2005年1月27日、ベルギーの放射性廃棄物管理の実施主体である放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)は、ウェブサイト上で、ONDRAF/NIRASによって設立された地域とのパートナーシップの内の一つであるモル自治体のモル放射性廃棄物協議グループ(MONA)が、最終報告書を地元自治体議会に提出したことを公表した。また、同ウェブサイト上で公表されたONDRAF/NIRAS、モル自治体、MONAの共同プレスリリースによると、最終報告書には、「MONAが提示した全ての条件が満たされることを前提として、モルにおいてベルギーの短寿命・低中レベル放射性廃棄物を処分することは可能である。」という勧告が含まれているとのことである。さらに、ONDRAF/NIRASは同ウェブサイトにおいて、このプレスリリースとともに、短寿命・低中レベル放射性廃棄物管理に関するプレス資料も公表している。
この共同プレスリリースによると、MONAは、処分の実現可能性と実現のための条件について、関心を持っている地元住民とともに検討を行うため、2000年2月にONDRAF/NIRASとモル自治体によって設立され、政党および社会・文化・経済団体の代表者、環境団体、地元住民で構成されるワーキンググループによって、専門家の支援を受けながら、あらゆる重要な角度から検討を行ってきたとされている。また、MONAは、浅地中処分概念と地層処分概念を開発しており、モルでの処分を可能にするためのさまざまな条件を提示している。この条件としては、最も重要とされている安全性の他に、原子力についての知見が地域に維持されていくこと、原子力災害対応計画が改良されること、恒久的な周辺環境における放射能モニタリングが実施されることなどが挙げられている。さらに、MONAを通じた地域社会の処分プロジェクトへの参加が維持されることやプロジェクトが地元にとって明らかに付加価値があるものであることも条件とされている。
今後は、モル自治体議会がMONAの最終報告書で提示された条件を評価し、モル自治体として処分場を受け入れる準備があるのか、また受け入れのための条件は何かについての決定をすることになると、今回のプレスリリースでは示されている。
また、ONDRAF/NIRASのプレス資料によると、1998年1月に、政府が短寿命・低中レベル放射性廃棄物の処分に関する解決策を見出すことを決定し、ONDRAF/NIRASはこれを受け、研究開発を行う一方、処分プロジェクトに興味を示した地域との間でパートナーシップを結び、3つの地域で非営利団体を設立するに至ったとされている。そのうちデッセル自治体の低レベル放射性廃棄物調査・協議グループ(STOLA-Dessel)については、既に最終報告書を地元自治体議会に提出している 。残るフルール自治体とファルシネ自治体のパートナーシップ(PALOFF)も2005年の上半期に最終報告書を提出すると見込まれている。
同プレス資料によると、各自治体が受け入れを表明した後、処分サイトについての次の意思決定段階では、あらゆるステークホルダーとともに、処分実施のための条件が、具体的に討議されるとのことである。最終的には政府が、技術的な処分概念、処分プロジェクトの社会との融和、立地、資金確保についての決定を行うことも示されている。また、処分場の操業開始は早くても2015年から2020年の間で、操業期間は約30年、閉鎖後は2,3百年間のモニタリングが行われるとされている。
【出典】
- 放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)のウェブサイト、http://www.nirond.be/engels/1_index_eng.html、2005年1月
- 放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)、モル自治体、モル放射性廃棄物協議グループ(MONA)、2005年1月27日付共同プレスリリース、 http://www.nirond.be/engels/PDF/PR%20270105%20-%20Disposal%20in%20Mol.pdf
- 放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)のプレス資料、 http://www.nirond.be/engels/PDF/Press%20file%2027%2001%2005.pdf
【参考】(2005年2月4日追記)
MONAの最終報告書は以下のMONAのウェブサイトにて公表されている。
http://www.monavzw.be/rapporten.htm
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )