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《スイス》連邦評議会が「処分の実現可能性実証プロジェクト」を承認

スイスの連邦エネルギー庁(BFE)は2006年6月28日付プレスリリースにおいて、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)の「処分の実現可能性実証プロジェクト」が連邦評議会による承認を受けたことを公表した。今回の連邦評議会による承認は、スイスにおいて高レベル放射性廃棄物、使用済燃料及び長寿命中レベル放射性廃棄物の処分のための地層処分場を建設することが、原則的に可能であることを確認するものである。今後は、連邦評議会が特別計画(詳細は こちら)「地層処分場」(既報、以下「特別計画」という)においてサイト選定手続及び基準を策定し、具体的なサイト選定手続が開始されることとなっている。

同プレスリリースによると、放射性廃棄物の処分の実現可能性の実証については1978年の「原子力法に関する連邦決議」によって求められており、2005年2月に施行された新しい原子力法においても定められている。NAGRAは結晶質岩と堆積岩に関する調査・研究を行った後、2002年12月にチュルヒャー・ヴァインラントのオパリナス粘土を対象とする「処分の実現可能性実証プロジェクト」報告書を公表していた

NAGRAの2006年6月28日付けプレスリリースによると、同報告書については、2003年から2005年にかけて、スイス連邦原子力施設安全本部(HSK)、放射性廃棄物管理委員会(KNE)、原子力施設安全委員会(KSA)、さらには経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)やドイツのサイト選定手続委員会(AkEnd)などがレビューを行い、高い評価を与えていたとしている。またNAGRAは連邦評議会に対して、今後のさらなる調査の対象を、サイト選定の可能性のあるチュルヒャー・ヴァインラントのオパリナス粘土に絞ることの承認も要求したが、連邦評議会はこの要求は退けている。

BFEのプレスリリースによると、今後の具体的なサイト選定手続は、2007年に開始されることになっている。それに先立ち、「特別計画」においてサイト選定手続が定められることとなっており、連邦評議会による「特別計画」の方針 の決定が2007年夏に行われることとなっている。また、高レベル放射性廃棄物の処分場は2040年に操業を開始し、低中レベル放射性廃棄物の処分場については、可能であればそれより前に操業開始できるようにする、という見通しを示している。

【出典】

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2006年6月28日付プレスリリース、http://www.bfe.admin.ch/energie/00588/00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=5857
  • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)、2006年6月28日付プレスリリース、http://www.nagra.ch/index1.tpl?iid=l118a1b10&lang=3&iid2=118&r=[r]&cart=11515409532385429

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )