米国のエネルギー省(DOE)は、2010年10月7日付けのプレスリリースにおいて、超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)での廃棄物の受入れが、2010年10月5日(火)に、9,000回に達したことを公表した。WIPPでは、1999年3月から軍事関連で発生したTRU廃棄物の地層処分が開始されている。
同プレスリリースによれば、これまでに米国内の17のサイトにおいて、作業者、公衆及び環境に安全な方法により、TRU廃棄物のWIPPへの搬出を実施してきたとしている。具体的には、アイダホ・サイト、ロッキーフラッツ環境技術サイト、サバンナリバー・サイト、ハンフォード・サイト及びロスアラモス国立研究所を含む各地から70,800m3(200リットルドラム換算で35万4千本)以上のTRU廃棄物がWIPPにおいて処分された。この間、TRU廃棄物の総輸送距離は1,070万マイル(1,720万km)以上となっているが、これまでに大きな事故や放射性物質の放出は起こっていないとしている。
今回、9,000回目の受入れとなったTRU廃棄物は、アイダホ・サイトからの「直接ハンドリングが可能なTRU廃棄物」(CH廃棄物)とされている。WIPPが1999年の操業開始からこれまでに受入れたTRU廃棄物のうち、ほぼ半数がアイダホ・サイトからのものとされている。
WIPPでは、2006年9月に、TRU廃棄物の5,000回目の受入れを達成している 。また、当初、CH廃棄物のみが処分されていたが、2007年1月からは「遠隔ハンドリングが必要なTRU廃棄物」(RH廃棄物)の受入れも開始されている 。
なお、WIPPについては、環境保護庁(EPA)により5年ごとに連邦規則への適合性認定、または適合性再認定を受けることが必要とされており、2006年3月29日にEPAが最初の適合性認定の決定を行っている。また、2009年3月24日に2回目の適合性再認定申請が行われ、現在審査が行われている。
【出典】
【2011年9月30日追記】
米国のエネルギー省(DOE)は、2011年9月28日付けのプレスリリースにおいて、超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)での廃棄物の受入れが、2011年9月24日(土)に、10,000回に達したことを公表した。
同プレスリリースによれば、WIPPは、これまでに77,000m3(200リットルドラム換算で38万5千本)以上のTRU廃棄物を受け入れ、処分してきたとしており、この間、総輸送距離にして1,200万マイル(約1,930万km)以上、TRU廃棄物を安全に輸送してきたとしている。
また、2011年8月時点において、冷戦時代の遺産でクリーンアップが必要な面積を55%削減したとしている。米国復興・再投資法に基づく投資によりクリーンアップ作業を加速することができたとしており、TRU廃棄物プログラムのライフサイクルコストを12億ドル(1,020億円)低減することができたとしている。
【出典】
(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )