Learn from foreign experiences in HLW management

《スイス》連邦エネルギー庁(BFE)が地層処分場の サイト選定に向けた手続きなどの整備見通しを公表

連邦エネルギー庁(BFE)は2006年2月15日付のプレスリリースにおいて、スイスにおける地層処分場のサイト選定に向けた手続きなどを定めた、地層処分場の特別計画(詳細は こちら)(Sachplan Geologische Tiefenlager、以下「特別計画」という)の策定に関する現在の見通しを公表した。

スイスでは、連邦政府が空間及び環境に大きな影響を与える事業を行う際に、当該事業に関する特別計画を定めることが都市計画法・令において求められている。連邦評議会は2004年12月に、地層処分場についてもこの特別計画を策定し、サイト選定手続き及び適用されるべき判断基準などをその中で定めることを決定した。2005年2月に施行された原子力令には、この特別計画の策定に関する規定が盛り込まれている。
連邦政府は、この特別計画を策定することにより、空間利用計画の観点から関連する事業に関する全ての影響を適切に調整し、公的機関、その他利害関係を有する組織に加え、影響を受ける州、自治体、周辺国の当局などを早い段階から手続きに関与させることを保証するとしている。

同プレスリリースによると、BFEは連邦評議会の指示の下、特別計画の策定のための基礎的な作業を行っており、この特別計画の一部をなす方針(事業目標及びその達成に向けた枠組みなどを定める部分、以下「特別計画の方針」という)について、現段階では草案の第一次案が準備されたところとしている。BFEは国土計画庁(ARE)との共同作業の下、以下のような特別計画の策定プロセスを立案している。

  • 2006年3月中旬:BFEが特別計画の方針(案)を公表し、州の関係部署への意見聴取を実施
  • 2006年6~8月:意見の反映がなされた特別計画の方針(案)について、諮問ワークショップ及びフォーカスグループが協力体制の下で議論を実施。その結果を連邦官庁及び近隣諸国に提示し、意見聴取を実施
  • 2006年11月頃:それまでの意見聴取・議論などを踏まえ、広範囲にわたる意見聴取の実施のために、最新の特別計画の方針(案)を連邦官庁及び近隣諸国、国内の関係諸機関に対して提示
  • 2007年前半:連邦評議会が各州への意見聴取後、特別計画の方針に関する決定を行う見込み

同プレスリリースでは、処分場のサイト選定については、まずスイス全体を対象に検討を行い、次第に候補を絞り込むことがこの特別計画(詳細は こちら)の方針の中で示されるとしている。この流れを受けて、2004年9月に放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は連邦環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)より、高レベル放射性廃棄物の処分場に関して、チュルヒャー・ヴァインラントの代替候補地域を提示する報告書の提出を求められ 、2005年9月にこの報告書を公表している

2006年には連邦評議会が処分の実現可能性実証プロジェクトに対する決定を行う予定となっているが、その際に この特別計画の方針によって、高レベル放射性廃棄物の処分場に関する将来的な手続きが示されるとしている。なお、原子力法に基づいて放射性廃棄物の管理義務を負う者が放射性廃棄物管理プログラムを作成することが求められているが、NAGRAはプログラム作成のためには、連邦評議会のこうした決定によって、具体的な条件などが示されるのを待つ必要があるとしている。

【出典】

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2006年2月15日付プレスリリース、http://www.energie-schweiz.ch /internet/medienmitteilungen/04123/index.html?lang=de
  • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)2004年年次報告書、2005年4月
  • 原子力令、http://www.admin.ch/ch/d/sr/7/732.11.de.pdf
  • 都市計画法、http://www.admin.ch/ch/d/sr/7/700.de.pdf
  • 都市計画令、http://www.admin.ch/ch/d/sr/7/700.1.de.pdf
  • 国土計画庁、連邦の方針及び特別計画(都市計画法第13条)、1997年12月

【2006年10月18日追記】

連邦エネルギー庁(BFE)は、2006年10月13日付プレスリリースにおいて、2006年6月から8月にかけて、特別計画の方針案に関し諮問ワークショップ が開催され、フォーカスグループにおける議論2)が実施されたことを公表した1 。また、それらの結果を取りまとめた報告書がBFEウェブサイト上に掲載された。

【追記部出典】

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2006年10月13日付プレスリリース、http://www.bfe.admin.ch/energie/00588 /00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=7684
  1. 諮問ワークショップは、様々な組織や政党の代表によるワークショップで2006年6月16日に開催された。また、今回のフォーカスグループにおける議論は、2006年6月から8月にかけて、ラッペルスビル、ベルン、ローザンヌ、ノイエンブルク、オルテンの5ヶ所で 開催された。 []

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )