韓国政府の知識経済部(MKE)1は、2011年9月2日付のプレススリリースにおいて、使用済燃料の管理政策を確立する方針を示し、原子力専門家が検討して「技術的に可能なオプション」を取りまとめた報告書の提出を近く受ける見通しであること、本報告書に対する意見を取りまとめる計画であることを明らかにした。また、MKEは、ステークホルダーの代表から構成される「使用済燃料政策フォーラム」を組織し、政策に関する提案を取りまとめる考えを示している。最終的には、原子力委員会2での審議・議決をへて、国の使用済燃料管理政策の「基本原則」を策定する計画としている。
MKEのプレスリリースによると、使用済燃料管理の「技術的に可能なオプション」の検討は、韓国の原子力学会を中心としたコンソーシアム3が2009年12月から2011年8月まで(20ヶ月間)で実施したものである。コンソーシアムの最終報告会が、2011年9月2日に韓国原子力研究所(KAERI、テジョン)で開催された。
現在、韓国では、使用済燃料は4カ所の原子力発電所で貯蔵されている。原子力学会のコンソーシアムは、今後の短・中・長期での技術的に可能な管理方策を検討している。短期オプションとしては、①発電所間での移送、②既存の湿式貯蔵施設での稠密ラックへの交換、③乾式貯蔵施設の新設―があり、これらによって2024年までの貯蔵容量を確保できるとしている。中期オプションとしては、集中中間貯蔵施設、または既存の原子力発電所内における中間貯蔵施設の建設の必要性を指摘している。長期オプションについては、今後の再処理・最終処分の国際動向や、国内で実施している乾式再処理技術の研究の成果を勘案して継続検討が必要としている。
今後、MKEは、地域、NGO、消費者団体、言論、法曹界、学界などから推薦された、30~50人で構成される「使用済燃料政策フォーラム」において検討し、必要に応じて、討論会・懇談会などの意見収集の機会を設ける考えである。
【出典】
- 韓国知識経済部(MKE)報道資料 2011年9月2日
- 原子力法
- 放射性廃棄物管理法
【2011年11月30日追記】
知識経済部(MKE)は、2011年11月25日付のプレスリリースにおいて、「使用済燃料政策フォーラム」の委員を任命し、同フォーラムを設置したことを明らかにした。同フォーラムは、2011年11月から2012年4月までの期間に、韓国における使用済燃料の管理政策や、管理政策の策定のための公衆協議の方法などについて議論する予定である。
「使用済燃料政策フォーラム」の委員は、原子力発電所の所在する自治体の代表4名、人文科学系の専門家12名、理工系の専門家7名の計23名で構成されている。
「使用済燃料政策フォーラム」では、使用済燃料管理の具体的な政策と、政策の策定のための手続き的側面が検討される。具体的な検討内容は、次に示すとおりである。
○短・中・長期の、使用済燃料管理の具体的な政策
- 発電所内での貯蔵容量の拡大
- 中間貯蔵の方法と期間
- 再処理の実施や最終処分などの長期政策
○管理政策の策定のための手続き的側面
- 公衆協議の方法や手続き
- そのための組織の構成
- 意見を求めるべき範囲など
【追記部出典】
- 知識経済部(MKE)報道資料 2011年11月25日
(post by y-nishimura , last modified: 2011-11-30 )