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《米国》ユッカマウンテン処分場のキャニスタ・システムの性能要件の最終版を公表

米国のエネルギー省(DOE)は、2007年6月19日のプレスリリースで、ユッカマウンテンに建設される処分場において使用済燃料を処分するための、輸送、貯蔵及び処分に対応したキャニスタ・システム(TADキャニスタ)の性能要件の最終版を公表したことを報じた。TADキャニスタを用いる方式は、使用済燃料の原子力発電所からの輸送からユッカマウンテンにおいて廃棄物パッケージとして定置するまでの間、同一のキャニスタを用いることで、使用済燃料自体を取り扱う必要性を最小限にするものとされている。

プレスリリースによると、TADキャニスタを用いた新しい概念については、2006年11月にDOEが予備的なTAD性能要件を公表しており、概念実証段階を経て、キャスク製造業者4社による設計開発が行われている。DOEは、2005年10月に公表したTADキャニスタに基づく方式によって、ユッカマウンテン処分場において数十億ドル規模の資金を要する数百万平方フィート規模の複数の使用済燃料取扱い施設の建設の必要が無くなったと述べている

プレスリリースでは、DOEは最終的なTADキャニスタ及びキャスクの設計開発に関する調達を即座に開始する意向を示している。さらに、DOEは、TADキャニスタの使用を促進するため、原子力発電事業者との間の処分に関する契約の修正について話し合いを開始することを計画している。DOEはTADキャニスタの商業ベースでの利用は早くて2011年には可能になると予想するとともに、民間からの使用済燃料の90%近くがTADキャニスタを利用可能であり、ユッカマウンテンでの処分には7,500本のTADキャニスタが必要になると予測している。

プレスリリースによると、DOEの民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)局長は、今回の性能要件の最終版の公表について、「ユッカマウンテン・プロジェクトの許認可申請書提出に向けたさらなる一歩であり、概念実証段階においてこれまで見てきた結果によって強く勇気付けられた」と述べている。

なお、プレスリリースでは、DOEは処分場建設の認可申請を2008年6月30日あるいはそれより前に行う計画であり、このTADキャニスタを用いる方式はその中に組み込まれるとしている。

【参考】
DOE民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)、民間放射性廃棄物管理システム-輸送、貯蔵及び処分キャニスタ・システム性能要件 Rev 0、2007年6月(※ファイルサイズが約6.6MBと大きいのでご注意下さい)

【出典】

  • 連邦エネルギー省(DOE)プレスリリース(2007年6月19日)

【2008年5月22日追記】

DOE民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)は、2008年5月21日のプレスリリースにおいて、TADキャニスタの設計、許認可取得、実証に関する契約を、AREVAフェデラル・サービシーズ社及びNACインターナショナル社と締結することを公表した。契約額は2社合わせて最大で1,380万ドル(約16億円)であり、契約期間は各社とも最大5年間とされている。

なお、OCRWMはTADキャニスタの商業ベースでの利用可能時期について、早ければ2013年との見通しを示した。

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )