Learn from foreign experiences in HLW management

《米国》連邦議会下院がオバマ政権のユッカマウンテン計画中止に関する意思決定プロセスの調査を開始

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会は、2011年3月31日付プレスリリースにおいて、オバマ政権がユッカマウンテン計画を中止すると決定したプロセスに関する調査の開始を通知したことを公表するとともに、エネルギー長官及び原子力規制委員会(NRC)の委員長に宛てた書簡を掲載した。

プレスリリースによると、日本における地震と津波の影響及び損傷を受けた原子炉の状況に鑑み、連邦議会は、使用済燃料の唯一の処分サイトの開発を中止するとしたオバマ政権の決定についての説明を求めるとしている。

また、エネルギー・商務委員会がエネルギー長官に宛てた書簡では、オバマ政権による以下の決定に関する情報を提供するように求めている。

  • ユッカマウンテン処分場の建設認可に関して、NRCが審査中の許認可申請を取り下げたこと
  • 許認可申請の取り下げ申請に関する訴訟が未解決であるにも関わらず、エネルギー省(DOE)がユッカマウンテン計画のサポートを中止したこと

さらに、エネルギー長官に宛てた書簡では、1982年放射性廃棄物政策法に基づくDOEの義務及び責任の実施状況の評価のため、また、DOEが、DOEや納税者の債務の増加につながる活動を行っていないかを判断するため、必要なすべての情報を要求している。

一方、エネルギー・商務委員会がNRCの委員長に宛てた書簡では、以下に関連してNRCの委員長及びNRCが行った特定の行為に疑問があるとしている。

  • NRCが審査中のユッカマウンテン処分場の建設認可に関して、許認可申請の取り下げの提案
  • NRCの全委員が予算の打ち切りを決定していない段階で、NRCのスタッフによる技術的及び安全レビューを含む、ユッカマウンテン処分場の許認可申請の許認可手続きに対する予算打ち切り及び手続きの中止

また、NRCの委員長に宛てた書簡では、1982年放射性廃棄物政策法に基づく法律上の義務及び責任に係るNRCの遂行状況の評価のため、NRCによる決定が、NRCの手続きに従ったものであるのか、また、政策上、法律上及び予算上の影響についての情報及び検討を含んだものであるのかを評価するため、必要な情報を求めるとしている。

さらに、NRCの委員長に宛てた書簡では、NRCの委員長及びNRC、NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)が行った行為及び決定を含め、ユッカマウンテンの許認可申請書に関するすべての行為・決定を時系列で示すことなど、7項目に要求を2週間以内に文書で回答することを求めている。

ユッカマウンテン処分場の開発に関して、DOEは、2010年3月3日、NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)に対して許認可申請を取り下げる申請書を提出していた。この取り下げ申請に対して、ASLBは、2010年6月29日に、申請を認めない決定を下したが、現在までのところNRCの最終判断は示されていない。また、NRCの委員長は、独自の判断に基づいて、ユッカマウンテン処分場の許認可申請書の技術的な審査を停止するよう、NRCスタッフに指示していた。さらに、2012会計年度の予算要求に関しては、歳出法案が成立していないものの、ユッカマウンテン処分場開発関連及びNRCの処分場の許認可申請書の審査に係る予算はゼロとされている

【出典】

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )