連邦エネルギー省(DOE)は、2007年1月24日のニュースリリースにおいて、超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)に向けた「遠隔ハンドリングが必要なTRU廃棄物」(RH廃棄物)1 の最初の輸送が行われたことを公表した。このRH廃棄物はアイダホ国立研究所(INL)から輸送されたもので、2007年1月17日には連邦環境保護庁(EPA)による搬出の承認が行われていた 。RH廃棄物の処分については、WIPPに向けた輸送を開始する前に、現在廃棄物が保管されているDOEの施設毎にEPA及びニューメキシコ州環境省(NMED)の承認が必要とされている。
ニュースリリースによれば、今回輸送されたアイダホ国立研究所(INL)からの廃棄物は、放射性デブリ廃棄物を含む100リットルドラム缶3本をキャニスタに収納したものであり、RH-72Bと呼ばれる輸送キャスクによって輸送された。この鉛遮へいライナー付きの輸送キャスクは、原子力規制委員会(NRC)から2000年に型式承認を得たものである。
ニュースリリースでは、1992年に連邦議会がWIPPにおける「直接ハンドリングが可能なTRU廃棄物」(CH廃棄物)及びRH廃棄物の処分を承認して以降、RH廃棄物の処分は長い間WIPPの任務の一部とされてきたものとしている。また、2006年10月に発給されたニューメキシコ州環境省(NMED)による許可 は、NMED、DOE、WIPPの契約者及び市民グループらが、NMEDによって導入された公開の協同的手続きにより、作り上げたものであるとしている。第一回目の輸送に先立つ数カ月間には、DOE、NMED、EPA及び連邦国防原子力施設安全委員会の専門家が参加し、RH廃棄物の管理・処分の準備が整ったことを示すための操業審査が何度も行われたことが示されている。
なお、RH廃棄物のWIPPでの処分に向けた輸送については、INLの他にアルゴンヌ国立研究所(ANL)についてもEPAによる施設毎の承認が得られている 。
【出典】
- 「遠隔ハンドリングが必要なTRU廃棄物」(RH廃棄物)は、WIPPで処分が予定されているTRU廃棄物の中で比較的強い放射能を持つもので、取り扱いには遠隔ハンドリングが必要とされているものである。輸送キャスクや処分場における定置方法も「直接ハンドリングが可能なTRU廃棄物」(CH廃棄物)とは異なっている。 [↩]
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )