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《ベルギー》短寿命・低中レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定(3) -ONDRAF/NIRASが進捗状況を公表

ベルギーの放射性廃棄物管理の実施主体である放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)は、ウェブサイトにおいて、短寿命・低中レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定に関して、2005年5月30日時点における進捗状況を公表した。ONDRAF/NIRASは、デッセル自治体との低レベル放射性廃棄物調査・協議グループ(STOLA-Dessel)、モル自治体とのモル放射性廃棄物協議グループ(MONA)、フルール自治体及びファルシネ自治体とのフルール・ファルシネ地域パートナーシップ(PaLoFF)の形で、地域とパートナーシップを結んで処分場のサイト選定を進めている。今回公表された進捗状況では、STOLA-Dessel、MONA、PaLoFFによる処分場の受け入れについての最終報告書の状況やONDRAF/NIRASの対応状況などが報告されている。

デッセル自治体の低レベル放射性廃棄物調査・協議グループ(STOLA-Dessel)は、2004年11月に最終報告書をデッセル議会に提出していたが、同議会は2005年1月27日に最終報告書を承認した。ONDRAF/NIRASは、2005年5月25日に、STOLA-Desselによる最終報告書及びデッセル自治体の承認決定を踏まえて、以下の文書から構成されるSTOLA-Dessel統合プロジェクト文書を経済・エネルギー・通商・科学政策大臣に提出した。

  • STOLA-Desselによる最終報告書
  • デッセル自治体の承認決定
  • ONDRAF/NIRASによる、STOLA-Desselにおける最終処分場検討の統合プロジェクト報告書

このONDRAF/NIRASの報告書では、STOLA-Desselによって検討された最終処分場に関する総合プロジェクトが、特に安全性および実現可能性の面での要件に関する1998年の閣議決定で規定された条件に適合していること、プロジェクトが地元に根ざしたものとなるために必要な全ての関係者と協議する方法を開発すべきとした政府の要請を受けてONDRAF/NIRASが採用した参加プロセスが適切に機能していることが確認されている。

モル自治体のモル放射性廃棄物協議グループ(MONA)は、2005年1月27日に最終報告書をモル議会に提出していたが、同議会は2005年4月25日にMONAの最終報告書を承認した。ONDRAF/NIRASは、2005年6月に、MONAの最終報告書を経済・エネルギー・通商・科学政策大臣に提出するか否かについて決定する予定である。

フルール自治体及びファルシネ自治体とのフルール・ファルシネ地域パートナーシップ(PaLoFF)は、2005年の上半期に最終報告書を提出する見込みであったが、最終報告書の提出は2005年秋になり、両議会による承認時期は2005年末になる予定であるとされている。

ONDRAF/NIRASが2005年1月現在の状況をまとめ、今後の処分場サイト選定プロセスを進める上での大枠を示した報告書もウェブサイト上で公表されている。ONDRAF/NIRASは今後数ヶ月のうちに、パートナーシップを結んだ自治体に関する統合プロジェクト文書を連邦政府に提出する予定となっている。ONDRAF/NIRASは、複数の自治体が処分場受け入れに前向きな声明を出した場合、処分サイトの選定はONDRAF/NIRASを含むさまざまな関係者(廃棄物発生者、連邦当局、自治体当局など)の間で行われる協議によって決定されることになるとしている。

【出典】

  • 放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)のウェブサイト、http://www.nirond.be/francais/1_index_fr.html

【2005年7月20日追記】

ONDRAF/NIRASはウェブサイトにおいて、2005年7月8日時点における進捗状況1)を公表し、MONAによる最終報告書およびモル自治体の承認決定を踏まえて、以下の文書から構成されるMONA統合プロジェクト文書を経済・エネルギー・通商・科学政策大臣に提出するとしている。

  • MONAによる最終報告書
  • モル自治体の承認決定
  • ONDRAF/NIRASによる、MONAにおける最終処分場検討の統合プロジェクト報告書

このONDRAF/NIRASの報告書では、MONAによって検討された最終処分場に関する総合プロジェクトが、特に安全性および実現可能性の面での要件に関する1998年の閣議決定で規定された条件に適合していること、プロジェクトが地元に根ざしたものとなるために必要な全ての関係者と協議する方法を開発すべきとした政府の要請を受けてONDRAF/NIRASが採用した参加プロセスが適切に機能していることが確認されている。

また、上記の速報では、ONDRAF/NIRASは2005年4月29日にSTOLA-Dessel統合プロジェクト文書を経済・エネルギー・通商・科学政策大臣に提出したとしていたが、今回公表された進捗状況1)の内容から、提出日が2005年5月25日であったことが判明したため、本文を修正している。

【注1】
ONDRAF/NIRASは、「カテゴリーA放射性廃棄物の最終処分:2005年7月8日現在の状況」(Dépôt final des déchets de catégorie A: point de la situation au 8 juillet 2005、 http://www.nirond.be/francais/1_index_fr.html)という件名で、進捗状況を公開している。ベルギーでは、 放射性廃棄物はカテゴリーA、B、Cの3つに分類されており、カテゴリーAは短寿命・低中レベル放射性廃棄物を意味する。なお、ベルギーにおいては、短寿命・低中レベル放射性廃棄物(カテゴリーA)は、単に「短寿命・低レベル放射性廃棄物」と呼称されることがあるが、本ウェブサイトでは短寿命・低中レベル放射性廃棄物として統一している。

【2006年1月27日追記】

ONDRAF/NRASはウェブサイトにおいて、PaLoFFの最終報告書が、2005年12月21日、同パートナーシップの理事会にて承認され、フルール自治体及びファルシネ自治体に提出されたことを公表した。同報告書に対する両自治体議会による決定は2006年初めに下されることも示されている。

また、2005年4月、デッセル自治体において、STOLA-Desselに替わってデッセル放射性廃棄物研究・協議機関(STORA)が設立されたことが、STORAの機関誌において公表されている。このSTORAは、低中レベル放射性廃棄物のみではなく、デッセルにおける全ての放射性廃棄物に関連する活動を行う組織と位置づけられ、全ての放射性廃棄物に関する市民への情報提供や、それらの放射性廃棄物管理に関する決定事項の遵守について政府を監視するなどの活動を行うこととなった。
・デッセル放射性廃棄物研究・協議機関(STORA)機関誌、STORA-Magazine、2005年6月

【2006年2月24日追記】

PaLoFFはウェブサイトにおいて、2006年2月23日、PaLoFFが提出していた処分プロジェクト案に対して、フルール自治体が反対の決議を下したことを公表した。
・PaLoFFウェブサイト、http://www.paloff.be/news_fiche.php?id=29

【2006年4月5日追記】

ONDRA/NIRASはウェブサイトにおいて、PaLoFFが提出していた処分プロジェクト案に対するフルール自治体による反対決議と、それを受けてファルシネ自治体が態度を明確にすることを控えるとの決定により、両自治体による処分プロジェクトへの参加が終了したと公表した。ONDRAF/NIRASは、情報提供を目的として、両自治体の決定及び関係報告書を担当大臣に提出するとしている。
・ONDRAF/NIRASウェブサイト、http://www.nirond.be/francais/pallof.html

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )