2003年7月16日、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)のマーガレット・ベケット大臣は、新たに設置される放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の委員長として、キャサリン・ブライアン女史を指名したことを明らかにした。CoRWMは「放射性廃棄物管理に関する協議文書」で示された協議プロセスの下に、英国の放射性廃棄物の長期的な管理を最良の方法で行うために、政府に勧告を行う責任を有する組織として設置されることが決定されていた 。
CoRWMの委員長と12名の委員については、3月末に全国紙に募集広告が掲載され、400件を超える応募があった。他の委員の選定には委員長自身も参加することになっており、2003年10月までには残りの委員の選定を終え、CoRWMの活動を開始させる見通しが示されている。CoRWMへの委任事項として、2005年末までに政府に勧告を行うこと、そのために作業計画を準備し、早い段階で政府の同意を得ること、6ヵ月毎に政府と会合を持ち、議会に提出する年次進捗報告書を作成することが求められている。政府はCoRWMによる勧告を受けて、それらをいかに実施するかについての判断を2006年頃に行うとしている。
今回、3年間の任期でCoRWMの委員長に指名されたキャサリン・ブライアン女史は、2002年10月より政府の野生生物に関する諮問機関である自然保護合同委員会の委員長を務めている。ブライアン女史は、植物学、地理学の学士号、生物学で修士号を取得しており、以前にはイングランドとウェールズの環境規制機関(Environment Agency)とその前身の機関の上級職、スコットランド北部水道局の最高幹部を歴任している。
また、ベケット大臣は、英国Nirex社の将来に関する政府の意向も表明しており、この中で、政府は、Nirex社を放射性廃棄物のコンディショニングとパッケージングに関する基準についての重要な役割を担っていることに加えて、CoRWMが検討する放射性廃棄物の管理方法についての広範な知見を有する組織として位置づけている。さらに、Nirex社が、CoRWMが見解をまとめて管理方法を勧告する際に、支援を行うことができる組織にすることが重要であるとしている。政府は、Nirex社の原子力産業界からの独立と政府による管理の強化に向けた最良の方策を模索するため、英国核燃料公社(BNFL)、英国原子力公社(UKAEA)、英国エネルギー社(BE)等のNirex社の株主と協議を行い、今秋にも適切な方法を確立し、公表したいとの考えを示している。
今回のNirex社の将来に関する政府発表について、Nirex社は同日声明を発表し、Nirex社を原子力産業界から独立させた組織とするという政府の意向に対して全面的な歓迎の意を示した。Nirex社の取締役のクリス・マレー氏は、独立したNirex社は、持続可能な長期政策の策定に対して、より正当な形での寄与が可能になると述べている。また、今回のNirex社に関する政府の意向表明は、CoRWMの委員長の指名、6月の原子力廃止措置機関(NDA)設立に向けた法案の草案発表 とともに、政府が放射性廃棄物管理問題について、今の世代が責任を持って対処するという決断を下したことを示しているとの見解を述べている。
【出典】
- 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)ウェブサイトの7月16日付けのニュースリリース (http://www.defra.gov.uk/news/2003/030716d.htm)
- 英国Nirex社ウェブサイトの7月16日付けのニュースリリース (http://www.nirex.co.uk/news/na30716.htm)
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )