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《米国》NRCがユッカマウンテン許認可申請書の審査手続の停止を指示

米国の原子力規制委員会(NRC)の委員は、2011年9月9日付けの覚書及び命令において、エネルギー省(DOE)によるユッカマウンテン処分場の許認可申請の取下げ申請を認めないとしたNRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)の決定について、NRC委員の判断が分かれていることを示した上で、ASLBによる許認可申請書の審査活動は予算制約のため2011年9月末までに終結させることを指示した。

今回のNRCの覚書及び命令では、先ず、DOEによる許認可申請の取下げは認めないとした2010年6月29日のASLB決定を覆すか支持するかについて、委員の投票結果が賛否同数であることが示された。

その上でNRCの委員は、許認可支援ネットワーク(LSN)の閉鎖など、ASLBが予算上の制約から、許認可申請書の審査手続に係る情報保存のための措置を行ったことを示し、これをさらに強化するものとして、ASLBが本会計年度末(2011年9月末)までに全ての許認可申請書の審査活動を終結し、審査手続に係る全ての経緯を記録することを委員会の監督権限に基づき指示した。

このNRCの覚書及び命令について、連邦議会上院の実質トップであるリード上院議員(民主党、ネバダ州選出)は、2011年9月9日のプレスリリースにおいて、ユッカマウンテン計画はさらに終末に近づいたとの声明を出している。一方、連邦議会下院エネルギー・商務委員会のプレスリリースでは、ユッカマウンテンの許認可申請は引き続き有効であることが確認されたとして、下院本会議ではDOEとNRCの許認可活動手続に予算を増額する法案が超党派で可決されたことを含め、ユッカマウンテン計画への支持を表明している。

なお、米国における処分場開発について規定する1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)では、NRCはDOEによる許認可申請を原則として3年間で審査することが規定されている(最大で4年間に延長することが可能)。NRCは、2008年9月8日に、DOEによる許認可申請書を受理していた

【出典】

 

【2011年9月15日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、2011年9月13日付プレスリリースにおいて、2011年9月末のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査手続きの停止に向けた作業が計画通りに進んでいることを公表した。また、NRCは、停止に向け行われてきた具体的な作業として、以下を示している。

  • NRCの核物質安全・保障措置局(NMSS)、及び支援機関である放射性廃棄物規制解析センター(CNWRA)が46本のレポートを作成(25年間の許認可前フェーズ、許認可フェーズで得られた情報(溶岩流の冷却プロセス、アロイ22及びチタン製ドリップシールドの腐食、マグマと廃棄物コンテナとの相互影響など))
  • ネバダ州ラスベガスのヒアリングルームを廃止。機器の移管、寄贈。
  • 許認可支援ネットワーク(LSN)(詳細はこちら)の閉鎖。保存文書等の光学メディアによるNRCへの提出。
  • 原子炉安全・許認可委員会(ASLB)での審議内容の経過についての編纂

【出典】

【2011年10月5日追記】

原子力規制委員会(NRC)の原子力安全・許認可委員会(ASLB)は、2011年9月30日付けの覚書及び命令において、高レベル放射性廃棄物のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査手続きについて、一時停止することを指示した。

2010年6月29日にASLBがDOEによる許認可申請の取下げ申請を認めないとしたASLB決定については、これに対するNRC委員の投票結果が賛否同数であったため、現在もASLB決定が有効であるとしている。その上で、ASLBは、今後の許認可手続きのための予算措置や人員確保が定かではないため、NRCの委員による2011年9月9日付けの覚書及び命令に従って、許認可申請書の審査手続きを一時停止するとしている。

【出典】

【2012年5月22日追記】

原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長は、2012年5月21日付のプレスリリースにおいて、委員長を辞する意向を表明した。ヤツコ委員長は、後任が決定次第、委員長を辞任するとしており、また、委員を辞任することも示唆している。したがって、後任の決定まではその職に留まることとなる。なお、ヤツコ委員長の5年間の委員としての任期は2013年6月30日まで残っている。

NRCの委員は、大統領の指名の後、連邦議会上院の承認により任命される。また、大統領は委員の1名を委員長として指名することとなっている。

【出典】

【2012年7月2日追記】

米国の連邦議会上院は、2012年6月29日に、2012年5月に辞意を表明していた原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長の後任となるマクファーレン氏を承認した。今後、大統領の指名を受けてNRCの委員長にも就任する予定である。マクファーレン氏は、ジョージメイソン大学環境科学政策准教授であり、エネルギー長官が設置した「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」の委員も務めていた。

【出典】

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )