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《米国》NRCがDOEによるユッカマウンテン処分場の許認可申請書を受理

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2008年9月8日のプレスリリースにおいて、エネルギー省(DOE)が2008年6月3日に提出したユッカマウンテンでの高レベル放射性廃棄物処分場建設のための許認可申請書を正式に受理したことを公表した。また、NRCのウェブサイトでは、受理に関する連邦官報での告示文書も公表されている。

プレスリリースによると、今回のNRCの受理は、DOEにより提出された許認可申請書は技術的な審査を開始するのに十分であるとの判断により決定されたものとされている。許認可申請書の受理により、放射性廃棄物政策法(NWPA)により設定された3年間(1年間の延長は可能)を期限として、NRCの建設認可発給のための審査が始まることとなる。なお、NRCは、この期限を遵守できるかどうかは、連邦議会から十分な予算などを得ることができるかによると述べている。

また、プレスリリースによれば、NRCは、DOEが作成した処分場プロジェクトに関する環境影響評価書(EIS)及び補足環境影響評価書(SEIS)をレビューした結果、NRCとして環境影響評価書を自らの決定において採択すべきとの判断を行ったとされている。しかし、NRCは、DOEに対して地下水解析に関する情報を補足することを要求しており、2008年9月8日付のDOEへの許認可申請書の受理に関する書簡において、環境影響評価書の補足情報の作成に向けた計画書の提出を30日以内に行うよう求めている。なお、同書簡では、公聴会の開催の告示が別途公表されることも示されている。さらに、NRCは、環境影響評価書の採択決定に関する2008年9月5日付の報告書も公表している。

NRCによる許認可申請書の受理に関しては、2008年9月8日付でDOEもプレスリリースを公表している。その中で、今回の受理が使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の処分という国家的課題の解決に向けた重要な一歩であり、NRCの審査により、ユッカマウンテン処分場が人間や環境の保護に最善な形で、これらの廃棄物を安全に処分できることが明らかになるであろうとのエネルギー長官のコメントが示されている。

NRCの許認可申請書の受理を受け、ネバダ州選出で連邦議会上院の実質的なトップであるリード上院多数党院内総務は、今回の受理は形式的なものであり、今後のNRCの審査により、NRCの委員は許認可申請を却下するだろうとの声明を出している。

【出典】

【2008年9月16日追記】

ネバダ州司法長官は、2008年9月9日、許認可申請書を受理するNRCの決定には失望したが、今後もあらゆる手段を尽くしてユッカマウンテンプロジェクトの阻止を図っていくとの声明を公表している。

2008年9月15日、NRCによるDOEの許認可申請書受理が正式に連邦官報で告示された。

【2008年10月10日追記】

環境影響評価書の補足情報の作成に向けた計画書を30日以内に提出するとのNRCからの要求を受け、DOEは、2008年10月3日付のNRC宛の書簡において、遅くとも2009年秋までに補足情報の提供を行うことを通知した。

【2008年10月23日追記】

NRCは、2008年10月22日付の連邦官報において、DOEから提出された処分場建設の認可申請に対するヒアリングを実施する旨を告示した。ヒアリングの日時及び場所は、後日、連邦官報で告示される。また、ヒアリング手続に参加を希望する者は、本連邦官報告示から60日以内にヒアリングでの争点を含む申請書を提出しなければならないことも示されている。
なお、このヒアリングは、陪審制をとらない場合の連邦裁判所での裁判に類似した形式で行われ、NRCの原子力安全・許認可委員会パネル(ASLBP)の首席審査官が主宰官を指名する。

【2008年12月24日追記】

2008年12月19日、ネバダ州、ネバダ州ナイ郡、及び原子力エネルギー協会(NEI)は、各々の主張する争点とともにヒアリング手続きへの参加申請書をNRCに提出した。ネバダ州の申請書は、1,566ページに上り、安全関連が201件、国家環境政策法関連が23件、その他が5件の合計229のヒアリングでの争点が掲げられている。

【2009年1月20日追記】

NRCの原子力安全・許認可委員会パネル(ASLBP)は、2009年1月16日のプレスリリースにおいて、ヒアリング手続きへの参加申請と提出された争点の有効性を審査するために3組の原子力安全・許認可委員会(ASLB)を設置したことを公表した。各ASLBは、2人の法律専門家と1人の技術専門家から成り、今後「建設認可委員会(CAB)」と称される。ヒアリング参加申請者は12で、約320の争点が提出された。

【2009年3月25日追記】

NRCのウェブサイトにおいて、DOEが2009年2月19日付で提出した許認可申請書の更新文書が公開された。この更新はNRCの連邦規則(10 CFR Part 63)の規定によるもので、重大な変更は行われておらず、許認可申請書の結論に変更はないことがDOEからNRCに宛てた書簡で示されている。

【2009年5月12日追記】

NRCは、2009年5月11日のプレスリリースにおいて、2009年1月にヒアリング手続きへの参加申請と提出された争点の有効性の審査のため設置された3組の原子力安全・許認可委員会(ASLB)(2009年1月20日付追記参照)が、8団体のヒアリングへの参加及び299の争点について有効性を承認し、ヒアリングの開催を認めたことを公表した。参加が認められた団体は、(1)ネバダ州、(2)カリフォルニア州、(3)原子力エネルギー協会(NEI)、(4)ネバダ州ナイ郡、(5)ネバダ州クラーク郡、(6)ネバダ州ホワイトパイン郡、(7)カリフォルニア州インヨー郡、(8)ネバダ州の4郡(チャーチル郡、エスメラルダ郡、ランダー郡、ミネラル郡による共同申請)である。

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )