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《韓国》中低レベル放射性廃棄物処分施設の処分方式が決定 -第1段階のドラム缶10万本分は岩盤空洞処分方式で

韓国産業資源部(MOCIE)は、2006年6月28日付けのプレスリリースにおいて、慶州市陽北面奉吉里(キョンジュ市ヤンブク面ポンギル里)地域に建設する予定の中低レベル放射性廃棄物処分施設の処分方式として、第1段階のドラム缶で10万本分の処分については「岩盤空洞処分方式」を採用すると発表した。今回建設される処分施設は、第1段階として200リットルドラム缶10万本を処分可能な規模で建設し、その後、80万本を処分可能な規模まで施設を段階的に増設する予定となっている。なお、今後増設される約70万本分の処分施設の処分方式については、中低レベル放射性廃棄物の発生状況や処分技術の変化など、今後の状況によって柔軟に決定することになったとしている。また、同時に、韓国水力原子力株式会社(KHNP)の慶州市への本社移転について、2006年8月末までに用地を選定し、2010年7月末までに移転を完了する計画であることも公表された。

同ニュースリリースによると、今回決定した岩盤空洞処分は、地下80mの岩盤中に垂直円筒状の空洞を建設し、廃棄体を処分する方式であることが示されている。また、地上施設として、一時貯蔵設備、検査設備、処理設備などが建設される予定とされている。今回発表された処分施設建設事業の概要は、面積が約210万㎡で総事業費が11,445億ウォンであるとされている。

今回処分方式が決定された中低レベル放射性廃棄物処分場に関しては、2005年11月に慶州市陽北面奉吉里に建設されることが決定していた。処分場の処分方式選定については、2006年4月4日に韓国水力原子力株式会社(KHNP)が設置した処分方式選定委員会によって、「浅地中処分」又は「岩盤空洞処分」のどちらを採用するか検討が進められてきた。同プレスリリースの参考資料によると、処分選定委員会の概要及び活動は、以下のようになっている。

委員会の位置付け 韓国水力原子力株式会社社長の諮問機関(委員長:ファン・ジュホ、総計16人)
構成 慶州市及び市議会(3人)、地域住民代表(3人)、専門家(10人)
運営 社会環境分科委員会(9人)、技術分科委員会(7人)及び全体会議で運営
期間 2006年4月4日~2006年6月28日
活動 合計13回の会議(分科会9回、全体会議4回)を開催、海外の放射性廃棄物処分施設への訪問調査(2006年5月)を実施
社会環境分科委員会 主に住民の受容性、文化財への影響、環境影響、災害時の住民の安全対策について評価
技術分科委員会 主に地質調査結果の分析、廃棄物の特性、許認可計画、処分施設建設及び運営による経済性及び安全性などを評価

また、同プレスリリースによると、処分方式選定委員会では、2つの処分方式に対して安全性に関する1次評価と、5項目(技術・操業性、許認可、住民の受容性、環境親和性、経済性)からなる2次評価が実施されたとしている。1次評価では、2つの処分方式は共に安全基準を満たしていると評価されたが、2次評価の結果として、岩盤空洞処分方式が採択され、KHNPに勧告が行われ、同社はこれを受け入れたとしている。

更に、同プレスリリースの参考資料によると、中低レベル放射性廃棄物処分施設に関する今後の計画は、以下のようになっている。

  • 中低レベル放射性廃棄物処分施設の建設計画の確定(2006年12月)
  • 基本設計、環境(放射性)影響評価、サイト特性調査などの完了(2007年5月)
  • 実施計画の承認(2007年10月 暫定)
  • 放射性廃棄物処分場の建設許可(2007年12月、韓国科学技術部(MOST))
  • 部分竣工(回収、貯蔵設備、2008年12月)
  • 最終竣工(ドラム缶10万本規模、2009年12月)

【出典】

  • 韓国産業資源部(MOCIE)2006年6月28日付けプレスリリース

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )