韓国水力原子力株式会社(KHNP)は、同社が運営する放射性廃棄物に関する情報提供ウェブサイトにおいて、慶州市陽北面奉吉里(キョンジュ市ヤンブク面ポンギル里)地域に建設予定の中低レベル放射性廃棄物処分場に関して、2007年1月11日に電源開発事業実施計画の承認を産業資源部(MOCIE)に申請し、2007年1月15日に処分場建設・操業の許可を科学技術部(MOST)に申請したことを公表した。
電源開発事業実施計画は、電源開発促進法第5条に基づき、産業資源部(MOCIE)長官が事業者であるKHNPの詳細事業計画を承認するものであり、中低レベル放射性廃棄物処分場建設へ向けて必要とされる手続きである。
同ウェブサイトによると、今回の電源開発事業実施計画の承認申請において、KHNPは処分事業の詳細実施計画書(事業の概要、処分場の位置、面積、施工期間、資金調達など)、施設の配置図及び環境影響評価書を産業資源部(MOCIE)に提出したとしている。今後、産業資源部(MOCIE)は、該当自治体からの意見収集を実施し、関係省庁(財政経済部、科学技術部、行政資源部、国防部、農林水産部、情報通信部、環境部、建設交通部、海洋水産部、山林庁など)と協議した後、電源開発事業推進委員会の審議・議決を経て、実施計画の承認に関して判断を下すこととなっている。
電源開発事業実施計画が承認されると、処分場建設のための国土の計画及び利用に関する法律に基づく開発事業や、道路法による道路工事、河川法による河川工事、農地法による農地転用、港湾法による港湾工事など、合計21の関係法令に対する許認可、承認、協議などが完了したものとしてみなされ、KHNPは公共施設(道路、電気、水道施設など)の設置及びサイト整地工事の着手など、処分施設の建設に向けた基盤工事を開始することができるとしている。
また、中低レベル放射性廃棄物処分場の建設・操業許可は、原子力法第76条に基づき、科学技術部(MOST)長官が中低レベル放射性廃棄物処分場の安全性に関する諸般要件を審議し、施設の建設及び操業を許可する手続きである。
同ウェブサイトによると、KHNPは、中低レベル放射性廃棄物処分場の建設・操業許可申請とともに、安全評価報告書、放射線環境影響評価書、安全管理規定、設計及び工事方法に関する説明書、建設及び操業の品質保証計画書などの資料を許可発給機関である科学技術部(MOST)に提出したとしている。また、処分場の建設・操業許可を得るためには、以下の要件を満たす必要があるとされている。
- 処分施設の建設・操業に必要な技術的・経済的能力の確保
- 位置・構造・設備及び性能が技術基準に適合しており、放射線による人体及び公共の災害防止
- 建設・操業過程において放射線による国民の健康及び環境保護
科学技術部(MOST)は建設・操業許可申請を受けて、韓国原子力安全技術院(KINS)の専門的な評価結果を踏まえた安全性審査を行い、必要に応じて政府の関係省庁と話し合った後に、原子力安全委員会1 の審議・議決を経て、建設・操業の許可を発給することとなっている。
なお、産業資源部(MOCIE)の 2006年6月28日付けプレスリリース(既報)によると、電源開発事業実施計画の産業資源部(MOCIE)による承認は2007年10月頃、科学技術部(MOST)による建設・操業許認可発給は2007年12月頃と予想されている。また、中低レベル放射性廃棄物処分場の部分竣工は2008年12月、処分場の第一段階であるドラム缶10万本分の施設の最終竣工は2009年12月を予定している。
【出典】
- 放射性廃棄物管理センターウェブサイト、2007年1月17日発表記事、http://www.4energy.co.kr/
- 電源開発促進法
- 原子力法
【2007年7月31日追記】
韓国産業資源部(MOCIE)は、2007年7月19日、韓国水力原子力株式会社(KHNP)が申請していた中低レベル放射性廃棄物処分場に関する電源開発事業実施計画を承認したことを発表した。これにより、KHNPは、道路、森林、河川、農地整理などの処分事業を進めるための基盤工事が可能になるとされている。
追記部出典
- MOCIE告示第2007-91号(2007年7月19日)(http://www.mocie.go.kr/info/law/gosi_list.jsp)
- 原子力安全委員会:原子力安全管理に関する事項の総合調整及び審議・議決する意思決定機構として、科学技術部長官を委員長とし、科学技術部長官と産業資源部長官とで調整し、任命・委嘱した6~8人の民間専門家で構成された委員会。 [↩]
(post by 原環センター , last modified: 2013-07-03 )