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《英国》Nirex社が地層処分場サイトの過去の候補リストを公表

低中レベル放射性廃棄物の地層処分場の過去の候補リスト (出所:Nirex社ウェブサイトより引用)

2005年6月10日、英国のNirex社は、1980年代後半から1990年代前半にかけて、低中レベル放射性廃棄物の地層処分場の立地サイトとして同社が検討していた10の候補地リストを、選定プロセスの詳細を示した報告書とともに同社のウェブサイトで公開した。このサイト選定活動を含む低中レベル放射性廃棄物管理プログラムは、1997年にセラフィールドにおける岩盤特性調査施設(RCF)の建設が環境大臣によって否認されたことにより、凍結された。英国では、その後、2001年に政府による放射性廃棄物管理方針検討プログラムが新たに開始され、2003年には、放射性廃棄物の長期管理オプションを検討し、2006年に政府に勧告するための機関として、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)が設置されている(CoRWMの最新の検討状況はこちらを参照)。なお、Nirex社は、今後サイト選定が新たに実施される場合があったとしても、今回公表された過去の候補リストに基づいて、サイト選定プロセスが開始されることはないとしている。

Nirex社によって公開された地層処分場の過去の候補サイトは、ブラッドウェル、ポットン島、ドーンレイ、オルトナブリーク、フーディ、サンドレイ、キリングホルム、セラフィールド(2地点)、スタンフォードの10のサイト、2カ所の海洋底下処分(オフショアー)であった。なお、Nirex社は、この候補リストともに、当時のサイト選定活動をレビューした報告書も公開している。

今回のNirex社による過去の候補リストの公表は、2005年始めの情報公開法の施行を受けて、政府による同リストの情報公開方針の変更がなされ、Nirex社、政府、スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの各行政府との間においてなされた合意に基づいて行われている。なお、Nirex社は、原子力産業界のために放射性廃棄物処分施設の研究、開発、操業を行う機関として、1982年に設置され、1985年には株式会社化され、活動を実施していたが、2004年の政府による決定に基づいて、2005年4月1日から、原子力産業界から独立したものとなっている。また、現在のNirex社の役割は、放射性廃棄物の長期管理オプションの開発について政府を支援することとされている。

Nirex社のウェブサイトでは、英国の地方自治体協会(LGA)内にある原子力遺産諮問フォーラム(NuLeAF)による2005年6月10日のニュースリリースも公表されており、NuLeAFはNirex社による過去の候補リストの公開に対して歓迎の意を示している。また、同ニュースリリースにおいて、NuLeAFは、現在、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)によって行われている検討プロセスを支持するとともに、今回のリストにあった全ての関連自治体に対して、CoRWMの管理方針検討プロセスに参加することを勧告している。なお、CoRWMの役割は、政府への放射性廃棄物管理オプションの勧告までであり、サイト選定活動は実施しないものとされている。

【出典】

  • Nirex社の2005年4月4日のニュースリリース、http://www.nirex.co.uk/news/na50404.htm
  • Nirex社の2005年6月1日のニュースリリース、http://www.nirex.co.uk/news/na50601.htm
  • Nirex社の2005年6月10日のニュースリリース、http://www.nirex.co.uk/477002/index.html
  • Nirex社, Review of 1987-1991 Site Selection for an ILW/LLW Repository, June 2005、http://www.nirex.co.uk/477002/pdf/site_selection.pdf
  • Nuclear Legacy Advisory Forum(NuLeAF)の2005年6月10日付のニュースリリース、http://www.nirex.co.uk/477002/pdf/NuLeAF_press_release_on_site_list_v1.pdf

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )