、人口は約5,600人である。土地は西側にゆるやかに傾斜して平坦に広がっており、農業が主要産業となっている。

サウスブルースでは、使用済燃料処分場の母岩として地下約600メートルに分布するオルドビス紀の堆積岩(約4億5,000万年~5億年前に形成)が考えられている。NWMOは、サウスブルース自治体での活動に関する2021年11月のプレスリリースにおいて、専用の車両を用いた三次元弾性波探査を開始したことを公表した。また、地質構造の理解に役立てるために、NWMOは2本の試験用ボーリング孔の掘削を2022年の夏までに完了させたい意向である。

また、NWMOはサウスブルースにおいても環境ベースモニタリングプログラムの策定と実施を、土地所有者や河川管理当局と共同で進めている。この地域の住民は農業と関わる水資源に関心が高い。そのため、NWMOはフィールド調査エリア周辺の土地所有者の農業用井戸水をサンプリングに利用させてもらう一方、井戸水の分析データを双方で共有するといった協力関係を築いている。分析データの公平性を期すために、NWMOは、それらの井戸水のほか、調査エリアを含むソーギーン川水系の表層水のサンプリングと分析を、サウスブルース自治体を含む15自治体が共同で設立しているソーギーンバレー保護局(SVCA)に委託している。

NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2021年12月時点)

NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2021年12月時点)

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、2021年11月30日付けのニュース記事において、連邦政府による使用済燃料の中間貯蔵サイトの選定のための「同意に基づくサイト選定計画(Consent-Based Siting Program)」を再始動するとし、最初の手続きとして情報要求(RFI、Request For Information)を発行したことを公表した。また、DOEの「同意に基づくサイト選定」のページでは、RFIにおいて、2017年1月の「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の集中貯蔵・処分施設のための同意に基づくサイト選定プロセス案」(以下「サイト選定プロセス案」という。)に対するコメントを求めるほか、「意味のある参加への障害の排除」、「廃棄物管理システムの一部としての中間貯蔵」の分野に対する意見等を求めることが示されている。

DOEのRFIは、2022年3月4日までの期限で、連邦政府による中間貯蔵施設(以下「連邦中間貯蔵施設」という。)について意見を求めるものであり、2021年12月1日付けの連邦官報で告示された(以下「RFI告示」という。)。DOEは、RFIで得られた情報は、DOEによる連邦中間貯蔵施設の同意に基づくサイト選定プロセス及び統合的放射性廃棄物管理システム、資金確保の可能性のための戦略構築の構築において、公平な形で使用する意向である。

DOEはニュース記事において、2021会計年度包括歳出法(Public Law No.116-260)で中間貯蔵のための歳出予算が計上されたこと、及び中間貯蔵を進展させるよう指示を受けたことを示した。同意に基づくサイト選定プロセスについては、オバマ民主党政権で設置された「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」の最終報告書・勧告 などを反映して検討が進められ、2017年1月には「サイト選定プロセス案」も公表されていたが、トランプ共和党政権で中止された

DOEは、RFI告示において、特に意見を求める分野及び意見項目を以下のように示している。

分野1:同意に基づくサイト選定プロセス

  1. DOEは、同意に基づくサイト選定プロセスにおいて、社会的公平と環境正義をどのように考慮すべきか。
  2. 連邦中間貯蔵施設の立地受入れの同意を判断する際に、先住民族、州及び地方政府等はどのような役割を果たすべきか。
  3. 連邦中間貯蔵施設のサイトを選定しようとして取り組むDOEとの関与を考慮する際、どのような便益や機会が地方・州・先住民族政府を後押しするものとなるか。
  4. 同意に基づくサイト選定プロセスによる連邦中間貯蔵施設の立地が成功するために障害となるものは何か、また、それはどのように対応できるか。
  5. 連邦中間貯蔵施設における貯蔵期間に持続するような合理的な期待及び計画を確立するため、DOEは地域コミュニティとどのように協働すべきか。
  6. サイト選定での同意に基づくアプローチの構築のため、どのような組織やコミュニティとの連携を考慮すべきか。
  7. サイト選定プロセス案で提起された課題を含め、DOEが同意に基づくサイト選定プロセスを実施する上で、他にどのような課題を考慮すべきか。

分野2:意味のある参加への障害の排除

  1. 同意に基づくサイト選定プロセスにおいて、意味のある参加を妨げる障害は何か、また、それはどう緩和、排除できるか。
  2. 潜在的に関心を持つコミュニティが、同意に基づくサイト選定に係る情報共有、専門家の支援及び意味のある参加の適切な機会を確保するために、必要とする資源は何か。
  3. 潜在的に関心を持つコミュニティとの相互学習及び協働の機会は、どのようにDOEは最大化することができるか。
  4. 連邦中間貯蔵施設の同意に基づくサイト選定において、どのようにDOEは地方・州・先住民族政府と効果的に関わることができるか。
  5. 連邦中間貯蔵施設の同意に基づくサイト選定において、コミュニティや諸政府、他のステークホルダーがDOEと関わるために必要とする情報は何か。

分野3:廃棄物管理システムの一部としての中間貯蔵

  1. 米国の廃棄物管理システムを構築する上で、どのようにDOEは社会的公平や環境正義の考慮を確実に行えるか。
  2. 廃棄物管理システムにおける複数施設の併設、あるいは製造施設や研究開発基盤、またはクリーンエネルギー施設と廃棄物管理施設の併設は、どのような便益や欠点があり得るか。
  3. 中間貯蔵施設の開発は、処分場開発の進展とどの程度関連すべきか。
  4. 廃棄物管理システムを構築する際、DOEは、他にどのような問題を考慮すべきか。

RFI告示の中でDOEは、使用済燃料が最終処分場に移送できるようになるまで中間貯蔵施設の操業が必要と想定していること、また、中間貯蔵の期間は、施設の立地、許認可及び建設などの重要なステップの完了時期に懸かっているとの見解を示している。なお、DOEが2017年に策定したサイト選定プロセス案は、集中貯蔵と処分場の立地を対象としたものであり、具体的なサイト選定の段階も示されていたが、今回のRFI告示では、同意に基づくサイト選定プロセスの対象は連邦中間貯蔵施設とされ、処分場のサイト選定についての具体的な言及はない。

なお、DOEが同意に基づくサイト選定プログラムの再始動を公表したことに対して、ネバダ州選出の上院議員2名は、DOEの取組を賞賛する声明を発出している。マスト上院議員のプレスリリースでは、現政権はネバダ州選出の上院議員2名の要求に応える形で、ユッカマウンテンにおける廃棄物処分は行わないことを確約しており、今回のDOEの公表はそれを再確認するものであるなどと述べている。また、エネルギー自治体連合(ECA)は、RFIの詳細は吟味中とした上で、DOEの国防関連廃棄物に関する言及がないこと、処分場に係る計画が無いまま中間貯蔵を進めようとしていること、民間での中間貯蔵施設の開発が進む中で連邦中間貯蔵施設のみを考慮しているように見えることなどについての懸念を示している。

【出典】

 

【2022年9月20日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2022年9月15日に、連邦政府による使用済燃料の中間貯蔵サイト選定のための同意に基づくサイト選定計画に関して、2021年12月1日に連邦官報で発行された情報要求(RFI、Request For Information)に対して寄せられたコメントなどをまとめた報告書「同意に基づくサイト選定―情報要求(RFI)コメントの要約・分析」(以下「要約・分析報告書」という。)を公表した。同意に基づくサイト選定計画に係るRFIに対しては、先住民族や州・地方政府、NGOや学界、産業界、その他のステークホルダーなどから、225件のコメントが提出されていた。今回公表された要約・分析報告書では、今回寄せられたコメントとともに、2017年1月発行の「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の集中貯蔵・処分施設のための同意に基づくサイト選定プロセス案」(以下「サイト選定プロセス案」という。)に対するコメントについても、併せて要約・分析を行っている。

要約・分析報告書の公表について伝えるDOE原子力局(NE)の2022年9月15日付のホームページでは、「関係の構築」として、DOEがコミュニティやステークホルダーと信頼関係を構築するための意味ある取組をしてこなかったとのコメント、使用済燃料管理を主導する新たな独立組織の創設が必要とするコメントがあったことなどが紹介されている。その他、同意に基づくサイト選定プロセスの成功を応援する意見と懐疑的な意見が示されたこと、集中中間貯蔵施設の開発に反対するコメントも見られたこと、原子力発電に反対する見解を示すコメントもあったことなどが紹介されている。

以上のようなコメントの分析を踏まえてDOEは、信頼関係を構築し、維持する上で、同意に基づくサイト選定プロセスの成功に向けた指針となる優先項目として以下の6点を挙げ、これらの優先項目に対するDOEの今後の取組を示した。

  1. DOEが開発している統合的廃棄物管理システムの潜在的な便益を最大化できる方法で、集中中間貯蔵施設の実現に向けた連邦議会による指示を実施する。
  2. 内部的にも外部的にも変化することにより、DOEへの信頼欠如に対応する。内部的には約束事項のフォローを改善し、過去の過ちを正直に認めること、また、外部的には包括的でコミュニティ主導、段階的で柔軟な同意に基づくサイト選定プロセスを開始する。
  3. 同意に基づくサイト選定プロセスは、公正であることを確保する。手続的公正さは、プロセスの全段階で、コミュニティや関連地方政府等と積極的、公平に関わることであり、コミュニティ等が全面的に参加して十分な情報を得た上で決定できるようにするために必要な資金やデータの提供を含む。
  4. サイト選定のプロセスだけでなく、選定結果の公正性にも焦点を当てる。公平及び環境正義(environmental justice)上の考慮を重視し、同意の定義をコミュニティと協働で進め、コミュニティのニーズ等を常に認識する。自発的、公平で同意に基づくサイト選定プロセスへの参加という利点は、立地を選択しないとの結論に至った場合にも継続するものとする。
  5. 先住民族や州等との緊密な協力の下に、輸送問題や関連地域の懸念に対応する、使用済燃料の安全な輸送のための計画策定を継続する
  6. 使用済燃料管理の様々な施設のサイト候補地の適合性評価においては、安全性、セキュリティ、その他関連の基準を厳格に適用する。サイト選定プロセスは、一連の評価段階を含む段階的なものであるべきであり、独自の独立的な評価の実施を希望するコミュニティの支援も確約する。

今後についてDOEは、RFIに寄せられたコメントを評価していくが、すべての関連コミュニティやステークホルダーの考えは反映できないとして、特に先住民族や原子力発電所近傍のコミュニティ、低所得層やマイノリティなどの反映が不十分なグループの声も、同意に基づくサイト選定プロセスに係る今後のDOEの政策や意思決定の中で考慮するように、支援活動及び関与(outreach and engagement)の取組などを継続する計画を示している。DOEは、そこで得られた意見も織り込んだ上で「サイト選定プロセス案」を更新すること、学びの支援及び同意に基づくサイト選定を実践するコミュニティの構築を支援する資金提供公募(FOA)を行う計画も示している。

なお、要約・分析報告書では、ユッカマウンテン計画に関するコメントも一部紹介されており、ユッカマウンテンサイトなど以前のサイト選定の取組に関連した不信、ユッカマウンテン処分場の建設に係る許認可審査を完結すべきとの提言、ユッカマウンテンは今でも唯一の処分場オプションなのかとの連邦議会への問いかけなどのコメントがあったことが示されている。

 

【出典】

 

【2022年9月22日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2022年9月20日付のニュース記事において、連邦政府による使用済燃料の中間貯蔵施設のための同意に基づくサイト選定に関して、同意に基づくサイト選定、使用済燃料管理、及び中間貯蔵施設のサイト選定時の考慮事項について、さらなる学びに関心があるコミュニティに対する資金提供公募(FOA)を行うことを公表した。DOEは、2022年9月15日に同意に基づくサイト選定計画に対するコメントの要約・分析報告書を公表した際に、先住民族など意見反映が不十分なグループの声を聞く取組を継続すること、学びの支援及び同意に基づくサイト選定を実践するコミュニティの構築を支援する資金提供公募(FOA)を行うことを表明していた。

今回発行された資金提供公募(FOA)では、6~8の団体が選定され、1団体当り1,000~2,000千ドル(約1億1,500~2億3,000万円、1ドル=115円で換算)、総額で最大16,000千ドル(約18億4,000万円)が、2023年3月から18~24カ月の期間にわたって提供される予定である。選定された団体は、コミュニティ内での相互学習を進め、情報への容易なアクセス環境を提供し、開かれた議論を促進する。本資金提供公募(FOA)の資金で支援される活動としては、以下の3領域が示されている。

  • 使用済燃料管理に関する、包括的で有意義なコミュニティ・ステークホルダーの関与プロセスを組織化し、主導し、維持する。
  • 集中中間貯蔵施設のための同意に基づくサイト選定プロセスに対して、コミュニティ主導のフィードバックや効果的な協働(collaboration)を促進し、実現可能とするような公共価値(public value)、関心事項及び目標を同定する。
  • 使用済燃料に関連するトピックについて、ステークホルダーやコミュニティ、専門家の間の相互学習を支援するような成果及び戦略を開発し、実践し、報告する。

今回のDOEの資金提供公募(FOA)では、使用済燃料管理やサイト選定に関心がある地域コミュニティ等に呼びかけが行われているが、実際のサイト選定が開始される前段階での取組であり、ステークホルダー関与の取組などの成功例や課題、使用済燃料管理の諸手法の障壁・利点に係るステークホルダーの認識、コミュニティ・ステークホルダーと効果的に協働するための必要要件、その他DOEがステークホルダーに貢献できることなど、サイト選定活動の取組手法などについて報告を求めるものとなっている。また、選定された団体は、DOEが主催する四半期レビューへの参加が求められている。

なお、DOEは、本資金提供公募(FOA)は集中中間貯蔵施設を立地するサイトを募集するものではないことを明示している。その上でDOEは、同意に基づくサイト選定プロセスについて、関心あるステークホルダーとコミュニティの間における関与や開かれた対話、理解力の構築を奨励したいとの考えを示している。DOEは、本資金提供公募(FOA)について、ウェブを活用したセミナーも開催する予定であり、関心ある組織、個人に参加を呼びかけている。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)のカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)は2021年11月22日及び23日に、軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について、2021年11月11日に累計で13,000回のTRU廃棄物の輸送・受入れが実施されたこと、進行中のプロジェクトの最新状況などをステークホルダー向けに説明するタウンホール・ミーティングを2021年11月18日に開催したこと、そのタウンホール・ミーティングで使用した資料及びビデオを公表した。ステークホルダー向けの説明資料(以下「スライド資料」という。)では、WIPPにおける処分の進捗状況、処分パネル等の掘削状況及び見通し、換気施設や新たな立坑の建設状況などについて、最新の状況が示されている。

WIPPでは、2014年2月に発生した火災事故及び放射線事象を受けて、換気システムの整備を含む復旧計画が策定され、設備の更新が進められる一方で、処分エリアの一部が閉鎖され、代替処分パネルの建設が計画されている。なお、WIPPの操業は2017年1月に再開された。

WIPPに向かうTRU廃棄物輸送トラック

WIPPにおけるTRU廃棄物の受入れが13,000回のマイルストーンを達成したことについては、エネルギー省(DOE)環境管理局(EM)の2021年11月23日付けのニュース記事でも伝えられている。WIPPで初めて廃棄物の受入れを行ったのは1999年3月26日であり、2011年には「直接ハンドリングが可能なTRU廃棄物」(CH廃棄物)の受入れが10,000回に達していた。また、2007年には「遠隔ハンドリングが必要なTRU廃棄物」(RH廃棄物)の最初の受入れが行われている。なお、受入れた13,000回のTRU廃棄物のうち、ほとんどがCH廃棄物であり、RH廃棄物は755回となっている。

第7パネルでの定置状況

第8パネルの状況

掘削の進展

タウンホール・ミーティングで使用されたスライド資料では、廃棄物の定置状況について、現在、廃棄物の定置が行われている第7パネル第2処分室は2022年1月6日に一杯となり、第7パネル全体も2022年7月26日に一杯となることが示されている。次に廃棄物が定置される第8パネルは、2021年9月29日に掘削が完了しており、2022年4月末にはニューメキシコ州環境省(NMED)から許可を取得して、廃棄物定置の準備が整う見通しが示されている。また、代替処分パネルの建設が予定されている西側エリアに向けて、アクセス坑道の一部の掘削が2021年9月26日に開始されたほか、代替処分パネルでの定置のためのアクセス坑道の拡張などの整備も開始されたことが示されている。

安全上重要な閉込め換気システム(SSCVS)

換気立坑

また、スライド資料では、換気システムの更新についても、工事の進捗を伝える写真を含めて詳細な状況が示されている。WIPPでは現在、換気量は毎分14万6,000ft3(約4,130m3)に限られていて操業が制約されている。地下での掘削作業、ロックボルト打設、定置などの活動を同時に行うことを可能とするための解決策として、フィルター付で毎分54万ft3(約15,300m3)の換気能力を実現する「安全上重要な閉込め換気システム(SSCVS、Safety Significant Confinement Ventilation System)の建設が行われている。SSCVSの完成は2025年と見込まれており、当面の対応策として、定置活動以外の時間帯に従来のフィルター無しの換気ファン(700-C)を再稼働させることとなっている。また、WIPPでは、SSCVSの負荷を軽減するため、新たな換気立坑の建設も進められている。

操業能力増加に伴う廃棄物受入れ予想

10年想定

さらに、スライド資料では、これらの設備更新によって見込まれるWIPPの操業能力増加の年度別の見通しのグラフのほか、ニューメキシコ州や環境保護庁(EPA)の許認可取得や設備更新の見通しとともに、今後の処分パネルごとの操業見通しなどを図示した「10年想定(10 Year Projection)」も示されている。この「10年想定」スライドでは、詳細な説明は示されていないものの、現在計画されている代替処分パネル(第11パネル及び第12パネル)での定置に続いて第13パネル及び第14パネルの建設を行う想定が示されており、2022年にはこれらの追加される処分パネルの補足環境影響評価を開始する見通しが示されている。

【出典】

英国カンブリア州コープランド市と地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)は、2021年11月16日に、コープランド市で特定されていた2つの「調査エリア」のうち、同市中部の調査エリアでの地層処分施設(GDF)の立地を検討する「ミッドコープランドGDFコミュニティパートナーシップ」を設立した。これを受けて当該調査エリアでは、GDF設置の可能性について、より詳細な検討(わが国の概要調査に相当)が行われることになる。同市南側の調査エリアについても、初期の参画組織での手続きが完了次第、独立した「サウスコープランドGDFコミュニティパートナーシップ」が数週間以内に設立される予定である。なお、2018年12月から開始したサイト選定プロセスにおいて、コミュニティパートナーシップの設立に至ったケースは、今回のミッドコープランドGDFコミュニティパートナーシップが初めてとなる。

■コミュニティパートナーシップ設立までの経緯

コープランド市は2020年11月に、地層処分施設のサイト選定プロセスにおける「調査エリア」の特定と提案、並びにコミュニティパートナーシップの設立に向け、コープランドGDFワーキンググループを設置し、2021年9月には、2箇所の調査エリアを特定していた。調査エリアの範囲は、英国政府の2018年政策文書に基づき、コミュニティや自治体組織等から協議に参加可能な者が特定できるように、選挙区を最小単位として設定されている。これらの調査エリアに属する選挙区で構成される「コミュニティパートナーシップ」の設立に関して、コープランド市議会で検討が行われていた。コープランド市では、2カ所の調査エリアのそれぞれを対象として、2つのコミュニティパートナーシップが設立されることになった。

なお、これまで調査エリアの特定を行ってきた「コープランドGDFワーキンググループ」は作業を終了し、以降はコミュニティの関与の手段としての役割は各コミュニティパートナーシップが引き継ぐことになる。

ミッドコープランドGDFコミュニティパートナーシップの初期メンバーには、RWM社とコープランド市議会のほか、カンブリア州地方議会連合(CALC)が参加している。同パートナーシップは、ミッドコープランド調査エリア内に存在する地域自治組織(準自治体)等に参加要請を行っており、より多くのメンバーの参加を得た後に新たに議長が任命されるまでの間は、コープランドGDFワーキンググループの議長を務めたマーク・カリナン氏が暫定的に議長を務める。

■コミュニティパートナーシップの役割

コミュニティパートナーシップは、当該調査エリアでの地層処分施設の立地可能性を中長期的なスパンで検討していくグループである。RWM社は、地層処分施設の地下施設の設置可能性の検討のため、コープランド沖での物理探査の準備を進めており、2022年夏には船舶を用いた調査を開始する予定である。

ミッドコープランドGDFコミュニティパートナーシップは、参加メンバーそれぞれの長期ビジョン開発を手助けするために公衆参加を促進していく。また、同パートナーシップに対して、英国政府から年間最大100万ポンド(1億4,600万円、1ポンド=146円)のコミュニティ投資資金の提供が始まる。この投資資金は、地層処分施設プロジェクトが長期的な性質を持つため、それが実働するまでの数年間にわたり、雇用やインフラ、主要投資に関連する恩恵(ベネフィット)が実現しない可能性があることを念頭において提供されるものである。ミッドコープランドGDFコミュニティパートナーシップは、このコミュニティ投資資金の運用管理の役割を担うことになる。ミッドコープランドGDFコミュニティパートナーシップのウェブサイト(midcopeland.workinginpartnership.org.uk)では、コミュニティ投資資金の仕組みや申請方法の案内を開始している。

【出典】

 

【2021年12月15日追記】

英国カンブリア州コープランド市と地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)とは、2021年12月14日に、コープランド市で特定されていた2つの「調査エリア」のうち、同市南部の調査エリアでの地層処分施設(GDF)の立地を検討する「サウスコープランドGDFコミュニティパートナーシップ」を設立した。今回のコミュニティパートナーシップの設立は、「ミッドコープランドGDFコミュニティパートナーシップ」に続き、2例目となる

サウスコープランドGDFコミュニティパートナーシップの初期メンバーには、RWM社とコープランド市議会のほか、カンブリア地方議会連合(CALC)、地元議員を含むコミュニティの代表者が参加している。また、同パートナーシップに先立ち設立されたミッドコープランドGDFコミュニティパートナーシップと同様に、より多くのメンバーの参加を得た後に新たに議長が任命されるまでの間は、コープランドGDFワーキンググループの議長を務めたマーク・カリナン氏が暫定的に議長を務める。

RWM社は、地層処分施設の地下施設の設置可能性の検討のため、コープランド沖での物理探査の準備を進めており、2022年夏には船舶を用いた調査を開始する予定である。

【出典】

 

英国イングランド東部に位置するリンカンシャー州議会は2021年10月12日に、地層処分施設(GDF)のサイト選定プロセスにおける「調査エリア(Search Area)」の特定に向けてワーキンググループを設置した。リンカンシャー州議会は、同州東部の北海に面したイーストリンジー市にあるテッドルソープ・ガスターミナル1 の跡地利用を検討する一環として、2021年7月には英国の地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)との初期対話を開始していた。このため、このワーキンググループは「テッドルソープGDFワーキンググループ」(Theddlethorpe GDF Working Group)と名付けられている。テッドルソープGDFワーキンググループは、情報発信を目的としたウェブサイトを開設するとともに、当面はテッドルソープ及びその周辺エリアでの関心を高めるため、リーフレットの配布や情報イベントを開催する予定である。

テッドルソープWGエリア

テッドルソープGDFワーキンググループの検討対象エリア
(RWM社の初期評価レポートを元に原環センターにて作成)

RWM社は、既存の情報を基にリンカンシャー州議会向けに作成した初期調査レポートにおいて、テッドルソープ・ガスターミナル跡地及びその周辺エリアは地層処分施設(GDF)を設置できる可能性を有していると評価している。また、RWM社は、GDFの設置によって、イーストリンジー市2 が目指している地域経済の構造転換に貢献する可能性があるとの考えを示している。

 

■テッドルソープGDFワーキンググループの構成と今後の活動予定

英国において2018年12月から開始した地層処分施設(GDF)のサイト選定プロセスにおいて、ワーキンググループの設置に至ったのは、2020年11月のコープランド市、2021年1月のアラデール市 に続いて今回が3例目である。

テッドルソープGDFワーキンググループの設立時点では、RWM社とリンカンシャー州議会の代表者のほか、ガスターミナルが所在する地域自治組織(準自治体)であるテッドルソープ・パリッシュ議会がメンバーとして参加している。同ワーキンググループは、イーストリンジー市議会に参加要請をしていることを明らかにしている。今後、同ワーキンググループは、コミュニティ全体の市民の参画を得て、市民の意見を理解するとともに、適性を有するサイトや受け入れの意向を持つコミュニティを追求していくため、さらなる検討対象となる「調査エリア」の特定やRWM社とともにプロセスを前進させていく「コミュニティパートナーシップ」の初期メンバーの特定も行う予定である。

 

<参考:初期対話とワーキンググループの設置について>

英国政府の2018年政策文書『地層処分の実施-地域社会との協働:放射性廃棄物の長期管理』(以下「2018年政策文書」という)で設定されたサイト選定プロセスでは、地層処分施設の設置に関心を示す者、または、設置候補エリアを提案したい者であれば、地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)と初期対話(initial discussion)を開始できることになっている  。

また、2018年政策文書で設定されたサイト選定プロセスでは、初期対話において、地層処分施設(GDF)の設置に向け、さらなる検討を進めていくことに合意した場合には、当該地域の自治体組織に報告して、コミュニティ全体での協議に発展させていくための準備組織「ワーキンググループ」を設置することになっている。

 

【出典】

 

【2022年2月15日追記】

Theddlethorpe_search_area-map_landscape

(出典:テッドルソープGDFワーキンググループウェブサイトの図を一部修正)

英国リンカンシャー州に設置されたテッドルソープGDFワーキンググループは2022年2月8日付けのプレスリリースにおいて、イーストリンジー市の中の2つの選挙区から構成される「調査エリア(Search Area)」を特定したことを公表した。同ワーキンググループは、テッドルソープ・ガスターミナルの跡地利用を検討する一環として、(放射性廃棄物管理会社(RWM社)とリンカンシャー州議会の代表者、地域自治組織(準自治体)であるテッドルソープ・パリッシュ議会を初期メンバーとして2021年10月に設立された。その後2021年12月には、テッドルソープ・ガスターミナルを抱える基礎自治体であるイーストリンジー市の参画を得て、地層処分施設の立地可能性を検討する調査エリアの特定を進めていた。

今回特定された調査エリアの範囲は、英国政府の2018年政策文書『地層処分の実施-地域社会との協働:放射性廃棄物の長期管理』 に基づいて、コミュニティや自治体組織等から協議に参加可能な者が特定できるように、イーストリンジー市の選挙区3 が最小単位となるように設定されている。テッドルソープGDFワーキンググループは、今回特定した調査エリアは最初の提案であり、地層処分施設にアクセスする道路や鉄道ルートなどの検討が進むにつれて、必要に応じて変更する可能性があることを指摘することの重要性を示している。なお、2018年から開始したサイト選定プロセスにおいて、調査エリアの特定に至ったのは、2021年9月のコープランド市、2021年10月のアラデール市に続いて今回が3例目である。

今後、テッドルソープGDFワーキンググループは、地域住民の関心を高めるために、調査エリアの特定に関する地域対話イベントを開催する予定である。

【出典】

 


  1. テッドルソープ・ガスターミナルでは、北海の約100kmを超える沖合にある海上掘削基地と海底パイプラインで結び、日産約400万m3の天然ガスを生産していた。2018年8月に生産を終了。プラント施設の廃止措置が行われており、2022年には農地への転用が可能な状態に戻される予定である。 []
  2. イーストリンジー市は、面積が約1,762km2、人口が約14万人の農業と観光業を産業の中心とした自治体である。 []
  3. 現在、イーストリンジー市の選挙区は37あり、市議会議員の定数は55名である。今回調査エリアとなった2つの選挙区の議員定数は、ウィザーン・テッドルソープ:1名、マブルソープ3名である。 []
電動の連続掘削機による掘削

電動の連続掘削機による掘削

米国のエネルギー省(DOE)環境管理局(EM)は、2021年10月12日付けのニュースリリースにおいて、軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)において、地下処分施設で計画が進められている既存の8つの処分パネルのうち、最後となる第8パネルの掘削が完了したことを公表した。第8パネルの掘削は、2013年遅くに開始されたが、WIPPで2014年2月に発生した火災事故及び放射線事象により地下処分施設の掘削活動は中断され、その後、第8パネルの掘削活動は2018年1月15日に再開された

また、本ニュースリリースでは、第8パネルでは引き続き、電力、鉱山電話、壁面保護の金網(chain link)、空気モニタ等の設置作業が行われるが、現在廃棄物の定置が行われている第7パネルが一杯になる予定の2022年4月には、第8パネルでの廃棄物定置のための準備が整うことが示されている。第8パネルの各処分室は、幅が33フィート(約10m)、高さが15~16フィート(約4.6~4.9m)、長さが300フィート(約91m)となっている。なお、WIPPの各パネルは、7つの処分室で構成されている。

第8パネルへと進む岩塩運搬トラック

第8パネルへと進む岩塩運搬トラック

さらに、本ニュースリリースによれば、第8パネルの掘削活動では電動の連続掘削機が使用され、第8パネルのすべての処分室の掘削完了により、ニミッツ級空母の1.5倍に当たる157,000t以上の岩塩が掘削された。岩塩の掘削ずり(岩石片)は、岩塩運搬トラックでホッパーまで運ばれ、ホイストで5tずつ地上に搬出される。岩塩の掘削ずりの一部は、地下処分施設の閉鎖などで使用される。第8パネルの掘削活動が完了したことにより、連続掘削機は今後、既存の処分エリアから西側に向かって、建設中の立坑につながる坑道の掘削に使用されることとなる。

WIPPの地下施設と第7・第8パネル(2021年6月15日時点)

WIPPの地下施設と第7・第8パネル(2021年6月15日時点)

なお、WIPPでは、既存の8つの処分パネルの西側の離れた位置に2つの代替処分パネルを建設する計画が進められており、今後、代替処分パネルへのアクセス坑道の掘削も予定されている。

【出典】

米国の政府説明責任院(GAO)は、2021年9月23日に、米国における民間の使用済燃料について、行き詰まりを打開して永久的な処分方策を構築するためには連邦議会の行動が必要とする報告書(以下「GAO報告書」という。)を公表した。GAO報告書は、エネルギー省(DOE)及び他の機関の文書をレビューするとともに、20名の専門家及び25名のステークホルダーにインタビューし、使用済燃料処分の解決策を構築するために必要であると専門家が指摘した行動について検証している。その結論としてGAO報告書では、連邦議会に対し、(1)1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)を改正して、DOEによる同意に基づくサイト選定プロセスの実施を可能とすること、(2)放射性廃棄物基金を再構成して信頼できる十分な資金を確保することが必要と指摘している。

GAO報告書は、使用済燃料管理政策の立案及び歳出法案の制定に係る権限を有する者として、連邦議会上下院の歳出委員会エネルギー・水資源開発小委員会の委員長、その他の関連委員会の委員長に宛てた書簡の形式が採られている。最初にGAO報告書では、民間使用済燃料の現状、使用済燃料に係る法制度及びプログラムの歴史、民間使用済燃料に係る連邦政府の債務、民間使用済燃料の管理に係る主要な報告書についての背景情報を整理した上で、GAOがインタビューした専門家が必要と指摘した連邦議会の行動が検証され、最後に結論及び勧告が示されている。

使用済燃料貯蔵に係る連邦政府債務の推定及び予測のグラフ

民間使用済燃料の貯蔵に係るエネルギー省(DOE)債務の推定及び予測

GAO報告書では、行き詰まりが続くことにより、環境・健康・セキュリティ上のリスクや気候変動対策、税負担に与える影響について、専門家が特に懸念を示していることが示されており、その例として、連邦政府の債務が増加し続けることを示す図が掲載されている。また、GAO報告書では、永久的な処分場を開発しないことに伴うリスクに加えて、民間使用済燃料を管理する責任を果たせないことにより、連邦政府が直面する債務が数百億ドルに上ることを鑑みて評価を行ったものであると説明している。

GAOは、米国では民間使用済燃料の管理がそれぞれ個別の(ad hoc)システムで行われており、例えば、貯蔵に用いられる技術が多様であると最終処分に影響を与えるなど、将来の処分に係る意思決定及び費用に影響を及ぼすことを指摘している。さらに、GAO報告書では、ほとんど全ての専門家が、民間使用済燃料の解決策の構築とプログラム費用を削減するためには統合的な戦略が不可欠との見解を示しており、エネルギー省(DOE)は連邦議会の行動なしには、そうした戦略を十分に構築・実行することはできないことを指摘している。

■同意に基づくサイト選定プセスの検証

GAO報告書では、同意に基づくサイト選定プロセスについても検証している。米国では、エネルギー省(DOE)が2015年に公衆との関わりの取組みを開始し、同意に基づくサイト選定プロセス案を検討した。このプロセス案は最終化されていないが、DOEが検討した同意に基づくサイト選定プロセス案には、GAOがインタビューした専門家のほとんど全てが重要であると合意する、効果的なサイト選定プロセスに必要な要素が含まれていることが、下表のように示されている。また、連邦議会が1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)を改正し、ユッカマウンテンに代わる、または追加の貯蔵/処分オプションを認めた場合は、DOEのサイト選定プロセス案の最終化が、集中中間貯蔵施設/永久的な処分施設の同意に基づくプロセスの実施を支援するものになり得ると指摘している。

効果的なサイト選定プロセスの要素

効果的なサイト選定プロセスの要素

専門家

カナダ

フィンランド

スウェーデン

WIPP

DOE案

早期の関与・働きかけ

先住民族政府・州の重要な役割

N/A

N/A

×

段階的で柔軟なアプローチ

×

自発性及び撤退権

十分な情報を得た上での同意(インフォームドコンセント)

地域に合った(tailored)便益

凡例:✓;効果的なサイト選定プロセスの要素が含まれている、×;要素が含まれていない、N/A;該当せず、
専門家;GAO報告書でインタビューした専門家、WIPP;廃棄物隔離パイロットプラント、DOE案;DOEの同意に基づくサイト選定プロセス案(2017年)
出所)GAO報告書より作成

■GAOによる勧告

GAO報告書の結論において、米国では、過去10年間にエネルギー省(DOE)には民間使用済燃料管理のプログラムがない状態が続いたことを指摘した上で、使用済燃料管理の全ての側面について専門家間で合意が得られているわけではないが、いくつかの提案は時を経ても一貫しており、そのほとんどが連邦議会の行動に掛かっているとして、以下の4つの検討事項を勧告している。

  1. 民間使用済燃料の集中中間貯蔵施設及び永久的な処分場のサイト選定、開発、建設に係る新しい同意に基づくサイト選定プロセスを認めるように1982年放射性廃棄物政策法の改正を検討すべきである。
  2. 使用済燃料処分プログラムを運営するため、政治から切り離され、リーダーシップの継続性を確保できる独立機関のようなメカニズムの創設を検討すべきである。
  3. 放射性廃棄物基金について、永久的な処分場の開発・建設・操業のために使用される基金からの支出が、民間使用済燃料プログラムのライフサイクルコストに基づいたものとなるように再構成を検討すべきである。
  4. 使用済燃料の輸送、中間貯蔵及び永久的な処分の計画を含む、統合的な廃棄物管理戦略(integrated waste management strategy)を、1982年放射性廃棄物政策法の改正と一貫する形で構築し、実施するようエネルギー省(DOE)に指示することを検討すべきである。

さらに、GAO報告書では、エネルギー省(DOE)に対して、公衆との関わりの取組みを継続して、同意に基づくサイト選定プロセス案の最終化を行うべきとの勧告も示されている。GAOは、連邦議会の行動がなくても、DOEは将来の連邦議会の決定に資する基盤作りのための行動を起こすことは可能であり、特に、公衆と関わりにおいて、信頼を醸成するためにできることはあると指摘している。GAOがインタビューした専門家のほとんどが、公衆は使用済燃料管理に関してはDOEを信頼しておらず、信頼を回復するためには、他国や廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)の立地で得られた教訓など、公衆との関わりを促進して信頼を醸成するための良好事例を確認することを勧告している。これに対してDOEは、GAOの勧告に同意すること、DOEは同意に基づくサイト選定活動を再開しており、2022年早期には「同意に基づくサイト選定プロセス案」の改定を行う予定であることを回答している。

GAO報告書は、2020年5月から2021年9月にかけて、一般に認められた政府監査基準(Generally Accepted Government Audit Standards:GAGAS)に従って実施された業績監査について報告するものであり、GAOの権限1 の下で実施された。GAOは、GAO報告書の策定に当り、レビューした文献の著者や「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」の参加者を含む141名の専門家と126のステークホルダーをリスト化したうえで、最終的に20名の専門家と25名のステークホルダーを選定してインタビューを行った。ステークホルダーは、種々の組織から賛成・反対の意見を収集するように選定しており、インタビューの対象には地層処分場のサイト選定・開発で先行するカナダ、フィンランド、スウェーデンの担当も含まれている。GAO報告書の添付資料では、インタビュー対象者の選定方法、実際にインタビューを実施した20名の専門家の名前、米国における使用済燃料管理関連の重要決定の経緯などが示されている。

【出典】

  • 政府説明責任院(GAO)報告書、「民間使用済燃料:行き詰まりを打開して永久的な処分の解決策を構築するためには連邦議会の行動が必要」(2021年9月23日)
    https://www.gao.gov/products/gao-21-603

  1. 正確には政府説明責任院(GAO)の院長となる監査総監(Comptroller General)の権限 []

米国テキサス州議会は、テキサス州内において使用済燃料を含む高レベル放射性廃棄物の処分または貯蔵を禁止する法案を2021年9月2日に可決し、2021年9月9日に州知事の署名を得てテキサス州法(H.B.7、以下「処分・貯蔵禁止法」という。)として成立した。テキサス州では、中間貯蔵パートナーズ(ISP)社がテキサス州アンドリュース郡で使用済燃料等の集中中間貯蔵施設の建設・操業を計画しており、原子力規制委員会(NRC)で許認可審査が行われている。NRCは、ISP社の集中中間貯蔵施設の許認可審査について、2021年7月29日に最終環境影響評価書(FEIS)を公表しており、2021年9月末までに許認可に係る決定を行う予定としている 。NRCによる許認可については、NRCの環境影響評価に係る連邦規則(10 CFR Part 51)において、NRCが環境保護庁(EPA)にFEISを提出し、EPAが連邦官報においてFEISの受領を告示してから30日間は許認可の発給に係る決定を行うことはできないものと規定されており、このため、EPAがFEIS受領を連邦官報で告示した2021年8月13日から30日経過後にNRCは許認可の発給が可能となる。ただし、今回の処分・貯蔵禁止法(H.B.7)の成立により、NRCが中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可を発給した場合においても、州による環境関連の許可が得られなくなることから、実際の集中中間貯蔵施設の建設・操業は行えないこととなる。

今回成立した処分・貯蔵禁止法(H.B.7)は、テキサス州健康・安全法典(Health and Safety Code)第401章「放射性物質及び他の放射線源」に条文を追加して修正するものであり、以下のような内容の規定が置かれている1

第1条
1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)(NWPA)第2条で定義される「高レベル放射性廃棄物」と「使用済燃料」を含むものとして、健康・安全法典で「高レベル放射性廃棄物」を定義。

第2条
テキサス州環境品質委員会(TCEQ)は、運転中または過去に運転していた発電用原子炉及び研究炉に対するものを除き、NRCから高レベル放射性廃棄物の貯蔵に係る許認可発給を受けた施設の建設または操業について、連邦水質浄化法(CWA:Clean Water Act)の下での一般建設許可の発給または汚水関連の計画承認や許可発給を行ってはならない。

第3条
運転中または過去に運転していた発電用原子炉及び研究炉における貯蔵を除き、州間協定(コンパクト)に基づく放射性廃棄物処分施設の許認可保有者を含め、何人もテキサス州内において高レベル放射性廃棄物を処分または貯蔵してはならない。

第4条
第2条の規定は、本法施行後に提出される許可または許可変更の申請書に対してのみ適用される。

第6条
本法は、両院議員の3分の2以上の投票を得た場合には即時に発効する。それ以外の場合には、2021年12月5日に発効する。

処分・貯蔵禁止法(H.B.7)は、テキサス州議会上院では2021年9月1日に31対0(ゼロ)、下院では2021年9月2日に119対3の賛成多数で可決されたことから、2021年9月9日のテキサス州知事の署名により即時に有効となっている。

処分・貯蔵禁止法案は、中間貯蔵パートナーズ(ISP)社が集中中間貯蔵施設の建設を計画しているアンドリュース郡を選挙区に持つランドグラフ・テキサス州下院議員によって提出された。ランドグラフ議員は、2021年9月3日付けのプレスリリースにおいて、特別会期で処分・貯蔵禁止法案を審議対象に指定した州知事に謝意を示した上で、低レベル放射性廃棄物施設は支持するものの、放射能がより強い高レベル放射性廃棄物の貯蔵への拡張には反対するというアンドリュース郡住民の意思を代表することが同議員の責務であることなどを表明している。テキサス州知事は、ISP社の集中中間貯蔵施設に係る環境影響評価のコメント募集において、施設の建設・操業に反対することを表明していた

アンドリュース郡理事会(commissioners court)では、NRCがアンドリュース郡及びテキサス州住民の意思を尊重し、同郡における集中中間貯蔵施設の許認可手続きを直ちに中止すること、アンドリュース郡判事及び理事会は使用済燃料等の集中中間貯蔵の立地を拒否することなどを、2021年7月30日に決議していた。アンドリュース郡の決議に対してNRCは、2021年8月27日付けの書簡において、決議書の送付に謝意を示した上で、ISP社の集中中間貯蔵施設がNRC規制要件に適合するかを判断する安全性評価報告(SER)を発行する予定であり、2021年9月に許認可発給に係る決定を行うことを伝えている。なお、アンドリュース郡理事会は、現在の州知事が就任した同日の2015年1月20日に、ウェイスト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社が低レベル放射性廃棄物のWCS処分場に隣接して使用済燃料の集中中間貯蔵施設を建設する計画について、支持する決議を行っていた。また、WCS社は、地元の支持が得られることを前提として、NRCに建設・操業の許認可申請を行うことを表明していた。

米国における民間事業者による使用済燃料の集中中間貯蔵施設の建設に向けた事例としては、過去に民間燃料貯蔵(PFS)社によるユタ州スカルバレーにおける中間貯蔵施設の例がある。このPFS社によるスカルバレー中間貯蔵施設プロジェクトは、2006年2月にNRCの建設・操業に係る許認可を取得したが、ユタ州等による反対のなか、土地貸借契約や国有地での輸送について連邦内務省(DOI)の承認が得られなかったことなどから、NRCに建設許可の終了を要求するなど、計画は進まなかった。なお、PFS社によるスカルバレー中間貯蔵施設は、民間の原子力発電事業者が共同で中間貯蔵を行うものであったが、ISP社の集中中間貯蔵施設では、エネルギー省(DOE)が所有権を取得した使用済燃料を貯蔵することが想定されている。

中間貯蔵パートナーズ(ISP)社の集中中間貯蔵施設は、テキサス州アンドリュース郡のウェイスト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社の自社所有サイトにおいて、WCSテキサス低レベル放射性廃棄物処分場に隣接する区画で建設を計画しているものである。WCS社は、2016年4月28日に、使用済燃料等の集中中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可申請書をNRCに提出していたが、WCS社の売却の動きなどもあり、WCS社とOrano USA社との合弁会社として設立されたISP社が、2018年6月8日に、集中中間貯蔵施設の許認可審査の再開をNRCに申請していた。WCS社サイトについては、エネルギー省(DOE)が環境影響評価を実施するなど、クラスCを超える(GTCC)低レベル放射性廃棄物(以下「GTCC廃棄物」という。)の処分に関する検討も行われており、NRCによるGTCC廃棄物処分の規制に係る検討が続けられている。なお、GTCC廃棄物は、今回成立した処分・貯蔵禁止法(H.B.7)の対象には含まれていない。

【出典】

 

【2021年9月16日追記】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、中間貯蔵パートナーズ(ISP)社がテキサス州アンドリュース郡で計画している使用済燃料等の集中中間貯蔵施設について、建設・操業に係る許認可を2021年9月13日に発給した。NRCは、ISP社の許認可申請書の審査に基づいて、許認可で承認される活動は公衆の健康と安全を脅かすことなく実施できること、これらの活動はNRC規則(10 CFR Part 72)を遵守して実施されることについて、2021年9月13日付けのISP社宛の許認可書送付書簡において、合理的な保証があるなどと判断したことが示されている。ただし、テキサス州法の処分・貯蔵禁止法(H.B.7)が成立していることなどにより、州による環境関連の許可が得られず、集中中間貯蔵施設の建設・操業については、実際には行えないことが見込まれる。

今回NRCが発給した許認可は、中間貯蔵パートナーズ(ISP)社に対し、最大5,000トンの使用済燃料と231.3トンのクラスCを超える(GTCC)低レベル放射性廃棄物(以下「GTCC廃棄物」という。)を、40年間にわたって受領、保有、移転及び貯蔵することを許可するものである。ISP社は、その後の7段階で施設を拡張し、最大で40,000トンの使用済燃料を貯蔵する計画を示しているが、施設を拡張するごとにNRCによる安全審査と環境審査を受けて許認可変更を行うことが必要となる。

2021年9月13日付けのNRCのニュースリリースでは、許認可審査においては安全性とセキュリティの技術的審査、環境影響審査、及びNRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)による裁決手続が実施されており、環境審査では多数の一般公衆からの意見も評価したこと、裁決手続では地域や全国組織の申立人から提起された争点の解決が行われたことが示されている。NRCのウェブサイトでは、今回の許認可発給に係る以下の文書が公表されている。

  • 許認可書(物質許認可、SNM-2515)
  • 許認可書の前文(Preamble)
  • 許認可送付書簡
  • 公開版の最終安全性評価報告書(FSER)
  • 技術仕様書(Technical Specifications)
  • 意思決定記録(ROD)2

許認可書(SNM-2515)本体では、初期貯蔵容量の集中中間貯蔵施設を建設するのに十分な資金が確保されるまで建設を開始してはならないこと、顧客が使用済燃料等の所有権を保持することなどを顧客との契約で規定すること、操業に必要な資金をエネルギー省(DOE)または他の使用済燃料所有者が責任を持つことを規定した契約を操業前に締結することなど、許認可条件が規定されている。また、NRCの連邦規則への適合に必要とされる技術仕様書も許認可の一部とされている。

NRCのニュースリリースでは、今回の許認可は、使用済燃料の集中中間貯蔵施設に対する2件目のものであり、最初の許認可は民間燃料貯蔵(Private Fuel Storage)社に2006年に発給されたものの、建設されなかったことも記載されている。また、NRCはニューメキシコ州リー郡における同様の施設に係るホルテック・インターナショナル社の許認可申請書の審査を行っており、2022年1月に許認可に係る決定を行う見込みも記載している。

中間貯蔵パートナーズ(ISP)社の集中中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可申請については、原子力安全・許認可委員会(ASLB)が主宰する裁判形式の裁決手続によるヒアリングの開催を要求して、シエラクラブ等の環境団体や地域の石油・ガス生産者/鉱業権者が争点を提出していた。ASLBが当初に1件のみ有効と認めた争点も、その後にISP社が指摘された欠陥を修正したことから無効とされ、すべての争点が否認された。ASLBに争点を否認された参加申立人らは、NRCの委員会に対する不服申立ても否認されたことから、訴訟を提起している。

なお、テキサス州のアボット知事は、個人のSNSアカウントにおける2021年9月14日の投稿において、西部テキサスの油田地帯における高レベル放射性廃棄物の廃棄(dump)について、それを阻止するための法律に署名したこと、テキサス州は米国の高レベル放射性廃棄物の廃棄場所(dumping ground)にはならないことを表明している。

【出典】

 

【2021年9月27日追記】

米国のテキサス州は2021年9月23日に、原子力規制委員会(NRC)が中間貯蔵パートナーズ(ISP)社に対して2021年9月13日に発給した使用済燃料等の集中中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可について、取り消しを求める訴状を第5巡回区連邦控訴裁判所に提出した。

テキサス州3 によるNRCへの訴状では、NRCが許認可を発給した命令(order)は不法(unlawful)であると認定して無効にすること、及び発給された許認可を取り消すことを求めているが、その理由など詳細は示されていない。なお、1954年原子力法第189条「公聴会及び司法審査」では、裁判形式の裁決手続による公聴会の対象となるNRCの委員会決定について、訴訟の対象となることを規定しており、テキサス州は連邦控訴裁判所規則の規則15に従って訴状を提出している。

【出典】


  1. 実際の処分・貯蔵禁止法(H.B.7)では、対象となる条項は健康・安全法典の条文番号で参照されるなどしているが、細部の省略も含めて概要の記述としている。
    なお、第5条では可分条項(規定の一部が無効とされても他の条項の有効性には影響がないとする規定)が置かれている。 []
  2. 意思決定記録(ROD:Record of Decision):米国では連邦政府機関が環境に影響を及ぼす可能性がある措置を実施する際には環境影響評価の実施が1969年国家環境政策法(NEPA)により規定されている。この場合、その最終的な決定内容については、検討した代替案や影響緩和策を含めて「意思決定記録」として連邦官報で告示することが必要とされている。 []
  3. 本訴訟の原告は、厳密にはテキサス州、テキサス州知事、テキサス州環境品質委員会(TCEQ)の3者となっているが、まとめて「テキサス州」と表記している。 []
使用済燃料処分場及びキャニスタ封入施設のイメージ(SKB社提供)

使用済燃料処分場及びキャニスタ封入施設のイメージ(SKB社提供)

スウェーデン政府は2021年8月26日付けプレスリリースにおいて、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が操業している使用済燃料集中中間貯蔵施設(CLAB、1985年操業開始)の貯蔵容量に関して、現行の8,000トンから11,000トンへの引き上げを許可する決定を行ったことを明らかにした。今回の貯蔵容量引き上げは、SKB社がKBS-3概念1 と呼ばれる処分概念を採用した使用済燃料の最終処分システムの実現に向けて、同社が2011年3月に環境法典及び原子力活動法に基づく許可申請書を提出した以降、安全審査等が実施されている事業案件を構成する原子力活動の一部を構成するものである。スウェーデン政府は、審査中の事業案件について部分的な決定を行った理由について、CLABの貯蔵容量が逼迫する可能性のある2023年以前に許可プロセスが完了しない場合、スウェーデンにおける安定的な電力供給が脅かされるリスクがあり、これを回避するためであると説明している。

スウェーデン政府は、CLABの貯蔵容量引き上げ以外の使用済燃料のキャニスタへの封入及び最終処分に関する審査は継続する。スウェーデン政府は、使用済燃料の最終処分場に関する審査を進めているが、その決定に至るにはまだ数ヶ月を要するとの見通しを明らかにした。

■使用済燃料の最終処分システムに関する今後の審査プロセスへの影響

現在、スウェーデンでは、使用済燃料の最終処分場及びキャニスタ封入施設に関する許可申請として、環境法典及び原子力活動法の2つの法律に基づく3つの許可申請書の審査が並行して進められている(以下の囲みを参照)。このうち、キャニスタ封入施設に関しては、オスカーシャムに立地している使用済燃料集中中間貯蔵施設(CLAB)を拡張する形で建設し、一体の施設として運用する計画である。

SKB社は、2011年3月に最終処分場とキャニスタ封入施設に関する申請書を提出した時点では、CLABの貯蔵容量引き上げは将来的に必要であるものの、実際に必要となる貯蔵容量幅が不透明であったことから申請内容に含めていなかった。しかし、2011年3月の東京電力(株)福島第一原子力発電所事故後に実施されたストレステスト(原子力施設の安全性に関する総合評価)で特定された脆弱性対策に対応すべく、SKB社は2015年3月にCLAB及びキャニスタ封入施設の設計変更に伴う申請書の補足を行っており、使用済燃料を稠密に配置するなどの方法により、CLABの地下プールを増設せずに対応可能な貯蔵容量である11,000トンへの引き上げを申請内容に盛り込んだ。

※使用済燃料処分場の実現に向けて審査中の申請書

①オスカーシャムにおけるキャニスタ封入施設の建設許可申請書
(2006年11月にSSMに提出、2011年3月16日更新、2015年3月31日補足)…原子力活動法に基づく申請
②フォルスマルクにおける使用済燃料処分場の立地・建設許可申請書
(2011年3月16日にSSMに提出)…原子力活動法に基づく申請
③使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る許可申請書
(2011年3月16日に土地・環境裁判所に提出)…環境法典に基づく申請

環境法典に基づく審理を実施していた土地・環境裁判所及び原子力活動法に基づく審査を行っていた放射線安全機関(SSM)は、2018年1月に、それぞれの審査意見書を政府に提出している。これまでの審査プロセスでは、それらの意見書を踏まえた政府決定を待ち、その内容を受けて土地・環境裁判所及びSSMにおいて許可条件を定める手続きが行われることが想定されていた。

SKB社は2021年8月27日に、CLABが立地するオスカーシャム自治体が最終処分システム全体に関する最終的な決定が行われずにCLABの貯蔵容量だけを引き上げることに反対していることに触れ、今回の政府決定はオスカーシャム自治体の考えに沿ったものではないとのコメントを公表した。さらに、SKB社は、環境法典に基づき土地・環境裁判所で審理された事業案件の一部に限って政府が判断を行ったケースは前例がないことから、使用済燃料の最終処分システムに関する今後の審査プロセスの停滞を懸念するとしたコメントを公表した。

【出典】


  1. KBS-3概念とは、スウェーデンで開発された使用済燃料の処分概念であり、使用済燃料を銅製のキャニスタに封入し、処分坑道の床面に掘削した処分孔に定置して、キャニスタの周囲を緩衝材(ベントナイト)で囲うというものである。本概念を検討した報告書の略称に由来しており、フィンランドも同様の処分概念を採用している。 []