Learn from foreign experiences in HLW management

《カナダ》放射性廃棄物管理の長期安全性の評価に関する規制指針を公表

カナダ原子力安全委員会(CNSC)は、2006年12月20日付けのプレスリリースにおいて、放射性廃棄物管理の長期安全性の評価に関する規制指針(G-320)の最終版を公表したことを報じた。同プレスリリースによると、 この規制指針の目的は、CNSCに新規の許可あるいは既存の許可更新を申請する者に対して、放射性廃棄物管理の長期安全性の評価に関する支援を行うことを目的としている。 同プレスリリースによると、本規制指針については、CNSCがドラフト版を2005年6月に公表して公開協議を行っていたが、今回の最終版は、その際にステークホルダーなどから寄せられたコメント等も反映されているとしている。

本規制指針は、放射性廃棄物管理の長期安全性の評価について、方法、構成、アプローチなどに関する議論が示されたものであり、以下のような項目で構成されている。

  1. 規制の目的
  2. 規制の範囲
  3. 関連法令
  4. 背景情報
  5. 長期的なセーフティケースの開発
  6. 受容基準の明確化
  7. 長期評価の実施
  8. 結果の解釈

また、本規制指針では、放射性廃棄物の貯蔵及び処分方法が環境及び公衆の健康と安全に与える可能性のある長期的影響の評価に関するアプローチを記述しており、以下の点について扱われている。

  • 廃棄物の長期保管及び管理における考慮
  • 廃止措置後の目標の設定
  • 評価基準の確立
  • 評価戦略及び詳細さの水準
  • 時間枠の選択及び評価シナリオの明確化
  • 決定グループなどの特定
  • 評価結果の解釈

一方、本規制指針では、放射性廃棄物の長期管理方法に関し、廃棄物の特性、施設の操業に関する評価、廃棄物の輸送、社会受容及び経済的実施可能性など、許可手続において考慮されるその他の問題については対象とされていない。

なお、CNSCは原子力安全管理法(NSCA)に基づいて2000年に設置され、公衆の健康及び環境を保護するために放射性物質などについての規制を実施している。CNSCは2004年7月に放射性廃棄物の管理に関する規制方針(P-290) を公表しており、放射性廃棄物の規制において、CNSCによって用いられる考え方及び原則を示している。CNSCは同規制方針において許可対象活動から発生する放射性廃棄物及び有害廃棄物の長期管理の必要性についてふれており、本規制指針はこうした流れに沿って策定されたものである。

【出典】

  • カナダ原子力安全委員会(CNSC)ウェブサイト 2006年12月20日付けプレスリリース、
    (http://www.nuclearsafety.gc.ca/eng/regulatory_information/bulletins/view_
    bulletin.cfm?bulletin_id=167)
  • カナダ原子力安全委員会(CNSC)規制指針、放射性廃棄物管理の長期安全性の評価(G-320)、
    (http://www.nuclearsafety.gc.ca/pubs_catalogue/uploads/G-320_FinalPaper_e.pdf)
  • 放射性廃棄物等安全条約に基づくカナダ国別報告書(第2回)

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )